此方が布陣を終え、暫くすると曹操軍が進軍してきた

曹操軍が此方の陣と少々間を開けて進軍を止めた

そして私は明命と共に前に出る　彼方からは曹操が出て来た

「久しぶりね　孫策

　舌戦に共を連れてこないと出て来れないなんてとんだ臆病者ね」

曹操が嘲笑して来るが

「私が臆病者ならその私を暗殺しようとした貴方は何なの？

　私と堂々と戦う度胸も無い臆病者の卑怯者じゃないの？

　小さいのは背と胸だけじゃなくて器も同じようね」

私の言葉に曹操の表情が２度変わる

背と胸が小さい事は自覚してるのね

「背や胸は関係ないでしょ！

　それより貴方を暗殺しようとした、とは何の事？」

曹操の言葉に怒りがこみあげて来た

「とぼけるな！

　この代償高くつくわよ！」

私はそう言い放ち自軍へ戻る

「呉の将兵達よ　我が朋友達よ　我等は父祖の代より受け継いだこの地を袁術より取り返した！

　だが今、愚かにもこの地を欲し無法にも大軍を以て押し寄せて来た者達がいる

　敵は卑劣にも我に刺客を放ち、この命を奪わんとした！

　だが『天の御遣い』北郷一刀が自らの身を挺して助けてくれた

　卑劣な毒に侵され北郷一刀は今、生死の境をさまよっている

　この孫伯符　このような事をされて黙っていることは出来ぬ

　わが友よ、愛すべき仲間よ、愛しき民よ　この孫伯符が命ずる

　卑劣なる曹操軍を殲滅せよ！！」

この号令で突撃が敢行される

〜華琳視点〜

「どういう事だ　だれが孫策を暗殺せよと命じた！？」

孫策の号令を聞き、状況を理解した

「我等がそのような命を下す訳が有りません」

「ならば何故、こんな事が起こっている！」

孫策の狂言だとでも云う気なのだろうか

「華琳様、許貢の部隊が功を焦り孫策暗殺を謀ったようです」

「その者達の首を跳ねよ

　英雄同士の対決を穢した罪は死以外で贖えないわ

　撤退する　この戦いにもはや意義は無い」

撤退の命を下すと直後に

「華琳様、敵が突撃を開始しました！」

桂花が報告する

「くっ、意義はなくなっというのに」

私達は撤退戦を行う事になった

「無事に逃げおおせるとでも思っているのか？」

「貴様は愛紗！」

私達の退路に愛紗が立ち塞がった

「貴様一人で何をほざく！」

春蘭が立ち向かおうとするが

「ここは私が引き受けます

　華琳様達はお先に行って下さい」

凪が進み出るとそのまま愛紗に攻撃を仕掛けた

「凪か、貴様程度で今の私の相手が務まると思っているのか！」

怒り狂っている愛紗とそれを冷めた目で見ている凪の一騎討ちになった

〜凪視点〜

「私は貴方達と別れてからも修練を続けてきました

　よってあの時とは私の実力は違います

　それに今の貴方なら私でも負けません」

私が言い放つと愛紗殿の動きが止まった

「それは、どういう意味だ」

「私は華琳様を主君と仰ぎました

　華琳様が傷つき、重症となってもその死を確認するまでは生存を信ずるでしょう

　ところが貴方は既に一刀様が死んだと決めつけている

　主君の生存を信じきれぬ貴方に私が負ける道理などありません」

私の答えに愛紗殿は俯いて

「さっさと行け、今回だけは見逃してやる」

偃月刀で横を指して悔しげに呟いた

私は華琳様達の後を追った

〜雪蓮視点〜

曹操軍が撤退した

戦場の跡には無数の曹操軍の兵士の屍が転がっている

今回、曹操を討ち取れなかったのは正直悔しくて堪らない

しかし、人の体力が無限でない以上無理な追撃も出来ない

追撃終了の命を出して城に戻る

一刀が無事である事を祈りながら

そして城に帰還して医師に問いただした所

「手は尽くしました

　孫策様の処置のおかげでまだ無事です

　しかし、この後目を覚ますかは本人の体力に賭けるしかありません」