英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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〜ルーレ〜

 

「へ……」

「私?」

微笑みながら答えたシグルーンの答えを聞いたリィンは呆け、ゲルドは不思議そうな表情をし

「ゲ、ゲルドがメンフィルにとって重要な予言をしたって……」

「……一体どんな内容をいつ、メンフィルに教えたのだ?」

アリサは戸惑いの表情をし、ラウラは不思議そうな表情で尋ねた。

 

「あ……もしかして補給の時に寄ったケルディックでゲルドがプリネさん達に教えた予言の事ですか?」

「お兄様?何かご存知なのですか?」

ある事に気付いたリィンの問いかけを聞いたセレーネは不思議そうな表情で尋ねた。そしてリィンはその場にいる全員にゲルドの予言―――ケルディックが焼き討ちされる事を説明した。

 

「何ですって!?」

「りょ、猟兵達にケルディックが焼き討ちされるって……!」

「クッ……愚かな真似を……!”貴族連合”は一体何を考えている……!?メンフィルにあれだけ痛手を喰らわされたというのに……!そのような暴挙を行えば、メンフィルが黙っていると思っているのか!?」

説明を聞き終えたサラ教官は厳しい表情で声を上げ、アリサは表情を青褪めさせ、ラウラは怒りの表情をし

「あ、あの……その時のお姉様やプリネ様達は何をしていらっしゃるのですか……!?お姉様達がいれば、そのような事にはならないと思うのですが……」

ある事に気付いたセレーネは不安そうな表情をした。

 

「ゲルドの話ではその時のプリネさん達はケルディック要塞を攻めている領邦軍と戦っているらしい。」

「ええっ!?りょ、領邦軍と!?」

「……国境の防衛で手薄になった所をケルディックに潜入していた猟兵達が焼き討ちするって寸法ね。それで対策は何か取っているの?」

リィンの説明を聞いたアリサは驚き、厳しい表情で状況を推測したサラ教官はシグルーンに尋ねた。

「ええ。領邦軍によるケルディック要塞への襲撃が始まった際は街に残す防衛部隊が遊撃士協会と連携して市民達の避難誘導や救助を最優先に行うとの事ですわ。なお、防衛部隊は1個大隊程残し、レオンハルト少佐がケルディックに残って防衛部隊を指揮するとの事です。」

「レオンハルト教官が……!」

「………”結社”で猟兵達を指揮していたあいつなら猟兵達の行動パターンとかもある程度予想できるでしょうから、猟兵達を相手にするにはうってつけの人材ね。」

シグルーンの説明を聞いたリィンは驚き、サラ教官は納得した様子で呟いた。

 

「シグルーン様……もし、ゲルドさんの予言通り貴族連合が雇った猟兵達によるケルディックの焼き討ちがされた場合、メンフィル帝国は”期間以内”にエレボニア帝国に再び攻めてくるのでしょうか……?」

「あ…………」

「それは…………」

セレーネの問いかけを聞いたリィンは呆け、ラウラは複雑そうな表情をし

「皆様には辛い答えでしょうがさすがに”焼き討ち”と言った余りにも卑劣すぎる暴挙は見逃せませんわ。―――レン姫も仰った通り、その際はオリヴァルト皇子かアルフィン皇女に予め連絡して貴族連合が作ったメンフィル帝国に対するエレボニア帝国の”罪”を償わせる機会を与えますので、すぐには攻め入りませんわ。」

シグルーンは静かな表情で答えた。

 

「そ、そんな……焼き討ちされるって前もって教えてもらっているのに何故ですか!?」

シグルーンの答えを聞いたアリサは辛そうな表情で反論したが

「―――アリサさん。ゲルドさんの警告はあくまで”予言”……予言が当たらないという可能性も一応考えられますから不確かな情報ですし、そもそもゲルドさんはエレボニア帝国に所属している訳ではありません。メンフィルはあくまで”ゲルドさん個人の警告”として受け取り、念には念を入れて先程説明した対策を取っているのです。」

「………………」

シグルーンの正論を聞くと黙り込んだ。

「ゲルドの”予言”は今の所全部的中しているけど、”国として”はあっさり信じる訳には行かないでしょうね…………さっき聞いた対策を取っただけでも正直、”奇跡”に近いわ。」

「ええ……しかもゲルドさんは身元不明の上記憶喪失……普通に考えればそのような経歴を持つゲルドさんの”予言”は”妄言”として受け取られる可能性が非常に高いですわ。」

サラ教官とセレーネはそれぞれ複雑そうな表情をした。

 

「………………あの時私はケルディックの一番偉い人――――プリネに私が”見えた”ものを言ったけど……無駄だったの?」

「いや……少なくてもゲルドの”予言”で犠牲になるケルディックの人達を一人でも少なくする事ができるかもしれないんだ。ゲルドのした事は決して無駄ではないさ。」

仲間達の反応を見て悲しそうな表情をしているゲルドを見たリィンは首を横に振って口元に笑みを浮かべてゲルドを見つめて答え

「リィンの言う通りよ。――――それじゃあ情報収集を再開しましょう!」

「うむ。」

アリサも続くように言った後仲間達を促し、アリサの言葉にラウラは頷いた。その後情報収集をしていたリィン達はラインフォルトグループの本社の前に来た。

 

〜RF本社ビル前〜

 

「ラインフォルト社の本社ビル……アリサの実家でもある場所か。」

「前回の実習ではルーレに滞在している間はこちらでお世話になりましたわね。」

「ここがアリサの家……」

ビルを見つめるリィンとセレーネの会話を聞いていたゲルドは目を丸くしてRF本社ビルを見上げ

「アンゼリカさんの話だと母様はどこかに軟禁されている……ゲルドの予言を信じるとしたら間違いなく”アイゼングラーフ号”の中に軟禁されているんでしょうけど…………表向きは”行方不明”になってるなら、今はかなり混乱してるかもしれないわね……」

アリサが複雑そうな表情でビルを見上げて呟いたその時、一台のリムジンがビルの前に停車し、本社ビルからは支配人が現れ、リムジンから姿を現した貴族の男性を迎えた。

 

「……お疲れ様ですハイデル取締役。お荷物をお持ちします。」

「んん、ご苦労。」

(あの人は……)

(知り合いか、アリサ?)

(ええ、一応面識はあるわ。”第一製作所”の取締役、ハイデル・ログナー氏……アンゼリカさんの叔父に当たる人でもあるわね。)

アリサの説明を聞いたリィン達は緊張した様子で男性―――ハイデル取締役を注目していた。

 

「いやはや、忙しく目が回るねぇ。”ご病気で療養中”のイリーナ会長の代行とは言え、グループの総括も大変だよ。ハハ、願わくば早い所復帰してもらいたいものだな。」

「は、はあ……」

「ああ、しばらく私は24Fで寛いでいるからね。後でお茶でも持って来てくれたまえ。会長のメイドがいればそちらに頼むんだがねえ。」

「で、ですが取締役。24Fは……」

24Fはアリサ達―――”ラインフォルト家”の”家”である事を理解していた支配人は取締役に反論したが

「んん?何か文句でもあるのかね?」

「い……いえ。なんでもありません……」

ハイデル取締役に睨まれると肩を落とした様子で首を横に振り、ハイデル取締役と共に本社ビルの中に入って行った。

 

「会長代行って……まさか今は、あの人がイリーナ会長の代わりを?」

「アリサのお母さんは病気になっていると言っているけど……」

「あ、ありえない……デタラメだわ。それに24Fってラインフォルト家の居住スペースじゃない……!」

「イリーナ会長を軟禁した上その軟禁した人物の”家”を堂々と使うとは……余りにも卑劣で愚かな行為ですわね。」

リィンとゲルドに尋ねられたアリサは怒りの表情で本社ビルを睨み、シグルーンは不愉快そうな表情をしていた。

 

「特別実習の際、わたくし達が泊まったアリサさんの実家ですわよね?」

「ログナーというからには彼も四大名門なのだろうが……どうやら会長のおられぬ間にやりたい放題やっているようだ。」

「にしても、部外者が勝手に他人の家に寛いでるなんてねぇ。」

セレーネは複雑そうな表情をし、ラウラは眉を顰め、サラ教官は呆れた表情で溜息を吐いた。

「はあ……文字通り大切なものを土足で踏みにじられた気分だわ。とにかく今は、本社ビルには近寄れないわね。」

「ああ、他の場所で聞きこみをするとしよう。」

その後情報収集を再開したリィン達だったがアンゼリカとイリーナ会長の行方は掴めなかった。

 

〜市内〜

 

「……ダメだわ。母様もアンゼリカさんも、まったく行方がわからない。この街も完全に貴族連合に支配されているみたいだし……」

「ある程度状況はわかったけど手詰まりになってしまったな。どこかに手がかりがあればいいんだが。」

今後の方針にリィン達が考えているとアリサのARCUSが鳴り始めた。

 

「あら、私のARCUSが……」

「カレイジャスから……ってわけじゃなさそうだな。さすがに通信範囲外だろうし。」

「ええ……ちょっと出て見る。もしもし……?」

通信相手を若干警戒しながらアリサは通信を開始した。

 

「もしもし、アリサ?私よ。ユーナよ。元気にしていた?」

「ユーナ……?久しぶりじゃない!そっちこそ元気にしていたの?」

「ふふ、おかげさまでね。アリサ、突然だけど今から”ドヴァンス食堂”に来てくれない?とても大事な話があるの。」

「……大事な話?というか、どうして私がルーレに戻ってるって知ってるのよ……!?」

「ふふ、ちょっと事情があってね。それじゃあ待ってるわね。また後で。」

「ちょっ――――ユーナ!?」

一方的に通信を切られた事に驚いたアリサは声を上げた。

 

「切れちゃった……」

「確かアリサさんの友達でしたっけ?」

「ええ、何だか私達に大切な話があるらしくて。西口にある”ドヴァンス食堂”に来て欲しいみたいなの。」

「……ちょっと気になるな。よし、確かめに行ってみるか。」

その後リィン達は通信相手に指定された食堂に向かった。

 

 

説明
第449話
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コメント
本郷 刃様 そうですね。これでも十分ですね。 K’様 おお、原作のゲルドを調べてくれたんですか!調べたらわかったと思いますが滅茶苦茶優しくて健気な良い娘でしょう!?そんな娘は例え記憶を失っても性格は変わらないのですよ(sorano)
何かゲルドが図らずも原作と似たようなことをしていますね。(原作の事を少し調べました)たとえ記憶を失ってもその人の本質は変わらないと言うことですか・・・(K')
メンフィル所属の占い師や予言師ならまだしも、一個人の予言ですからね・・・国がその警告をある程度受け入れたことで十分でしょうよ(本郷 刃)
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