英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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〜ルーレ市・ドヴァンス食堂〜

 

「アリサ君……」

アリサから返って来た予想外の答えにアンゼリカは驚いた様子でアリサを見つめていた。

「軟禁されている母様だってできるならこの手で助けたい……お願いです、アンゼリカさん。せめて私だけでも協力させてくださいませんか!?」

「アリサ……」

「……ふふ、水臭いことをいうものではない。」

「わたくしたちも、この状況を見過ごすわけにはいきませんわ。」

「私も……アリサとみんなの”仲間”だから。」

「ふふっ……」

「頼もしいお言葉ですわね……」

それぞれ協力を申し出るリィン達をサラ教官とシグルーンは微笑ましそうに見守っていた。

 

「みんな………」

「それに、前回の実習で先輩は俺達を手伝ってくれました。そのせいでお父さんの怒りに触れ、学院を停学させてしまった……その借りを返すチャンスを俺達にくれませんか?」

「……ふう、あれについては君達のせいじゃないさ。父に対して意地を張りたかった――――ただそれだけのことなんだが。……と言っても聞くような君達じゃないか。」

リィンの決意に満ちた表情を見たアンゼリカは溜息を吐いた後苦笑した。

 

「アンゼリカさん……」

「―――君達の助力有難く頼らせてもらおう。私達の親子喧嘩とアリサ君の母上の解放にどうか力を貸してくれたまえ。このルーレの問題を無事に解決するためにも。」

「はいっ……!」

こうしてリィン達はアンゼリカに協力することとなり……食堂に用意された通信端末で一度、状況の報告を兼ねてトワに連絡をとることにした。

 

「よかった、リィン君達。無事にアンちゃんと合流できて……」

「しかし、なんだいその格好は?」

「フフ、なかなか似合うだろう?私の完璧かつ華麗なる変装を君達にも披露したかったな。」

「もう、アンゼリカさんったら。」

いつもの調子で通信相手であるトワとジョルジュに話しているアンゼリカの様子をアリサは苦笑しながら見守っていた。

 

「とにかく俺達は、このままアンゼリカ先輩の手伝いをするつもりです。ルーレを貴族連合の支配から解放する為にも。」

「うんっ、わかったよ。わたし達も出来る限り協力するね。それで、イリーナ会長の居場所の方はわかったの?」

トワの質問を聞いたリィン達は顔を見合わせてアンゼリカを見つめた。

 

「そう言えば、昨日の通信で……」

「アンゼリカさん。母が監禁されている”アイゼングラーフ号”は一体どこに……?」

「おや、何故イリーナ会長が”アイゼングラーフ号”にいる事を君達が……―――ルーレの北の郊外にある”ザクセン鉄鉱山”―――その貨物ホームには現在。”アイゼングラーフ号”が停まっていてね。その中にイリーナ会長は軟禁されている。」

「!!」

「や、やっぱり……」

「またゲルドの”予言”が当たったわね……」

「………………」

アンゼリカの答えを聞いたリィンは目を見開き、アリサとサラ教官は静かな表情で黙り込んでいるゲルドに視線を向け

「その……どうして”アイゼングラーフ号”がザクセン鉄鉱山に停車しているのですか?」

セレーネは戸惑いの表情でアンゼリカに尋ねた。

 

「貴族連合に接収されたあと叔父のハイデルが引き取ってそのようにしたらしい。まあ、列車内部はかなり豪華で待遇は悪くはないらしいが……問題は、鉱山と列車の警備を猟兵団が担当している事でね。」

「猟兵ですか……」

「―――なるほど。そう言った地形での戦闘はどちらかというと猟兵達の方が得意でしょうから、適材適所ですわね。」

アンゼリカの話を聞いたリィンとシグルーンは真剣な表情で呟き

「”北の猟兵”は……たしかクロイツェン方面に雇われているんだったわね。」

サラ教官は考え込みながら呟いた。

 

「……ハイデル取締役は元々母には頭が上がらないみたいです。RF社を牛耳るためにはできるだけ遠ざけておきたいけど現時点では無下にもできない……そんな思惑が見え隠れしますね。」

「だが、逆にイリーナ会長さえ解放できれば……!」

「うん、RF本社ビルを奪還するのは難しくないかもしれないね。イリーナ会長が人質として利用されることもなくなるし……アンちゃんが黒竜関を攻略する上で背後の心配も少なくなるはずだよ。」

「よし、それでいこう。―――作戦を整理するよ。」

リィンとトワの意見に頷いたアンゼリカは自分達が予めて決めて置いた作戦を整理して再び口にした。

 

「まずはザクセン鉄鉱山にてイリーナ会長を解放。その後、RF本社ビルを奪還し我が叔父ハイデル・ログナーを拘束。そして、黒竜関に待つ父と私が決着をつける―――!」

「………作戦はなるべく間髪いれずに達成していく必要がありそうですね。ログナー候に建て直す隙を与えない為にも。」

「ああ、まずは入念に準備を整えるとしよう。バックアップはよろしく頼んだよ、トワ、ジョルジュ。」

「うんっ、任せておいて!いざという時の為にカレイジャスで駆けつけられるようギリギリの地点で待機してるから!」

「アン、リィン君達もくれぐれも気を付けてくれ!」

「フフ、了解だ。」

「準備が整い次第、ザクセン鉄鉱山に向かいましょう!」

「ああ………!」

その後準備を整えたリィン達はザクセン鉄鉱山に向かっているとザクセン山道の鉄鉱山とアイゼンガルド連峰方面へと分かれている道で驚くべき光景を見つけた。

 

〜ザクセン山道〜

 

「!あれは……」

「メンフィル帝国軍……!」

「……ユミル防衛の為にこんな所にまで兵を配置しているなんて……」

「お兄様……」

「兵士や戦車もそうだけど、”機甲兵”もいっぱいいるわね……」

アイゼンガルド連峰に向かう道にいるメンフィル兵達や機甲兵達を見たアンゼリカやラウラは真剣な表情をし、リィンは複雑そうな表情をし、その様子を見たセレーネは心配そうな表情をし、ゲルドは静かな表情で呟いてメンフィル軍を見つめた。

 

「国境ギリギリまで防衛部隊を配置しているなんて、ノルティア州の領邦軍を挑発している行為としか思えないのだけど?」

サラ教官は厳しい表情でシグルーンに問いかけた。

「私に苦言を申されましても困りますわ。サラ殿もご存知の通りユミルの防衛部隊を指揮しているのはエフラム皇子殿下達です。私達――――リフィア皇女殿下の親衛隊は殿下も含めてユミル防衛の件に一切関わっておりません。それにメンフィル軍はあくまで”自分達の領地”を守護しているだけの上エレボニア帝国とは戦争状態……”敵国”による自国領の襲撃を警戒して国境に軍を展開する事のどこが悪いのですか?しかもユミルは既に貴族連合によって2度も襲撃されているのですよ?”3度目”がないと保証できるのですか?」

静かな表情で答えたシグルーンは真剣な表情で反論し

「…………っ!」

シグルーンの正論に対する反論ができないサラ教官は唇を噛みしめた。

 

「……確かにシグルーン中将閣下の仰る通りだね。貴族連合がメンフィル帝国に今までした事を考えれば、メンフィル帝国が”四大名門”の本拠地と隣接しているルーレを警戒してこんな露骨な真似をしてきても仕方ないよ。父が先走ってメンフィル軍に戦闘を仕掛けなければよいのだが……」

「アンゼリカさん…………」

重々しい様子を纏って呟いたアンゼリカの様子をアリサは複雑そうな表情で見つめた。

 

「あら……フフ、お久しぶりですね。」

するとその時上空からペガサスに騎乗した女性騎士がペガサスをリィン達の前に着地させた。

 

 

 

 

説明
第452話
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コメント
本郷 刃様 まあ仕掛けた所で返り討ちですがww(sorano)
ログナー侯爵はアルバレア公爵とは違って程度は弁えているからメンフィルにいきなり仕掛けることはないでしょう・・・そう信じたいですが(本郷 刃)
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