英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
12月22日――――
街を見て回っていたリィンは空港にいるフィーを見つけ、話しかけた。
〜ルーレ市・空港〜
「フィー。」
「……リィン。もう艦に戻るの?」
「いや、どうしようかと思っていた所だ。ヴァリマールと話したら休息をとるのもアリかな。なんだかんだで昨日の疲れは残っているし。」
「そ……わたしも同じ。”V"のこと……ちょっと頭から離れない。前に戦った時も、団長のことも悔やんでくれたし。」
「フィー……そうか。(……同じ元猟兵として思う所があるみたいだな。……フィーと一緒に景色でも見て過ごそうか……?)その、よかったら俺もここにいていいか?もし邪魔じゃなければだけど。」
「……ん、邪魔なわけない。気の済むまで一緒にいたらいい。」
「はは、ありがとう。」
フィーの許可を取ったリィンはフィーと共に景色を見つめていると突如動物の鳴き声が聞こえ、鳴き声を聞いた二人が振り向くとそこには仔猫が一匹リィン達を見つめていた。
「仔猫……?どうしてこんなところに。」
「みゃー……」
「ちょっと元気ないね。」
「もしかすると親猫とはぐれてしまったのかもな。首輪はつけていないから野良猫みたいだけど……」
「……ん………………」
仔猫をジッと見つめていたフィーは仔猫を抱き上げた。
「……リィン。」
「ああ、時間もまだ少しある事だし。せっかくだから俺達で親猫を探してあげるか。」
「みゃおん?」
こうしてリィンとフィーは、仔猫を連れて大都市ルーレを歩き回ることにした。
見るからに野良猫であったため、捜索は困難を極めたが……街の人やセリーヌにも聞きこみをしつつなんとか親猫の足取りを追うのだった。そして……
〜市内〜
「あ……!」
「みゃあっ♪」
リィンとフィーが見つめる方向にいる猫の親子を見た仔猫は嬉しそうに鳴いた。
「ふみゃあ……!」
「にゃ〜ん!」
親猫はリィン達を警戒し、二人を睨んでいた。
「はは……どうやらあれがこの子の親みたいだな。」
「ん……間違いない。言葉はわからなくても、繋がっているのがわかる。」
「にゃにゃ〜ん♪」
「にゃおん。」
フィーが抱いている仔猫に気付いた猫の親子は嬉しそうな鳴き声を出した。
「よかったな、なんとか親が見つかって。」
「ん……よかった、本当に見つかって。」
「置いてかれたり……捨てられたわけじゃなくて。ちゃんと家族と再会できて。」
「フィー……」
フィーが自分自身と重ね合わせている事に気付いたリィンは静かな表情でフィーを見つめた。
「……あの子を抱えている間、ちょっと思い出してた。団長がいなくなった日の……少し前のくらいのことを。」
「団長がいなくなった日……?」
「……わたしたちは、団長達の帰りを待つためにリベール付近の国境に野営地を構えていた。そこに偶然、女の子の猟兵が紛れ込んできたことがあった。」
「女の子の猟兵って……フィーみたいな?」
フィーの話を聞いたリィンは驚きの表情でフィーを見つめた。
「ん、歳はだいたい1つ上くらいだったと思う。反対側にある、団長達と同じように”結社”に雇われていた”赤い星座”の野営地……そこから野良猫を追いかけて入り込んできたらしかった。」
(赤い星座の女猟兵……?………………)
フィーの話に出てくるある人物に心当たりがあるアルティナは真剣な表情をした。
「同じ雇用主に雇われているとはいえ、敵対している猟兵団の中に……?それで、どうなったんだ?」
「まあ、別に戦闘になったりはしなかったけどね。あっちもその時は全然やる気がなかったみたいで。そのままわたしと猫を構いながらいろいろお喋りしてた。」
「それは、どちらも呑気というか肝がすわっているというか。……でも、いるんだな。フィー以外にもそんな子が……」
フィーのような存在が他にもいる事に冷や汗をかいたリィンは真剣な表情をした。
「ん……割とある話だし。でも、その子は当時から向こうの団で大隊長を任されるくらいの凄腕だった。心の底から戦場を愉しんで、生も死も、全てを呑み込んでしまうような……そんな人喰い虎みたいな。」
「それは……フィーとは似ても似つかないな。……猟兵と言っても、本当に色々いるんだな。」
「ん。……ちなみにその猟兵はわたし達が以前特別模擬戦で戦った人の親戚。」
「え……”特別模擬戦”って言うと、特務支援課の人達の事だよな?一体誰だ?」
フィーの口から出た意外な人物達の事を聞いたリィンは目を丸くした。
「”闘神の息子”ランドルフ・オルランド………今はランディ・オルランドを名乗っているみたいだけど。」
「!あの紅毛の人か…………そう言えばあの人の本来の得物は”ブレードライフル”だったし、実力もあの人があの中で一際群を抜いていたな……」
(そうなると……話に出ていた人物はやはり”血染めのシャーリィ(ブラッディシャーリィ)”ですか。)
ランディの姿や戦闘している様子を思い出したリィンは真剣な表情をし、ある人物を思い浮かべたアルティナも真剣な表情をした。
「ん。”殲滅天使”の話からすると今はクロスベルにいるようだけど……多分、あの子だったらたとえ一人でも十分に生きていると思う。団から置いて行かれて、一人になった途端に何もできなくなって……ただ、周囲の人に守られていたばかりだった”弱い”わたしとは違って。」
「……持っている力だけだが”強さ”じゃないさ。それにフィーも、このZ組でずいぶん強くなれたんじゃないのか?俺やラウラ、他のみんなとも切磋琢磨する中で。」
「……そうかもしれない。少なくとも、あの頃よりは……みんなのおかげだね、きっと。」
リィンの指摘を聞いて今までを思い返したフィーは静かな笑みを浮かべてリィンを見つめた。
「ああ……一緒にもっと強くなろう。俺もきっと、そうなる必要があると思うから。」
「リィン……そだね、強くなろう……みんなで……Z組で一緒に。」
その後親猫達のもとへと嬉しそうに去って行く仔猫を見送ったリィンはその場でフィーと分かれて市内を再び歩き回っているとドヴァンス食堂にいるトワとアンゼリカが気になり、二人に話しかけた。
説明 | ||
第461話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
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コメント | ||
本郷 刃様 全くですな(sorano) フィーもZ組のみんなと居ることで成長しましたよね、良いことじゃないですか(本郷 刃) |
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他エウシュリーキャラも登場 幻燐の姫将軍 空を仰ぎて雲高くキャラ特別出演 閃の軌跡U | ||
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