英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
〜ケルディック・大市跡〜
「あ………」
「内戦の状況でありながらもあんなに栄えていた大市が……」
「ひ、酷い……!」
「……滅茶苦茶だね。」
「……………………ッ!」
破壊尽くされた大市跡を見たリィンやエリス、アリサは悲痛そうな表情をし、フィーは辛そうな表情で呟き、サラ教官は怒りの表情で身体を震わせ
「…………ッ……!」
「ユーシス……」
唇を噛みしめて辛そうな表情で拳を握りしめるユーシスの様子に気付いたミリアムは悲しそうな表情でユーシスを見つめた。
「お主達も来ていたのか……」
その時オットーが部下を連れてリィン達に近づいてきた。
「元締め!ご無事で何よりです……!」
「怪我とかしていない?」
オットーを見たリィンは安堵の表情をし、フィーは心配そうな表情で尋ねた。
「うむ……お蔭様で命だけは何とか助かった。じゃが大市が…………」
「元締め…………」
肩を落としている様子のオットーを見たアリサは悲しそうな表情をした。
「!あんた、確かアルバレア公の……!どの面を下げてこの町に来たんだよっ!?あんたの父親のせいでケルディックが……!」
その時ユーシスに気付いた部下はユーシスを睨んで怒鳴り
「………ッ……………!」
部下の言葉を聞いたユーシスは辛そうな表情で肩を落とし、あまりの辛さによって謝罪の言葉すら口から出て来なかった。
「やめるのじゃ。彼はあの件に一切関わっておらん……アルバレア公の息子とは言え、ルーファス卿と違い貴族連合にも所属していない彼に当たるのは筋違いじゃ。」
「元締めは何とも思わないんですか!?アルバレア公に命を狙われていたんですよ!?」
「え……」
「何ですって!?」
「一体どういう事ですか!?」
制止をするオットーに指摘した部下の話を聞いたアリサは呆け、サラ教官は厳しい表情で声を上げ、リィンは血相を変えて尋ねた。そして部下やオットーはアルバレア公に依頼された猟兵達がケルディックを焼き討ちした理由やオットーを狙った理由を説明した。
「…………馬鹿な………………」
「ユーシス…………」
話を聞き終え、肩を落として暗い表情になっているユーシスを見たリィンは辛そうな表情をし
「そ、そんな……!それって……!」
「完全に逆恨みだね。」
「というかアルバレア公爵はホントに何を考えているんだろ〜?こんな事をしたらメンフィルが絶対に黙っている訳がないのに。」
「はい……ユミルの件に対する”報復”ですらあれ程の事をしたのですから……」
怒りの表情をしているアリサの言葉にフィーは真剣な表情で呟き、ミリアムの疑問に頷いたエリスは重々しい様子を纏って呟いた。
「それにしても猟兵達に狙われていたのによく助かりましたね……メンフィル兵に守ってもらったのですか?」
一方ある事が気になっていたサラ教官は驚きの表情で尋ねた。
「いや―――危ない所を遊撃士が駆け付けてくれて猟兵達を無力化してくれたのじゃ。確か名前はアガット殿じゃったな。」
「アガットさんがですか……!?」
「――――”重剣”のアガット。リベールからの応援でケルディックに来ている話は聞いていたけど……」
「”重剣”……リベールの遊撃士の中でもトップクラスの実力を持っている事は知っていたけど、たった一人で猟兵達を制圧できるほどの実力を持っているんだ。」
オットーの話を聞いたリィンは驚き、サラ教官とフィーはそれぞれ真剣な表情で呟いた。
「その……元締め。”大市”はどうなるのですか……?」
その時アリサが不安そうな表情で尋ねた。
「ありがたい事にも領主様達から猟兵達に滅茶苦茶にされた品々の損害金は勿論、破壊された店や建物、そして家の修繕費も全てメンフィル帝国が負担するとの申し出があったから、時間をどれだけかけてでも大市を……ケルディックを復活させるつもりじゃ。命を失った者がいなかっただけ、良しとするべきじゃろう。」
「そうですか……」
「ユミルの件同様犠牲者が出ていなかった事が不幸中の幸いでしたね……」
「さすが民には優しいメンフィルだね。」
オットーの話を聞いたリィンとエリスは安堵の表情をし、フィーは明るい表情をした。
「俺は絶対にアルバレア公を許さねえ……!エレボニア帝国領だった頃は重税で俺達を散々苦しめておいて、メンフィル帝国領である事を受け入れた俺達に対してこの仕打ちだ……!あんな奴、早くメンフィルに処刑されちまえばいいんだ!」
「……………………」
「ユーシス…………」
怒りに震えている様子の部下が叫んだ言葉を聞いたユーシスは辛そうな表情で肩を落とし、その様子をミリアムは心配そうな表情で見つめた。その後オットー達と別れたリィン達はプリネ達を探して見つけた。しかし領主であるプリネやレン、サフィナは勿論の事、ツーヤも自分達を囲む多くの兵士達や市民達からの報告や嘆願を熱心な様子で聞いた後次々と指示をしていた為、プリネ達に近づける雰囲気ではなかった。
〜市内〜
「プリネ達……忙しそうね。」
「無理もないさ……町がこんな状況になった時にこそ、プリネさん達―――領主の指示が必要なんだから。」
次々と報告を聞いたり指示をしているプリネ達の様子を見たアリサとリィンは複雑そうな表情をし
「あの様子ではとても割り込んで話しかけられませんね……」
「……そうね。あの娘達に話に聞くのは諦めて―――」
そしてエリスの言葉に頷いたサラ教官がリィン達を促したその時
「―――どうやら連絡を受けて駆け付けてきたようだな。」
レーヴェがリィン達に近づいてきた。
「あ、レーヴェ。」
レーヴェの登場にフィーは目を丸くし
「レオンハルト教官…………今回の襲撃は本当に父の……アルバレア公によるものなのか?」
ユーシスは暗い表情でレーヴェに尋ねた。
「ああ―――間違いない。アルバレア公が雇った”北の猟兵”―――奴等の仕業だ。」
「…………ッ…………!……なんということを……!」
「信じられない……」
レーヴェの話を聞いて息を呑んだユーシスは辛そうな表情で肩を落とし、アリサは信じられない表情をし
「”北の猟兵”……!」
「ユミルを襲った猟兵と同じ猟兵ですか……」
リィンとエリスは厳しい表情をした。
「……連中はお前達に協力している”魔女”――――ゲルド・フレデリック・リヒターの予言通り領邦軍による襲撃でメンフィル軍がケルディック要塞の防衛をしている隙を狙って襲撃して来た。」
「……なるほどね。確かに焼討ちといえば彼らの十八番でもあるわ。」
「……くっ…………」
レーヴェの説明を聞いたサラ教官は厳しい表情で呟き、ユーシスは唇を噛みしめた。
「……それで”北の猟兵”達はどうなったの?逃げられちゃったの?」
「ほとんどはメンフィル軍が討ち取るか捕縛し……運良く逃げられた猟兵達は猟兵達の撤退先に待ち構えていたレン皇女が一人残らず討ち取ったそうだ。」
フィーの質問を聞いたレーヴェは静かな表情で答え
「ええっ!?レ、レン姫がですか!?」
「ま、”殲滅天使”なら納得だね。」
「夏至祭やザクセン鉄鉱山の時も平気でテロリスト達を殺していたものね……」
「………………それで捕縛した猟兵達はどうなるのかしら?」
レーヴェの説明を聞いたエリスが驚いている中、納得した様子のフィーの言葉にアリサは不安そうな表情で頷き、複雑そうな表情で黙り込んでいたサラ教官はレーヴェに尋ねた。
「メンフィル帝国政府より捕えた北の猟兵達は近日中にケルディック郊外にて”公開処刑”をしろとの指示が来ている。メンフィル帝国領の焼討ちの罪をその身を持って償わせる事もあるが、ケルディックの民達の怒りを晴らす為にも処刑しろとの事だ。」
「…………ッ……!」
「それは…………」
「まあ、ユミル襲撃に対する”報復”で帝都襲撃やバルヘイム宮爆撃を行ったメンフィルならそのくらいの事もやりそうだね〜。」
レーヴェの話を聞いたサラ教官は辛そうな表情で唇を噛みしめ、リィンは複雑そうな表情をし、ミリアムは静かな表情で呟いた。
「……ゲルド・フレデリック・リヒターの”予言”通りになってしまったが、”最悪の事態”――――犠牲者を出す事だけは防げた。その功績を評して状況が落ち着いた後メンフィルはリヒターに”報酬”を与えるとの事だ。……その中には出身不明かつ記憶喪失のリヒターに貴族の爵位を授けるという”報酬”もある。」
「ええっ!?」
「ゲ、ゲルドに貴族の爵位をですか!?」
レーヴェの口から出た意外な話にアリサとリィンは驚き
「……まさかとは思うけどゲルドをメンフィル帝国の所属にしてあの娘の”予知能力”を利用する為じゃないでしょうね?」
「え……」
「確かにゲルドの”予知能力”は洒落にならないくらい的中しているしね〜。」
「ゲルドの”予知能力”……使いようによっては戦況すら変える事もできるだろうね。」
厳しい表情でレーヴェに尋ねるサラ教官の質問を聞いたエリスは呆けた声を出し、ミリアムとフィーは真剣な表情でレーヴェを見つめた。
「その点は心配無用だ。”ブレイサーロード”達のようにメンフィル帝国の所属ではないがメンフィル帝国の加護を受けられる”自由貴族”にするつもりとの事だ。」
「じ、”自由貴族”ですか……?」
「そう言えばあの娘達はメンフィルの後ろ盾はあるけど、メンフィル帝国所属の貴族ではなかったわね……」
「……つまりは記憶喪失かつ身元不明のゲルドの後ろ盾になると言う事ですか……」
「確かにメンフィルの後ろ盾があれば、ゲルドの今後の未来は明るいでしょうし、ゲルドを利用しようとする人達も手が出し難くなるわね……」
レーヴェの説明を聞いたエリスは戸惑い、サラ教官は真剣な表情で考え込み、リィンとアリサは複雑そうな表情で呟いた。
「ああ。…………今後はこのような事が起こらぬよう、各領の警戒を強めるとの事だ。―――お前達も改めて心に留めておけ。今起きている事態は間違いなく”戦争”であることを。」
「……………………」
そしてレーヴェの忠告にユーシスは辛そうな表情で黙り込んだ。その後町の見回りを再開したリィン達は町の出入り口で揉めている様子の声を聞き、それが気になって出入り口に近づくとそこにはメンフィル兵達相手に必死に何かの嘆願をしている様子のクレイグ中将やナイトハルト少佐、そしてクレア大尉に背後には鉄道憲兵隊や第四機甲師団所属の軍人達がいた。
説明 | ||
第469話 | ||
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コメント | ||
K'様&本郷 刃様 刃様の指摘通りですね。 hayato様 さすがに現実の世界の話は全く考えていないです(汗) ゲルドの解釈はそれであっていますが(sorano) K' 氏、本郷氏 横から失礼します。当人のみが名乗ることを許され子孫に継がれなそうな辺り、おそらくヨーロッパの一代爵位をモチーフにしているのではないでしょうか。まあ、ゲルドの場合メンフィル(とゼムリア)での身元保証の意味もありそうですが。(hayato) 貴族という意味を考えると自由貴族よりかは食客や客将、客人扱いの方が意味的には合っていますよね(本郷 刃) メンフィルにとっての貴族って功労者に対する報酬の側面もあるんですか?貴族の役割を考えると自由貴族ってかなり異端の扱いですし。(K') |
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