英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
〜カレイジャス・ブリッジ〜
「……しかし、いよいよ”獅子戦役”の再現のようになって来ましたねえ。250年前も、今回のような焼き討ちが各地で行われたと言われていますが……」
リィン達からケルディックの状況を聞いたトマス教官は複雑そうな表情で呟いた。
「そうだったんですか……」
「確かに………そう伝えられていますね。さすがに250年前と今では状況が違いますが………」
「ま、戦(いくさ)の世ならともかく今の世じゃ大事(おおごと)でしょうね。」
アルフィン皇女の言葉に続くようにセリーヌは静かな表情で呟き
「―――ですがゲルドさんのお蔭で”最悪の事態”は避けられましたわ。ケルディックの民達が犠牲にならなかったのもゲルドさん……貴女のお蔭ですわ。」
「そう……あの町の人達が助かって本当によかった……」
シグルーンに視線を向けられたゲルドは安堵の表情で呟いた。
「……ユミル襲撃に対する”報復”をしたメンフィル帝国の反応を考えれば貴族連合にとってもマイナスのはずだ。総参謀であるルーファスさんを失った怒りがあるとはいえ、今の状況を考えるとメンフィル帝国の逆鱗に触れるような事をするとはとても思えない……」
「んー、やっぱりアルバレア公の暴走って考えるのが自然かもね。貴族連合の双璧とはいえ、カイエン公にいつも一歩出遅れている感じだし。」
リィンの意見を聞いたミリアムは真剣な表情で自分の推測を口にした。
「…………―――悪いが、俺はここで抜けさせてもらう。艦長代理、どこか適当な場所で降ろしてくれ。」
するとその時黙って考え込んでいたユーシスは辛そうな表情でトワを見つめた。
「ええっ……!?」
「ユ、ユーシスさん!?」
「い、いきなり何を言い出すのよ?」
「ユーシス、まさか………」
「……一人でお父さんと決着をつけるつもりか?」
ユーシスの申し出を聞いたトワ達が驚いている中、エリオットと共にある事を察したリィンは真剣な表情で尋ねたが
「……………………」
ユーシスはリィンから目を逸らして答えなかった。
「フン……何を言い出すかと思えば。寝惚けたことを言うんじゃない。……少しは頭を冷やしたまえ。」
「黙れ……貴様に何がわかる。俺にはアルバレア家の者として父を止める義務がある。とやかく言われる筋合いは―――」
マキアスに指摘されたユーシスはマキアスを睨んで答えようとしたが
「―――それは違うぞ、ユーシス。今回のことは、どう見ても個人の力で何とかなる問題じゃない。」
「マキアスの言う通り一旦頭を冷やしてからみんなで考えるべき。」
「……ッ。」
リィンとフィーの指摘を聞いて黙り込んだ。
「そーそー、ユーシスらしくないって。」
「仲間としてユーシスの気持ちは痛い程わかるつもりだ。だからこそ、オレたちならきっと力になれると思う。」
「うん、これからどう動くか……みんなでそれを考えるとしよう。」
「はい!今までの問題だってわたくし達全員で解決したのですから!」
「フフ、今度は私も一緒ですよ?」
「うん……私も出来る限り力になるわ。」
「……お前達……」
ミリアムやガイウス、ラウラやセレーネ、そしてエリスとゲルドの言葉を聞いたユーシスはミリアム達の心遣いに心の中で感謝しながらリィン達を見回し
「ああ、それでこそ君達だ。」
ジョルジュは口元に笑みを浮かべて頷いた。
「……とはいえ、今回の一件は帝国の内戦の状況とメンフィルとの外交問題に深く結びついているわ。関わるつもりなら、相応の覚悟が必要―――それはわかっているわね?」
するとその時サラ教官は真剣な表情でリィン達に問いかけた。
「もちろんです。……これまで、内戦やメンフィルとの外交問題自体への介入は極力控えていました。ですが、今回は完全に罪のない民間人が標的になってしまっている。さすがにこんな事を見過ごすわけにはいきません。」
「ん、そだね。」
「僕達も同じだよ。実習でも、潜伏していた時にオットー元締めを始めとしたケルディックの人達にはずいぶんとお世話になったし……」
「わたくしも皆さんと同じ意見です。皇族の名の下でなら四大名門であるアルバレア公の罪を問う事もできるはず……このカレイジャス共々どうか役立ててください。」
「ありがとうございます、殿下。」
アルフィン皇女の心遣いに感謝したリィンは仲間達を見回した。
「……そうと決まれば、手立てを考えてみましょう。ユーシスのお父様をこれ以上暴走させないためにも。」
「………………すまない。」
アリサの言葉を聞いたユーシスが謝罪をしたその時、何かの音が聞こえて来た。
「これって……導力通信のコール?」
「リンデ、どこからよ?」
「えっと、ちょっと待ってね。―――こ、これって……メンフィル帝国軍が所有する戦艦――――”モルテニア”からみたいです!」
「メンフィル帝国軍の戦艦―――それもメンフィル帝国軍の旗艦である”モルテニア”から……!?」
「まさかとは思うけどシグルーン中将閣下。貴女がカレイジャスの位置を教えたのですか?」
通信士を務めている士官学院生の報告を聞いたリィンは信じられない表情をし、ある事を察したアンゼリカは真剣な表情でシグルーンに視線を向けた。
「―――ええ。リウイ陛下よりアルフィン皇女に期間以内にメンフィル帝国軍がエレボニア帝国に再び戦争を仕掛けない”条件”を教える必要があるとの事でしたので。」
「ええっ!?」
「そ、そんな……」
シグルーンの話を聞いたアリサは驚き、エリオットは表情を青褪めさせ
「皇女殿下……いかがなされますか?」
トワは不安そうな表情でアルフィン皇女に尋ね
「勿論繋いでください!」
「わかりました。―――スクリーンに転送して!」
アルフィン皇女の答えを聞いた後指示をした。するとスクリーンがリィン達の目の前に現れた後スクリーンにリウイが映った!
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第471話 | ||
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コメント | ||
本郷 刃様 リウイの言う通りに頷くしかないんじゃないですか?器が違いすぎますもの K'様 それはもうえげつない結末が待っていますww(sorano) リウイが何を要求するか。はっきりしていることは原作のようなぬるい結末は訪れないと言うことだけですね(K') アルフィンはここで皇女らしく応じなければなりませんね、リウイを相手にどう立ち応じるのか・・・(本郷 刃) |
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