英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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〜カレイジャス・ブリッジ〜

 

「―――久しいな、トールズ士官学院”Z組”。シュバルツァー兄妹やアルフィン皇女と顔を合わせるのは学院祭以来か。」

「リ、リウイ陛下!?」

「リウイ陛下……その……―――申し訳ございません!」

スクリーンに映るリウイを見たリィンは驚き、アルフィン皇女は辛そうな表情をした後頭を深く下げた。

 

「ケルディックの件か。単なる謝罪の言葉を口にしても我らにとっては意味のない言葉だ。メンフィル帝国に対して犯したエレボニア帝国の罪を真に償う気持ちがあるのならば自らの”行動”で示せ。」

「……はい。わたくし達が一体何をすれば”戦争回避条約”によって定められてある猶予期間以内にメンフィル帝国軍が再びエレボニア帝国に攻めてくる事を止めて頂けるのでしょうか……?」

リウイの言葉を聞いたアルフィン皇女は辛そうな表情で頷いた後スクリーンに映るリウイを見つめて尋ねた。

「条件は二つだ。まず一つは”戦争回避条約”に新たな内容を二つ付け加えることをこの場で承認する事だ。」

「なっ!?」

「そ、そんな……せっかく”救済条約”を使うことを”誓約”して減らしたのに、あれ以上増えるなんて……」

リウイの言葉を聞いたリィンは驚き、トワは表情を青褪めさせ

「その……陛下……その内容とは一体どういうものなのですか?」

エリスは辛そうな表情で尋ねた。

 

「一つはアルバレア公が雇った猟兵達に焼討ちされ、メンフィル帝国が負担する事になっている猟兵達に破壊された”大市”の品々の弁償金やケルディック復興の際に必要な金銭を全額エレボニア帝国が後日支払う事と、それとは別にケルディック焼き討ちの”詫び”として先程挙げた弁償金並びに復興金の1,5倍の金銭を後日メンフィル帝国に支払う事だ。―――まさかとは思うがそんな当然の事すらも反論するつもりか?」

「それは…………」

「………………」

リウイの問いかけに対し、ラウラは複雑そうな表情で辛そうな表情で黙り込んでいるユーシスに視線を向け

「……わかりましたわ。残りの条約の内容は一体どんな内容なのでしょう?」

アルフィン皇女は静かな表情で頷いた後尋ねた。

 

「もう一つはメンフィル帝国に対する謝罪金並びに賠償金の”追加金”としてエレボニア皇家並びに”戦争回避条約”の”第一項”によって爵位剥奪並びに全財産没収がされ、メンフィルに贈与されるアルバレア公爵家とカイエン公爵家を除いた残りの四大名門、そして貴族連合に加担した貴族達のそれぞれの全財産の半分をメンフィルに贈与してもらう。」

「何ですって!?謝罪金と賠償金の件は”救済条約”の実行を”誓約”しましたから、相殺した事になるはずですよ!?」

リウイの答えを聞いたサラ教官は厳しい表情で反論したが

「それは”第3項”の話だ。先程俺が口に出した条約は新たに追加される条約の為、救済条約には適用されない。それに”第3項”とは違い、払えない金額ではないだろうが。内容は皇家や残りの四大名門、そして貴族連合に加担した貴族共それぞれの”全財産の半分”なのだからな。」

「……………ッ!」

リウイの正論に反論できず、唇を噛みしめた。

「そ、そんな……救済条約を使ってせっかくあの莫大な金額の謝罪金と賠償金の件を相殺できたのに……」

「相変わらず滅茶苦茶搾り取ろうとしているね。」

「姫様……」

一方マキアスは悔しそうな表情をし、フィーはジト目になり、エリスは辛そうな表情でアルフィン皇女を見つめた。

 

「……わかりましたわ。追加する戦争回避条約は以上の二つでよろしいのですよね?」

「ああ。それらについては内戦が終結した後で実行して構わん。――――ただし、”第一項”並びに”第二項”の一部を今日を入れて3日以内に実行してもらう。それが戦争回避条約の最後の一文にあった”期間”以内にメンフィル帝国軍がエレボニア帝国に再び攻め入る事を中止するもう一つの”条件”だ。」

「”第一項”と”第二項”というと……」

リウイの話を聞いたゲルドは考え込み

「……父達の身柄をメンフィルに引き渡す条約とエレボニア帝国の領土をメンフィルに贈与する条約ですか。」

ユーシスは辛そうな表情でリウイに問いかけた。

 

「そうだ。今日を入れて3日以内にアルバレア公爵夫妻の身柄をケルディックにいるプリネ達に引き渡し、クロイツェン州全土をメンフィルに贈与する事……―――それらを実行すれば”戦争回避条約”に記されてある猶予期間以内にメンフィル帝国軍がエレボニア帝国に攻め入る事を中止する。」

「なっ!?」

「アルバレア公爵夫妻の身柄の引き渡しはともかく、今の状況でクロイツェン州全土をメンフィルに贈与するなんて無理だと思うんだけど〜。」

リウイの答えを聞いたリィンは驚いて声を上げ、ミリアムは真剣な表情でスクリーンに映るリウイを見つめた。

 

「アルバレア公爵を拘束し、クロイツェン州全土の統括領主であったアルバレア公爵の子息であるユーシス・アルバレアとエレボニア皇家の……それもセドリック皇子に継ぐ皇位継承権を持つアルフィン皇女がクロイツェン州全土の貴族達にクロイツェン州はメンフィルに降伏する宣言と同時にメンフィル帝国への降伏を命令すれば一定の効果はあるだろう。」

「それは………………―――陛下。もし降伏に応じない貴族達がいた場合はどうなさるおつもりですか……?」

リウイの話を聞いて複雑そうな表情で黙り込んだユーシスはリウイに尋ねた。

「―――その際は”賊”扱いして降伏に応じない貴族達に軍を差し向けて一人残らず”処刑”する。」

「そ、そんなっ!?」

「問答無用で処刑をするなんて間違っていると思うのですが!?」

そしてリウイの答えを聞いたセレーネは表情を青褪めさせ、サラ教官は厳しい表情で問いかけた。

 

「”我が国”の問題に何の権力も無い他国の者が口を出す”権利”があるとでも思っているのか?それに例え皇族といえど、我が国の問題に口を出せば内政干渉をしたとして抗議させてもらう。勿論メンフィルの貴族かつクロイツェン州の統括領主になる事が決定しているとは言え、シュバルツァー家の跡継ぎ兼クロイツェン州の統括領主になっておらず、それらの能力もまだ兼ね備えていないお前にも発言権はないぞ。―――リィン・シュバルツァー。」

「確かにリウイ陛下の仰る通り他国のただの士官学院の教官の私達では”メンフィル帝国の問題”に口を出す権利はありませんね……」

「……ッ……!」

「くっ………………」

「兄様………」

「当然メンフィル皇族の一員とは言え、ツーヤお姉様と違い、メンフィル帝国の何の役職にも就いていないわたくしの発言も意味がないものなのでしょうね……」

「………………」

しかしリウイの口から出た非情な答えとリウイの答えに複雑そうな表情で同意したトマス教官の言葉を聞いたサラ教官は唇を噛みしめ、悔しそうな表情で身体を震わせているリィンをエリスは心配そうな表情で見つめ、セレーネは悲しそうな表情をし、アルフィン皇女は辛そうな表情で黙り込んだ。

「……その……陛下……わたくし達の手によって拘束されたアルバレア公爵夫妻をプリネ姫達に引き渡した後、メンフィルに引き渡されたアルバレア公爵達はどうなるのですか……?」

そしてある事が気になったアルフィン皇女は辛そうな表情でリウイに尋ねた。

 

「引き渡されたその日に”処刑”する。―――なお、ケルディックの民達の前で”公開処刑”をする予定だ。」

「なっ!?」

「…………ッ………!」

「そ、そんな……僕達にユーシスの……クラスメイトの親を処刑する手伝いをしろって事じゃないですか……!」

「ユーシスさん…………」

リウイの話を聞いたリィンは厳しい表情で声を上げ、ユーシスは辛そうな表情で唇を噛みしめ、エリオットは悲痛そうな表情をし、エマは辛そうな表情でユーシスを見つめた。

 

「不服ならば別にする必要はない。その際はメンフィルが定めたアルバレア公爵夫妻拘束並びにクロイツェン州全土の贈与の期間を過ぎればメンフィル帝国軍が再びエレボニア帝国に攻めてくるだけだ。さて……―――アルフィン皇女。返答は否か?それとも是か?」

「そ、それは………………」

リウイに問いかけられたアルフィン皇女が表情を青褪めさせて身体を震わせたその時

「―――かしこまりました。その任務、どうか自分達に受けさせてください。」

ユーシスが決意の表情で申し出た。

 

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案の定リウイ、容赦なしの非情な要求をしています。でも考えてみたら当然ですよね、エレボニア帝国が焼き討ちしたケルディックの復興費を全額負担する事は当然ですが、それとは別の賠償金や謝罪金を支払うのも当然ですし、既に決まっていたアルバレア公爵夫妻を拘束してメンフィルに引き渡すのも全て当然なのですから。メンフィルによって色々な意味で搾り取られたエレボニア帝国は一体どうなるのやらwwセドリックが相当優秀な皇帝に成長しなければ、また内戦が起こるか、エレボニア帝国の経済が破綻するかもしれませんね。後はアルフィンとリィンの結婚で100兆ミラが貰えますから、それをどう使うかが鍵となるかもしれませんね

説明
第472話
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コメント
本郷 刃様 ユーシスとアルゼイド子爵(レグラムもメンフィル領化する影響)はメンフィル貴族になる事が戦争回避条約で決められていますよ〜(sorano)
K'様 例えセドリックの代までもっていても、それ以降が大分怪しいですよね……下手すりゃセドリックよりリィンとアルフィンの子供がエレボニア皇帝になる方がいいという声があるかもしれませんね。エレボニアの英雄と内戦終結に向けて動き回った皇女の子供なのですから。 (sorano)
↓確かにそうなんですけどゼムリア大陸ってあの大きさの割には・宗教が統一・大地が地続き・言語が統一・通貨が統一・人種的にも大きな差が無いという酷く同質性の高い世界ですから国替えへの抵抗感は私たちが思うよりも少ないと思うんですよ。現実でも韓国なんかは祖国が経済的に窮状なのも合って他国へと出て行く若者が比較的多いと聞きますし。(K')
↓の続き。エレボニア皇族への忠誠が無くなったわけではないです、それに幾ら国が衰退したからと言って祖国をそう簡単に離れる人が多いわけでもない、その考えは早計に思えますよ(本郷 刃)
ユーシスは自ら父であるアルバレア公爵に引導を渡すようですね、彼ならばその覚悟を魅せてくれるでしょう・・・↓そもそも革命を起こせるだけの能力を持つ者や野心がある者がいないのでは? 少なくとも正規軍のゼクス中将やクレイグ中将を筆頭にアルゼイド子爵やログナー侯爵、おそらくはハイアームズ侯爵も生き残るでしょうし、レーグニッツ知事も支え、アルバレア家を継ぐユーシスも居ます(本郷 刃)
↓の続き。たとえそれを凌げたとしても領地の大半を奪われたエレボニアの衰退は確実な以上人材が集まるかどうかも疑わしいですね。若い人はそれこそクロスベルやメンフィルの方へと仕官や就職を求めるでしょうしセドリック成人の頃には夕張よろしく国内の大半が老人となってても不思議じゃないかと。・・・碧編のように綺麗さっぱり滅びてた方がマシだったのでは?(K')
内戦どころか終戦後に革命が起きる可能性が高いのでは?。歴史上敗北から革命へと突入したと言う話は結構ありますし。まずいことにヴァイスが「平民でも皇帝になれる」という前例を作ってしまったので、無能を晒した皇族が続投ならそれこそ「こいつ等に任せるよりは自分が」という野心家が出てくるでしょう。(K')
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