英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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同日――――11:50

 

〜バリアハート郊外・北クロイツェン街道〜

 

「む……!?」

「この音……まさか!?」

領邦軍が防衛陣を築いて迎撃態勢を取っていると第四機甲師団が姿を現した!

 

「だ――――第四機甲師団!」

「”紅毛のクレイグ”か!!」

「クッ………何故ケルディック要塞方面から現れたのだ!?まさかメンフィルと手を組んだのか!?」

第四機甲師団の登場に領邦軍は信じられない様子で叫んだ。

 

「―――地の利は我らにあり!!正規軍の誇りに懸けて木偶人形どもを粉砕せよ!!」

「イエス・コマンダー!!」

「第二、第三攻撃隊前進!第一攻撃隊を援護しつつ側面からの敵に対処せよ!」

「サー・イエス・サー!」

クレイグ中将とナイトハルト少佐は次々と戦車兵達に指示をした。

 

「くっ……まさかメンフィルと手を組んでこちらまで侵攻して来るとは……!」

「狼狽えるな!メンフィル軍はいない!大方メンフィルの捨石にでも使われているのだろう。構わん―――返り討ちにしてやるがいい!」

「「イエス・サー!!」」

兵士達に落ち着いた様子で指示をした中隊長だったが

「―――お、応答せよ、応答せよ!こちらバリアハート南口方面部隊!」

「む……!?なんだ、こんな時に!!」

「南クロイツェン街道より急襲――――鉄道憲兵隊(T・M・P)が仕掛けて来た模様!!」

「な、何だとぉっ!?」

突如来た通信の内容を聞き血相を変えて声を上げた。

 

〜南クロイツェン街道〜

 

一方その頃鉄道憲兵隊は装甲車を盾にしてミサイルポッドやライフルで領邦軍を圧倒していた!

「ぐっ、小癪な……!」

「正規軍の狗どもが……この機に一網打尽にしてくれる!」

鉄道憲兵隊に圧倒されている領邦軍は表情を歪めて声を上げた。

「―――脚部関節に弾幕を集中!動きを止めることを最優先に!徐々に後退しながら敵の増援を誘います!」

「イエス・マム!!」

「……北部防衛線でも戦闘を開始した頃ですね。Z組の皆さん、サラさん。あとは頼みましたよ……!」

鉄道憲兵に次々と指示をしていたクレア大尉はリィン達の顔を思い浮かべた。

 

〜同時刻・バリアハート〜

 

一方その頃装甲車や機甲兵が次々とオーロックス砦方面から現れ、町中を進んでいた。

「な、なんですの……!?」

「まさか……近くで戦闘が始まったのか!?」

「こ、公爵閣下は一体何をしているんだ!?」

「ああ、ルーファス様がいてくれたらこんな事には……!」

その様子を見ていた貴族や市民達は不安そうな表情で次々と声を上げた。

 

〜オーロックス砦〜

 

同じ頃、オーロックス砦の装甲車や機甲兵が次々とバリアハート方面に向かっている中、アルバレア公爵は領邦軍の兵士から報告を聞いていた。

「おのれ、北と南から同時に攻めてくるとは……!パンダグリュエルとの連絡はまだつかぬのか!?」

「はっ、以前からずっと続けているのですが未だ通信がまったく繋がらず………!ルーファス様の専用艦とも依然連絡が取れません!」

「くっ、ルーファスめ……まさか私を切り捨てるつもりではあるまいな!?ユーシスといい、どいつもこいつも……!!―――もうよい!とにかく総力を持って撃退するのだ!」

「は、はッ!」

狼狽した様子で兵に指示をする様子をデュバリィは呆れた様子で見つめていた。

 

「フウ……任務とは言え、一体いつまでここにいればいいのやら。正直気乗りがしませんわ……」

「フフ……あちらも気乗りしないみたいね。ま、今は他国の領地とはいえ、最近まで自分の領地だった場所を焼くような人間に協力する気にはなれないか。」

デュバリィの様子を見守っていたスカーレットは苦笑し

「フフ、燃えカス同然の私にはお似合いの戦場かしら……?せいぜい最後の一花――――咲かせてみせるとしましょうか。」

やがて寂しげな笑みを浮かべて天井を見上げた。やがてオーロックス砦の守備が薄くなるとカレイジャスが姿を現した!

 

「―――”紅き翼”だと!?」

カレイジャスの登場に機甲兵に乗る領邦軍の兵士は驚いた。

「こちらは巡洋艦カレイジャス―――アルフィン・ライゼ・アルノール。ユミル並びにケルディックの破壊・放火の疑いでメンフィル帝国よりエレボニア帝国に要請されていたアルバレア公の身柄を確保いたします。大人しく投降してください―――!」

「お、皇女殿下……!」

カレイジャスから聞こえて来たアルフィン皇女の声を聞いた領邦軍の一部は士気を無くした。

 

「くっ、バリアハートの襲撃は陽動というわけか……!」

「構わん―――撃ち落せ!」

一方アルフィン皇女の宣言に堪えていない機甲兵はカレイジャスを攻撃しようとしたが

「させるか―――!」

甲板に控えていたヴァリマールが機甲兵達の前に現れ、更にエマの転移魔法によって突入メンバーが転移してきた!

 

「は、灰色の騎士人形……!!」

ヴァリマールを見た機甲兵達がヴァリマールに攻撃を仕掛けようとしたその時

「遅い―――!」

ヴァリマールは一瞬で機甲兵達に詰め寄って次々と斬撃を叩き込んだ!

「ぐわあああっ!?」

「ば、馬鹿なっ!?」

すると機甲兵達は一瞬で起動不能になり、地面に膝をついた!

 

「よし―――やったわね!」

「ゼムリアストーンで強化しただけで切れ味が圧倒的に上がりましたね……!」

その様子を見ていたサラ教官は頷き、エリスは驚きの表情で呟いた。

「今なら警備は薄い!さっそく砦に突入するぞ!」

「ああ、了解だ!」

「!待って。――――来るわ。」

ユーシスの言葉にヴァリマールが答え、ある事に気付いたゲルドが真剣な表情で呟いたその時

「フフ―――それはまだ早いんじゃないかしら?」

聞き覚えのある妖艶な声が聞こえて来た!

 

「この声は―――!」

声が聞こえた方向にサラ教官が視線を向けたその時新手の機甲兵がオーロックス砦から跳躍して現れ、ヴァリマールに先制攻撃を叩きつけたがヴァリマールは間一髪防御に成功した!

「くっ!?」

「兄様!?ご無事ですか!?」

ヴァリマールから聞こえてくるリィンの苦悶の声を聞いたエリスは心配そうな表情で声を上げ

「新型の機甲兵……!?」

高速機甲兵―――”ケストレル”を見たミリアムは目を丸くした。

 

「ごきげんよう―――トールズ士官学院・Z組の子達。ようやく私にも出番が回ってきたみたいね?」

「帝国解放戦線、”S(スカーレット)”――――!」

ケストレルから聞こえて来た女性の声を聞いたリィンは厳しい表情で声を上げた。

「フン、現れたわね。アンタにはガレリア要塞で取り逃がした借りが残ったままだったわね?」

「フフ………そんな事もあったわね。でも、もう―――私にはどうでもいいのよ。あなた達との貸し借り―――貴族連合や、メンフィル帝国との外交問題、この帝国の行く末そのものですらね。」

「え……?」

「……どういうことだ。」

ケストレルから聞こえて来たスカーレットの予想外の答えにサラ教官とユーシスは眉を顰め

「「…………………」」

ヴァリマールの中にいるリィンは黙り込み、ゲルドは辛そうな表情でケストレルを見つめていた。

 

「私はもう”生”にしがみつく理由を失くしてしまった。鉄路を通すため、私の家と故郷を根こそぎ奪い去ったあの男――”鉄血”の心臓と頭を”C"が撃ちぬいたあの日にね。」

「あ…………」

「今の私は死に場所を探すだけの歩く屍(しかばね)も同じ―――だから、会いに来たのよ。私の最期に相応しい相手―――その”灰色の”王子様にね。」

「………………」

(うふふ、ご主人様の事だから、身を挺してでもあの女を助けそうね♪)

(ふふふ、そしてその後あの女性の心を奪うという寸法ですか。)

(さ、さすがに後者はありえないと思うのですが…………)

(マスターならありえると思います。ですが死に場所を探す彼女にとってはそれが一番いいかもしれませんね……)

(……頑張って、リィン……!)

スカーレットの答えを聞いたリィンが黙っている中、ベルフェゴールとリザイラの推測を聞いたメサイアは表情を引き攣らせ、アルティナはジト目で答えた後複雑そうな表情をし、アイドスは真剣な表情で祈った。

 

「あの”V”と同じ……」

「どうやら生きる意味を見失ってしまったみたいね。」

「フン……甘えたことを。」

一方スカーレットの意思を知ったフィーは複雑そうな表情をし、サラ教官は真剣な表情で呟き、ユーシスは疲れた表情で鼻を鳴らした。

 

「フフ、せっかくだから貴方達も一緒にどう?高速機甲兵”ケストレル”―――その限界を超えた音速の翼で連れて行ってあげるわ。”V”や”G”たちの待つ地獄への同伴者として―――!」

スカーレットの宣言を聞いたリィンはふとパンダグリュエルでのスカーレットの言葉を思い出した。

 

フフ、それじゃあ。もしお仲間になったらそのあたりも教えてあげるわ。ならなかったとしたら……それはそれで素敵かもしれないわね。

 

「―――お望み通り相手をさせてもらう!だが、これ以上俺の目の前で簡単に”死”は選ばせない!」

「アハハハハハ!!やれるものならやってみなさい―――”灰の起動者(ライザー)”あああああ!!

そしてヴァリマールとケストレルは戦闘を開始した!

 

説明
第475話
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コメント
本郷 刃様 むしろ絶望を知る気がww(sorano)
アルバレア公爵はルーファスが死んだことをまだ知らないんでしたね、まぁ知っていたところで変化することはないでしょうけど・・・(本郷 刃)
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