英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
〜オーロックス砦〜
「わ、我らの波状攻撃をたった一人で……」
「”紫電”のバレスタイン……」
「くっ……団にいた時以上か……」
「さあ――――まだやるの!?だったらいいわ!いっそ全員でかかってきなさい!最後まで、気のすむまで相手になってあげるわ―――!!」
「っ…………」
「……お前……」
サラ教官の気迫に押された北の猟兵達は驚きの表情でサラ教官を見つめた。
「……サラ……」
「……サラさん……」
「……どうしてそんな……」
「……フン、気が削がれた。これ以上、手負いの雌獅子とやり合うメリットは無さそうだ。」
「……戦機を逸した以上このあたりが退き時だろう。」
「クロイツェン州との契約はこの場で打ち切らせてもらう。」
「……あ…………」
「……父との契約を反故にしていいのか?」
猟兵達が口に出した意外な答えを聞いたサラ教官は呆け、ユーシスは驚きの表情で尋ねた。
「報酬分は既に働いている。それに他の仲間達は追加料金を貰ってケルディックの焼討ちを成功させたのに一人も戻って来ていない。」
「恐らくメンフィルによって捕縛されたか……もしくは処刑されたのだろう。」
「これ以上クロイツェン州に関われば、我らもメンフィルの報復対象にされる。そのようなリスクを背負ってまでクロイツェン州に雇われるべきではない。」
「さらばだ、バレスタイン。」
「少なくとも、この内戦ではもはや会うことはあるまい。」
「……ええ、そう願うわ。それと……近い内ノーザンブリアの状況はある意味いい方向へと向かうわ。」
猟兵達の言葉を聞いたサラ教官は静かな表情で答えた後複雑そうな表情をした。
「何……?それはどういう意味だ。」
「……それはその内わかるわ。……あたしから言えるのはこれだけよ。」
「…………いいだろう。かつての故郷にいた者のその言葉、信じさせてもらう。」
「―――撤収だ!各員、散開しつつ離脱ポイントまで撤退する!」
「了解(ヤー)!」
そして猟兵達は砦の出入口に向かい、その場から去って行った。
「どうやら……片付いたみたいだな。」
「ああ……そこの教官殿が文字通り獅子奮迅の働きをしてくれたからな。」
リィンの言葉に頷いたユーシスはサラ教官にリィンと共に近づいた。
「ったく、あいつら……手負いの雌獅子なんて失礼ね。ふふ……でもみっともない所を見せちゃったわね。どうやら秘密もバレちゃったみたいだし。」
「……何となく、察してはいました。やはり教官はフィーと同じ……?」
「ええ―――元猟兵よ。6年前、遊撃士になる前に”北の猟兵”に所属していた。ある一件でベアトリクス大佐に助けられてようやく抜け出せるまでね。」
「そ、そうだったんだ……」
「とても元猟兵だったとは思えないのですが……」
サラ教官の過去を知ったエリオットとエリスは驚き
「わたしは前に聞いて知ってたけど。」
「ニシシ、ボクたち”情報局”も一応掴んでたけどねー。」
フィーとミリアムは落ち着いた様子で答えた。
「……やっぱり教官も色々と抱えていたんですね。」
「ふふ、昔の話ではあるんだけどね……っ……!?」
リィンの言葉に苦笑したサラ教官は突如身体に痛みを感じ、地面に膝をつき
「サラさん……!?」
それを見たゲルドは心配そうな表情で声を上げた。
「無理はしないでもらおう。……後は俺達の仕事だ。」
「フフ……ちょっと張り切りすぎちゃったみたいね。でも、これで連中はもう介入してこないわ。アルバレア公は砦にいるはず……後は君達でケリをつけてきなさい!」
「教官……わかりました。ここで待っていてください!」
「行くぞ―――父上の元へ!」
そしてリィン達はサラ教官をその場に残して砦内の探索を開始した。
〜オーロックス峡谷〜
「―――見つけましたわよ。」
「何……!?」
「女の声だと……!?」
「一体どこにいる!?」
リィン達が砦内の探索をしているその頃、オーロックス砦から撤退して離脱ポイントに向かっていた猟兵達は突如聞こえて来た女性の声を聞き、周囲を警戒した。するとその時上空にペガサスを滞空していたシグルーンが飛び降りて猟兵達の行く手を遮り、鞘から細剣を抜いた。
「騎士だと……!?」
「女!何者だ!?我らに何用だ!?」
シグルーンの登場に猟兵達は驚いたりシグルーンを警戒していた。
「―――我が名はシグルーン・カドール。メンフィルの次代の皇帝たるリフィア・イリーナ・マーシルン皇女殿下の親衛隊の副長を務める者ですわ。」
「なっ!?」
「”聖魔皇女”の親衛隊の副長だと!?そのような者が我らに何の用だ!?」
シグルーンの正体を知った猟兵達は驚いたり、睨んだりしていた。
「フフッ、今朝リフィア殿下―――いえ、メンフィル帝国政府から命令があったのでこの場に参上したまでですわ。」
「メンフィル帝国政府からの”命令”だと……?それと我らがどう関係がある。」
「自国領であるユミル襲撃並びにケルディック焼討ちを直接行った”クロイツェン州が雇った北の猟兵”をメンフィル帝国が許すとお思いですか?」
猟兵の問いかけに対し、シグルーンは不敵な笑みを浮かべて膨大な殺気を猟兵達に向けた。
「何だとっ!?」
「まさか……!」
「”報復”か!」
「クッ、舐めるな……!幾ら親衛隊の副長と言えどたった一人で我ら”北の猟兵”を相手にできると思っているのか!?」
シグルーンの言葉を聞いて瞬時にシグルーンが自分達を殺しに来た事を理解した猟兵達は武器を構えてシグルーンに襲い掛かろうとしたが
「遅い――――」
シグルーンは一瞬で猟兵達に詰め寄って目にも見えない凄まじい突きを放ち始めた!
「え――――」
「な―――――」
解き放たれた細剣による神速の突きと共に発生した衝撃波に猟兵達は反応する事もできず受け続けた。
「絶技――――マザーズ・ロザリオ!!」
「ギャアアアアアア――――――ッ!?」
「ガアアアアアア――――――ッ!?」
「グアアアアアア――――――ッ!?」
そして一瞬で細剣で十字架を刻み込んだシグルーンがその中心部に強烈な突きを叩きつけると共に猟兵達の背後へと駆け抜けると闘気の大爆発が起こり、猟兵達は全身から血を噴出させながら地面に倒れた!
「ぐ……がっ!?」
「ば、馬鹿な………!?我らが何もできず無力化されるだと……!?」
「つ、強すぎる……!」
血だまりに倒れている猟兵達はそれぞれ呻き声を上げ
「フフ、冥途の土産に素晴らしい話を教えて差し上げますわ。―――――今朝メンフィル帝国はノーザンブリア自治州に宣戦布告をしました。」
「何だと!?」
「そ、そんな……!?」
シグルーンの話を聞くとそれぞれ血相を変えた。
「ノーザンブリアは本日中にメンフィル帝国によって攻め滅ぼされ、メンフィル帝国領となりますわ。よかったですわね?故郷にいる貴方達の家族や友人達は大国である我らメンフィルの加護を受けられるのですから。」
「き、貴様……ッ!」
「!!”紫電”のバレスタインが言っていたノーザンブリアが『ある意味いい方向へと向かっている』という言葉はまさかこの事か!?」
シグルーンの答えを聞いた猟兵達が声を上げたその時!
「フフ、その通りですわ。聖なる炎よ、悪しき者達の罪を焼き尽くせ!―――贖罪の聖炎!!」
「グアアアアアア―――――――ッ!?」
「ギャアアアアアア―――――ッ!?」
「む、無念……」
シグルーンの神聖魔術によって発生した聖なる炎で猟兵達を骨まで焼き尽くした!
「突入メンバーに選定される前に連絡が来て本当によかったですわ。もし突入メンバーに選定された場合、その場で彼らを滅しなければいけませんでしたから、元北の猟兵であるサラ殿の反応はわかりきっていますし、まだ学生の彼らに”この光景”を出来る限り見せる訳にもいきませんしね。――――ルチア!」
猟兵達を滅し終えたシグルーンは静かな表情で呟いた後愛馬の名を呼んだ。
「ブルルル……」
「さあ、カレイジャスに戻りますわよ。」
そしてシグルーンはルチアに騎乗し、その場から飛び去って行った。
自分が必死の思いで逃がした猟兵達がメンフィルの命令によるシグルーンに”始末”された事をサラやリィン達が知ったらどういう反応をするやら……だけど、シグルーン=メンフィルは当然の事をしたまでですねww
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第478話 | ||
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コメント | ||
ふかやん様 サラと約束する前にクロイツェンが雇った北の猟兵達の処分は決まっていましたから必要ないかと マジロン様 ヨシュアは異変時、情報を持ち帰って来た事や遊撃士として活動する事で償っていますし、レーヴェは最後の最後で味方した事で償っていますし、そもそも被害者側であるアリシア女王が許しているので……(sorano) K'様 まあ、メンフィルなら有効活用できるんじゃないですか(投げ槍) 本郷 刃様 だって、自分達の領土を2回も焼かれていますものね サイバスター様 そうですよ、あのキャラのあの技です (sorano) でも結社にいたとき裏で結構やらかした某兄弟は生きている矛盾。償いの機会はないのか・・・(マジロン) いや、これは約定違反でしょう…。確かに今までしでかした事を鑑みれば当然かもしれませんけど、それでもサラがリウイに対して約束をした以上彼らを殺した事については流石に黙ったままと言う訳ではないのでは…?(ふかやん) もしかして今回出た絶技は某アニメに登場する絶剣のあの技ですか?(サイバスター) まぁメンフィルにとっては報復対象ですからね、なにもおかしくはないですし理にも適っていますし(本郷 刃) サラの失敗は猟兵たちを降伏させなかったこと一点ですね。読み返すとリウイは降伏した奴は殺さんとしか言ってませんし。そもそも現実問題正規軍がきちんと構築されている場所に傭兵が入り込める余地なんて無いんですが(せいぜい現実のPMCみたいに仕事を代行したりするぐらい)(K') |
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