ログ・ホライズン コミュ障奮闘記 |
七話
ひょんなことから交流を持つようになった西風の旅団との訓練によって、ミノリとトウヤは大きく成長していた。
トウヤは剣聖と呼ばれるソウジロウからの教えによって位置取り、間合いの取り方が上手くなり、一人前の武士の仲間入りを果たした。
そしてミノリの方もナズナさんというタイプの違う神祇官からの教えでさらに視野が広がっていた。
ミノリにトウヤ、どちらも楽しみな人材だ。
さて、俺はどうしているかというと……
「…クレセントバーガー、いかがですか?」
前も言った通り、宣伝をしていた。こういうのが苦手だとか、そういうのを抜きにしても逃げ出したかった。
「食べていってくださいね?」
隣にはソウジロウ。周りには多数の女性を侍らせていて、注目を浴びていた。
……つーか嫉妬の視線が痛すぎる。直接ではない俺も…
「コーキさん、似合ってますか?」
「コーキ君!どうかな?」
すみません、悪かったと思うから俺にも視線を向けるのはよしてください……
俺が普段の装備の上にエプロンを着ているのに対して、ミノリにカエデはクレセントムーンの制服を着ている。
カエデはともかくとして、普段から控えめなミノリがこういうのを着るとなんて言うんだ?グッとくるものがあるよな…
「むぅ、コーキ君!女の子がどう?って聞いてるんだから答えてよっ」
現実逃避をしていたけど、どうやら神は俺のことが嫌いらしい。もう視線だけで人を殺せそうなくらい痛いんだが。
「あ、あぁ。似合ってるよ」
とりあえず、無難な言葉を選択する。これならば…と思ったのにミノリの顔は不満げだ。
「…もうちょっと、褒めてもらいたかったです」
?を朱に染めながら、上目がちに紡がれた言葉に俺も一瞬クラっとした。基本そういうのに興味のない俺でこれなのだ。
「死に晒せ!!!」
周りの男共が黙っているわけがなかった。道行く人の三分の二が襲いかかってくる。この時ほど死を覚悟したことはなかった。
こうしてこの日、アキバの町では多くの冒険者が衛兵に連行された。その数ざっと五十。
アキバの街で起きた、最初の暴動だった。
そんなわけで、男には全く受けがなかったのだが、それはまぁ三日月同盟やミノリ達に頑張ってもらおう。その一方で女にはかなりの効果を上げている。天然ハーレムのソウジロウがいるおかげか、やたらと女が集まってくる。
…だが、俺のところにくる物好きもたくさんいるのが解せない。
現状、俺とソウジロウは大量の女に囲まれていた。その数はざっと数百はいる。
はっきり言おう。マジでムリ。
なんなの?なんでこんなに人が集まる?というか
「コーキさん…」
ミノリの視線が痛い。さっきまでの視線と同じくらいに痛い。え?俺が何をしたんだよ……
「興味ないって何度も言わせんなっての!」
そんな時だ。面倒ごとの気配を感じたのは。
ここ最近、トラブルに巻き込まれる確率が右肩上がりの俺としてはなにかのフラグにしか思えない。
「ドゥフフフ♪そう言わずに一緒に行く也!」
手にクレセントムーンのチラシを持った男が一人の女に詰め寄っていた。…いや、釣り合わなさすぎだろ。あの茶髪の子はーーーー
そこで俺は、更なるフラグを回収してしまった。
トラブルに巻き込まれるときは、大体知り合いが絡んでくる。そして、今絡まれているのも知り合いだった。
「あ!そこのアンタ!早く助けなさいよ!!」
案の定、絡まれた。
「むむむ、どこの誰でござるか?邪魔をするのは!」
本当、最悪だ。面倒ごとに巻き込まれるわ、変な奴に絡まれるわ。
「コーキさん(君)?」
後ろの二人はめちゃくちゃ怖いし。
「あはは、コーキはモテモテだなぁ」
隣のソウジロウはムカつくし。
「おいおい、なんだなんだ?」
ギャラリーは集まってくるし。見せものじゃないんだよ、コノヤロー。
「はぁ、俺に頼るな。サラ」
本名は望月沙羅。この世界ではサラとなっているためにそう呼んだのだが……
「な、な、なに名前で読んでんのよ!?バカじゃないの!」
いきなり罵倒されるってどうなんだろう…
ただ、そのことで火がついたのか。ギャラリーの男達も、さっきまで囲んでいた女達も、果てはミノリにカエデまで暴徒と化した。
こうしてアキバで起きた二度目の暴動は、先ほどの十倍の五百人余りが連行された。
この日を境にアキバの住人達にも危機感というものが芽生え始め、シロエの思惑に一歩近づいたのは別のお話である。
あとがき
大変遅くなって申し訳ありません。
書きためを誤って消去してしまい、これからは更新がおそくなりそうです。
ご迷惑をおかけしますが、今後も応援してくださると嬉しいです。
説明 | ||
今までよりもだいぶ遅くなりました。 今までに比べて大分ギャグ要素が強いです。 楽しんでもらえると嬉しいです。 それではどうぞ! |
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