リリカルなのはZ 第三話 変わる世界。変わらないモノ。 |
第三話 変わる世界。変わらないモノ。
NERVと一緒に工作員を研究所から叩きだしたプレシアは会議室に残したクロノとフェイトは戻ってきたプレシアに恐縮していた。
数年前に虚数空間に落ちて行ったはずのプレシアが目の前にいる。しかも若干若くなっているような気がする。そして、何より・・・。
「ただいまー、工作員の身元とその他もろもろの情報を抑えたよー!」
フェイトより幼い顔つきだが、自分は二十二だという女性。アリシア・テスタロッサの存在である。
前日、フェイトが通う学校に赴任してきた臨時教員としてやってきた彼女とプレシアの存在を知った管理局関係者を大いに騒がせた。
巨大生物とロボットだけでも忙しいのに死んだと思っていた彼女達の存在にクロノとフェイト。この場に居ないリンディも混乱。
彼女達が辿って来た道のりはジュエルシード事件。後にP・T(プレシア・テスタロッサ)事件と呼ばれた事件から半年の後に八神はやての守護騎士が主を救いたいがために起こした『闇の書』事件。
そこから四年の月日が流れるまで高町なのはが無理をしすぎて撃墜されるという事件が起こるまでは何もなかった。
使徒とケルビムが襲来してくるまでは・・・。
「・・・やっぱりいくら調べても『闇の書の欠片事件』の痕跡はないわね。それにアサキムの襲来もまるでない。執務官。ふぇ、ごほん。執務官補佐。貴方達は本当に『闇の書の欠片事件』を知らないのよね」
「ええ。そちらが言う闇の書の欠片が起こしたという事件は起こっていません。アサキムと言う人物にも私達二人は存じ上げていません」
クロノはプレシアの問いに正直に答える。
その言葉を一応信じてみることにしたプレシアに今度はクロノが質問を投げかける。
「では、こちらからも質問です。あなたはあの時のP・T事件の主犯。プレシア・テスタロッサですか?」
その言葉に隣に立っていたフェイトの表情が硬くなる。
自分を作り出したと言っても過言ではない。死んだと思っていた母が目の前にいるのかもしれないという不安と期待に満ちたその表情にプレシアはため息を入れながら答えた。
「答えはNOよ。私が知る中でセカンド・インパクトなんて言う事象なんてこの世界に来て初めて聞いたもの。私は確かに人造魔導師計画。プロジェクト・Fに携わっていた。だけど、この世界の計画には手を付けていないわ」
「この世界?この管理外世界の地球の事ですか」
「いいえ。スフィアがあるか、無いかの。・・・つっ」
不意に襲ってきた頭痛に顔を歪めるプレシアを心配してかアリシアがそっと肩に触れる。
すると、襲っていた頭痛がぴたりと止んだ。
『揺れる天秤』のスフィアを持つリニス。『傷だらけの獅子』のスフィアを持つアリシアが傍にいる時は何ともなかったが、
「どうかしましたか?」
「・・・いえ、何でもないわ。かみ砕いて言うと私達はパラレルワールドの住人と言うことになるわね」
「パラレルワールド。ですか・・・」
「簡単に言うとガンレオンが無い世界の住人がそちら。私達はガンレオンがある世界の住人。と言うことになるわ。つまり、私はあなた達が知っているプレシア・テスタロッサとは別人にあたるわね」
「・・・別人」
少しだけ悲しそうな顔をするフェイトだが、次にプレシアが出した言葉に少しだけ表情を明るくした。
「・・・まあ、私達はそちらの数年先のデバイス技術を保有しているわ。そちらの最高責任者と相談して、またこちらと話したいことがあるのならいつでも来なさい。世界は違うとはいってもあなたもフェイト。・・・何も感じないわけでもないのだから」
それは不器用な愛情だった。
別世界にいる自分達にとって本当のフェイトではない。
だけど、自分達が知っている彼女の境遇よりも目の前のフェイトは辛い道のりを歩んできている。
ここには居ない八神はやても向こうの世界では『悲しみの乙女』のスフィアのおかげで初代リインフォースと離ればなれにすんでいる。それがこちらの世界では救われていない。
そんな内情を知ると手を貸したくなる自分の性格は、自分達を救ってくれた『傷だらけの獅子』に影響される物なのかもしれない。
「・・・ふう。さすがに連続での会議は疲れるわね」
クロノとフェイトを見送った後、プレシアは椅子の背もたれに伸びをするようにもたれかかる。
怪しくも魅力的な女性の体つき。それが●●歳以上だと誰が思えようか・・・。
「お疲れ様〜」
プレシアの隣でアリシアがお茶を出してその労をねぎらう。
グランツ博士はというと、あまりにも重苦しく、それでいて世界を揺るがす会議に心身疲労しきったのか、会議中もあまり話さず、その場にいただけだった。
そんな博士だが、あの会議場では一番疲弊していたに違いない。
文字通り、遊び目的で作って来た研究所。施設。設備。
それが軍事利用されかけているのだから。いや、すでに彼のロボット工学の一部は防衛省が接収して『コクボウガー』として使われている、
彼の事を考えると自分達は出て行った方がいいのかもしれない。
だが、自分達が出て行ったあとで彼等を利用しようとよからぬ連中に対処できるかも不安だ。
アリシアもそれを危惧して、なのは達のいる学校の教員として働きながら周囲に気を配っている。
チビレオンの技術を応用して、二頭身サイズの自立ロボットチヴィット達も護衛用として研究所職員分しかまだ準備は出来ていない。
現在、研究員は研究所での暮らしを余儀なくされている。
防衛庁長官の日ノ本さんには彼等の関係者を確実にガードするように伝えた。そうしなければ支援はしないとまで伝えている。
それにしても、スフィアの事を考えると頭が痛くなるのは何故だろう。
アリシアやリニスが傍にいる時は何ともないのに・・・。
自分達が帰る時の目安にしているデータ。『悲しみの乙女』のリインフォースのデータもリニスがもつSPIGOT.。ガンレオンの中にはあるのに自分達が乗って来たアースラには残っていない。
まるでスフィアの記憶を消し去られたような奇妙な感覚にプレシアは頭を悩ませていた。
「それにしても・・・」
「そうだねぇ・・・」
「「この世界でもフェイトは可愛い!」」
シスコンと親馬鹿なテスタロッサ母娘は会議場で待機していたチビレオンのカメラで様々な角度からフェイトを隠し撮りしていた、
その写真の何枚かを手に取って、へにゃあっと、だらしなく顔を歪めていた。
もし、あの場でフェイトが「お願い」と、言っていたらなりふり構わず全力でサポートしていたに違いない。
自衛達との復興作業から帰ってきた高志は親馬鹿とシスコンの姿を小さい子ども達の目に入らないように、二人がだらしなく笑っている部屋のドアを静かに閉めるのであった。
説明 | ||
いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した リリカルなのはSFIA の続編です。 |
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1997 | 1858 | 1 |
コメント | ||
誤字修正しました。申請ありがとうございます。(たかb) 誤字です。 ロボット工学の一部は群が接収して⇒軍が接収して(hikage961) |
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