九番目の熾天使・外伝 運命の獅子 |
第二十二話 獅子と少女
深夜、麻帆良学園から駒王町へと向かう、一台のワンボックスカー
その中にはオカルト研究同好会のメンバーに加え黒歌に白音、そして―
「なんで、貴女方までついてくるんですか…?」
「そんな事言ったかて、付いていった方が面白そやし」
「私は、エヴァンジェリン様に言われて…」
月詠に加え、カリンまでもが乗っていた
「カリンさんは分かりますよ、マスターに言われた時僕もいましたから。…でも、月詠さんは…」
「えぇ〜?ウルはんはか弱いおなごを、見知らぬ土地に一人置き去りにしはると〜?鬼畜どすなぁ…」
「貴女のどこが『か弱いおなご』ですか、全く…」
車内には9人が乗っているが、黒歌と白音は猫化してウルの膝の上に乗っている為問題ない
「そうなると、カリンも月詠も駒王学園に入るのかしら?」
「そうなりますね。なぜ私がウルティムスの監視役にされたのか、納得はいっていませんが」
「うちもそうどす〜。そん時はオカ研に入部させて貰いますえ〜」
「助かるわ、現時点だとまだ同好会だから」
後部座席のリアスとカリン、月詠が和気藹々と話をする
助手席のウルは溜息を吐きながら、傍らにある師匠から譲り受けた獲物を眺めた
「…それにしても、何でマスターは僕にこんな物を…。妖刀の類って言ってたけど…」
「ウル君の戦力増強の為、ではないデスかー?ウル君は剣術を納めているのに、獲物を持っていませんカラ」
「…そうでしょうけど…。…あれ、そう言えばアンジェ先生って、裏の世界のことは…」
「知っていマスよ」
「あれ、ウルは知らなかったかしら?アンジェ先生は結構名の知れた賞金稼ぎよ?」
「そうなんですか!?」
驚愕の事実に瞠目するウル。アンジェはハンドルを握りながら答えた
「自覚はありませんケド、そうみたいデスね。私は斬りたいモノを斬ってきただけなのデスが」
「それどころか、神をも殺せる神器…((神滅具|ロンギヌス))の持ち主よ。」
「((神滅具|ロンギヌス))!?」
俄かに騒がしくなる車内。
だが、駒王町に入ると同時に感知能力が高いウル、リアス、黒歌の三人がある事に気が付いた
「…これは結界?」
「…そうね、しかもこれは…!」
「堕天使が張った結界にゃ!」
堕天使
言うにや及ばず。字の通り『天使が堕ちた存在』である
この堕天使はリアスたち悪魔、そして天使と敵対し、三竦みとなっている
その堕天使がリアスの領土である駒王町で結界を張っているとなれば―
「何をする気かは知らないけれど、私の町で大きな顔をされては黙っていられないわ!アンジェ先生、車を学校のほうへ!」
「OKデース!」
「じゃあ、僕は転移で先に行っていますね!」
「私も付いていくにゃ!」
アンジェは車を学校の方面へ向かって走らせる
ウルは転移魔法で直接結界内へ進入するつもりのようで、黒歌も付いていく気満々らしい
「黒歌さん、行きますよ!ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト!」
白音を後部座席へ預けてから黒歌を抱え、影の中へとズブズブ入っていくウル
そして完全に影へと入っていく前に、ウルの肩を掴む者がいた
「カリンさん!?」
「監視役の私を置いて行くことは許しませんよ、ウルティムス」
そして三人―いや、二人と一匹は影へと完全に埋没していった
☆
―どうしてこんな事になっているんでしょうか?
私はいつも通り本屋さんで本を見ていて、ふと気づいたら日が沈んでいたから急いで帰ろうって…
それなのに、この状況はなんなのでしょうか?
近道の公園で噴水を背にして怯える私に、眩しく光る槍を手に持って笑いを浮かべる端整な顔立ちの男性
そしてその背中には―真っ黒な翼
本の読みすぎで、現実とフィクションの違いが分からなくなってしまったんでしょうか?
―いえ、うなじに流れる汗とこの恐怖は、夢でも妄想でもありません
「悪いなぁ嬢ちゃん、上からの命令で俺ぁアンタを殺さなきゃなんねぇ。ま、しゃあねえやな。恨むなら俺じゃなく、((神器|セイクリッド・ギア))を宿して生まれっちまった自分を恨んでくれや」
黒い翼の男性が、光の槍を私に向けます
私は逃げようとしますが、足が竦んで動けません
きっと、このまま光の槍で貫かれて殺されてしまうのでしょう
―でも、どうか…これが私の想像や、フィクションならば
「誰か…誰でもいいですからっ…!!私を―」
―助けてください!!
しかし、無情にも男性は手に持った槍を私に向かって投擲します
その槍が私の心臓を突き貫こうと迫り―
「―無抵抗の女性に向かって武器を投げつけるとは、紳士の行動ではありませんね」
「―――あ」
助けが、来ました
☆
影のゲートから飛び出したウルは光の槍を蹴り折り、怯える少女を自身の背後に隠す
「俺は紳士のつもりだが、この身はサラリーマンなんでね。不本意でも上司の命令には逆らえんのよ」
「なら無理やりにでも帰ってもらいますよ。御社とのお取引はなかったことにってね」
「それは困りますお客さん、今回の案件はかなり重要なんですよォ」
おちゃらけた会話をしながらも、堕天使とウルは睨み合う
「…ま、邪魔が入った以上帰るしかねえかな。どうせアンタはリアス・グレモリーの知り合いかなんかなんだろう?」
「…何故その事を?」
「なあに簡単な推理よ。俺の結界をすり抜けて来れる人間は…人間か、お前?まあいいや、そうも居ねえ。それに加えてこの町は魔王の妹、リアス・グレモリーの領地だ。そこに現れた使い手ってなりゃ、そりゃグレモリーの手の者だろ」
堕天使は翼を広げ、腕を組みながら溜息を吐く
「それ以前に魔王の親族が出張ってきたとなっちゃ、俺も命が惜しいんでね。逃げ帰らせてもらうぜー」
「…そうですか。もう会うこともないでしょうが、一応名前を聞いておきましょう。こっちも上司に報告しなきゃいけませんからね」
「なるほど、グレモリーの娘にか。…そうだな、俺は『タミエル』。お前の名前も聞いておきてぇな」
タミエル、と端整な顔立ちの堕天使は名乗った
確か『エノク書』に名前が載っている堕天使だったはずだ
「僕はウルティムス・F・L・マクダウェルです。願うなら、もう二度と会いたくありませんけどね」
「冷たいこって。…あ、そうそう、バラキエルの娘に一言伝言頼むわ」
「バラキエルの娘?」
「えーっと…名前なんだったけか。確かファミリーネームは姫島…」
「朱乃さんが、堕天使の娘?」
「おお、そうそう。そんな名前だったはずだ。えっとな『いい加減親父を許してやれ。あいつも後悔してるんだ』ってな」
「…意味は分かりませんが、承りました」
「ほんじゃま、ばいなら〜」
と、最後までおちゃらけた態度を崩さず、タミエルは結界を解除し空へと飛び去っていった
「…ふざけた態度の堕天使だったにゃぁ…」
「…でも、あちらから引いてくれたのは僥倖でした。こっちにはお荷物がいましたから」
気配を消し、いつでも襲撃できるように待機していた黒歌(人間状態)とカリンが姿を現す
「そうですね…大丈夫ですか?立てますか?」
「だ、大丈夫です…え?」
いつの間にか地面にへたり込んでしまっていた少女の手をとり、ウルが立ち上がらせる
少女はウルの顔を確認すると、お互いの息がかかるほどの近距離まで顔を近づける
「んー…見えないです…眼鏡はどこでしょうか…」
「あ、これかにゃ?そこに落ちてたにゃ」
「ありがとうございます」
どうやら少女は視力が良くないらしく、眼鏡を探している
黒歌が落ちていた眼鏡を拾い、少女に渡すと彼女はすぐに眼鏡をかける
そして改めてウルの顔をまじまじと見つめた
「…やっぱり!マクダウェルさんですよね!」
「…あ、貴女は確かクラスメイトの…」
「自己紹介聞いてくれてなかったんですか?…じゃあ改めて!」
橙色のふわっとしたロングヘア
たれがちな目に、眼鏡をかけている事もあいまっておっとりとした雰囲気を醸している
彼女は少し照れくさそうに自己紹介をした
「朝比奈美由紀です!マクダウェルさん、助けてくれてありがとうございます!」
太陽のような笑顔で笑う彼女に、ウルは少しだけドキッとしたと言う
さーて次回からはどうなることやら?
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第二十二話 獅子と少女 | ||
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コメント | ||
まあ本当に一話につき一フラグだったらチョロインびっくりのチョロさか、カプコンモブもびっくりの死亡フラグの多さだよなぁ……(キリヤ) えーそんなノルマあったんですかー知らなかったナー(棒)(ディアーリーズ) え?一話につき一フラグのノルマでしょ?(okaka) 何のノルマですか!?(ディアーリーズ) よし、フラグ建ってるな。ノルマ達成!(okaka) 白音と黒歌はニャンニャンしてました(鳴き声的な意味で)(ディアーリーズ) この後早速3人でニャンニャンしたと(ニヤニヤ)(黒鉄 刃) ……………あのメモには一体何が…!?(ディアーリーズ) ふむ、ここでみゆきさんにフラグを建てたと…(メモメモ)(竜神丸) |
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