がちゆり-撫子誕生日SS-2015
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がちゆり〜撫子誕生日SS 2015

 

 小さい頃からひま子と櫻子が仲良かったのは知っていたし、普通の友達同士より

距離が近かったから櫻子から報告を聞いてもそんなに驚きはしなかった。

 

「向日葵と付き合うことになったから」

「そう、よかったね」

 

 一時期互いに距離を置いていたこともあったけど今は昔以上に近くなって

カップルそのものだった。ちょっと前までもそんな風だったけど当の本人達は

まったく気付いていないようだった。

 

 だからそう…驚きというより私の中にあったのは寂しさだった…。

苦労することはあっても嫌いになることはないし、傍にいるのが当たり前だったのが

もしかしたらいつか私の傍から離れてしまうかもしれない。

 

 そう想像すると何とも言えない気持ちになった。

私のこのもやもやした気分を言葉にするとどんな風になるのだろう。

ひま子とそういう関係になったのは喜ばしいという気持ちもちゃんとある。

ただまるで正反対に当たる感情も確かに私の中にあった。

 

「グー…」

 

 おやつを食べて眠くなったのかソファーに座っていた櫻子は私がちょっとだけ

席を外して戻ってきたら大の字のようにソファーの上で眠っていた。

 

 今にも涎が垂れそうなその寝顔。私は何となく櫻子の傍にいって屈んでジッと

櫻子の顔を見つめていた。見つめながら私は指を櫻子の鼻を突っつくように触れると

ウーンと寝苦しそうに私の手を払いのけた。

 

 何だかそれが面白くてしばらくは櫻子を弄っているうちに自分がいつか

笑みを浮かべていることに気付く。ついでに櫻子に対しての気持ちにも。

 

 そうか、私はこの子が好きだったのかも。

私に睡眠を邪魔されながらもまだ目が覚めない櫻子は悪夢を見ているのか

うなされながらも宙を引っかくような素振りを見せて面白かった。

 

 面白かったけど気持ちのどこかに穴が空いたような気持ち。

 

 ひま子との間に入るようなことは絶対にしない。巣立つ時が来たら全力で応援する。

だけどこの時間だけは、私だけのものにしたい。それくらい良いよね、ひま子?

 

 目を細めて小さく寝息を立てる櫻子の唇に私のをそっと重ねて口づけをした。

その刹那。

 

「ねーちゃぁん…」

「な、何…!?」

 

 呼ばれた瞬間目が覚めたのかと思って思い切りビクッと反応して慌てて顔の距離を

離してみると、目を閉じながら強気な表情でこう言っていた。

 

「私のおやつ勝手に食べるな〜〜〜」

「それはあんたが私によくやることでしょうが・・・」

 

 と妹に言ってからつい笑いが吹き出しそうになるのを堪えて肩を震わせた。

色々考えてるのがバカらしくなるくらい櫻子はバカで真っ直ぐだ。

 

「私はいつでも櫻子のことが好きだよ。後は櫻子次第だからね」

 

 そう呟くように言ってその場から立ち去ろうとして背を向けると

うっすらと声が聞こえてきた。

 

「私もねーちゃんのこと・・・すき・・・」

 

 まるで昔の夢でも見ているような言葉を言っていた。

そういう言葉でも私にはとても嬉しくてたまらなくなった。

ちょっとだけ足を止めてから乱れそうになる呼吸を整えて再び私は部屋へ向かって

歩き出した。

 

 どういう道を歩もうとも櫻子は大事な妹で…大事な子だ。

絶対に幸せになりなよ。

 そう、誰に言うこともなくその言葉は私の胸の中にそっとしまい込んだ。

 

 このことは絶対に表に出すことはない、知るのは私か寝ている時の櫻子だけで。

そんなちょっとした秘密をひっそりと抱えて生きていくことが優越感を覚え

私の生きがいになるのだった。

 

お終い

 

説明
なでさくcpの話を見てちょっと書いてみたいなと思って書いたところ、片想いになってしまった;;あるぇ〜? ちょっと切ないけどこれはこれで百合の醍醐味なのかなぁとか思ったり。ちょっとでも楽しんでもらえれば幸いです><
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ゆるゆり 大室家 大室撫子 大室櫻子 百合 キス 片想い 姉妹百合 

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