真・恋姫無双外伝〜覇王の願い〜星詠編5 |
真・恋姫無双外伝〜覇王の願い〜星詠編
第5話『拡散する鬼ごっこ』
さて、昼下がり
どんよりとした曇り空のなか、町中を駆け巡る悲鳴と怒声。
ドドドドドドドドド
【薫】「うっひゃあああああ!!」
【凪】「待てえええええええええええええええ!!」
【薫】「ちょっと、しつこいよ!?」
【凪】「うるさい!貴様、私をだますだけならともかく、隊長の名を使うなど許してなるものか!!」
と、凪が右手を腰の辺りに落とす。
【薫】「え・・・・・うそ・・・・ここ町の中だよ!??」
【凪】「問答無用!!!」
凪が落とした右手を突き出す。
それと同時に右手から何かが放たれる。
肉眼で視認できるほどの実体がない。
氣――
【薫】「ちょっとおおおお!!」
ドォォォォオオーン――
そしてそれを間一髪でかわす薫。
【凪】「ちっ!」
【薫】「舌打ちって、アンタ、私を殺す気!?」
【凪】「やむ得ない場合は・・・・・・・いや、そんなつもりはない。」
【薫】「今いいかけたでしょ!!?・・・って、またあああああ」
ドォォォーーン―――
【凪】「な・・・っ」
【薫】「よし、今のうちに」
今の衝撃で街中に砂ぼこりが舞い、一種の霧のようになっていた。
その間に薫は建物の裏――路地へと隠れる。
【薫】「・・・・・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・しんじらんない・・・・あんな武器反則でしょ・・・」
氣を使った遠距離砲撃。
徒手空拳である凪は間合いは短い、故につかまりさえしなければ
そう考えていた。
だが、あれはまずい。
ちゃんとした間合いなんてあったもんじゃない。
何処まで飛ぶのか、どれだけのものを破壊できるのか。
まったく見当もつかない。
さっきまでの凪と自分の距離は確実に間合いの中。
ならば、その倍の間合いは考えなければならない。
いや、下手をすれば、そもそも間合いなんて無意味な攻撃かもしれない。
対象に衝突するまで飛び続けるなんて技なら最悪。
【薫】「足は結構自信あったのになぁ・・・」
凪の瞬発力は尋常ではない。
そのせいで直線なら何とかなっても、逃げながらでは振り切れない。
【凪】「はぁぁぁ・・・・・」
【薫】「嘘・・・・」
ドォォォォーーン!!――
【薫】「ああ、もう、どうしろっての!」
【凪】「おとなしくすればいい!」
【薫】「それ、私の心臓までおとなしくしちゃうつもりでしょ!」
【凪】「・・・・・・・」
【薫】「なんでだまるのよおおおおおおお!!!」
と、かれこれ1時間近くの激走が続いている中、
【沙和】「〜〜〜♪」
真新しい紙袋を持った沙和が薫の30メートルほど先を歩いていた。
【凪】「沙和!手伝ってくれ!!!!」
【薫】「は?知り合い!?・・・・もう!」
【沙和】「へ?凪ちゃん?」
【薫】「どいてええええ!」
【沙和】「え?・・・きゃあああ!」
目の前まで来た沙和を飛び越えるようにして、追い抜く。
【凪】「沙和、大丈夫か?」
【沙和】「う、うん・・・凪ちゃんこそなんなの?」
【凪】「ああ、あいつを捕まえるのを手伝ってくれ、隊長の命令だ。」
【沙和】「隊長の?・・・了解なの♪」
そして2方向に散る2人。
【薫】「はぁ・・・はぁ・・・私って一応まだ病人よね?」
とりあえず自問自答。
次はどこから来るか。
さっきのやり取りから追いかける方は2人になったと見て良い。
手分けくらいするだろうから、単純に逃げ場所は半分か・・・・
いや、もっとないかも。
なにせあの凪の氣だけがやっかいだ。
【薫】「2人か・・・・」
考える。
2人で手分けするんだから、もうひとりとは心理的にも効率的にもまったく逆方向へ進むはず。
だから、後ろは完全に逃げ場はない。
なら、前しかないけど
選択肢は2つ
どちらの前へ出るか。
真正面から鉢合わせしたくないのは凪だ。
なら凪の前へ出るしかない。少なくとも逃げている間は凪は後ろだ。
【薫】「あれ・・・?でもさっきみたいなことがあったら・・・・」
さきほどの沙和のこと。
偶然前を通りかかった知らない人が敵に回る。
同じような事が起きれば、追う側は何人にも増殖する可能性だってある。
そうなったら、かなりやばい。
しかし、それはどうしようもないこと。
いくら自分でも数十人に追いかけられれば逃げられない。
ならば、
確実に起きるであろう事をつぶしていく。
そして薫は走り出す。
大通りにでる。人を隠すなら(ryだ。
【薫】「さっきの人は・・・・いない。」
だが、まだどちらの近くとは分からない。
【沙和】「あー!いたの!」
【薫】「あああ!はずれかーー!」
【沙和】「はずれってどういう意味なのーーー!」
【薫】「・・・・・・・ごめんね(笑)」
【沙和】「なんか言われるよりそっちのがずっとムカツクの!」
ダダダダダダダダッダダダ
人波の中をかけて抜けていく。
徐々に沙和との距離が開いていく。
凪ほどの瞬発力や自分ほどの脚力はないようだ。
でも、なかなか離れない。
【薫】「なんで・・・・・」
振り返る。
そして離れない理由が明らかになる。
沙和は体の使い方が上手いのだ。
薫が人の抵抗を強引にこじ開けるようにしていれば
沙和は流れに逆らわず、ほとんど無抵抗で追跡している。
ならば・・・・
【薫】「きゃあああああああああ!痴漢ーーーー!!!!!」
え、ええ?とざわめき始める民衆。
街中で昼間からでるのかと疑いたくもなるが、実際に少女が叫んでいるのだ。
やがて人の流れがとまりざわめきは違う波へと変化する。
【沙和】「な・・ちょっと・・・とおしてなのーーー!」
【薫】「早くにげないと・・・・」
沙和・・・というよりはこの場の空気から。
嘘だとばれないうちに離脱しなければ。
【薫】「おし・・・1人つぶした・・・・」
簡単なほうだけど。
とりあえず、凪を探さないといけない。
あれから逃げるよりはこちらから相手を操った方が確実だ。
とにかく、見晴らしのいいところへ・・・・
ガシ
【薫】「へ・・?」
突然手首をつかまれる。
そしてつかんでいる相手の顔見る。
【霞】「なぁ・・・自分、司馬懿やろ?」
【薫】「え、え、ええ?」
【霞】「ちぃと、来てくれへん?」
なんで張遼が私を・・・・
そこで思い出す。
楽進か・・・・
【霞】「先にいうとくけど、うちから逃げられるとおもわんほうがええで。これでも神速ってよばれるくらいの腕はあるつもりや。」
たしかにまずい。
この状況で逃げられる可能性はほぼゼロにちかい。
すでに手をつかまれている。
下手に逃げようとすれば、楽進のように攻撃してくるだろう。
そしてたぶん、それはよけられない。
【薫】「わかった・・・」
【霞】「うん、ええ子や。ほな、いこか」
下手に攻撃していっても返り討ち。
ならば、
【薫】「張遼さん・・・・だよね?」
【霞】「え?あ、うん。そやけど」
【薫】「噂で聞いたんだけど、張遼さんって・・・先生のこと好きなの?」
【霞】「・・・・へ!?」
【薫】「いや、宮廷の女の人は皆先生にメロメロだって――」
【霞】「な・・・っ!・・・・・いや・・・まぁ・・・」
霞はそう言って顔を赤らめている。
なんだよ、事実かよ。あの女たらし。
【薫】「やっぱり、好きなの?」
【霞】「んまぁ・・・なんていうか・・・そのぉ・・・・」
胸の前で指をくるくるさせている。
当然、もうこちらは自由だ。
【薫】「そっかぁ・・・そうなんだ・・・」
といいつつ、少しづつ後退。
【薫】「じゃあ、それ伝えといてあげるね♪」
【霞】「は?・・・って、ああああ!」
【薫】「じゃぁねーー!!」
【霞】「あ!こら、まちぃやあああああ!」
【霞】「いらん事せんでええねん。そんなもん自分で伝えるわーーーーーーーーーー!!!!!(////)」
街中に響き渡る霞の声であった。
【薫】「いや・・さっきのはマジでやばかったよ・・・うん」
説明 | ||
真・恋姫無双(魏)のAS。 今更ですが、というかもう予想ついてるかもしれませんが、今回も蜀及び呉はほぼでてきません!!orz 魏オンリーSSというのもどうだろうとか思いつつ、投稿です(’’ 展開自体はそれほどしないです。 ■帰還編 1話⇒http://www.tinami.com/view/73594 ■星詠編 1話⇒http://www.tinami.com/view/74771 ■星詠編 4話⇒http://www.tinami.com/view/75280 ■星詠編 6話⇒http://www.tinami.com/view/75434 |
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コメント | ||
懸賞は何だろ?かずとかなやっぱ?(流浪☆七夜) ・・・・・全員一刀で動揺しすぎだろwwwwww(スターダスト) 兵士に命じて非常線か検問でも実施したほうが早いと思う。(ブックマン) さぁて逃げ切るか!?(PANDORA) スゴッ!? どんどん捜索隊が増えてる悪夢w 結局誰が薫を捕まえるのやらwww(フィル) やっぱ凪はこうでないとwww(k.s) くそ! いいところで終わってやがる! 魏オンリー? は!逆にそれがいいだろwww さて、いつまで追いかけっこになるのかな〜・・・そして、最後にあの方と出会うんですね、分かります。(Poussiere) さすが司馬懿って感じですね(三好八人衆) |
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