英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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〜トールズ士官学院〜

 

「待っていたぞ―――特科クラス”Z組”。」

「あ……!」

士官学院に突入したリィン達は正面門の前で立ち塞がっているパトリック、フェリス、パトリックの執事セレスタン、そして貴族上級生のエーデルに気付いた。

 

「―――パトリック……!」

「久しいな、シュバルツァー。貴様なら―――貴様たちなら必ず来ると思っていたぞ。」

驚いているリィンに対し、パトリックは髪をかき上げて不敵な笑みを浮かべた。

「フフ……よくぞここまで辿り着かれましたね。」

「第一学生寮のセレスタンさん……!」

「ふふ、アリサも変わりないようですわね?」

「フェ、フェリス……!」

「ふふ、皆さん元気そうですよね。」

「―――迎え撃つ準備は万端か。どうやら、俺達が来るのをある程度読んでいたみたいだな?それも、東の街道で戦闘が起こるずっと前から。」

見覚えのある人物達の登場にトワ達が驚いている中、リィンは静かな表情で問いかけた。

 

「フン―――当然だろう。君達”Z組”のことは僕らが誰よりもわかっている。この状況下で君達が動かないわけがないからな。」

「ふふ、”裏門”の方も対策をとらせていただきました。」

「あ……!」

セレスタンの言葉にトワが驚いていたその頃、アンゼリカ達B班も裏門への潜入を成功させていた。

 

「よし……なんとか潜入できたか。」

「ニシシ、裏門は予想通り警戒が薄いみたいだねー。」

「リィン達の方は大丈夫かな……」

「ひょっとしたら既にパトリックさん達との戦闘を開始しているのかもしれませんわね……」

裏門への潜入を果たしたアンゼリカは安堵の表情をし、ミリアムは無邪気な笑顔を浮かべ、エリオットとセレーネは不安そうな表情をしていた。

 

「フフ、そう易々と立ち入れるとでも。」

裏門への潜入を果たした事に安堵していたアンゼリカ達だったが自分達の目の前に立ち塞がる貴族上級生達とメイドを見て顔色を変えた。

「久しいな、麗しのライバル、アンゼリカ・ログナーに麗しの姫、セレーネ・アルフヘイム・ルクセンベールよ。そして青々しく実った果実、特科クラスZ組諸君。このヴィンセント・フロラルドの禁断の聖域によくぞ来たッ!」

フェリスの兄であるヴィンセントが高々と叫ぶとアンゼリカ達は冷や汗をかいて脱力した。

 

「ヴィ、ヴィンセントさん……」

「フフ……誰かと思えば君達だったか。どうやら裏門からの潜入はバレバレだったみたいだね?」

ヴィンセントの言葉を聞いたセレーネは表情を引き攣らせ、アンゼリカは苦笑しながら問いかけ

「ええ、左様にございます。」

アンゼリカの問いかけにヴィンセントとフェリスの実家である”フロラルド伯爵家”のメイドであるサリファが静かな表情で答えた。

 

「ハーッハッハ!我が華麗なる頭脳に心の底から感服するがいい!」

「……懐かしい顔がそろい踏みのようだな。」

「フハハ、よくぞ来た、ユーシス君!!」

「プリネ達は当然として、ロギンス君やアラン君はさすがにいないか。まあ、代わりに楽しめそうなメンツが揃っているみたいだけど。」

「フェンシング部のフリーデル先輩……2年生最強の剣士までもか。」

「やれやれ、どうやら一筋縄ではいかないようだね。」

ユーシスは自分が入っているクラブの部長でもある貴族上級生―――ランベルトを目を細めて見つめ、ラウラはフェンシング部の部長である貴族上級生―――フリーデルを警戒し、アンゼリカは苦笑しながら貴族上級生の面々を見回した。

 

「ニシシ、いい事を思いついちゃった♪セレーネ、これを機会にヴィンセントをボコボコにして、2度と自分に言い寄らないで下さいって言えば〜?確かセレーネ、大人に成長してからヴィンセントにもわりと声をかけられていたよね〜?」

「ミ、ミリアムさん……さすがにそれはやり過ぎですし、ヴィンセントさんにはわたくしには既に心に決めた人がいる為、それ以前にヴィンセントさんから告白された時ヴィンセントさんの気持ちには応えられないとその場でハッキリと断っていますよ?」

「ええっ!?そ、そんな事があったの!?」

「驚愕の事実だね。何で教えてくれなかったの?」

「ほう?”成竜”と化した事で一気に大人へと成長した事によって魅力的な女性へと変貌したセレーネに想いを寄せる男子生徒達が多い事は小耳に挟んでいたが……まさか”フロラルド伯爵家”の跡継ぎにまで想いを寄せられていたとはな。」

「フフッ、これは面白い事を聞いたねぇ?」

それぞれが闘志を高めている中、からかいの表情をしているミリアムに視線を向けられたセレーネは苦笑しながら答え、セレーネの答えを聞いたエリオットは驚き、フィーとユーシスは静かな笑みを浮かべて口元をニヤニヤさせているアンゼリカと共にヴィンセントを見つめ

「グハッ!?クッ、精神攻撃とは中々やるではないか……!」

セレーネの言葉によって突如胸の痛みを感じて呻き声を上げたヴィンセントは口元に笑みを浮かべてアンゼリカ達を見つめ、それを見たその場にいる多くの者達は脱力した。

 

「……そろそろあちらでも”始まる”頃合いですね。」

「ちょうどいいタイミングだな。」

一方リィン達と対峙していたパトリック達はそれぞれの武器を構えた!

 

「……やっぱり……」

「……戦うつもりか。」

「フッ、僕達は曲がりなりにもここの管理を任された身。”騎士団”メンバーとして外敵を退ける義務があるからな。」

「……士官学院の管理を命じた貴族連合軍は撤退していった。今更学生同士で争う必要など―――」

「シュバルツァー、勘違いするな。これは、僕らの貴族生徒の”意地”さ。」

パトリックの口から出た意外な言葉にリィンは目を丸くした。

 

「帝国西部にいる父上―――ハイアームズ候や貴族連合の思惑も関係ない。貴族生徒としての誇りと矜持―――それをどこに置くべきか僕らは見極めたいんだよ。すでに己の答えを見出しつつある、君達と剣を交えることでな。」

「パトリック君……」

「貴族生徒としての意地……か。」

「今のオレなら、その気持ちはわからないでもないが。」

「……俺達にも譲れないものがある。トールズ士官学院を―――俺達自身の居場所を取り戻すという目的が。そこに、あなた達が立ちはだかるというのなら!」

「うん………!意志を貫くためにも、どうしてもぶつかり合う時だってあるよね……!わたしたちは、そのために士官学院に帰ってきたんだから!」

パトリック達と戦う事を決めたリィン達はそれぞれ武器を構えた。

 

「フッ、それでこそハーシェル会長。そして、それでこそZ組。我が好敵手足りうる者たちだ!―――行くぞ、セレスタン!」

「承知しました、坊ちゃま!」

パトリックが号令をかけたその時、パトリック達はそれぞれ戦術リンクを結んだ!

「こ、これって……!」

「ARCUSの戦術リンク―――何時の間に!!」

「フフン、アリサ。ようやくあなたとの長い戦いに決着をつけられそうですわね。容赦はいたしませんわよ………!」

「フェリス……こっちこそ!」

「士官学院生としての実力、そして誇りと矜持……どちらが上か決着をつけようじゃないか!リィン・シュバルツァー!」

「望むところだ―――パトリック!」

そしてA班、B班はそれぞれの道を阻む”騎士団”の面々との戦闘を開始した。上級生もいる貴族生徒達に加え、それぞれの家の執事とメイドである二人も中々の使い手だったが、多くの実戦を潜り抜け、カレイジャスの中でもサラ教官と皇族の親衛隊の副長を務めるシグルーンに鍛え上げられ、幻獣やデュバリィを始めとした多くの強者達との戦いも経験し、更に数的有利もあるリィン達にとっては大した脅威ではなく、それぞれ連携して”騎士団”の面々を無力化した!

 

 

 

説明
第509話
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コメント
本郷 刃様 いえいえ、知らないってのは本当に幸せな事でもありますよ K'様 まあ、そうなんじゃないですか。男を取り合う女達ならともかくその逆で喜ぶプレイヤーは少なくても男性のプレイヤーは喜ばないと思いますし(sorano)
セレーネにフラレるヴィンセントを見てて思ったんですが軌跡シリーズに限らずこの手の作品で「女性を取り合う男達」というシーンってあんまり無いなあという認識が。複数の男女がいて恋愛関係になるのが主人公だけというのもリアリティに欠けるんですがこの辺は「需要」の問題ですかね?(K')
敢えて正直に言わせてもらいます・・・こんなことをやっている場合ではないと! だって帝都はもう陥落寸前の風前の灯火ですよ、知らないって可哀想ですね、いやホントに(本郷 刃)
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