英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
〜トリスタ・第二学生寮〜
「ここが”第二学生寮”か……そう言えば”Z組”に来る前のクロウもここに……」
第二学生寮の中に入ったリィンは周囲を見回し、クロウも以前は第二学生寮に住んでいた事を思い出して物思いにふけっていた。
「えへへ、待たせてごめんね。」
するとその時トワが寮に入って来た。
「トワ会長、お疲れ様です。生徒会の方はもういいんですか?」
「うんっ、あとは生徒会メンバーみんなで手分けして進めてくれるって。今夜くらいはゆっくり休んできて、なんて言われちゃった。」
「はは……そうでしたか。」
生徒会のメンバーの気持ちが何となくわかったリィンは苦笑していた。
「第二学生寮か……入学した時からずっとここに住んでいたけど、何だか懐かしい気分……」
「会長……その、俺に話があるとの事でしたが。一体何の話でしょうか?」
昔を思い出しているトワをリィンは静かな表情で見つめた後ある事を思い出し、尋ね
「え、えっと……その……とりあえず先にクロウ君の部屋とか案内するね!リィン君も気になっているでしょう?」
尋ねられたトワは頬を赤らめてリィンから視線を逸らした後話を逸らそうとした。
「え?はい、お願いします。」
その後リィンはトワの案内でジョルジュの部屋やクロウが住んでいた部屋を見て回り、最後にトワが住んでいる部屋に案内された。
〜トワの私室〜
「ここが会長の部屋ですか……」
「あ、あんまりみないでね!その……片付けとか全然してなくて……」
自分の部屋を見回しているリィンにトワは慌てた様子で言った後恥ずかしそうな表情をしたが
「いえ、そんな。俺の目からしたら片付ける必要が無い程部屋が綺麗ですよ。」
「そ、そうかな?えへへ……」
リィンの答えを聞き、嬉しそうな表情をした。
(うふふ、ご主人様の事だから女が自分の部屋に男を招く意味はわかっていないのでしょうね♪)
(ふふふ、十中八九そうでしょうね。ご主人様ですから。)
(それについては私も同意ね。だって、リィンだし。)
(私も同じく。現在の状況になってなお、それを自覚していないマスターですので。)
(ア、アハハ………リィン様ですから仕方ないかもしれませんね。)
ベルフェゴールの念話にそれぞれ頷いたリザイラ達の答えを聞いたメサイアは大量の冷や汗をかきながら苦笑しつつも自分もリザイラ達と同じ答えを口にした。
「Z組に来るまでのクロウはこの寮に住んでいたんですよね?」
「うん………第三学生寮に移ってからは今まで以上に楽しそうで……えへへ、実を言うとちょっと羨ましかったんだ。」
「はは、そうだったんですか。」
トワの口から出た意外な答えにリィンは苦笑した。
「……うん、やっぱりクロウ君が帰ってくるなら”Z組”―――”第三学生寮”かな。リィン君達ともわたしたちとも通じるあそこが、クロウ君の居場所だと思う。」
「……はい。貴族連合の元なんかでは絶対に無いはずです。約束通り、きっと会長たちの前に、連れ帰ってみせます。」
トワの言葉に頷いたリィンは決意の表情でトワを見つめた。
「うん……!期待してるね。………………」
リィンの言葉に嬉しそうな表情で頷いたトワはリィンをジッと見つめた後静かな笑みを浮かべて再び話し始めた。
「ふふ……リィン君は凄いよね。初めて会った時は、リィン君がこんなに頼りになるなんて思わなかったよ。」
トワの言葉を聞いたリィンはふと生徒会室でのトワとの出会いを思い出した。
「はは……それを言うなら会長のほうこそ。その、正直に言うと最初は上級生ってこと自体が信じられませんでしたけど……もの凄く優秀で、誰からも頼りにされていて……すぐに凄さに気付かされました。」
「あはは……ありがとう。……でもね、リィン君。」
「?」
突如自分の名前が呼ばれた事にリィンは不思議そうな表情をしながらトワを見つめた。
「……リィン君は本当に凄い男の子だと思う。ヴァリマールに選ばれて怖い機甲兵と何度も戦って。ベルフェゴールさんを始めとした多くの異種族の人達を仲間にした上異世界の女神様のアイドスさんどころか、貴族連合に所属していたアルティナちゃんも仲間にして。いろんな人を思いやって、手助けしていつの間にかみんなの中心にいる。―――でも、憶えていて欲しいんだ。リィン君はあくまでも、一人の人間なんだってことを。」
「あ…………」
静かな表情で自分を見つめるトワの指摘にリィンは呆けた声を出した。
「わたしね……誰よりも優れた”英雄”なんていないと思うんだ。だから……リィン君も何もかも一人で抱え込まないでね。困った時はZ組のみんながいる。わたしだって、応援してるから。」
「トワ会長…………」
トワの言葉に心を打たれたリィンはトワをジッと見つめた後やがて答えを口に出した。
「……ありがとう、ございます。そんな風に、他人の強い部分も弱い部分も全てひっくるめて、”それでいい”って言ってくれる……そんな会長だからこそ、俺は……」
「リィン君……………」
リィンの言葉にトワは頬を赤らめ
(あら♪これは面白い事になってきたわね〜?)
(ふふふ、まさかの伏兵とは驚きましたね。)
(フフ、よかったわね、トワ……)
(……エリス様達がマスターの今の言葉を聞けばどのような反応をするでしょうね。)
(え、え〜と……リィン様の事もちゃんとわかっていますから怒る事はしないと思いますよ?…………多分。)
ベルフェゴールとリザイラ、アイドスは微笑ましそうに見守り、ジト目になったアルティナの念話を聞いたメサイアは苦笑しながら答えた後大量の冷や汗をかいて疲れた表情をした。
「……会長がいてくれたおかげで俺は俺でいいんだって思えるようになりました。どんなことがあっても、自分らしく前に進んでいけばいいと。だから……本当にありがとうございます。」
「……えへへ、嬉しいな。そんな風に言って貰えて。生徒会長になれて、本当によかったって……今、心から思ってる。そのおかげで……リィン君に会えたんだから。そのおかげで……この気持ちに気付けたから。」
「トワ会長……?」
頬を赤らめているトワの言葉を聞いたリィンは不思議そうな表情をし
(アハハハハハハハッ!まだ気付かないなんてさすがはご主人様ね♪)
(ふふふ、さすがはご主人様です。)
(リ、リィン様……いつもいつも思うのですが、何故”そういう事”に関して信じられないくらい鈍くなるのですか……?)
(まあそれはリィンだから仕方ないと思うわ。)
(マスター程罪作りな男性はいないでしょうね。)
二人の様子を見守っていたベルフェゴールは腹を抱えて笑い、リザイラは静かな笑みを浮かべ、メサイアは表情を引き攣らせ、アイドスは苦笑し、アルティナはジト目になっていた。
「〜〜〜〜っ〜〜〜!…………スーハー……スーハー……よしっ!―――リィン君、さっき言ってたわたしがリィン君に話したい事を答えるね。」
一方顔を真っ赤にしたトワは深呼吸をした後決意の表情になって、リィンを見つめた。
「わかりました。それで一体何のお話でしょうか?」
「えっと……その……――――リィン・シュバルツァー君!」
「は、はい!」
トワに突如フルネームで呼ばれたリィンは姿勢を正した。
「わたし―――トワ・ハーシェルは貴方の事を一人の男性として大好きです!だから……わたしを貴方の将来のお嫁さんの一人にしてください!」
するとその時トワは真っ赤な顔でリィンに自分の想いを伝えた!
既に予想していたと思いますがトワがとんでもない告白を…………次回は皆さんお待ちかねの展開です(遠い目)
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第514話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
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コメント | ||
完全ROM専様 ホント、どう転ぶでしょうねww K'様 逆レ○プによる既成事実だらけでしたね、そう言えばww 本郷 刃様 確かにそうですねww(sorano) ようやくまともな告白を見れた気がしますね・・・(本郷 刃) ストレートに言ったー。うんうん、このぐらい健全なのが普通なのに周りときたら・・・(K') まぁ、トワらしい告白ですね・・・。リィンはまず断れませんし、このあとの展開で、どちらに転ぶか・・・。(完全ROM専) |
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