英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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12月31日、同日6:20――――

 

翌朝リィン達はようやく完成したゼムリアストーン製の”騎神用の太刀”の前に集まっていた。

 

〜トールズ士官学院・グラウンド〜

 

「これが……―――これがゼムリアストーンを加工した”騎神用の太刀”ですか。」

ヴァリマールの中にいるリィンはゼムリアストーン製の太刀を驚きの表情で見つめていた。

「フン、その通りだ。全長7アージュ余り―――特殊な形状のため精錬と加工は困難を極めた。そこの偏屈な弟子がいなければ完成はしなかっただろう。」

ヴァリマールの中にいるリィンに説明したシュミットはマカロフ教官に視線を向けた。

 

「アンタにだけは偏屈なんて言われたくないんですがね……」

「ハハ……確かに。」

マカロフ教官の言葉を聞いたジョルジュは苦笑しながら頷いた。

「それにしても……まさかマカロフ教官まで博士の弟子だったなんて。」

「前に工科大学にいたのは聞いたことがありましたけど。」

アリサとサラ教官は興味ありげな様子でマカロフ教官を見つめた。

 

「ま、昔の話ですよ。」

「まったく、貴様といい、ジョルジュといい……私の元で研鑽を積んでおれば更なる高みに登れるものを。」

「いやぁ〜、そんな畏れ多い。」

「ジョルジュ、はっきり言ってやれ。アンタの傲慢で独善的な研究姿勢にはとてもついて行けませんってな。」

シュミット博士の言葉に苦笑するジョルジュに指摘したマカロフ教官の言葉を聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいた。

 

「そ、それはともかく………素晴らしい輝きの刀ですね。」

「はい……これ程の輝き、今まで見た事がありません。」

「それに刀からウィル様に創って頂いたこの武具以上の凄まじい魔力を感じますわ……」

アルフィン皇女の言葉にエリスとセレーネはそれぞれ頷き

「ゼムリアストーン……七耀脈を通じて結晶化する謎の鉱石か。」

「……前の剣と比べると、どれほどの威力があるのかしらね?」

アンゼリカの言葉に続くようにゲルドは静かな表情で太刀を見つめながら呟いた。

 

「正直、名工の鍛えた物と斬れ味は比較しないでくれ。だが、多分ヴァリマールの”手”には馴染むと思うよ。」

「わかりました―――それでは。」

ヴァリマールが太刀を手に取ったその時、ヴァリマールの核(ケルン)と太刀の柄にはめ込まれた球体が反応し合った!

 

「これは―――」

「騎神と刀が共鳴し合っている……?」

「うんうん、間違いないよー!」

共鳴し合う騎神と刀の様子に仲間達が驚いている中、ヴァリマールは刀を構え直した。

 

「す、凄いや……」

「……見事だな。」

「ん、カッコいい。」

「フフ、姉様にも今の兄様を見て頂きたいです……」

「エリゼお姉様もきっと驚くでしょうね……」

刀を構え直したヴァリマールにエリオット達が見惚れている中、エリスとセレーネはそれぞれ微笑み

「よ、よくわからないがとんでもないのはわかるぞ。」

「ああ、これならばきっと―――」

マキアスの言葉に頷いたユーシスは静かな笑みを浮かべた。

 

「武装でばいすカラノふぃーどばっくヲ完了―――タシカニ”手ニ馴染ム”心地ダ。」

「はは、そっか。」

「行けそうね?」

「……ああ、想像以上だ。これで何とか―――クロウの背中が見えて来た。」

セリーヌに視線を向けられたリィンは静かな表情で頷いた。

 

「シュミット博士、マカロフ教官。ジョルジュ先輩も―――本当にありがとうございました。」

「フン、礼は無用だ。私は私の知的好奇心を勝手に満たしただけのこと。それを貴様がどのように使うかは関知するところではない。」

「はは、照れ隠しとかじゃなくて本当にそう思ってるんだからな……」

「列車砲に機甲兵、導力波妨害装置と同じ……設計図を引いて完成したら途端に興味がなくなるわけだ。」

シュミット博士の答えを聞いたジョルジュは苦笑し、マカロフ教官は呆れた表情でシュミット博士を見つめた。

 

「ハッ、それのどこが悪い?―――私はカレイジャスで休んでいる。ルーレについたら起こせ。」

「ちょ、ちょっと、博士!?」

マカロフ教官の指摘に対し、鼻を鳴らして答えた後カレイジャスへと向かって行くシュミット博士の様子を見たリィンは冷や汗をかいた。

「ともあれ……これで準備は整ったか。」

「はい、そろそろ召集しようと思います。」

「うふふ、いよいよですねぇ。」

ヴァンダイク学院長の言葉にトワは頷き、トマス教官は口元に笑みを浮かべていた。

 

「―――残念ながら、皆さんができる事は”もう何もありません”わ。」

するとその時不吉な言葉が聞こえた後愛馬を連れ、甲冑を身に纏ったシグルーンがその場に現れた。

「え…………」

「シグルーンさん……」

「シ、シグルーン様?今の言葉は一体どういう意味なのでしょうか……?」

シグルーンの言葉を聞いたリィンは呆け、ゲルドは辛そうな表情でシグルーンを見つめ、セレーネは戸惑いの表情で尋ねた。

 

「―――エリスさん。短い間でしたが私が貴女に伝授した我が奥義と絶技を習得出来た事に正直驚きましたわ。さすがはリィンさんとエリゼの妹―――いえ、こんな言い方をしてはエリスさんに失礼ですわね。全ては貴女の努力が実を結んだ結果と貴女自身の”才能”ですわ。」

「ハ、ハア……?ありがとうございます……?」

「アルフィン皇女殿下。皆さんに混じって殿下も戦闘訓練に率先的に参加し続けた事やログナー候への勅命を見た時には私の目が曇っていた事を痛感させられました。殿下やユーゲント陛下達もオリヴァルト殿下と同じかのドライケルス帝の血を引く誇り高きエレボニア皇族ですわ。―――今までオリヴァルト皇子を除いたエレボニア皇族の方々を失礼な思いで見ていた御無礼、お許しください。」

「シ、シグルーン中将閣下……?」

シグルーンに称賛されたエリスと称賛された後謝罪されたアルフィン皇女は戸惑いの表情でシグルーンを見つめ

「ユーシスさん。貴方もエリスさんやアルフィン皇女殿下、そしてZ組の皆さん同様まだまだ伸びしろがあるのですから、愛馬と共に鍛錬を続ければメンフィルでもトップクラスの騎士に成長すると思いますわ。」

「あ、ああ……だが、その言い方は何だ?まるで別れの際に告げる言葉のようだぞ?」

同じようにシグルーンに称賛されたユーシスは戸惑いの表情で頷いた後不思議そうな表情で尋ねた。

 

「そ、それにシグルーン様、最初に出会った時のように甲冑を身に纏っていますけど……」

「!まさか…………―――――”戦争回避条約”の”期間”が終わったの!?」

セレーネが不安そうな表情でシグルーンに尋ねたその時、ある事を察したサラ教官が厳しい表情で声をあげた。

 

「!!!!!!!」

 

サラ教官の言葉を聞いたその場にいる者達はゲルドを除いて全員目を見開いてシグルーンを見つめ

「ええ。私が皆さんに協力する”期間”は既に終えています。――――短い間でしたが、お世話になりましたわ。皆さんに明るい未来が訪れる事を”かつての協力者”として心からお祈りしておりますわ。」

シグルーンはその場にいる全員が絶望する言葉を口にして静かな表情で会釈した。

 

 

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すでにお気づきと思いますがここから完全オリジナル展開です。かろうじて原作の展開の一部が残っているのは後日譚くらいかと(汗)後今更ですが閃Uのヴァンダイク唯一の見せ場と言ってもおかしくない演説シーンがあるかどうか怪しくなってきました(汗)

説明
第518話
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コメント
本郷 刃様 そうですね。原作の絶望と比べればマシですね K'様 疲れる一日であり、零編の終章のようにリィン達にとって一番長い一日にもなりますww(sorano)
ここからリィンたちのテンションはジェットコースターの如く激しく上下するのであった……疲れる一日になりそうで(K')
はい、希望から一転して絶望っと・・・まぁリィン達には実害はないんですけどね(本郷 刃)
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