病弱な御使いと逆行の恋姫:守護する者 |
決意を新たにした翌日、日もすっかりと昇って一刀は鈴々とともに街の散策をしていた。
「鈴々、昼ごはんどこで食べようか?」
「うーん、鈴々は昨日のところがいいのだ。」
「ああ、たしかにあそこは美味しかったよな。」
炒飯も点心も現代と比べても遜色なく、寧ろ勝ってると思える。
「一刀の国でも点心とかあったのか?」
「あったよ、でも俺の国よりも美味しく感じたな、料理人の腕もあるんだろうけど、初めて食べた気がするよ。」
「鈴々も美味しいって思ったのだ!」
だが鈴々の場合は、もう一つ思うところがあった。
(やっぱり、一刀と一緒に食べてると幸せに感じるのだ。)
ずっと探してきた、ずっと求めてきた、見つかったのはよく似た別の人だがそれでも変わらない。
鈴々の中では前の一刀と今の一刀は同じではないと受け入れている、それでも温もりが、暖かさが変わらない。
数えきれない将兵達があの乱世で生きていたのだ、その世を戦を体験したことのない一人の少年が駆け抜けた。
よくいえばお人好しだが、時にはその良心は身を顧みない自己犠牲を躊躇なく行ってしまう。
自分達よりも弱い身体で必死に身を挺して動こうとする姿に自分だけでなく様々な将達が惹かれたのだ。
(鈴々はもう一度戦うのだ、一刀の、お兄ちゃんのために。)
「鈴々、どうかしたのかい?」
「にゃはは、なんでもないのだ!」
「そっか、じゃあそろそろご飯でも食べに・・・あれ、なんかあそこに人混みができてるような?」
「ほんとなのだ、なにかあったのかな?」
一刀達が人混みに近づくと一つの看板に集まっているのがわかった。
「おい、この町に例の賊が来るらしいぞ?」
「言ってることは世直しみたいだけどよ、俺達を襲うってのは納得行かねえよな。」
「漢の庇護を受けてる俺らも同罪ってか、とばっちりもいいところだねえ、そんなもんとっくに無いのによ。」
「荷物まとめて逃げろったってどこに逃げりゃいいんだよ・・・。」
「ここの近くの県令もこいつらに恐れをなして逃げだしたって話じゃねえか、どうしろってんだ。」
看板の内容は黄色い布を被った賊が来る宣言だ、住民の会話を聞いていると何やら尋常ではない様子である。
「あ、でも知ってるか?最近劉備って人の義勇軍がこの賊相手に奮闘してるらしいぜ?」
「聞いた聞いた、うちにも来てくれるとありがたいんだがねえ。」
「しかもかなり綺麗で天女様みてぇに優しい方って話じゃねえか、会ってみてえなぁ・・・。」
(へえ、劉備はこの頃から民心を得ているのか。)
(愛紗も、劉備と一緒に戦ってるのかな?)
互いに思うことはあって、方や興味、方や以前の義姉を案じていた。
「しかしどうするよ、荷物をまとめた所で追いつかれて皆殺しにされるのが解りきってるぞ。」
「近くの町に受け入れてくれるところもあるか怪しいよな、足元見られて移住料をふんだくられそうだぜ。」
先行きが不安な様子に一刀も思わず考えこむ。
「うーん、迎え撃つって選択肢は難しいよな・・・旅の者の提案を受け入れてくれるわけないし。」
「鈴々がいれば賊なんて全員返り討ちにしてやるのだ!」
「ははは、頼もしいな。」
「にゃ〜♪」
思わず微笑ましくなり鈴々の頭を撫でる一刀と、撫でられて嬉しそうに目を細め、されるがままの鈴々だった。
「あ、あの・・・少しいいでしょうか?」
「うん?」
「ん?どうかしたのか?」
一刀達が声のする方に目を向けると、見覚えのある少女が居た。
「あれ、君は飯店に居た・・・?」
「おーそうなのだ、あそこのご飯は美味しかったのだ!」
「え、あの、ありがとうございます!ってそうじゃなくて!」
一瞬パッとした笑顔が浮かんだがすぐに首を振って真面目な顔になると二人に向き直った。
「実は今友達が人を募って賊徒と戦おうとしてるんです・・・先ほどの話を聞いていたのですが武に自信があるんですか?」
「応!鈴々なら賊なんてあっさり蹴散らしてみせるのだ。」
「俺は生憎武には自信はないけど、軽い作戦を考えるぐらいならできるかな。」
「それなら、是非私達に力を貸してくれませんか、町の奥の屋敷で今作戦を考えているんです、お願いします!」
「一刀、鈴々はこの子の力になりたいのだ!」
「ああ、そうだね、俺にできることは少ないけど、それでもいいならよろしく頼む。」
「あ、ありがとうございます!私の名は典韋って言います、よろしくお願いします!」
「(んん!?)あ、ああ、俺は北郷一刀っていうんだ、よろしくおねがいします。」
「鈴々は張飛っていうのだ、よろしくなのだ!」
(いやいや典韋って、典韋って!?こんな小さな女の子があの典韋!?)
典韋、曹操軍の猛将で悪来の再来と言われた将だが曹操が危機に陥り典韋が身を挺して曹操を救った話は有名である。
(うん今理解した、この世界まともじゃねえ!)
頭を抱える一刀、歴史に残る名将たちがこんな少女で、しかも実力に至っても文句のつけようなど無い。
だが、張飛や典韋でこれなら劉備とか曹操とかどうなってんだ、と楽しく話をしている二人を尻目に一人項垂れた一刀だった。
因みに、案内される傍ら典韋に「兄様」と呼ばれ悶える一刀と、鈴々も自分もそんな感じに呼んでいたと過去が少し懐かしくなった。
典韋は二人を連れて町の奥の屋敷へと案内した、既にかなりの数が集まっているようで中には屈強な肉体を持った人も居た。
その人達をしきっているのは一人の女性で鋭い目つきで此方を伺っていた。
「・・・思っていたよりも人が多いな。」
「半分以上は此処を拠点としている旅人なんですけどね。」
「それでも強そうな人達が居るのだ。」
話をしていると、此方を見ていた女性が口を開いた。
「随分と時間がかかったな、流琉。」
「あ、思春さん、実は帰りがけに新しい人たちが力になりたいと言ってくれたんです!」
思春と呼ばれた女性は二人を一瞥すると席から立ち上がり此方に歩いてきた。
(男の方は見たところ軟弱で奇妙な衣装だが、隣の女はできるな・・・正面からやりあったら勝ち目が無い、そう思える。)
「・・・そうか、私の名は甘寧、字は興覇だ、助太刀してくれるのは心強い。」
(あれ、この人って孫権に仕えていた人なのだ、どうしてこんなところにいるのだ?)
「張飛、字は翼徳なのだ、よろしくなのだ甘寧。」
(典韋の次は甘寧・・・こんなところに魏呉蜀の名将が三人もいるなんて、本当に奇妙な世界だな。)
「俺は性は北郷、名が一刀、字がないけどまあ好きなように呼んでくれ。」
聞いた所甘寧達も元は精強な水賊で義賊だったが敵対した黄巾賊に数で押し負けて船や財をすべて奪われてしまったらしい。
数でさえ負けなければ敗れる相手ではなかったと悔しそうに語る甘寧、船から落ちて川に流され漂着していたのを助けたのが典韋、
今は恩のある典韋の世話になりながら募った人手で周囲の賊を殲滅しているらしい。
「よし、先程まで作戦を煮詰めていたんだが、なにか意見があったら教えて欲しい。」
甘寧の考えた作戦は奇襲による挟撃である、攻めてくる賊を本隊が足止めして甘寧率いる別働隊がその横腹に食らいつく、
単調だが数で負けているのなら敵の虚を突くしか無いのだ、今は本隊と典韋が足止めをする作戦らしい。
「じゃあ鈴々は本隊で典韋と一緒に敵を足止めするのだ!」
「それがいいな、鈴々の武はかなりのものだから期待してもいいと思うよ。」
「そういうお前はどうなんだ?」
「俺は戦えるかって言われたらあまり戦えないかな、祖父に鍛錬を施されて人並みには戦えるけど如何せん持久力がね・・・。」
少し咳き込みながら苦笑いする一刀、その言葉に偽りはないのだろう、その意志から腰にある剣は少なくとも飾りではないようだ。
「でも、そんな俺でも作戦ぐらいは考えられる、これは俺の故郷の策なんだけどね。」
机にある地図と、数個ある木製の駒を動かしながら策を詳しく解説する一刀、少し考えこむ素振りをする甘寧。
(悪くない、流琉と張飛が居れば、これが大きな攻め手になるか。)
「分かった、北郷も本隊で合図を送ってほしい、今以上に戦力を増やすために私達も全力を尽くす。」
「じゃあみなさん、頑張りましょう!これから料理を作るんで戦に備えていっぱい食べてくださいね。」
「「「応!」」」
(戦か・・・俺の時代でも他国とはいえ戦争はあったが、直に戦うことになるとはな。)
腕を組んで考える一刀、思い浮かんだ策は彼が読んでいた戦国史などの本から来ているが、読みふけった分量は多い。
(まあ、所詮付け焼き刃だし、結局戦はなるようにしかならない、俺は俺のできることをしないとな。)
戦うのに躊躇があるのは否定しない、人を殺めこの手を血で染めるのに恐怖がないのかと聞かれれば否であると断言できる。
それでも、名は歴戦の猛者ではあるが鈴々、典韋、甘寧、少女が戦っているのに自分だけ安全な場所にいるのは我慢できない。
(いきなりこんな世界に飛ばされて、正直今も震えが抑えられない、それでもやるからには絶対に勝つ!)
屋敷で戦いに備えて腹ごしらえをしながら、空にめがけて拳を握った一刀、弱い身体に確かな活力があふれていた。
翌日
町に勇士たちが集まり、不安もある中賊軍討つべしと熱気が上がっている、一刀達は率いる将なだけあって、大衆の前に居る。
「士気も申し分ない、報告では賊の規模は百五十程度、此方は約百人程度、敵のほうが数で勝るが十分対抗できるだろう。」
「すごいな、圧倒されるぐらいの熱気だ。」
(うーんこの空気がちょっと懐かしく思っちゃうのだ。)
「はぅ・・・緊張してきました・・・。」
「仕方がない、流琉も狩り以外で実際に戦うのは初めてだからな、大半以上が今日が初めて戦う奴だって居る。」
「うーん、俺も戦うのは初めてなんだが、皆の緊張をほぐせる何かがあればいいんだけど・・・。」
「普通に考えるのならば演説だな、戦の前に行っておけば皆の士気があがり勝率も上がる。」
「演説かー。」
「むむー鈴々はそういうのには向かないのだ。」
「私もそういうのは無理だな、賊を率いてはいたが、そういうのとは手合が違う。」
「あう・・・。」
どうしようかと迷う中、一刀が集まった人達を見る、戦うために集まった人達が何を求めているのかを考えながら口を開いた。
「なぁ、要は皆にやる気を出させる事を言えばいいんだよな?」
「できるのか、半端なものならやめておくが?」
鋭い目線で此方を伺う甘寧、それを見た一刀はただ笑みを浮かべて甘寧を見た。
「まあ、少し疲れるけど、やるだけやってみるよ。」
「一刀、あんまり無理はしてほしくないのだ・・・。」
「大丈夫だって、あの時の交渉の延長みたいなものだからさ。」
鈴々を安心させるように笑みを浮かべて頭を撫でると一刀は深呼吸をして、大衆の前に一歩出る。
「・・・!?」
最初に異変に気がついたのは甘寧、先程まで全く見栄えのなかった少年の空気が変わった、
周囲の人もそれに気が付いたのか、先ほどまでのざわついた空気が見違えるほどに落ち着く、
一刀の着る制服が陽の光を反射し、さながら服から光が走るようにみえた。
「皆、俺は皆と戦う者の一人、北郷一刀だ、俺は総大将ってわけじゃないけど、ひとつ聞いてほしいことがあるんだ。
・・・まずはありがとう、賊を討つために集まった皆だけど、此処に皆が集まった理由はひとりひとり違うと思う、
町を守りたい人、友を守りたい人、恋人や家族を守りたい人、自分を高めたい人、戦いたい人、恨みがある人、
戦いに行くって言っても理由は別だと思う、でも一つ共通してることがあると思うんだ、【死にたくない】って気持ちだ。」
一刀から言葉が紡がれる度に少しづつ場の空気が高まっていく、それを確信した一刀は僅かばかり微笑むと気を引き締める。
「だからこそ、敵と戦うときにはこれを心がけて欲しいんだ、これから生きるか死ぬかの戦いに向かう、
その場において一番大事なことは、生きる事と、自分は一人じゃないってことだ、隣にいる人は仲間だ、
強そうな敵、一人では勝てない敵、そんな時は隣の人達と一緒に戦って欲しい、それを忘れないでくれ。」
力強く口上を語り腰に構えた剣を思い切り引き抜いて天に掲げる、それと同時に声高らかに皆に伝えた。
「皆は一人じゃない!これから戦いに行く戦場は敵が多く、辛いものになる、だからこそ一緒に戦うんだ!
死ににいくんじゃない、生きるために、勝つために俺たちは行くんだ!全員の力を合わせれば絶対に勝てる、皆行くぞ!」
「「「「「「・・・うおおおぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」」
一瞬の静寂の後、勇士たちの割れんばかりの声が周囲に響いた。
一刀は満足気に笑みを浮かべると三人の元に戻り・・・膝をついた、その場にすぐに鈴々が駆け寄った。
「一刀!?」
「だい、じょうぶだ、少し休んだら良くなるよ・・・。」
荒く息をしながら苦しげに笑みを浮かべた。
「随分と演技がうまい、誰かに教わりでもしたか?」
やや関心した様子で甘寧が問いかけてくる。
「いや、独学さ、教わる機会にも、人にも巡り会えなかったからね。」
「しかし士気の違いは比べるまでもない、私が敵の立場なら、正面からは御免だな。」
「・・・奇襲なら、行けるってことかい?」
なんとなく、史実の甘寧を思い浮かべて話しかければ甘寧は不敵に笑って踵を返した。
「兄様すごかったです、私開いた口がふさがりませんでした!」
「一刀すごかったのだ!」
「よしてくれ、そういう視線に、正直慣れてない。」
目を輝かせて典韋が此方を見ている、鈴々の時もそうだったがこういう視線に慣れてないので正直照れる。
「でも、俺も前線に出るよ、ここまで言って、安全な場所には引き籠もれないからね。」
「大丈夫なのだ、一刀と一緒なら鈴々は誰にも負けないのだ!」
一刀から少し離れて蛇矛を振るう鈴々、最後に構えたその姿からは、頼もしさ、力強さ、様々なものが内包されていた。
「私も頑張ります、思春さんにだけ任せるのは嫌ですから!」
「よし、なら行こうか、明日も生きるために。」
出陣の支度を終え、典韋の申し出もあり義勇軍の名乗りとともに全軍は出立した。
町から離れた荒野で男たちが喧騒とともにそれぞれが黄色い布を巻き、町を目指していた。
指揮をしている人間、無精髭を生やした無骨な男を中心に笑い声が上がっている
「さて、そろそろ頃合いだ、たてた看板を見て町の奴らは荷物を纏めて逃げ出すはずだ。」
「其処を俺たちが襲えばわざわざ町を襲う必要もないってわけだ、反抗するなら殺しちまえばいいんだからよ。」
下卑た笑みを浮かべながら男たちは進む、彼らは生粋の賊であり、黄巾の教えなどどうでも良かった、ただ暴れる口実になる、
それだけの理由でかなりの規模の賊軍ができてしまうのだ、どれだけ今が腐敗しているのかがよくわかる。
そんな欲望の塊のような男たちの前に、【餌】がばらまかれれば、さてどうなる?
「う、うわぁ!?賊軍が来たぞ!まさかこっちから来るなんて、早く逃げろー!」
数台の馬車、馬車の先頭に立つ男は貴族の出だろうか、白い服が特徴的で売れば大金になりそうな布を使っていた。
「おお、獲物があっちから来やがったぜ、お前ら逃がすんじゃねえぞ!」
当然食いつく、知に秀でたものならばあっさり看過できるような違和感にすら気が付かない。
「なんともまあ、引っかかってくれるとは思ったけど、あっけなさ過ぎて怖くなるな。」
叫んだ男、一刀は苦笑いしつつも馬車を指揮する、決して賊には気取られないように。
「このまま伏兵地点まで引きこむぞ、絶対に気取られるなよ!」
「「御意!」」
一刀達はある程度走ると敢えて馬車を止めて賊軍と相対した。
「へへへ、どうやらもう逃げれねえみたいだな、その荷と服を置いていくってんなら命だけは助けてやるぜ?」
男たちが笑っている、自分達の優位は覆らない、そう確信してる、優位に溺れている目だ。
「わかりました・・・。」
(くそっ、見慣れた目とはいえやっぱり気分が悪い!)
それでも気取られてはならない、失敗するわけにはいかない、足りない頭を捻って考えた策、間違えてはいけない。
「さて、改めてください、これが俺の・・・荷ですよ!」
兵とともに数台の馬車の布を一気に翻す、其処にあるのは財などではない、【人】だ。
「うりゃりゃりゃー!悪さをする奴はこの燕人張飛がぶっ飛ばしてやるのだー!」
「皆さん、一気にかかってください!」
「間断なく弓を撃ちこめ!あれだけの数だ、味方に当たらないように撃てば絶対当たるぞ!」
「「「「うおおおお!!」」」」
「ぎゃぁあぁああ!?」
「うげ、しまったこりゃ罠だ!」
「名付けるまでの策じゃない、ただ馬車の中に数人隠れてもらっただけ、気がつかないそっちが悪いってことで。」
「うりゃ、てりゃ、うにゃー!」
鈴々の蛇矛と典韋の伝磁葉々が振るわれる度に賊が吹き飛んでいく、さながら漫画のようだが現実だ。
「っ・・・!」
「ぐぁ・・・!」
襲ってきた敵を剣で切る、鈍い手応えと生々しい感触、浴びた生暖かい返り血、思わず胃の内容物を戻しそうになるが堪える。
「散々に蹴散らして!二度と此処に来たくないって思わせるぐらいに!」
「わかったのだ!」
「はい!」
今切ったのもそう、今指示しているのもそう、自分は、人 を 殺 し て い る、不意に体中の体温が下がった気がした。
(考えるのは後でいい!賊が退くまで知られちゃいけないんだ!)
頭を振る、絶対に負けるわけには行かないのだ、敵を蹂躙し、大将格である男が撤退し見えなくなると安堵したように腰を下ろした。
「は、ははは、あとは甘寧待ち、かなぁ・・・?」
「お疲れさまなのだ一刀。」
「ありがとう鈴々、流琉も皆もよく頑張ってくれたね。」
「はい!すごいですよ兄様、怪我人は居ますけど、今全員が無事なんです!」
「・・・よかったぁ。」
心底安心した、なるべく犠牲は出したくない、しかし敵は倒さなくてはならない、倒すには高い確率で犠牲が生まれる、
それを無くすにはどうするか、決まっている、完全な虚を突き、敵が攻撃を仕掛ける前に倒せばいい、暗殺のように。
「でも、思春さん大丈夫でしょうか、あの男の人強そうでしたけど・・・。」
「心配いらないさ、甘寧なら絶対勝てるよ。」
「鈴々もそう思うのだ!」
どこか自信満々に笑う二人に首を傾げる典韋、甘寧が負けるわけがない、片方は天の知識、片方は対峙した経験からだった。
「ふん、信頼厚くて嬉しい事だ。」
健在の部下たちを従えて笑う甘寧、既に役目を果たしたのだろう、その手には先程まで逃げていた男の首があった。
「お望み通り、撤退している所を討ったぞ、結果は見事に全滅、ここまで綺麗に決まるといっそ清々しいな。」
「ありがとう、さてと・・・。」
見渡せば怪我をしている人もいる、しかし誰一人として悲痛な顔を浮かべていない、皆一刀の声を心待ちにしている。
一刀は満足気に笑うと拳を一気に突き上げて声高らかに叫んだ。
「皆、勝鬨を上げろ!天にまで届くくらいに、俺たちの完勝を地の果てまで轟くくらいに!」
「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」」
後の天の御遣い、北郷一刀の初陣は、犠牲者の居ない奇跡の完勝で幕を閉じた。
説明 | ||
町に立った一つの看板、抗う者達は何を思うのか。 一刀くんは演技力無限大ですが一回ごとに体力を超消費する難しい体質 |
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待ってました!続き楽しみにしてますよ!…それにしても思春がここから一刀側とか、楽しみすぎる(ナギサミナト) 鈴々に思春に流流、いいでよね(ひろ) 鈴々に続き、季衣と流琉。お兄ちゃん全開ですね?大好物です。しかし精神的に負荷をかけて大丈夫なんでしょうかね?一刀君。それが原因で病床に就くとか考えたく七ぁ。(ユウヤ) 病弱であったとしても、北郷一刀はここに在り、か……(Jack Tlam) |
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