英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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〜遊撃士協会・クロスベル支部〜

 

「す、すみません……恥ずかしい所を見せて話の腰を折ってしまって……」

「フフ、気にしなくていいわよ。それにしても、本来ならしばらく立ち直れなかった事実を知った彼女をすぐに立ち直らせるなんて、さすがは”守護の剣聖”の兄かしら?」

リィンから離れた後頬を赤らめて謝罪するエリスを微笑ましく見守っていたミシェルはリィンに視線を向けた。

 

「ハハ…………エリゼと言えば……エリゼもその事実を知っているのですか?」

「支援課の坊や達が持ち帰って来た情報はクロスベル帝国、メンフィル帝国にも知らされて皇族か、皇族に信頼されている家臣しから知れないトップシークレット扱いの情報にされているそうだから、”聖魔皇女”が信頼する家臣の一人である”守護の剣聖”も当然知っていると思うわよ?」

「姉様…………」

リィンの問いかけに答えたミシェルの推測を聞いたエリスは姉が自分を妹として扱ってくれるのか不安に思っていたが

「大丈夫よ、エリス。きっとエリゼもリィンと同じで、貴女の事を今後も妹として大切に接してくれると思うわ。だって、貴女達程の仲のいい双子なんて私は見た事ないもの。」

「アリサさん……はい………!」

アリサに元気付けられ、嬉しそうな表情で頷いた。

 

「まあ、双子揃って同じ男に嫁ぐ程仲のいい姉妹等普通ならありえんと思うがな。」

「確かにそうよね〜?」

「ユ、ユーシス!?それにサラ教官まで!?今はその話は関係ないでしょう!?」

からかいの表情をしているユーシスとサラ教官に見つめられたリィンは慌てた。

 

「ハハ……それにしても”零の至宝”だったか?あの幼い外見でそんなとんでもない事をしていたとはな……」

「―――キーアの事を誤解しないで。彼女は貴方達の為にも”本来の歴史”と比べればマシな因果へと操作したのよ。彼女の歴史改変がなければ、貴方達の大切な人――――クロウは死んでいたし、ケルディックの焼討ちによってオットーという人物も亡くしていたのよ?」

真剣な表情で考え込んだトヴァルの様子を見たサティアは真剣な表情で指摘し

「え……」

「オ、”オットー”ってまさか……!?」

「な――――元締めが本来ならあの焼討ち事件で死んでいたって本当なの!?」

サティアの指摘を聞いてリィン達と共に驚いたサラ教官は血相を変えて尋ねた。

 

「ええ。アルバレア公爵の指示による領邦軍と北の猟兵達の焼討ちに巻き込まれて命を落としていたそうよ。」

「領邦軍まで一緒になってケルディックを焼討ちしたのですか!?」

「そ、そんな……民を守る立場である領邦軍が自分達の領土を焼討ちするなんて……」

「”本来の歴史”では父は領主として……人として許されざる罪を更に犯していたのか……」

「ユーシス…………」

サティアの説明を聞いたアリサは驚き、エリスは信じられない表情をし、辛そうな表情で肩を落としているユーシスをリィンは心配そうな表情で見つめていた。

 

「因果の操作によって多くの人々の”運命”が改変されたという事はゲルドとの出会いも因果の操作によるものかもしれないわね……」

「あっ!」

「……それどころかセレーネやベルフェゴール達との出会いもその因果の操作によるものになるな……」

アイドスの推測を聞いたアリサは声をあげ、リィンは複雑そうな表情をし

(という事は私が並行世界の未来に飛ばされたのも……)

(因果の操作によるものでしょうね。)

(貴女は複雑かしら?メンフィルは本来なら存在していないって事は多分貴女も生きていたと思うし。)

(……正直わかりません。ですが今こうしてマスターの傍にいれる事は以前の私の生活と比べれば”幸福”に満ちている事は確かです。)

メサイアの推測にリザイラが頷いている中、ベルフェゴールに尋ねられたアルティナは静かな表情で答えた。

 

「まあ今のあたし達には関係のない事だから、気にしない方がいいと思うわ。……そう言えば普通に疑問なんだけど何で未来の時代にいるあんたが今の時代にいるのかしら?」

「それに”未来のキーア”という言葉も気になるが……まさか未来の”零の至宝”もこの時代に来ているのか?」

「ええ。そして私にとって先祖にあたるエイドス達も”時代を超えて”この時代にいるわ。」

サラ教官とトヴァルの疑問にサティアが答えたその時、空気が凍りついた!

 

「え、えっと……サティアさん……?今、エイドスさんの事を”先祖”って言いましたけど……」

「……”ブレイサーロード”の娘が”空の女神”の血を引いているとなると、”ブレイサーロード”や”剣聖”自身も”空の女神”の子孫になるが……」

「ええ。エイドスはエステルや私にとって”先祖”よ。―――エイドス・クリスティン・ブライト。それが彼女――――”空の女神”の本名よ。」

表情を引き攣らせているリィンとユーシスの疑問にサティアは苦笑しながら答えた。

 

「そ、そう言えば以前レグラムに行った時クラウスさんがエイドスさんがエステルさんの遠い親戚だって言ってた事を話してくれたわね?」

「あ……………」

ある事を思い出したアリサの言葉を聞いたリィンはレグラムのギルドで再会したクラウスのある言葉を思い出した。

 

 

エステル様のご説明によると何でもエイドス様はエステル様達―――”ブライト家”の遠い親類に当たるとの事です。

 

 

「ま、まさか本当に言葉通りの意味だったなんて……」

「というか女神様に子孫がいる事自体が信じられないですよね?」

「まさかあの娘やカシウスさんがエイドスの子孫だなんてね…………あの娘やカシウスさんが滅茶苦茶強い理由は”空の女神”の子孫だからっていう理由があるのかもしれないわね……」

「オイオイ……洒落になっていねぇぞ、その推測。」

「あの非常識親娘はどこまで非常識になれば気がすむのだ!?」

クラウスのある言葉を思い出したリィンは表情を引き攣らせ、空の女神に子孫がいる事にエリスは信じられない思いを抱き、サラ教官とトヴァルは疲れた表情をし、ユーシスは呆れた表情で声を上げた。

 

「クスクス……ちなみにエイドス、エステルに”お祖母(ばあ)ちゃん”って呼ばれた時凄いショックを受けていたわよ?」

「ええっ!?」

「め、女神様を祖母呼ばわりするなんて……」

「本物の”神”であるフェミリンスと一緒に普段行動しているあの娘にとっては”空の女神”も大した事のない存在なのでしょうね……」

微笑みながら答えたサティアの言葉を聞いたアリサは驚き、エリスは信じられない表情をし、ミシェルは疲れた表情をし

「そう言えば……トリスタにいるリィンに会いに行く前にエステル達に会いに行った時にエステルの事をお義母様(かあさま)って呼んだら、凄いショックを受けていたわよ?」

「ア、アイドス!?何でエステルさんの事をそんな風に呼んだんだ!?」

アイドスの話を聞いたリィンは信じられない表情で尋ねた。

 

「あら。私にとって姉にあたるアストライアお姉様――――サティアお姉様の母親がエステルなのだから、彼女は私にとっても”母親”になるでしょう?」

「え、えっと…………た、確かにそうなるんだが……」

「だからと言って今まで赤の他人であった年下の娘を”母”呼ばわりするか?」

「なるほどね……”あの性格”は先祖代々どころか、女神にまで影響しているようね……」

「そりゃ先祖の女神が”あの性格”なんだから、他の女神に影響してもおかしくないだろ……」

アイドスの指摘にリィンが困った表情で答えにつまり、ユーシスが呆れている中、サラ教官とトヴァルは疲れた表情で溜息を吐いた。

 

「えっと……それで肝心のサティアさん達が時代を超える事ができた方法を聞いていないのですが……」

「……自分達の仲間の人達以外には絶対に秘密にして、その人達にも第三者にも漏らさないって約束できるのなら話してもいいわよ。」

アリサに尋ねられたサティアは静かな表情で答え、リィン達は顔を見合わせて頷いた後了解の答えを口にした。

 

「わかったわ。――――私達が時代を超える事ができたのは、ミントのお蔭よ。」

「へっ!?」

「ハアッ!?何でそこでミントが出てくるのよ!?」

そしてサティアはリィン達にミントの正体――――時空を超える事ができる”真竜”であり、またミント自身も対象の時間を操る事ができ、自分達がクロイス家との戦いに参加する為に時代を超えた事を説明した。

 

 

説明
第538話
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コメント
匿名希望様 まあ把握したところでどうしようもないですが サイバスター様 まあミントの力を悪用しないと信じているから教えたのではないでしょうか K'様 そりゃ仕方ないですよ。キーアはまだ子供ですし 本郷 刃様 そうですね。それを考えたらキーアがやっぱり優しい事が証明されますね(sorano)
あらゆる行いや物事においてメリットとデメリットは存在し、誰でも自分の大切な人には依怙贔屓するものですよ、むしろ子供があかの他人まで救おうとしたことを考えれば十分じゃないですかね?(本郷 刃)
でもそれってえこひいきですよね?>キーア 好意的な目ではちょっと見れない……です(K')
自分としてはやっぱり今更感があるけど言います。これを見て不快感感じてしまったらすみません原作の空シリーズから知ってる自分としてはエレポニア帝国は侵略国と言う印象があるのでリインたち自身の本来の歴史を教えるのはいいですけどミントや時間移動のことまで詳しく言わなくてもいいのでは?(サイバスター)
いい方面ばかり見てますけど世界が変わったことによるデメリットも把握しましょうね(匿名希望)
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