語られし者たちとIS 世界樹大戦 第43話 仕事の依頼 新たな戦いの開始宣言 |
キャノンボールファストが行われた次の日
学園は休みだが、世界樹大戦の参加者にとっては重要な日となっている
この日は第1回戦を通過するために必要なアイテム集めに使える最後の一日である
ほとんどのメンバーはすでに終えているが、それでも次の戦いのために修行として、アイテム集めを続けている
そして最終日も終わり、結果が発表される
結論から言えば、予選を勝ち抜いた16名は全て通過した
だが、予選を通過した時とは違うことがあった。ナビミュウがやってこないのだ
第1回戦終了の知らせは異世界の空から女性の声である
「只今を持って第1回戦は終了。16名が通過した。第2回戦の詳細は2週間後、知らせる」
とても淡白で簡単なものである
この知らせに疑問を持つ参加者は大勢いたが、疑問を解決する方法はない
とにかく第1回戦をクリアできたということを喜ぶことにした
それはどの参加者も同じである
「やっほー、織斑君、篠ノ之さん」
「えっと、確か黛先輩でしたよね?」
次の日、2時間目の後休み時間に一夏の教室には2年生の黛が来ていた
楯無の友達ということもあり、一夏も何度かあったことがある
「何か用ですか?」
「えっと二人に頼みがあるの」
「私たちにですか?」
「そう、私の姉が出版社で働いているんだけど、専用機持ちの二人に独占インタビューをしたいって頼まれたの。この雑誌なんだけど」
「この雑誌ってISと何か関係が?」
薫子が見せてくれた雑誌は、モデル雑誌
表紙を見る限り、ISに関わるような内容は記載されていないように思える
「あれ? 二人ともタレント的な仕事はしたことがないのかな? 専用機持ちって普通は国家代表か候補生のどっちかだからアピールのためにモデルやタレント的なこともするのよ」
薫子の説明に納得する二人。そこでチャイムが鳴ってしまったため、続きは放課後、剣道場に集まることになる
箒は部活のため、薫子は部長への取材があるためである
一夏は剣道場に用事はないのだが、予定もないため、剣道場に行くことを承諾している
(さて、どうなるのかな? 俺はどっちでもいいけど、多分箒は取材とか見世物になるようなことは嫌いそうだし……)
一夏はそんなことを考えながら剣道場に向かっている
到着するとすでに薫子が来ていて部長にインタビューを取っている。他の部員は、練習をしているようだ
一夏が来たことに気が付いたのか、薫子は一度部長へのインタビューを中止し、一夏の下にやってくる
「ごめんね、呼び出しちゃって。もう少しで休憩らしいからそれまで待とうか。織斑君はあの話、やってくれる?」
「取材ですよね? 俺は構いませんけど、箒の奴が何ていうかわかりませんよ。たぶんですけど見世物にされるみたいで嫌だとか言いそうですし」
「織斑君一人だけ取材って言うのも面白そうだけど、二人とも連れて来てって言われているから何とかしないといけないんだけどね」
薫子が考えていると、箒がやってきた。休憩時間なのだろう
「ああ、篠ノ之さん。今日の休み時間の話、考えてくれた?」
「申し訳ないですが、見世物にされるのは私の主義に……」
(やっぱりそう……)
断るだろう。そう一夏が思った瞬間
「忘れていた! 報酬だけど、この一流ホテルのディナー招待券を渡すわ。勿論ペアで」
思い出したかのように鞄からホテルのパンフレットを取り出し、二人に渡す
「……主義に反すると言おうと思っていましたが、何事も経験が必要だと思います。そのため、受けます」
報酬の話を聞いた箒は取材を受けると答えた
「そう、篠ノ之さんには断られると思っていたからよかった。次の日曜日、この住所に2時までに来てね。それじゃあ私は用事があるから。またね」
そう言いながら薫子は、住所を記した紙を二人に渡し、剣道場から出て行った
「いいのか? 箒って見世物にされるのは好きじゃなかったはずだが」
「わ、私がいいと思ったのだからいいんだ。それより、このホテルのディナーだが、一緒に行くのだろうな?」
「ああ、そりゃ仕事して何もなしって言うのは、良くないからな」
「そ、それならいい」
箒はご機嫌な様子で練習に戻っていった
(随分とあの子浮かれているわね)
「そうですね……それにしても取材か。一体何を聞かれるんでしょうね?」
(そうね、きっとIS学園の印象とか聞かれるのではないかしら?)
ジュディスと話しながら一夏は自分の部屋に戻ることにした
一夏は部屋に戻り、勉強をしているとノックの音がした
「はい、どなたですか?」
「楯無よ、簪ちゃんも一緒だけどいいかしら?」
更識姉妹が一夏の部屋にやってきた。すぐにドアを開けて応対する
「こんばんは、ちょっとお話しがあるんだけどいいかしら?」
「私も少し……」
「わかりました、飲み物用意しますからちょっと待っていてください」
「ありがとうね」
二人を招き入れながら一夏はお茶を入れ始める
「お話って何ですか?」
「早速だけど説明するわね。今度、専用機持ちだけで試合をすることになるの。目的は、専用機持ち達の強化ね」
二人にお茶を渡しながら、一夏は話を聞く
「でね、その試合形式が2人1組 つまりタッグなのよ。私はそれを利用して調べたいことがあるの」
「……箒の専用機についてかしら?」
三人の話に割り込む形でジュディスが話す
「さすがですね。ジュディスさん。楯無さんの考えをこうも簡単に読むとは」
「予想通りって顔をしているわよ。ローエン」
同じく割り込むローエン
「それは束さんが直々に作成した専用機だからですか? それなら俺でも……」
「勿論一夏さんのデータも取るつもりですが、それは簪の役目です」
「私だと……篠ノ之さんと上手く話せない気がするから」
ヒューバートの言葉に簪は補足する
一夏は若干成程と思ってしまった
簪の性格では、箒と調子が合わないだろう。一方、楯無は社交性が高いから問題ない
「一夏君のデータは入学した時に一緒に特訓したでしょ? あの時に大体データを取ったからそんなにかからないのよ。箒ちゃんのデータ取りは、私が自分でしたいことだからあんまり簪ちゃんに迷惑をかけたくないって言うのもあるけどね」
「成程、つまり俺には簪とペアを組んでほしいということですね? いいですよ」
「そんなすぐに決めていいの?」
一夏がすぐに返事をしたことに若干驚く簪
「反対する理由がないからな。それに簪と組んで戦う機会ってあんまりなかった気がしたからちょうどいいかなって思っていたし」
「ありがとう。私も一夏と一緒に……戦ってみたかったから……」
ちょっとだけ照れ気味に簪は答える
「一夏さんに承諾してもらえて良かったです。あなたの実力は相当ですから勝てる確率も高いでしょう」
「あら、褒めてくれるとは思っていなかったわ」
ヒューバートの言葉にジュディスだけでなく一夏も驚く
仮にも敵である相手から褒められるとは考えていなかったからだ
「……珍しい」
簪もそう思っているようである
「確かに本来は敵同士です。ですが、その状況になるまでは仲良くしたい、そう簪や本音がいうものですから」
「ひゅ、ヒューバート……」
「まあそうね。私もその意見には賛成よ、簪ちゃん。戦わなければいけない時はいつか来るけど、だからってずっと仲良くしてはいけないって言うのはさびしいからね」
「俺もそう思うよ。戦いは戦い、それ以外はそれ以外って」
「……ありがとう」
簪は恥ずかしがっていたが皆の意見を聞いて嬉しくなっていた
「ともかく、タッグ戦の発表は来週だからよろしくね」
「はい、簪、頑張ろうな」
「うん、お姉ちゃんにも負けないようにする」
「いうわね。もちろん手は抜かないからね」
三人は笑顔で話を終えた
アドバイス
「そう言えば楯無さん、簪。一つ聞きたいことがあるんだ」
「何かしら?」
話が終わり、二人が帰ろうとした時、一夏は思い出したかのように話し始める
「今度、黛さんのお姉さんの所に取材に行かないといけないのだけれど、何かアドバイスとかありませんか?」
その質問に二人はなるほどという風にうなずく
「一夏も専用機持ちだからそういうお仕事が来たんだ……ごめん、私からは特にないかも。聞かれたことに対して答えるとか相手の指示通りにしか動かなかったから」
「そうね、私もそんな感じよ。一夏君、あんまり緊張しすぎてもしょうがないし」
「でも一夏さんは男性ですから何か特別なことをするかもしれません。少々覚悟しておいた方がいいかも」
ローエンはフフフとお茶目に笑っている
「ですが、いつも通りの一夏さんでいいと思います。変に格好つけても恐らく指摘されるだけで効果はないと思います。ありのままの一夏さんを見せればいいと思いますよ」
だが、最後にはいいアドバイスをする
さすがだと一夏は思った
今年初投稿です。
遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした。
亀更新かもしれませんが今後も頑張って投稿していきます。
感想・指摘等あればよろしくお願いいたします。
関係ないですが、ゼスティリアは、一応クリアしました。楽しかったです。
フェスティバルも行きたいです……
説明 | ||
書かせていただきます。 今回から7巻の話です。 |
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