恋姫無双 袁術ルート 第五話 南陽のお祭り 
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第五話 南陽のお祭り

 

 

・・・・・・

 

「う、う〜ん・・・」

 

・・・・・

 

「はっ!!あーなんか嫌な夢をみたよ〜な・・・どうも昨日のことが思い出せないわ・・・」

 

・・・・・

 

私の名前は、孫策。江東の虎と呼ばれた孫堅の長女にして呉の現王。容姿端麗にして一騎当千の武を誇る英雄と自負している。

 

う〜ん・・・・確かきのうは・・・そうだ!あのくそ生意気なガキの袁術から使者がきて、

傘下に加われって言ってきたのよね?ぶっ殺してやろうかと思ったけどその使者の一刀が私好みのいい男だったから客将としてなら袁術に下ってやろうと思ったんだ。

それから、みんなで南陽の街に来てあのくそガキに挨拶に行ったんだ。民を苦しめているものならぶん殴ってやるつもりでね。

 

そして、南陽の街に着いたら・・・・・・う〜ん・・この辺りで記憶がないわ。どうしてかしら?きっと、思い出したくないくらいひどい暴政をしていたんだわ!そうよ!そうにちがいないわ!絶対にあの袁術が納める街が――――だったなんて信じられない。やっぱり殺そうかしら?

 

コンコン

 

「誰?」

「俺だよ、一刀だよ。おはよう雪蓮。だいじょうぶ?ひどくうなされていて廊下まで声が聞こえてきたよ。」

「大丈夫よ、ちょっと嫌な夢を見ていただけだから・・・ってここどこ!?」

「どこって?ここは美羽の城の一室じゃないか。あのあと、雪蓮たちは気を失って侍女たちに運ばれて行ったんだよ。覚えてない?」

「うーん、あんまり覚えてないわ・・・」

「そう、ところで今日は冥琳と祭さんを一緒に街を紹介するつもりだったから雪蓮も呼びに来たんだけど・・・体の調子が悪いんなら今日は止めにしておく?」

 

・・・・・

 

「いいえ、私も行くわ。」

「そう。じゃあ、城の正門前で待っているから、準備ができたら来てね。」

「ええ、分かったわ。」

 

・・・・・一刀は部屋から出て行った。

 

ふう、早く頭を切り替えないと・・・あんなの夢に決まっている。袁術の街が――だったなんてね。早速、街の様子を見に行かなくちゃ。ここが新たな拠点になるのかもしれないのだから。

 

建業は貿易が盛んで国庫が充実できる理想の地だ。せっかく手に入れたのだからそこに移らない手はない。さすがの袁術もそうするだろう。

 

「え〜と、一刀は正門で待っているのよね・・・。」

 

私は急いで準備し、正門に足を運んだ。すでに、冥琳と祭も到着していた。

 

「よし、これでみんな揃ったね。じゃあ早速街を案内するよ。」

 

こうして私たちは、一刀に街を案内させてもらった。

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

・・・

 

 

「目が〜!!目が〜〜〜!!!」

「「「もう、ム●カネタはいいっちゅうねん!」」」

 

ピシ!

 

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俺の名前は、北郷一刀。聖フランチェスカ学園2年生改め美羽の側近だ。今日は新たに袁術軍の客将になってくれた孫策さま御一行に自分たちの生まれ変わった街を見てもらうために見学に来てもらった。

でも、かんじんの雪蓮は街を見るなり発狂してしまう。・・・・この人本当に大丈夫なのだろうか?

 

「雪蓮、諦めろ。これは現実だ。」

 

この人は冥琳。かの美周郎と呼ばれるとても美しい人物である。(女性だけど) 今この中で最も冷静な人だろう。・・・・昨日は一番発狂していたけど。

 

「そうじゃ、策殿。現実を見てくだされ。」

 

この人は黄蓋さん。真名は祭さん。あの有名な『苦肉の策』の主人公だ。三国志の漫画を見た時は、その忠誠心により自分たちの王や国を助けた姿勢に感動を覚えたものだ。・・・・昨日まではね。

 

 

「それにしても、わずか一年足らずでここまでの繁栄を築くとは。一体、どうやったのだ?」

 

冥琳は、興味深そうに聞いてきた。

 

「みんなで、協力し一丸となって国政に力を注いだ結果だよ。別に特別なことなんてしていないよ。」

「信じられない。それだけでこんなに良くなるとは・・・」

「ところで、北郷。あちこちに見慣れない建物や施設があるようじゃが・・・あれらは一体なんじゃ?」

「あれは、区役所、あっちにあるのが学校で、その奥のほうにコンサート会場があるんだよ。」

「くやく?がっこう?こんさーと?そう言えば昨日街の人間も聞きなれぬ言葉を使っていたな。・・・天の国の言葉か?」

 

そうか、この時代は学校はおろか区役所もないんだ。

 

「うん、区役所は東西南北のその区ごとに設置してある。おもな仕事は税収や労働者の働き口を探してあげる所だ。あと、店を出すときの許可証を発行してくれたり、子供が生まれたときに籍を作ったりもする、とても重要な機関だよ。」

「ほう、確かにそうすれば各店舗の売り上げ料が把握できるし、籍を作ることによって人口も把握できる。そして、それらを把握できれば税収も行いやすくなる・・・・ということか。」

「さすが冥琳だね、そこまで気づくなんて。美羽なんて「いちいち許可をするなんて面倒臭いのじゃ!好きにやらせたらよかろう。」とか言っていたのに。」

「あんな奴と一緒にするな。」

 

冥琳は鼻で笑っている。

 

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「北郷、がっこうとはなんじゃ?なぜか、あの建物には近づかんほうがいいと儂の感がそう答えるのじゃが。」

 

祭さんは、なぜか学校を前におびえている。・・・・・なんで?

 

「学校とはここで言うと私塾のようなものだよ。子供たちを集めて一定以上の教養を身に着かせるんだ。そして、優秀だった者たちにはその先の中学校というところに入ってさらに勉学に励んでもらうんだけど・・・話が長くなるからこの辺でやめとこう。」

 

余談だが、もちろん美羽も学校に行かせている。本人はかなり嫌がってたみたいだけど同世代の友達ができたようで結構気に入っているようだ。

 

「なるほどな、将来の文官候補を育成するのにとても効率がいい。・・・だが、危険ではないか?へたに知識を授ければ、それを悪用する者や王に危害を企てようとする者も現れる。もしくは、その知識を持って敵国に仕官するかもしれんのだぞ。」

 

・・・・どんだけこの人は賢いんだ?この方法は2000年以上もあとの政策だというのに。おそらく、この人は俺の世界に来ても食って行けるだろうな。

 

「そうだね、確かにそれは気がかりだった。だから、知識を与える前に、誰のために知識を使うかということを徹底的に教え込むんだ。王の、王による、王のためにその知識を生かさせる、そういう風に教え込めば忠誠心のある文官が出来上がるって寸法だよ。」

 

いわゆる洗脳教育だ。日本にいたころの俺はこんな某国の教育方法なんて反吐が出るくらい嫌いだった。でも、ここでは違う。王は皆の絶対的な存在でなければならない。それがこの世界の常識だ。いくら俺の世界の常識を振り回してもそれはただの綺麗事にしかならない。結局、『その世界にはその世界のルールがある』。ということを俺は学んだ。

 

「ふむ、『王がいるから私たちは生きていける』ということを教え込むということか。それなら忠誠心のある良い文官になるだろう。」

 

冥琳は感心したように褒めてくれた。でも俺の心の中で何かが痛んだ。もしかしたら俺は冥琳に『そんな教育方法は間違っている』と言って貰いたかったのかもしれない。そんなこと言えるわけないのに・・・・

 

「どうした?北郷。」

「いいや、何でもないよ。」

 

ふっ、俺は何を期待していたんだ?我ながら女々しいな、北郷一刀。

 

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案内途中、街の中心部に広い広場とさらにその中央に大きな台があった。

 

「ここが、街の中心部だよ。ここから東西南北好きな方角に行ける。」

「交通整理もしっかりしている。本当にお前には驚かされてばかりだな。」

「大したことはない。」

「ところで北郷。あの台座はなんじゃ?」

「ああ、あれはコンサートステージだよ。」

「こんさーと?なんじゃそれは?」

「昨日のご老人達も言っていたな。なんなのだ?それは」

「あの台の上にあがってみんなに歌や音楽を聞かせたり、芸を見せるためのものだ。ここが広いのも見学人たちのためだよ。要は民衆たちの娯楽だね。」

「ほお、音楽か。」

「ん?冥琳って音楽に興味があるの?」

「うむ、琴を少々な。」

「ふーん。」

 

まあ、この人はあの周瑜だもんな。史実でもかなり音楽に精通していたっていうし。

 

「だったらさ、明後日の祭りに参加してみない?」

 

・・・・・・ピク!

 

「祭り?」

「うん、明後日の夜にここで催し祭があるんだよ。自分たちの音楽や歌、芸や特技といったものを見てもらい競うんだ。俺も美羽の相方として出場するつもりだ。」

「ほう、面白そうだな。」

「儂は歌や音楽は苦手じゃの〜」

「・・・・・・・・」

「別に、歌や音楽じゃなくてもいいんだよ相手が感動したり、驚いたり、あっと言わせるような事が高得点なんだから。」

「いや、祭りは大好きなのじゃが、見せ物というのは・・・、儂は辞退させてもらう。」

 

結構、楽しいんだけどな・・・

 

「ふむ、祭殿が出ないなら私も止めt「出るわ」・・・・え?」

 

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突然、声が聞こえた。一体どこから!?

 

「ん?いたのか?雪蓮。」

「おお、策殿。いたのですな?」

 

そうだ、すっかり忘れていた。いたんだよこの人が。二人もしっかり忘れていたようだ。

 

「きーーー!!最初からいたわよ、最初から!!何よ!みんなして私のことを忘れて!」

「いや、だってすごく静かだったし・・・ねえ?」

「ああ、静かだった。」

「うむ、静かじゃった。」

「うきーーーー!!!」

 

猿か?このひとは。

 

「で、雪蓮。お前がいつも突然なのはわかっているが、今回はなぜだ?」

 

いつもなんだ・・・

 

「だって、だって!悔しいじゃない!どこに行っても袁術さま〜ってみんなが噂しているんだもの。あいつが、あいつが名君主になっているってのは気に入らないわ!」

 

うわ〜!ぶっちゃけたよ、この人。

 

「・・・・雪蓮よ。今の台詞は完全に負け犬の遠吠えだぞ。」

「策殿・・・草葉の陰で亡き堅殿も泣いておろう。」

「ううう・・・」

 

さすがに忠臣の二人に言われてバツが悪そうなしかめっ面になっている。・・・少しだけ、こんな雪蓮がかわいいと思ってしまう自分がここに居た。

 

「でもさ、でもさ!もしかしたらここが私たちの拠点になるかもしれないのよ。一刀だって建業に移るつもりでしょ?」

 

雪蓮は呆れている忠臣たちに言い訳するように言葉を結んだ。

 

「まあ、確かにここより経済の流れが活発だし、地形的にも優れているからね。七乃さんにも相談したら移った方がいいって話だから、たぶん・・・移るかもしれない。」

 

俺は少し言葉を選ぶべきだったと反省した。こんな事ここで言うべきじゃない。建前上とはいえ俺たちはこの人たちにとって侵略者なのだから。

 

「北郷、遠慮することはない。せっかく手に入れた土地だ。有効活用しない手はない。」

 

冥琳は、俺の顔を見ただけで俺が何を考えているのかすべて悟ってくれた。

 

「でも・・・」

「これは我らが選んだ道でもある。お前の気にすることじゃないさ。最も、時期が来れば返してもらうがな。その時は覚悟しておけ。ふふふ。」

「冥琳・・・・・」

「北郷・・・・・」

「ゲフン、ゲフン!!人の話を聞いてる?一刀。冥琳?」

「も、もちろんだ。///」

 

ああ、せっかくいい雰囲気になっていたのに。このKYめ!

 

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「た、確かに、お前の話にも一理ある。民衆たちに前太守の方がいいなどと言われたら我らの風評ににも影響が出る。」

「でしょ、でしょ!だから出場して優勝して一気に名前と顔を覚えてもらうって寸法よ。とても効果的じゃない?」

「ふう、もし私が否といってもあなたは聞かないのでしょう?」

「もちろんよ。」

「ならば、もう答えは出ている。我が知略を集結させ、必ずや優勝に導いてやる。」

「さすが冥琳♪」

 

(冥琳って本当にいい奴だな。これが『断金の契』ってやつか。)

 

などと関心しているときに雪蓮が訪ねてきた。

 

「ところで一刀。優勝賞品って何?」

 

優勝賞品?この人王さまのくせに結構がめついな。

 

「優勝賞品は、俺の国、天の世界のお酒だよ。」

 

・・・・・・ピク!

 

「日本酒って言ってね。米から作った酒なんだ。お刺身とか鍋とかにとても合うお酒だよ。」

 

この時代、酒などは意外と高級品らしく一般人はおいそれと飲めるようなものではなかったらしい。ましてや天の国の酒と聞いたら帝ですら飲んだことのないような物であろう。優勝賞品としてはもってこいの品物である。

 

・・・・N●K教●テ●ビを見ていてよかった。

 

「へえ、天の国のお酒か・・・冥琳、絶対に優勝するわよ!」

「はいはい、ん?ところで祭殿はどこへ行ったのだ?」

「あれ?さっきまで一緒にいたのに・・・ま、祭ならだいじょうぶでしょ。さあ、冥琳。早く戻って練習しましょ♪」

 

こうして、街を案内が終わり、俺たちは袁術の城に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

・・・・・・

 

 

・・・

 

 

 

 

 

 

「着いたわ、ここよ姉さんたち」

 

 

「ふ〜、やっと着いた〜!もう、クタクタよ!」

 

 

「お姉ちゃんお腹すいたよ〜」

 

 

「はいはい。でも、まずは宿を探しましょう。食事はそのあと」

 

 

「「え〜〜!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このとき俺は気づいていなかった。まさかこの祭りがあの三国志最悪の大事件の引き金になってしまっていたということに・・・・・

 

 

 

つづく

 

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あとがき

 

こんばんは、ファンネルです。

 

ついに来ました!第五話。

 

もう、自分の妄想が止まらない。本当にやばくなってきたかも。

 

旅行をしているっていうのに、USBを持ってきてネットカフェで投稿してしまっていた。

 

三日後って言ったのに・・・・orz

 

 

こうなったら、もう自分のペースで話を進めようと思います!!

 

 

では皆さん、次回もゆっくりしていってね。

 

 

説明
こんばんわ、ファンネルです。

皆さんの感想が聞きたく、ネット喫茶から投稿しました。

三日後って言ったのにごめんなさいね。早く投稿したくてもう我慢できなかったのです。

では、今回も“ゆっくりしていってね”
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コメント
お酒ときけば祭も出るでしょう(アイエス)
ムスカってなんでこんなおもろいねん!(motomaru)
皆さん、いろんなコメントをありがとうございました。(ファンネル)
ムwwwスwwwwカwwww最高です。美羽さまルートのSSは数が少ないんで、続きが楽しみです。祭さんの隠し芸が気になります。(EOS)
優勝賞品は日本酒ですか・・・祭さんいったいなにを披露するのかな?いまから楽しみですよ。(ブックマン)
ネカフェでこれをつくるとは・・いやはや感服いたしました。(brid)
黄巾の乱勃発?祭はやっぱり・・・。旅行先からとは・・・。大切な時間時間なのに有難う! 次作期待 P.Sコメント返信有難う御座いました(クォーツ)
旅行中でも投稿してくれるなんて、あなたは作者の鏡ですwww 祭は酒の味見にでも行ったんですかね???(フィル)
旅行気をつけてくださいねー、次回が楽しみです。(YOROZU)
旅行中でも投稿してくれるファンネルさんに敬礼w (`Д´)ゞ(cheat)
名作は時代を超えたwww(k.s)
さて、時代が動く時期になってきましたか・・・・fmfm。 さて、祭りはどのような愉しい展開を見せてくれるか愉しみです^^w(Poussiere)
旅行中にも、投稿してくれる そんな作者様は素敵ですw  でも、無理して投稿してるなら 体を壊す可能性があるので・・・・無理せず、旅行を愉しんでくださいw (Poussiere)
少し、気になった所あったので報告 5p目 「きーーー!!最初からいたわよ、最初から!!何よ!みんなして私のことを忘れて!」 きーーーだと 麗羽になります^^; もーーーと言えば雪蓮になるはず・・・・w(Poussiere)
祭が祭りで大暴れ?(乱)
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