真・恋姫†無双 裏√SG 第26話 |
【晋】が表に上がるとき
秋蘭「さて、全員揃ったな。遠路はるばる来てもらって早々で悪いが、状況は最悪だ」
許昌城の会議室にて。
この場には私と零士と雪蓮の【晋】組。
秋蘭、凪、氷華の許昌組。
禀、桂花、音々音の魏組。
穏、明命、シャオ、美羽、七乃、雷蓮の呉組。
そして桔梗、桃香の娘の劉禅こと風香、それに…
咲夜「お前誰だ?」
白蓮「白蓮だ!結構な付き合いなんだから、いい加減覚えろ!」
恐らく初対面だと思われる白蓮とやらの蜀組が一同に揃っている。
なかなかの面子だが、その全員の顔は暗い。当然だろう。状況は正に最悪と言っていい
氷華「洛陽陥落。それに伴い、父上を人質に徐福と言う王への政権交替」
雷蓮「さらには、外敵五胡が大軍を率いて攻めてきている。圧倒的に不利過ぎるわ」
風香「か、各地の賊も、い、一斉蜂起したみたいに、あ、暴れてる…ど、どうしよう…」
三人の次期王となる娘達が現状を簡単に説明してくれた。
改めてこうして聞くと、厄介極まりない
禀「賊はこの際、各地の駐屯兵に任せるにしても、大きな問題は二つ。五胡と洛陽の件ですね」
メガネをクイっと挙げて禀が言った。随分久しぶりに会ったが、あまり変わらないな
穏「五胡の対処は現在、祭さん、焔耶さん蒲公英さんを中心に防衛線を引いてもらっていますがー、早く決断しないと一気に瓦解するでしょうねー」
大きな胸を揺らせて穏が言った。
胸が揺れるたび、貧乳党と呼ばれる組織の人間が睨んだ気がしたが、今は後回しだ
音々音「とは言え、洛陽もなるべく早く奪還しないと、徐福とか言うクソッタレな化け物に国をめちゃくちゃにされるですぞ」
音々音の言う通り、先に五胡を追い返してから洛陽奪還という案もあったが、それは徐福という存在が発した言葉によって却下される事になった
徐福曰く
「全て国民は、余の管理のもと、余の為のみに働いてもらう。さすれば、恒久の平和と、労働に見合った対価を支払おう。逆らう者は、その血で田畑を耕す事になる」
とても穏やかとは言えない暴君の言葉。
零士の見解では、管理とは即ち奴隷、そしてその対価は恐らく麻薬。
国民を麻薬漬けにして支配するのだろうという事。
ある意味平等にはなるだろう。
だが、それは人間の尊厳や自由を奪い、人扱いしないという事だ。
そんな平等、あっていいわけがない
さらに言えば、捕虜となった武松曰く、徐福はかつて始皇帝の時代に居た徐福当人であり、梁山泊の力を持ってしてでも仕留める事が出来なかった生粋の怪物らしい。
その徐福との対峙の際、梁山泊は頭領である宋江を人質に取られ、止むを得ず従っていたとか。徐福単体でも、十分に危険な人物だ
桂花「じゃあ、やっぱり当初の予定通り、二面作戦を敷くしかないわね」
猫耳軍師こと桂花が言った。
外敵を迎え撃つ国境防衛組、そして洛陽を奪還する徐福攻略組。
この二つの部隊による二面作戦だ
明命「しかし、蓮華様達がいない三国を、さらに分けての二面作戦は、些か危険ではないでしょうか?」
明命のいう事ももっともだ。この作戦、三国だけでやるとなると成功確率は低くなる。
指導者や主力が居ない穴は、あまりにも大きいのだ
だが…
雪蓮「何言ってるのよ、明命。その為に私達【晋】がいるんじゃない」
雪蓮の言う通り、この作戦には私達【晋】も全面協力する事になっている。
もちろん、店の人間も了承済みだ
桔梗「ほう?あの【晋】が動くか?このような国の事情には首を突っ込まないのがお前達であると思っていたが」
桔梗の指摘ももっともだろう。
私達は今まで、そう言った国の戦には関わらないように生きてきた。
その戦で誰が死のうが知った事でもない。
私達は私達の家族と、私達の手の届く範囲だけを守ってきた。
【晋】とは、見方を変えればそう言う冷え切った感性の持ち主の巣窟なのだ
だが、今回は事情が変わってくる
咲夜「あぁ、基本的に戦争はお前達任せだ。だから死んでも五胡との戦には出ない。だがもう一つ、洛陽奪還には首を突っ込ませてもらう。あそこには、うちの家族がいるからな」
そう、今あそこには猪々子がいる。
あいつは北郷一刀の護衛として付いている筈だが、それでも北郷一刀は襲撃され、そして洛陽が落ちた。恐らく、猪々子にも危害が加わっている
私達は、他人はどうでもいいが、家族だけは必ず守ると決めている。
東家家訓第1条『家族を大切に』というやつだ
小蓮「ふーん、やっぱ【晋】は【晋】ね。まぁでもいいんじゃない?協力してくれるだけマシね」
美羽「シャオの言う通りじゃ。これ程心強い味方もおらんであろう」
秋蘭「迷惑を掛けるな…」
零士「あはは、そんなに気にしなくていいよ」
この場の誰もが喜びを表す中、秋蘭と凪だけは表情が暗かった
秋蘭と凪は、私達家族が戦場に出る事を最後まで反対していた。
それは、私や零士の事情もあるだろうが、やはり心配なのだろう。
この二人は、私達が戦わないで済むように、今まで頑張っていたのだから
白蓮「ただの飯屋に何が出来る?って言いたいところだけど、こいつらの場合ただの飯屋じゃ済まないからなぁ」
七乃「あれ?あなた誰でしたっけー?」
白蓮「おぉい!?お前はわざとだろそれ!?」
そしてこのままさらに、会議は続いていき、二面作戦の面子割りが完成した
国境防衛組
穏 亞莎 祭 明命 小蓮 美羽 七乃
季衣 真桜 禀 桂花
焔耶 蒲公英 桔梗 白蓮 南蛮ズ
兵数50万
徐福攻略組
零士 咲夜 悠里 雪蓮 秋蘭 凪
月 詠 恋 霞 華雄 音々音 華佗
兵数3万
このような面子となった。
攻略組は主にうちの家の連中や、元董卓軍の面々で構成している。
理由は、その方が動き易く、また色々と勝手も知っているからだ
雷蓮「防衛組にはそれぞれ、私達次世代組が副将として付くのよね?」
雷蓮が防衛組の面子を見て言った。
防衛組は三国の現主力を使えるだけ使った構成になっている。
些か、蜀や魏に一騎当千級が少ない気はするが、そこは数や、若い奴で補うしかないだろう
桔梗「あぁ。ここには居らんが、呉の次世代組には特に頑張ってもらう。既に関平や夏侯充も国境沿いに出ておるから、上手く連携を取ってもらう」
桔梗がそれに答える。これは、親子二世代で挑む、大きな戦になるだろうな
桂花「防衛組の総大将は誰にしましょうか?ここはやはり、華琳様のご息女である氷華様が良いかと」
桂花の発言に、ピシリと空気が割れる音が聞こえた気がした
この大戦の総大将、それを次世代に務めさせるということは、その子が次代を引っ張るリーダーになるという考えが生まれてしまう。それは、三国同盟という1人の男を軸に安定している秤を傾けてしまう可能性すら出てくる。いつか必ず決めなければいけない事ではあるが、北郷一刀が存命である今は、触れるべきではない
咲夜「いや、今回の戦、雷蓮、氷華、風香は洛陽に連れて行く。お前達三人も、それでいいよな?」
私の発言に、穏や禀はホッとし、桂花は隠す素振りすら見せずに舌打ちしていた
雷蓮「そうね。今は跡目より、親の救出を第一に考えたいわ」
氷華「同感ね。まぁ、別に私としては、防衛組の総大将を務めても良かったけど」
風香「わ、私には…無理…かな…?」
雷蓮と氷華はドッシリと構えているが、風香だけは頼りない。やはり、親子は似るものなのだろうか?
禀「では、改めて総大将はどなたにいたしましょう?居ない、という事も出来るでしょうが、やはり纏まる為には、誰かを置くべきかと」
禀の言う事はもっともだろう。
だがこの場で、総大将を務めたい、と言う奴は居るだろうか?
総大将とはつまり旗なのだ。
その陣営の象徴にして、兵士の士気を上げる事も下げる事も出来る存在。
士気を下げない為には、やはり王の素質を持つ者の方が好ましいが…
それがこの場に居ない事はない。だが、多少の不安もある。
何故なら、私の知る限り、その二人がそれだけの人数を率いたと言う話を聞かないからだ
雪蓮「みんなもう分かってると思うけど、この防衛戦の総大将を務めれる人間なんて、小蓮か美羽しかいないわ」
小蓮「うぇ!?」
美羽「なんと!?」
雪蓮の言葉に、小蓮と美羽は驚きを隠せていないようだった。
さらには、大量の汗をかき、目が凄い勢いで泳いでいる
ちょっと意外だった。この二人、結構な目立ちたがりだと思ったが、そんな事はないのか?
七乃「あははー!お嬢様ったら、こんな大軍を率いる経験なんて、18年前でもありませんでしたからねー。上がって吐きそうになるのも当然ですよねー」
美羽「な、何を言うか七乃…妾は別に…吐きそうなんて事は…ないぞ?」
七乃「産まれたての仔鹿みたいに足プルプルさせて、涙声で言われても説得力ありませんよー?もう、そんなお嬢様が可愛い!よっ!この三国一の小心者!こんな大役、お嬢様じゃないと務まらないぞ!」
……ずっと気になってたんだが、七乃は美羽の事、好きなんだよな?なんでちょっと小馬鹿にしてるんだ?
美羽「そ、そうかえ?妾にしか、務まらんかえ?」
そして美羽も、小馬鹿にされた事は気付かずに持ち上げられたな。
あいつの耳には、悪口が聞こえないようになっているのか?
雪蓮「シャオも、いいわよね?」
小蓮「え!?わ、私は…その…」
一方の小蓮は、どうにも自信が無さげだった
雪蓮「はぁ…孫尚香!」
雪蓮は深く息を吐き、ビリっと腹にくる声で小蓮の名を呼んだ。
小蓮はその声にビクッとなり、オドオドした様子で雪蓮の目を見た
雪蓮は腕を組み、小蓮を睨みつける。
その姿は、小蓮の姉であると同時に、かつての呉王の風格を感じさせた
雪蓮「孫尚香!お前は誰の子だ?」
小蓮「え?私は、お母様…孫文台の子…」
小蓮はビクビクと呟くように答える
雪蓮「そうだ!お前は、私達は、かの偉大な孫文台の血を引くものだ!それが何故震えている?何故自信がない?それでも呉の女か?」
小蓮「自信がない…?当たり前だよ!私は…シャオはお姉ちゃん達みたいに、立派でも優秀でもないんだよ!?出来る訳ないよ!代わりなんて…」
小蓮の声はどんどん覇気を失っていった。
小蓮にとって、きっと姉の存在はとても大きいのだろう。
そう、あまりにも優秀で、あまりにも鮮烈で、あまりにも輝かしい
雪蓮「誰が代わりになれなんて言ったかしら?私も蓮華も小蓮も、孫文台っていうハチャメチャな女から産まれたわ。でも、私達はそれぞれ違うのよ。趣味も、嗜好も、考え方も、私達はみんなバラバラでしょ?だから、私達を目指す事も、ましてや私達になろうなんて考えないで。あなたはあなたの王道を突き進んでみなさい。今回の戦は、そんな小蓮にちょっとした試験。やってみなさい、総大将。不安なら、あなたの親友と協力するくらいは許すわよ」
そう言って、雪蓮は美羽を見た。
それに対して小蓮は違うと言いかけたが、頬を染めるだけで口にはしなかった。
当の美羽も、そっぽを向いて頬を染めている。
なるほど、この二人は似ているのかもしれない
雪蓮「さぁ、孫尚香!見事大軍を率いて、迫り来る敵を追い返して来なさい!あなたなら、必ず出来るわ!」
その声に、小蓮はビリビリと体を震わせ、顔を紅潮させながら微笑んでみせた
小蓮「ふ、ふん!そこまで言うならいいわよ、やってやるわよ!見てなさい!お姉ちゃん達より上手くやってみせるんだから!美羽、付き合ってくれるかしら?」
小蓮はツンツンしながらも、少し嬉しそうにそう言った。
先程までの弱気な態度は見られない。
その姿は、雪蓮や蓮華、孫堅さんに似ていながらも、どこか違って見えた
美羽「ふん、仕方ない。良いじゃろう。この袁術様が、未熟な貴様を支えてやろう」
美羽も口ではそう言いつつも、少し嬉しそうだ
穏「それでは、総大将は小蓮様、その副官に美羽さんを付けますね。異論はありますかー?」
穏のまとめに、反対意見は上がらない。皆、異論はないようだ
穏「ありがとうございますー。それでは小蓮様?何か一言どうぞー」
穏が言うと、小蓮は少しビクリとするが、すぐに落ち着きを取り戻し、大きく深呼吸をして口を開いた
小蓮「この私が総大将に立つのだから、負けは許されないわよ!というか、負けるはずなんてないわ!勝利は私達の手の中にある!さぁ行くわよ!我らの敵を追い返す!」
『応!!』
小蓮の言葉に、この場の全員が気合いを込めて応えた
良い気迫だ。やはり小蓮にも、王の風格があるんだな
雪蓮「ちょろいわー。あの子、我が妹ながらちょろいわー」
ある程度話が纏まった所で、私達は【晋】で一旦休憩を挟む事にした。
すると、家に着いて一息ついたところで、雪蓮が大きな溜息と共にボヤいていた
咲夜「ちょろいってお前、台無しだな。て言うか、ありゃあお前じゃなきゃ焚き付けられないだろ」
あの小蓮の態度には、少なからず姉に認められた事による喜びを感じていた。
雪蓮自身は呉を離れたが、それでも小蓮にとって、雪蓮は今でも憧れなのだろう
零士「それにしても、シャオちゃんでもああいう悩みはあったんだね。ふふ、姉妹は似るものだねー」
雪蓮「れ、零士!?何を言ってるのかしら!?」
零士「さぁ、なんだろうねー」
何故か真っ赤になる雪蓮を、零士はニヤニヤしながら見ていた。
多分、昔の事でも思い出しているのだろう
悠里「あのー、そろそろあたし達にも、どうなったか教えてくれませんかー?」
悠里が若干つまらなさそうに言った。
気付けば、いつの間にか【晋】の家族全員と華雄、華佗が集結していた
咲夜「あぁ。当初の予定通り、私達は洛陽を目指し、猪々子の救出ついでに徐福を倒す事になった」
私は簡単に、先程話し合った内容を説明した。皆、黙ってそれを聞き、頷く
詠「人員も…こちらの要望は通ったみたいね。なんの因果かしら。まさかこの面子で、洛陽攻略に行くなんてね」
詠は洛陽攻略の名簿を見て苦笑を浮かべていた。
それもそうだろう。18年ほど前に起きた、反董卓連合とは間逆の状況なのだから
月「これに後、氷華ちゃんと雷蓮ちゃんと風香ちゃんが一緒なんだよね?」
零士「うん、じゃないと、三国の微妙なバランスが崩れるかもしれないからね」
零士がそう言うと、みんなが揃って苦笑を浮かべた。
本当にこの国は、北郷一刀を中心に回っているのだろう
秋蘭「そうだ秋菜、この許昌の守りはどうなった?」
秋蘭は事前に、秋菜に許昌の防衛の編成を頼んでいた。
私達がそれぞれ作戦に出ている間に、襲撃の可能性があるかもしれないからだ。
ここ許昌は、三国の中心とも言える都市。最後の砦でもあるのだ
秋菜「基本的には、警邏隊の面々で構成する事になりました。それと、甄姫さんたっての要望で、霰と璃々さんを含めた元司馬昭隊の面々が、防衛の指揮を執るそうです」
ほう?士希の部隊がか?
あいつの部隊員は、それぞれ能力が高いくせに、出世欲がまるでない連中だった。
と言うより、この許昌に固執している節がある。それは確か…
凪紗「既に璃々さんの同意も得られていますし、元司馬昭隊の方々が揃って『隊長の願いなので』と答えていました」
そうだ。霰もあいつらも、上司は今でも士希なんだ。
その士希の願いとなれば、動かない訳にはいかないだろう
咲夜「あいつの人望の厚さがよく分かるな」
凪「士希はとても優秀でしたからね」
そう、あいつは優秀過ぎた。だからこそ、世界に目をつけられてしまった。
それがあいつの、ただ一つの不幸だ
だが、今はあいつが育てた部隊に感謝だ。
璃々に霰に甄姫を筆頭に、恐らく許昌の街の奴らも協力してくれる筈だから、協力の守りはかなり堅くなる。十分だろう
華雄「数は3万か。これだけの人数だと、遠回りして洛陽の裏から入るのは、些か時間がかかり過ぎるな」
華雄が名簿を見るなり呟いていた。
確かに、3万と言う数字は多くはないが決して少なくはない。これだけの人数が行進となると、洛陽までかなりの時間が掛かる
流琉「やはり、水関、虎牢関を通る事になるのでしょうか?」
詠「速さを重視するなら、そうなるわね。そして、敵も無能ではないでしょうから、間違いなくここに兵を配置するわ。本当に、18年前の再現になるわね」
流琉や詠の言う通り、今回の攻略戦では水関と虎牢関を通る事になる。
あの、今でも難攻不落と呼ばれている砦を通る方が、難易度は高いかもしれないが、幾分か速く着くだろうから
華雄「ふん、あの時とは本当に逆だな」
詠「華雄?また挑発されて、一人で突っ走ったりしないでよ?」
華雄「もうそんな過ちは犯さんさ」
あの時と違う事があるとすれば、それは私達が成長した事だろう。
慎重に行けば、抜けられない事はない
悠香「あれ?この名簿、あたし達の名前はないけど、あたし達ももちろん行くんだよね?」
悠香が名簿を見て疑問を投げかけた。
その指摘に、咲希、秋菜、蓮鏡、凪紗も不思議という顔している
咲夜「もちろんだ。ただ、お前達には別の道で洛陽を目指し、ある任務に就いてもらう」
咲希「ある任務?」
子ども達みんなの視線が私に集中する。今回のこの作戦、この子達が鍵なのだ
咲夜「あぁ。お前達には、大回りして洛陽の裏から浸入してもらう。言ってしまえば、隠密作戦というやつだ。概要はこんな感じだ。
まず、私達大人組で、水関と虎牢関を突破する。その間に、お前達は裏から洛陽に辿り着け。
そして辿り着いたら、私達大人組が洛陽の正面まで来るまで待機だ。恐らく、洛陽でもう一戦ある筈だ。お前達子ども組は、そこからが本番だ。
私達が戦って注意を引いている間に、恐らく捕まっているであろう人質の救出、それに徐福とかいう化け物の始末をしてもらう。
徐福の始末は咲希、人質の救出は秋菜、蓮鏡、悠香、凪紗が担当しろ。
絶対にしくじるなよ。お前達の働き次第で、この大陸の命運も別れてくる。
ここまででざっと話したが、何か質問はあるか?」
私は今回の作戦を一通り話し、子ども達に問いかけた。
一応、細かく言えばまだあるが、大まかな概要だから説明は後ででもいいだろう
場は静寂に包まれる。質問はないようだ
悠香「なんか、特殊部隊って感じがしてカッコいいね!」
蓮鏡「そうねー。これが成功したら、私達は英雄ね!」
咲希「だな。楽な仕事じゃないか。コッソリ人質を救出して、徐福を殴りに行くだけだもんな!」
質問どころか、三人ほどかなり楽観的だった
秋菜「お前達…これでも一応、三国の存亡に関わる事なんだから、もう少し気を引き締めてくれ…」
そんなお気楽な三人に対し、秋菜は溜息を吐いていた。ほんと、この子には苦労を掛けるな
凪紗「………あの、質問よろしいですか?」
ただ一人、凪紗はずっと真面目に考え込み、手を挙げて聞いてきた
咲夜「なんだ?」
凪紗「いえ、少し考えていたんですけど、人質は恐らく北郷さん、そして梁山泊の宋江さんなんですよね?」
咲夜「多分そうなるだろうな」
凪紗「では、華琳様、蓮華様、桃香様はどうなっているのでしょう?三人は降伏したと言っていましたが…」
気付いたか。この場の何人かは、既にその可能性も考えていたようだが…
咲夜「既に死んだか、あるいは服従したか。徐福曰く、北郷一刀を人質に三国に降伏を求めたのだから、恐らくは後者だろう。あいつらは、今や徐福の駒に成り果てた。つまり…」
詠「僕達が相手にするのは、三国の首脳陣達になるわね」
詠が私の言葉を引き継いで言ってくれた。その言葉に、凪紗の表情は焦りを見せる
凪紗「そんな…と言うことは…」
零士「うん。僕らの相手は、曹操、夏侯惇、程c、孫権、周瑜、甘寧、劉備、関羽、張飛、趙雲、黄忠、諸葛亮、?統になるかな。こう、ざっと言ってみたけど、ゾッとするほど豪華過ぎる面々だね」
さらにもしかしたら、麗羽、斗詩、猪々子、桜、京、高順も立ちはだかるかもしれない。
翠も洛陽にいるが、あいつは負傷していたから、その傷次第になるだろう
秋菜「勝ち目はあるんですか?」
当然の質問を秋菜がする。その顔は、不安が隠し切れていなかった
だが、その心配は全くもって意味を持たない
雪蓮「当然ね。私達を誰だと思っているの?」
秋蘭「そうだな。華琳様には悪いが、相手が悪かったとしか言いようがない」
凪「何せ、我々は反則級ですからね」
悠里「むしろ、あたし達に勝てる人なんていますかね?」
咲夜「ということだ。むしろ、負ける気がしない」
私達5人は揃って言い放ってやった。
そうだ、相手は確かに強大かもしれない。だが、私達はそのさらに上なんだ
詠「まぁでも、この作戦が成功したら、僕達は本格的に三国を落とせるって証明になるわね」
月「大丈夫だよー。私達にそんな気はないし」
流琉「あ、あはは…華琳様達は、それだけが救いですよね」
流琉だけは苦笑いだが、その流琉も十分過ぎるほど強い
華雄「私はあの時の雪辱を晴らす事になるわけだ」
零士「殺さないように気をつけないとねー」
華佗「だな。怪我ならば、俺が治してやろう!」
子ども達は大人組を見て苦笑いだった。
その気持ちもわからんでもない。私達は余りにも、自信に満ち溢れていたのだから
咲希「お父様達の心配は無駄だな。私達は私達の心配をすればいい。徐福を倒して、私達の平穏を取り戻すぞ」
咲夜「あぁ、そうしてくれ。私達は、三国を救う為に、三国と戦う」
この日、私達【晋】は、表舞台に立ち上がった
私達を表舞台に引っ張り出したこと、後悔させてやる
あとがき
こんにちは!桐生キラです!
久しぶりにあとがきを書かせてもらいます(笑)
はい、といった感じで、【晋】が戦場に出る事になりました。
続編を書くにあたって、【晋】が三国と戦う展開を書いてみたいなと思い、さらには、あったかもしれない反董卓連合戦を再現したいと思い、こういった展開になりました。
ただ、原作連合戦とは違い、防衛ではなく攻撃側!
華雄が!霞が!恋が!音々音が!詠が!月が!あの時の雪辱を晴らすべく戦場に立つ!
そういった、熱い展開が書け…たらいいなー…(笑)
そして、この作品、裏√のカラーとして、子ども組に裏側で暗躍してもらおうと思っています。
ただ、あの子ども達が隠密とか出来る訳ないので、スニーキングを期待している方はその期待を裏切ることになりますのでご了承ください…(笑)
徐福について…
今作の黒幕でありラスボスでありファンタジーな人(笑)
恋姫の世界自体がファンタジーのようなものだし、小説版恋姫呉書でもファンタジーチックなので、400年くらい生きている人が居ても不思議じゃないなと思い、こんな設定になりました。
妖術、仙術、魔術、武術、あらゆる術を膨大な時間をかけて努力して磨いた女性。
天賦の才とかじゃなくて努力家、華雄さんタイプの人です。
彼女の策は麻薬を使い、徐々に大陸を蝕ばみ、各国の幹部を陰で籠絡し、取引し、万全の状態に持ち込んでから行動するなど、念密に堅実に地道にコツコツやってました。
そんな彼女の目的とは!そんな期待しなくてもいいです(笑)
梁山泊について…
梁山泊と言えば水滸伝。
水滸伝は三国志の後の話だろ?みたいなツッコミは聞き流します(笑)
アレですよ、多分水滸伝に出る人も、この世界では何代目宋江とか、そんなノリだと思いますよ(笑)
あとがきと言うか解説のようなものも今回はここまで。
4月から環境が変わって忙しくなりそうなので、3月いっぱいまでを目標に地味に週2更新しています。
そんなに長くならないと思うので、もう少しだけお付き合いしてくださると幸いです。
それでは!
説明 | ||
こんにちは! Second Generations司馬懿視点 今回から、大人視点もメイン回になります |
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遂に晋が動くのか〜恐ろしや(ohatiyo) | ||
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