『機動構造物破壊請負人』事件・第2話 ガンプラバトルの『闇』 |
タツヤ君にいじめをしていた中学生“五路月(ごろつき)”と取り巻き二人の高級完成品ガンプラが、ガンプラバトル中にネット経由で割り込んできた、正体不明のガンプラ“ミスティネン・アシア”のバスタースナイパーライフルにより黒い塊にされた事件から一週間後の放課後の時間…
(とある中学の新聞部の部室)
新聞部部長・特種柄治(とくだね・つかむ)(以下、特種):全員出払っていないし、施錠も確認、盗聴機チェックも完了、よし! いいだろう。では、本題に入ろう、五路月君、矢羅瀬(やらせ)君
矢羅瀬:はい
五路月:…
そこには、いかにもいじめられてそうな感じ“だけ”する中学1年生の男子生徒“矢羅瀬”と、先日酷い目に遭ったばかりの、“元”いじめっ子である“五路月”が居たのでした。五路月は良く内容を知らされていないのに、いかにもな所に案内され、先日の事もあるため、返事をしなかった。
特種:…なるほど。我々新聞部に、いじめのネタを掴まれて、連れてこられた、故に、警戒している、と?
五路月:…俺は、こんな奴、いじめた記憶は無いし、それにあの一件以降、俺はいじめから足を洗って、静かに暮らしているんだ、もう、この事はやめてくれないか?
だが、世の中をかなり早めに経験してしまったらしい、報道屋の特種は、不敵な笑みを浮かべただけでした。
特種:そうはいかない。ここに呼んだ用件は、それが半分、もう半分は別件だ
そういうと、自分の鞄から分厚い紙袋を取り出し、更に紙袋を開けてテーブルに何かのチケット類を広げたのでした。
それは、有名テーマパークの年間パスポート、商品券、図書カード、等、現金ではないにしても、中学生が買える代物では無い事は一目瞭然だった。
矢羅瀬:すげーーーー! こんなに貰えたんだ!
五路月:・・・・・・・・・なんだよ、これ。俺が揺すられると思ったら、おまえの方から金目の物だして、何が目的だ!
すると特種は、自慢げに説明を開始した。
特種:簡単に説明する。これはおまえがネット経由で遭遇したガンプラ“ミスティネン・アシア”に関する、これから書く予定の記事に対する、某新聞社からの前kもとい、事前にもらえたお礼だ。当然、僕たちの財布から出せる代物ではない。新聞社も気を遣って、現金は避けてくれた
五路月:・・・俺の記事への対価かよ
特種:いや、違う。これから、君たちが一芝居打って、奴をおびき出した結果書ける記事へのお礼だ。新聞社も、噂の範疇でも、奴が大人達のいざこざでは出没しない事は掴んでいる。だから、僕たちに協力を求めた。勿論、いじめの噂があり、更に有名な新聞部がある、僕の所だから来た案件だがね
すると、どうやら事前に話が通っていたらしい矢羅瀬が説明し出した。
矢羅瀬:要するに、ボクがキミに何度か“いじめられ”て、噂を広げた上で、あの掲示板に書き込んで契約を交わし、奴をおびき出す、そういうことさ
五路月:・・・・最近、奴と接触した俺を利用する。この金目の物の一部が、報酬、か
特種:ごく一部だ。最初に言った通り、キミのコレまでのいじめ経歴のネタは、あの一件以来、うちの新聞部が全部掴んでいる。揺するわけでは無い。その情報を“上”へリークしないのが報酬の半分。残り半分である“このチケット類のごく一部”は“口封じ”のためだ
五路月はギリギリ歯ぎしりしながら思った。自分も大分ワルな事をしてきた故に、この外道を一方的に悪く言えないが、だが、それを差し引いても、こいつも“ワル”だ、と。
五路月:おまえ、本当に、中学3年、か?
特種:有名新聞部で、新聞社にもコネがあると、色々“知らなくて良い事、大人の事情”とか、知っちゃうんだよね、悲しい事に
五路月は諦めた。今はやっていないにしても、昔のコトを上に言われるのは流石に気が引ける。だが、一線だけは引く事にした。渡された2枚程度の図書カードに、手をさしのべなかった。
特種:? いらんのか?
五路月:俺は、そんな物受け取れる立場じゃねえ。いわねーよ、こんな事、俺たちの周りにはよ
矢羅瀬:やったぜ! その分はアクターの俺が貰っていいっすね?
特種:ああ、やるよ。大事な“出演者”だからな
そういうと、矢羅瀬は2枚の図書カードをポケットにねじ込み、特種はその大量の報酬を鞄にしまって、これからの“演技”の説明をしたのでした。
特種:いじめは事前に1回だけやる。既に“いじめの噂”を掲示板に広げる“サクラ”は手配しているし、場所も有名な模型店を借りている。矢羅瀬には“HGUCザクU”、五路月、おまえには事前にセミプロに作らせた“HGUC Hi-νガンダム”を渡しておく。こういうのは“圧倒的な差がある”方がイメージを植え付けやすいからな
五路月:ああ、それは俺が良くわかっている事だ。細かい説明はいい。要するにガンプラバトルで、こいつをボコれば良いんだな?
特種:できる限り、いじめっぽくやれ。おまえならわかるな?
五路月は、心の底から我慢していた。アノ一件の前なら、もしかするとこの外道とつるんで、報酬を受け取って、ワルの道に進んでいただろう。だが、アノ機体に制裁を受けた後、なにか、自分の中のワルが薄まった気がしたのだった。真に心がこもった“叱咤と躾”を初めてされた気分だったのだ。
だからこそ、あれ以降。いじめをやめて、セミプロに大枚はたいてガンプラを作って貰うのもやめて、自分でガンプラを作って、ヘタでも弱くても、細々とガンプラバトルをやっていたのだ。
それを全て帳消しにしたあげくに、またワルのイメージを無理矢理植え付けるこの仕打ちには、正直、どうにかしないと爆発するレベルだったのだ…。
そして、やらせいじめの日…
(某模型店 バトルベース)
特種の姿はバトルベースの前にはなかった。模型店のバックヤードにいたのだ。“新聞部の部長がいる”というのは、正直、サクラに事情が伝わっていたとしても、まずいからだ。
五路月:お、おう、矢羅瀬ぇ! この特注のHi-νガンダムで、ちょっと遊んでやるからよぉ、まぁつきあえよ!
矢羅瀬:ご、ごめんなさい
五路月:謝るのはイインだよ! ガンプラバトルにつきあえよ!
矢羅瀬:は、はい…、あの、ボクのガンプラ、ザクUなんですけど…
五路月は吐きそうだった。この外道、いじめられっ子の演技まで、しっかりしやがる。
五路月:わかったよ! おまえからのダメージMAX、俺はノーマルにしてやるよ!
隠れてみていた特種は、ちょっと嫌な顔をした。“いじめっ子のイメージ”としては、少し下がるのだ、それは。圧倒的ダメージ差まで付けてボコるのが、最上級のいじめっ子だからだ。なので、店主に、五路月MAX、矢羅瀬0にするように指示したのだった。
Please set your Gumpla
カシャッ カシャッ
片方に五路月の超綺麗なHi-νガンダムが、もう片方にどうみても素組みのザクUがセットされた。
Battle Start
(宇宙ステージ)
何を考えたのか、宇宙空間で対峙したばかりの2機のうち、矢羅瀬のザクUが、ヒートホークを振りかぶって、無謀にも五路月に突っ込んできたのだ!
矢羅瀬:ボ、ボクだって! やってやるぅ!!!!!
五路月:ちょ、ちょっと待て! こっちもどう対処して良いk
だが、これから起きたことは、筆舌に耐えがたいことだった。
カシャ! カシャ!
五路月のHi-νガンダムのフィンファンネルが、五路月の指示もないのに、全機射出され、矢羅瀬のザクUを襲っていったのだ!
五路月:お、おい! 俺はなにも指示出してねー! だ、誰が、この機体を操っている!
Control Mode : Tokudane
五路月:な!!! 特種ぇ!
特種はバトルに入る前の、あの一件から五路月への信用が無くなっていたのだ。なので、店主に指示して、五路月のコントロールを店のバックヤードにある別の“空バトルベース”に変えさせて、特種がコントロール出来るようにしていたのだ。
特種:悪いな、五路月。このやらせいじめは成功させないといけないのだよ。矢羅瀬には事前に伝えてある。しっかり、演技するようにな。では、たっぷりと“脚本通り”にやらせて貰うぞ
6機のフィンファンネルは、もう、それこそ、ザクUを滅多打ちに射撃し、四肢を分断し、頭部を吹き飛ばせ、最後残ったのは、胴体のコクピット部分だけだった。
五路月:や、やめろーーー!!!!!!!! な、なんで“ダメージ通常”なのに、こ、こんなになるんだ!!
矢羅瀬:ひ・・・・・・・ひ・・・・・ひどいよ・・・・・や、やるなら、ひと思いに、コクピット貫けば良いのに・・・・・これじゃ、もう、修復できないよ・・・・・ひどいよ・・・・・
五路月の目はもう正気では無かった。特種も特種だが、この矢羅瀬も矢羅瀬だ。酷すぎる!
そして、当然のように、というか、話を合わせていたとおり、サクラが語り出す。
観客:ひでぇ、やっぱ、あの五路月だよ・・・・いじめだよ、これ・・・・・
観客:今までで、一番酷いいじめだよ、これ。あんな高価な完成品ガンプラ使って、ひでえなぁ
観客:しかも、攻撃力自分MAXで、相手0とか、もう、これ、リンチだぜ…
五路月:や、や、やめろぉぉぉぉぉぉおおお!!!!!
そして、フィンファンネルの一斉射撃により、コクピットが撃ち抜かれた。
矢羅瀬:ぎゃああぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!!!
バトルは終わった。観客は全員が五路月に冷たい目を向けて、噂をぺらぺら伝えながら、店を出て行った。店主はバックヤードにいるため、店内に残っていたのは、特種、矢羅瀬、五路月の3人だけだった。
五路月:はぁ・・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・
特種:おまえ、演技へたくそ! 元いじめっ子はどうした! しかもボロ出して、あんなハンデを作りやがって! おかげで余計な出費までして、条件変更し、信用できないからコントロールまで、バックヤードに移させて・・・・・
矢羅瀬:まぁ、ボクの演技で切り抜けたけどね!
特種:悪かったなぁ、後で追加の報酬渡すわ
矢羅瀬:やったぁ!
五路月:はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・
特種:とにかくこれで、矢羅瀬から“奴への依頼”を掲示板で書いても、絶対に食いつくはずだ。後は、依頼の現場でおまえらを戦わせているバックヤードの空バトルベースで、ボクの愛機“ザク強行偵察型”で、しっかりと撮影して、メモリーに保存し、新聞社に渡せば、ボクの仕事は終わる事になる。ふふふ、新聞屋冥利に尽きるわ
矢羅瀬:また、演技、頑張りますね!
特種:ああ、こいつが当てにならない今となっては、おまえの演技だけが生命線だ。『今度の本番』でも、頑張ってくれ。奴にくれぐれも“勘ぐられない”ようにな?
矢羅瀬:はいっす!
五路月:はぁ・・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・
その後、次の“本番”の時間と、ここでやることを五路月に伝えると、特種と矢羅瀬は店を出て行った。五路月はふらふらしながら、しかし、
『なにかを決意した鋭い目』
で、店を出て行ったのだった。
(その日の深夜 依頼専用掲示板)
その掲示板は特殊であり、掲示板への“xyz…”書き込みの“投稿者情報”を閲覧できるのは、マスターである“ミスティネン・アシアのビルドファイター”当人だけなのだ。
***
(特種の自宅のPCモニター)
xyz…
投稿者:*** 投稿時間:23:58:00
特種:ほぉほぉ、計画通りだ。時間もぴったり。投稿者名は見えないが、矢羅瀬だろう。これで奴が食いついてくるはず、この後のやりとりは完全密室だが、矢羅瀬に後で聞けば良い。上場d
xyz…
投稿者:*** 投稿時間:23:59:00
特種:あ゛? 誰だ、この依頼? ま、まぁ、噂では奴は、大人以外の依頼を手広くやっていると聞く。世の中、荒んでいる、そういうことだ。さて、寝るか
ぷちっ
特種のモニターは消えた。この後、確かにやりとりはあったのだ。ただ…
(五日後の某模型店 バックヤード)
特種は前と同じく、店のバックヤードの“空バトルベース”に『ザク強行偵察型』をセットして、店内のバトルベースと同調して起動するようにして待機していた。
特種:さーて、上手くやれよ、矢羅瀬。これが“本番”だぞ?
(店内のバトルベース)
計画通り、前回のサクラが全員集まり、ひそひそととげのある言葉で、五路月に冷たい視線を送っていた。
観客:ひそひそ…
観客:あれ、あのサイテーのいじめっ子だろ? ひでえなぁ、またいじめやるのかよ…
店内のバトルベースには、前回と同じく、最上級の完成度のHi-νガンダムを握って立っている五路月、そして、おどおど(演技)した様子で、作り直したと見せつける様に素組みした“リックドム”を掴んで立っている矢羅瀬がいた。
五路月は、不思議と“凛として”立っていた。特種はこの時点で、既に五路月への関心を失っていたので眼中無かった故に、気づかなかったのだ。彼の“変化”が。
Please set your Gumpla
カシャッ カシャッ
Hi-νガンダムとリックドムがベースにセットされた。
Battle Start
(アステロイドベルトステージ)
矢羅瀬のリックドムは、わざわざアステロイドに張り付いて、狼狽える演技をしていた。
矢羅瀬:うわ! やめろよ! また! そんな高価な完成品ガンプラで、ボクをまた、いじめるの!?
だが、五路月のHi-νガンダムは、ただ宇宙空間で、じっとしているだけだった。特種自身が“空のバトルベースでザク強行偵察型”を使っている関係で、今度は五路月のHi-νガンダムを操れなかったのだ。
特種のザク強行偵察型は、彼らが戦っているアステロイドの裏側で、右手のカメラガンを構え、センサーを全部起動させた上で、“奴が現れる”のを待っていたのだった。
特種:ちっ! 五路月の奴、やけ起こしたのかよ! まぁいい。奴の特ダネさえ掴めば、こっちの物だ。
そして時は動き出す。
ガガガッガガガガッガッッガガガ・・・・・
特種:な・・・なんだ!? システムが不安定になって・・・・・、な!!!! カメラガンからの、映像が遮断だと! なら、メモリーは! メモリーは!
特種は“奴”を甘く見ていたのだ。これまで、“現れて仕事を終えているのに、いまだに情報が噂レベルで止まっている、「奴」のシステム掌握能力”を。
特種:な・・・・なんて・・・・ことを・・・・完全にシステムを掌握しやがった・・・・。USBメモリーへの書き込みも読み込みも出来ない・・・・・。プラフスキー粒子から伝達されるはずのガンプラからの映像も、記録できない・・・・・。それどころか・・・・僕と五路月と矢羅瀬以外の観客に・・・・映像が見えないブラックボックスにしやがった・・・・・
矢羅瀬:な!? お、おい! なんか、なんか、違うぞ! おい!
五路月:・・・・・・・・来たか・・・・・・・
そう、『奴』が来たのだ。
ブーンッ
黒い、あの機体が、巨大なバスタースナイパーライフルを構えたままで、五路月のHi-νガンダムや矢羅瀬のリックドムがいる場所を睨み付けられる位置で、漆黒の中に突然、現れたのだ。
矢羅瀬:(い、いや、『あのやりとり』なら、絶対に、五路月を撃ち抜くはず…)
だが、事態は更に急変した。そこに居る4機体のうち、ミスティネン・アシア以外の機体の“映像位置”が、コクピット位置に変わったのだ。つまり、視覚聴覚のみ、コクピットに搭乗して、ガンプラを操っている状態になったのだ!
矢羅瀬:な、おい、これって、もしかして、“やられる時”、コクピットが貫かれる瞬間を体験するって事だよな? す、すげー! 粋な計らいだぜ! 五路月をやっちまえ!
そのリックドムのコクピットに座っている状態の矢羅瀬の通信機に、特種から通信が入った。バトルスペース内の内線なので、どのみち、外には伝わらないのだった。
特種:矢羅瀬、すまない・・・・全ての記録手段を、絶たれた・・・・・
矢羅瀬:・・・・え!? じゃ、じゃぁ、俺たちは何のために・・・・
特種:今まで“噂だけしか情報が無かった”のは、こういうことか・・・奴を甘く見ていたし、やろうと思えば何でも出来る大人の情報網でもダメだった、意味がわかった・・・・。それに、今のこの光景、俺たち以外、誰も見ていない…。ブラックボックスだ・・・・
矢羅瀬:ちょ・・・・・で、でも、ターゲットは五路月だ。ちゃんと『あのやりとり』をしたんだ。間違いなく、奴は五路月をヤルはずだよ
特種:・・・・おまえが“xyz…”って書き込んだの、何時だ?
矢羅瀬:え!? た、確か、
『23:58:00』
だよ?
特種:・・・・・・・おまえはその後、奴との“やりとり”をやっていて知らんかもしれないがな、もう1件、その後、
『23:59:00』
にxyz…が入ったんだよ・・・・・。矢羅瀬、気をつけろ!!!
だが、もう遅かった。ミスティネン・アシアのバスタースナイパーライフルは、“リックドムのコクピット”を正確に狙っていた。
矢羅瀬:お! おい! 違う! 約束と違う! “ターゲット”は、「五路月」だろ!!!!!
ソコに、今までとは違う“情報”がもたらされた。ミスティネン・アシアからの、
『声』
だった。
ゆっくりの声:矢羅瀬君、キミとの“やりとり”はどんなものだったか、覚えているかな?
特種は驚愕した。噂の範疇だが、今まで1回として、喋らなかった、奴、が喋ったのだ。だが、一般的な合成音声ソフト“ゆっくり”の声なので、ミスティネン・アシアのビルドファイターの特定は出来ないのだが・・・・・。
矢羅瀬:ひっ! え、えっと…、確か、僕が事情を全部伝えた後の、おまえからの返答は、
「わかった」
だったぞ・・・・・・・・はっ! ま、まさか! 「話をわかった」、だけだとぉ!!!!
特種はもう、我慢できずに、リックドムの近くに飛び出して、ミスティネン・アシアを睨み付けた。
特種:おい! ミスティネン・アシアぁ!!!! ま、まさか、この“仕事”の依頼人、あの後書き込まれた、『23:59:00』の方だと言うのか!!!!!
ゆっくりの声:Yes
矢羅瀬:ひっ! こ、殺されr
バシュ!!!!!!!!!!!!
ミスティネン・アシアのバスタースナイパーライフルからの“光弾”は、リックドムのコクピットのハッチだけを溶かし、その光景は全て矢羅瀬が視認してしまう事になった。
矢羅瀬:ひっ!!! や、やだ、“見える”形で、やられたくn
バシューーーーーーーーーーン!!!!!!!!
今度は、超高出力のビーム砲の砲撃だった。コクピットから、ビームの光を“見える状態”で、リックドムのコクピットが貫かれる瞬間まで視認して、そしてリックドムは四散して、黒い塊となって、ベースに転がったのだった。
矢羅瀬:ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!
ばたっ
前回と同じく、あまりの恐怖のため、絶叫した後に気絶して、矢羅瀬はベースに倒れてしまったのだった。
特種:はぁ・・・・・はぁ・・・・・し・・・・・・知っているぞ・・・・・いや、今、わかったぞ・・・・・『23:59:00』の書き込みの主、おまえの依頼主がぁ!!!!!!!!
ゆっくりの声:説明して見ろ
特種:こ、この事を知っているのわぁ! 俺と矢羅瀬とサクラ、そして五路月だけだぁ!!! 俺や矢羅瀬やサクラは、矢羅瀬を狙うはずが無い!!!! なら! 消去法だ! 『五路月』ぃぃぃ!!!!おまえだ!!!!!!!!
五路月のHi-νガンダムは、まだじっとしていた。
ゆっくりの声:彼との『やりとり』はこうだ。彼が全てを説明してくれた後、私はこう返答した。『依頼、確かに請け負った。ターゲットは、矢羅瀬、特種の2名。では、私が到着するまで、じっとしていてくれ』、と
特種:なっ!!????!!!?? お、俺もか!!!!
すると、ソコへ、思いもかけない“乱入者達”が現れた!
パワードジムカーディガンの、ホシノ・フミナ(以下、ホシノ)
RX-78-02 ガンダムの、イオリ・タケシ(以下、タケシ)
グフR35の、ラルさん(以下、ラルさん)
マスターガンダムの、珍庵(以下、珍庵)
だった。どうやらミスティネン・アシア側から、彼らがベースにガンプラを置いた時点で、システムに入れるようにいじったらしい。だが、
『どうして彼らがここに来られたのか?』
だが…。
ホシノ:あんたら! なにやってるの!!!!
タケシ:事態を収拾する! 全員、動くな!
ラルさん:貴様ら、ガンプラバトルで何をやっておる!
珍庵:全く、関西から呼び出されたと思ったら、こんな事、なんたる事…
特種は唖然とした。これは先も述べたとおり、自分と矢羅瀬と五路月と・・・・・奴!
ゆっくりの声:私がこの4名に匿名で情報をリークしておいた。ただし、ベースにガンプラを置いて、システムに入る時間をずらした。貴様を葬り去る瞬間だけは、目に焼き付けて貰うためだ
そういうと、ミスティネン・アシアは、バスタースナイパーライフルをおろし、4枚の羽根をしっかり畳んだ状態で、高速で特種のザク強行偵察型の目の前に移動したかと思うと、羽根を思いっきり跳ね上げて、左手に持った鉈“ビームハチェット”を振りかざした!
特種:ひぃ!
ゆっくりの声:ターゲットは、確実に葬り去る、依頼の内容に応じた“程度”で
タケシ:やめろぉ!!!!
ホシノ:きゃぁぁぁ!!!!
ラルさん:貴様!
珍庵:主!!!!!
バギャン!
ザク強行偵察型の四肢は、コクピットの特種に衝撃がわざと伝わるように荒っぽく、切り取られた!
タケシ:もうやめろ!
ガッシュ!
その後、ビームハチェットをしまい、頭部を左手で握りつぶした! そして、コクピットハッチを、左手でもぎ取った!
特種:ひぃぃ・・・・・・・
ゆっくりの声:それでは、最後だ。私のライフルの“接射”で、Good-Bye、だ
ビーーーーーン!
右手でバスタースナイパーライフルをわざわざ抱えて、砲口をコクピットの目の前に位置し、最高出力でビームの塊を作った。熱は伝わらないが、その“視覚と聴覚の恐怖”は、目の前で見ざるを得ない特種にしっかり過ぎるほど伝わったのだった。
特種:ひ、ひ、ひ、ひ、光が・・・・
ゆっくりの声:では、さらば
バシューーーーーン!
そして、ザク強行偵察型は、コクピットを中心にして、黒い塵と化し、宇宙に散っていったのだった…
バタッ…
ホシノ:ガタガタガタガタ・・・・・
タケシ:な、なんたることを・・・・
ラルさん:こ・・・これが・・・・戦士の・・・すること・・・か・・・・
珍庵:ば・・・バケモノが・・・・・
そう言うと、4枚の羽根をたたみ、ミスティネン・アシアはゆっくりとホシノ達4人の方を向いた。
タケシはこの場の責任者として、伝えることだけは伝えた。
タケシ:・・・ミスティネン・アシア、た、たしかに、彼ら、そして彼らに依頼した新聞社に関しては、許しがたき事、故に、ヤジマ商事法務部を通して、しっかり断罪させる・・・・。そこの五路月君も被害者だ。こんな事をキミに依頼した“復讐”はどうかと思うが・・・・だが、一番わからないのは、キミの“仕事”だ!
ラルさん:主、もはやこんな所行をする以上、“自分を戦士”だと、言えないのは、わかっているな?
珍庵:わしの流派から見ても、悪鬼悪霊の所為じゃ!
ゆっくりの声:私は、『機動構造物破壊請負人』だ。ターゲットを破壊する事が、『仕事』だ。その程度は、先にも述べたとおり、『内容の程度次第』…
タケシ:・・・・・どうせ、おまえの正体は、わからずじまいで、噂程度に戻るのだろう。だが、いつか! おまえを捕まえる! ヤジマ商事にも詳しく連絡するので、覚悟はいいな!
ゆっくりの声:・・・・・・・何故、ここまでやって、『噂まで』に止める事が出来るか、考えたことがあるかい?
ラルさん:なんじゃと!
ゆっくりの声:僕の協力者は、様々。ヤジマ商事も、例外では、ないんだよ? 今回のバトルデータも、“とある人物”、が全部消去してくれるよ。じゃあね、また会う日まで
そういうと、ミスティネン・アシアは、宇宙の闇に消えていったのだった・・・・・・
(バトルベースの周り)
そこでは、気絶した矢羅瀬と特種が、タケシが呼んだ“救護班”に救護され、そして、五路月がタケシに事情を聞かれていた。
その傍らで、黒い塊になった、ザク強行偵察型とリックドムを眺めている、ホシノとラルさんと珍庵がいた。
ホシノ:なんでなんだろうね、こんな事になるなんて…
ラルさん:奴は戦士ではない! 単なる“殺戮者”じゃ!
珍庵:・・・・・ガンプラバトルの“闇”かのぉ・・・・・・いや、“世間の闇”かのぉ・・・・
ラルさん:珍庵・・・・・・。“闇”か・・・・奴の漆黒の機体が、ソレを表している、そういうことか・・・・・。
事態は深刻さを増していったのだった。
(続く)
説明 | ||
○TINAMIへのモデル投稿の当方オリジナル製作ガンプラ、 『HGBF MSD-666 ミスティネン・アシア』 http://www.tinami.com/view/739740 の背景を説明するために書いた、ガンダムビルドファイターズのオリジナル小説、の第2話です。 ○オリジナル設定の二次創作なので、細かい事や、元ネタはあるけどオリジナルなキャラ等、原作と違う点などは、ご了承くださいませ。 |
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コメント | ||
双子辰様、コメント感謝です! 続きが大幅に遅れて恐縮ですm(__)m 五路月は改心できたようですが、ミスティネンの考えでは”特種達には復活の機会すら与えない”だったようです。五路月はキーマンですよ♪(enarin) お疲れ様です、表の光が強くなれば裏の影は濃くなる物とは言いますが…果たして破壊請負人の次なるターゲット?(双子辰) W-ネームレス様、コメント感謝です! 今回はちょっと怖くしました。如何せん特種達のやっていることが中学生らしからぬ悪事なので、きついお仕置きを加えました。今回からメイン4人を対峙させました。(enarin) 素晴らしいまでに引き込まれました… システム干渉レベルが桁違いだ… 更生しようとした人間を貶めるのは私も許せないですね、ちょっと愛機で破壊したいですな。 この傭兵とはいつかやりあってみたいものです。次回も楽しみにしてますよ!(W-ネームレス) |
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