艦隊 真・恋姫無双 32話目 |
【 罰の後 の件 】
? 益州 漢中鎮守府 にて ?
あれから……5時間以上経って……ようやく解放される。
『……………………………』
于吉の罰を受けて、互いに辛苦を味わった結果、この絆が生まれたのか?
それとも、再度……于吉の刑罰を受けたく無い為か?
……4人は涙を流しながら……『私達は仲良し!!』と握手を交えていた。
その後、于吉は些か残念そうな顔で4人を眺め、貂蝉は笑いながら食事を持って現れる。 その調理は、貂蝉自ら腕を振るった物であり、味は保証付き。
少々辛みが強い四川料理を……所狭しとテーブルに並べていく。
左慈は『丁度……座布団が目に入った。 必要なら使え!』と椅子に置く。
卑弥呼も『船渠に入る必要があれば……何時でも云うがいい! だぁりんと妖精達が気が合うので、多少の無理が利くのだ! ふ、ふんッ! べ、別に……寂しくなど……無いからな!』と、気を利かせる。
★ーー★ーー★ーー★ーー★
ちなみに……貂蝉の服装は元通り。
島風が嫌がった事もあるが……この物語を、島風の衣装と云うか艤装を付けて、貂蝉が快進撃すると云う無双物語にするつもりは無い。
ただ……島風を……こよなく愛する提督諸氏に、申し訳が立たないからでもある。 しかし……もしかすると……他の艦娘を愛する提督を、敵に回す事態は……あるかも知れないが。
★ーー★ーー★ーー★ーー★
貂蝉「五人共ぉお疲れ様ぁああん? 食事の準備は出来てるわよぉん? それともぉ〜お風呂ぉ? もしかしてぇ〜わた『絶対にありませんッ!!!』もぉう〜冗談よぉ! 冷める前にぃ〜早くぅ食べて、食べてぇ〜!」
貂蝉は、于吉を含む五人を誘い……飲み物を用意する。
貂蝉「椰子の実を手に入れたから……あらぁ〜? 上部が切るのを忘れていたわぁん!? もう〜私ったらぁ、エヘッ!」
テーブルへ……貂蝉の拳大(赤ちゃんの頭程)の『椰子の実』を五つ置く。
本当は、椰子の実の先端を切り、ストローで呑むやり方があるのだが、貂蝉が慌てて切り落としたらしい。
貂蝉「私ぃたら慌てん坊だからぁ! 仕方ないわねぇ……こんな事に使う物じゃないけど……。 でもぉ、平和的でいいかもぉ。 外史超人プロレス技………!」
貂蝉の目が光り、手刀が赤く輝き………目標に向かい動いた!
貂蝉『ベルリンの赤い雨ぇえええ───ッ!!!』
そして……テーブルに並べ立てた固い椰子の実、五つの先端部分を……纏めて手刀で吹き飛ばす!
────────ッ!
『…………………!?!?』
貂蝉「はぁあい! どうぞ〜ぉ!?」
唖然として見つめる艦娘を尻目に……ストローを差し込んで手渡した。
ーーー
卑弥呼「………貂蝉? うぬは幾つ技を使えるのだ?」
貂蝉「外史暗殺拳奥義『水影心』……私ぃと戦った相手の技を、分身として使えるのよぉん。 色々と便利なをだからぁあ?」
ーーー
管理者達は……貂蝉なら当然か……と言わんばかりに、淡々と己の役割に戻るが、艦娘達は……震えが止まらなかったと云う。
そんな、とんでもない1日だった。
◆◇◆
【 米艦娘の悩み の件 】
? 益州 漢中鎮守府 にて ?
あれから……3日後。
加賀「あっ! 赤城さんッ! 少し尋ねたいのですが!?」
赤城「良いですよ? 私で分かる事なら!」
加賀「───エンタープライズを……見かけませんでしたか?」
赤城「今日は……見てないですね〜?」
加賀「くうぅ! ……エンタープライズは、何処に行ったのでしょう!? 幾ら新参者と云えども、武勲艦として一目置かれていた艦! そのような栄えある者にサボられるのは、鎮守府の油断を敵に悟られる要因となります!!」
赤城「確かに! 全くその通りですねッ! ───サボるのなら、私に一声かけてくれても………」
加賀「………一声かける……とは? 赤城さんも……付いて行くとでも?」
赤城「ち、ちちち、違いますよッ! 私が一航戦の誇りに懸けて、怠けないように言い聞かせるつもりだったんですッ!! わ、私が怠けていたら……示しが付かないじゃないですか?」
加賀「………それなら結構。 それと、赤城さんは気付いていますか?」
赤城「……気付くって?」
加賀「エンタープライズは……一刀提督に不振を抱いています。 私達が、あまりに盲目的に従うのを、疑問を持っているようなんです。 だから……提督と私達は……男女関係があるのでは? 提督は、無類の女誑しでないかと?」
赤城「────!? それが事実なら、私達も凄く嬉しいけど……あの鈍感で奥手の提督が……そんな事できるわけ無いじゃありませんかッ!!」
加賀「そうですッ! そのため……私が小一時間きっちりと、提督の人柄の良さ、素晴らしさを教え、誤解を解こうとしたのですが……!! 時間を作ったのに……残念ですッ!!!」
赤城「加賀さんの説教は……いえ! 何でもありませんッ!! でも、こうなったら……仕方がありません! 数日前から相談した事………実行させましょう!! そうすれば、誤解も解けるんじゃないんですかね!?」
加賀「嫌な予感がしますが……本人の希望次第ですよ」
★☆☆
エンタープライズは、漢中鎮守府の少し離れた空き地で、腰を落として足を投げ出し、日向ぼっこを楽しんでいた。
エンタープライズ「はぁ〜! 疲れたぁ〜! ………武勲艦のアタシに、書類処理を任せられるなんて……考えもしなかったわよ……」
エンタープライズは、嘆息を漏らしつつ……自分の膝に頭を乗せて眠る女性を、優しく見守る。 そこには、アリゾナが頭を預け、静かな寝息を立てながら、気持ち良さげに寝ている。
ーーーーー
ちなみに、この異国の艦娘、四人中……一番年上はアリゾナ(進水 1915年)であり……スチュワート(1920年)、サラ(1925年)、エンタープライズ(1936年)と続く事になる───のだが。
妹分にあたる艦の方が……しっかりしている。 いや、寧ろ正しいのか?
他の艦を見れば……天龍型、暁型、阿賀野型と枚挙に遑がない。(いとまがない) ………どうした事なのだろうか?
ーーーーー
アリゾナ「…………ムニャ〜、ムニャムニャ〜〜〜」
エンタープライズ「でも……アリゾナが……幸せそうで良かったわ……」
エンタープライズは、ユックリとアリゾナの頭を撫でて、周りを確認する。
ーーーーー
今まで、青い雄大な大海しか見たこと無かったのに、高い山々に囲まれ地形。
浜辺で良く見た植物とは、全く違う植物の群生。
艦の時は、普通に見聞していた英語での会話、色々なワッペン等を付けた軍服、あの陽気で明るい人々も……此処には居ない。
変わりに無口で静かだが、働き者で……此方に笑顔で応えてくれる現地の民達が、今日もせっせと畑仕事に従事する姿が───遠くから見える。
『───!?』
ふと気付くと……暖かい風が……エンタープライズの頬を一撫でながら、通り抜けた。 自分が空気と一緒に味わった、よく知る潮風の香りは……一切何もしなかった。
この世界は、自分の体験した事が無い世界だと……否応なしに頭へ理解させるのだった。
ーーーーー
エンタープライズ「てっきり、アイツ等とやり合う事になるかと、覚悟していたのに。 空母『加賀』『赤城』……あの戦で……無敵を誇った島国の怪物達。 先人達の掛け替えの無い犠牲で、やっと打ち勝つ事が出来た相手……」
アリゾナの頭を、再度……優しく撫でる。
エンタープライズ「それが……こんな変な世界で、仲間となり武器を並べるなんて、タチの悪いジョークよ! しかも、アリゾナ、サラ、スチュワートまで参加するなんて! メチャクチャもいいところ───ッ!!」
そう叫んだ後、自分の下にアリゾナが寝ている事を思い出し、慌てて膝を覗き込めば……ニコニコ笑いながら……寝ていた。
エンタープライズ「ふぅ……良かったぁ。 ……でも、心の片隅で『もし一緒戦えれば……』と思っていたのも事実。 そんな凄い仲間と一緒に、腕を振るえるのは武勲艦の誉れ! アッチに帰れたら……皆に自慢ができるわね!」
エンタープライズは、目を輝かせて呟いた後、少し感情が落ち込み、一番の懸念材料を吐露しつつ考えた。
エンタープライズ「後、問題は……この艦隊を率いる提督! あの武人肌の加賀、頼りになる赤城や他の艦娘達の多くが慕う『北郷一刀』提督が、どのような指揮官なのかしら!?」
如何に優れた艦隊が居ても、それを指揮する指揮官が、しっかりした人物ではなければ……轟沈の可能性がある。 例えば、優れた材料が揃っても、比叡にカレーを調理させる物。 一説には、金剛の英国料理も………と?
エンタープライズ「───果たして、私達……異国の艦娘を受け入れる度量があるのか? 提督としての手腕、才覚は? ………確かめないと……!!」
そう云って……空を見上げる!
エンタープライズ「………願うんなら……『トミザイ』のような男だったら……いいんだけど……!」
──タッタッタッタッ!
『おぉ───い! ビッグ E!』
そんな考え事をしている時に……耳に入る自分を呼ぶ声!
慌てて我に返り、その方向を見れば……一人の少女が駆け寄ってきた!
スチュワート「あぁ───いたいたぁ!! 『ビッグ E』──ウグゥ!?」
熟睡している少女を起こしては可哀想だと……慌てて口を塞ぐエンタープライズ(『ビッグ E』は、エンタープライズの愛称 以後『ビッグ E』で表記)、そして、急に口を塞がれ驚くスチュワート!
ビッグ E「少し……声を控えて下さい! アリゾナが昼寝してるのですから。 ───で、どうしたんです? そんなに慌てて、アタシを探していたみたいだけど……何かありました……?」
スチュワート「──あ、赤城と加賀がね? ビッグ Eが雲隠れしちゃたみたいだから、探して欲しいて頼まれてたの! 何か重要な要件があったみたいで、困っていたみたい。 かなり………お冠だったんだよ?」
ビッグ E「……アリゾナが、昨日から眠れないって云うから、傍に居たんです。 ……多分……大丈夫、そう重要な要件じゃない筈『充分重要ですよ? ビッグE』 ───サラッ!?」
修道女の姿をしたサラトガ(愛称 シスターサラ)が、微笑みながら歩み寄る。
サラ「────加賀さん達に事情を説明してきました。 アリゾナが、夜中に魘されて(うなされて)いるのを聞いて、多分こうなるのではと。 二人とも渋々ですが、納得してくれたので良かったです!」
ビッグ E「───だけどね、二人とも分かっているの? 加賀達は、アタシ達を会った事も無い提督へ、全指揮を任せるなんて言い出すですよ!? 心の通じない提督なんかに、任したくないじゃないですかッ!?」
スチュワート「………わ、私は、日本に居たの……結構長かったから、大丈夫。 無茶な指揮官も多かったから……!」
サラ「主の命により授かりし奇縁。 それに『日ノ本の騎士 龍驤様』が加わりし艦隊ですもの。 私は最後まで信じ……この艦隊を、艦隊を率いる提督の為、身を戦場に投じましょう!! それが、私に示される道ならば……!!」
ビッグ E「──じゃあ! 不満なのは、アタシとアリゾナだけぇ? 『まだ、不満とは言ってないよ〜?』………えっ? 起きてたんですかッ!?」
『よいしょっと!!』と元気いっぱいに飛び起きるアリゾナ。
駆逐艦並みの小さな女の子なのだが……これでも四隻の中では最年長。 でも、やる事なす事が子供っぽい。 今回も、皆の視線が集中する中、にへら〜っと笑いつつ、ビッグ Eの膝に座り直して……二人の方角へ向いた。
アリゾナ「………昨日の夜にね? 寝ぼけて部屋へ帰る道を間違えたのぉ! そうしたらね、この基地に居ない提督の話を……龍驤達に説明する声が聞こえたんだ? かなり……立派な提督みたいだったよ!」
スチュワートも首を傾げ、右人差し指を頬に添え応える。
スチュワート「うん……此処に来た理由も、敵対勢力に本拠地を襲われたからだって………。 その時に……一人だけ囮で基地に残り、壮絶に戦い抜いた……って聞いたよ?」
ビッグ E「じゃあ! 既に死んで『───生きてるよ! 危ない所を、あの変態達に助けられ、別行動してるって……他の艦娘が言っていたんだからッ!』……そうなんですか……?」
アリゾナ「そうそう! それからね……多分……今日あたりかな? この近辺を通って、洛陽と云う場所に向かう話があるんだよ〜? その提督さん……」
サラ「加賀さんの話は、その事から起こっています。 『ビッグ Eの提督に対する不満はありありと分かる。 それなら、直に接して……提督自身と言葉を交えてみればいいのでは?』……って」
ビッグ E「アタシに……その提督の下へ行けってことで?」
アリゾナ「───そうじゃなくて、私達も一緒に付いて行きなさいって!」
ビッグ E「───!?」
スチュワート「私達も……?」
サラ「はい、北郷一刀提督の事を知らない私達は……当分の間、提督の傍に居て……お人柄を見極めて来なさい──との命令でした。 赤城さん、加賀さんからの直命でしたので、間違い無いかと思います!」
アリゾナ「私も昨日ね、そんな話を聞いちゃたから知ってる! ──心配しなくても大丈夫! こういう場合『I will take the chances』(当たって砕けろ)しかないんだよ? ウジウジ悩んでいるビッグEなんて、ビッグEじゃないもん!!」
ビッグ E「アタシを、何だと言うんです!」
アリゾナ「…………私の可愛い妹分!」ニコッ!
ビッグ E「────────////////!」
ーーー ーーーー
サラ「───スチュワート! ビッグ Eが納得しましたから、加賀さん達に報告して来ましょう! 北郷一刀提督の下に暫し参りましょう……!」
スチュワート「行こう! 相変わらずビッグ Eはアリゾナに甘いな? アリゾナも犬みたいに慕うビッグ Eを好んでるし……。 さっさっと邪魔者は退散しますか!」
ーーーー ーーーー
こうして、異国の艦娘達は、一刀の元へ訪れる事になる。
ーーーーーー
ーーーーーー
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今回は……何故か文が浮かびません。
スランプ? 疲れか? よく分かりませんが。
それでも、来週から仕事が忙しくなりそうですので、一応出来た物を投稿します。 また、次回から頑張りたいと思います。
義輝記も、2月中には出したいな! と考えております。
追加
今回、少し話が短い為、バレンタインのネタも付けます。 何故、貂蝉が来たかは、次回の話にて。
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【 バレンタインネタ の件 】
? 益州 漢中 近隣にて ?
金剛「HEY、提督ぅー! How are you!?(元気ですか!?)」
一刀「朝から元気だな……。 今、何時……午前5時だ!? 少し早すぎる気が──『No! 民の皆サン、元気に働いていマース!』………ホントだ………」
金剛「オネエサン(貂蝉)が、料理で余ったパイ生地を持って来てくれたんデス! 提督ぅ〜? 今日が何の日か知ってマスカ? chocolateを女の子が送る日だヨ!?」
一刀「あれは、日本限定の行事であって……ここでは……」
金剛「提督ぅ〜! そんな考えだからRead the atmosphere(空気を読めない)ネ! この日はぁ、純な乙女の恋心を、一大決心して愛しい彼氏に伝える大事な日デース!」
一刀「………そうだね、俺の考え不足だったよ。 流石……帰国子女だけあって視野も大きいな。 俺も枠に捕らわれないよう、気を付けなくては!」
金剛「素直で大変ヨロシイ! そんな素直に提督ぅに、私からPresent(贈り物)デース! chocolateが手に入らなかったから……受け取ってネ?」
一刀「そ、そうか!? 物凄く嬉しいな!」
金剛「Happy Valentine's Day! My heart is always with you!(ハッピーバレンタインデー! 私の心はいつもあなたと一緒です!)」
一刀「……………これは?」
金剛「オネエサンより分けて貰ったパイ生地で、英国料理《Stargazy pie(星を眺めるパイ)》を作ったヨ! 久々だから……結構大変だったネ!?」
一刀「さ、魚の頭が、雨後の竹の子のように、パイから出ているんだけど………」
金剛「だから、Stargazy pieネ!」
一刀「───────!」
…………その後、一刀が朝食代わりに美味しく頂いたそうだ。
説明 | ||
次回……頑張ります。 2/14 イチイチゴーニイ おまけの話を追加しました。 | ||
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コメント | ||
妙高型が代表ですね。 吹雪や初春はダメですか…… (いた) hokuhin提督 コメントありがとうございます! 姉が引っ張って行く方がいいのか、妹が急かす方がいいのか……作者には何とも。 第三者で見るなら、どちらも微笑ましいと思いますネ。(いた) 追加、重巡組もしっかりしていたデスね・・・(hokuhin) 秋蘭・人和・蓮華・愛紗あたりもビックEに賛同するだろうなw艦娘で長女がしっかりしてるのは戦艦組を除くと陽炎と朝潮ぐらいしか居ない気がします。(hokuhin) mokiti1976-2010提督 コメントありがとうございます! 皆さん……見解が早いw どうなるかは次回にて。 義輝記も手を付けてますが……これまた……どんな話になるのやら? (いた) かくして異国の艦娘達も一刀提督の虜となって…しかも向こうのお国柄を考えれば金剛よりも積極的に行きそうですね。ある意味加賀達の悩みの種が増えるか?続きを楽しみにしています…義輝記もね♪(mokiti1976-2010) スネーク提督 コメントありがとうございます! 結果は……次回ですねw 前作も、何とか投稿しないと………(いた) さぁ、彼女らは一刀の種馬パワーに抗えるのか!?義輝記も待ってますよぉ?(スネーク) 雪風提督 コメントありがとうございます! 一応……お約束の波乱を起こしての結果次第になります。 加賀の嫌な予感は?(いた) 呉越同舟の状態ではなく、これから志を共にしてこの世界・そしてこの世界の一刀(主君)を支えて欲しいby李恢(雪風) |
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