出陣し、進軍の道程は一直線では無い

可能な限り戦闘を避ける

孫呉に動きを気づかれない

この二つの命題を抱えているからだ

途中で落とさざるを得ない砦なども有ったが速攻で落とし、伝令は霞が討つ

討ち漏らしも無く作戦は順調に進んでいる

「ところで、華琳が配下に加えたい孫呉の将ってどんなのが居るの？」

「そうね、君主の孫策は当然無理だから省くけど

　程普、黄蓋、太史慈、甘寧、周泰、陸遜、呂蒙、結構いるわね

　（北郷一刀と徐庶は言えないわね）」

「でも降ってくれる可能性は低いんでしょ

　落としても後の統治に苦労しそうね」

「呑気な事言ってるけど、貴女にして貰いたいのよ

　『天の御遣い』の名を使ってね」

「え〜！？」

華琳の言葉に心底、驚いた

「なんなら呉領の太守の座も考えても良いわ

　私は貴女をそれだけ評価してるのよ

　でも、ずっとは駄目よ　まだこの国を統一する為には貴女に働いてもらわないと

　それに、まだ貴女と閨を共にしてないんだから」

結局、そこに行きつくのか〜！

建業に近づいて来た時、少し気になる情報が入って来た

「２０名程の小部隊の行方が不明になった、か」

この状況で孫呉に寝返ったとは考えられない

しかも、その部隊は孫呉に恨みを持った許貢の残党で構成されている

素行は良くないけど・・・

しかし、目撃証言によると建業の方へ向かったらしい

気になるわね

「私が追ってみるわ」

「なるべく早く戻ってらっしゃい

　こんな些事で貴女を戦列から離す程、楽な相手じゃないのよ」

「了解」

私は許貢の残党部隊が向ったとされる方角へ馬を走らせる

〜一刀視点〜

今日の朝議にて

「治安、戦力の増強、生産力、全てが順調に進んでいる

　一刀の未来からの知識に依るところも大きい

　やはり、あの時一刀の取引に乗ったのは正解だったようだな」

冥琳の言う取引は俺が孫呉に降る代わりに、月と詠を保護する

この取引で俺は孫呉に所属している

「私の勘も大したもんね

　でも一刀〜、早く誰かと・・・」

「その後は言わないように

　まだ朝議の途中なんだから」

朝議が終わり

「一刀、ちょっと付き合ってほしい場所が有るんだけど」

雪蓮の誘いがあった

「俺は何時でもいいよ」

「じゃ、行きましょう」

そして連れて行かれたのは城の外　林の中にある小さな墓だった

「此処は母様と父様の墓なの

　母様は私以上に、荒々しい性格で孫呉の礎を築いたわ

　でもその性格が災いして戦で命を落としたわ

　その後は袁術の客将になって一刀も知っての通り」

「でも、独立を果たしたんだ

　孫堅さんも褒めてくれるんじゃないか？」

「そうだと良いけど、多分「何もたもたしてたんだ」って怒られるわよ」

そんな時、茂みから音がした

「誰だ！」

俺と雪蓮が警戒態勢に入ると

「え？」

茂みから出て来た人物に俺は一瞬言葉を失った

「鞘姉！？」

「一君！？」