リリカル東方恋姫外伝 ネギま編 第六話 『中篇くらいでラスボスが現れるのは常識』 |
ヘラス帝国の城
「テオーっ、どこにいるんだー?」
城内の廊下で一刀と剣呉、マサトがテオを探していた。
国境付近の戦場が混戦しているらしく、その原因が『完全なる世界』という組織の手によると判明された。戦線で指揮をとるため剣呉とマサト、秘書のディープをつれて三日ほど城を留守にしていた。で、今戻ってきたところであった。三日もテオの相手をしていなかったため、今日はアスナとつれてピクニックに行こうかと考えていた一等。しかし、城にはテオの姿がなく、城内の人やお留守番をしていた仲間たちに聞くが、皆は口をチャックして教えてくれない。何か知っていそうなディープに質問しようとしたらどこかへ消えてしまい、結局三人でテオを探していた。
「剣呉、マサトどうだ?」
「駄目だな。皆、俺たちに話してくれん」
「こっちもだ。たっく、あのじゃじゃ馬姫はどこ行きやがったんだ?」
「こんなときディープがいたら何か分かるかもしれないけど、帰ったらどっかいっちゃたし、テオどこいったんだ?」
不安になる一刀。すると、
「あっ、カズトに剣呉・・・・・あとマサト…おかえり…」
廊下で本を持って歩いていたスカイと会った。書斎で読む本を借りていたらしい。
「ただいまアスナ。あのさぁーテオがどこにもいないんだけど、なにか知らないかな?」
「テオ?…テオなら昨日の…オスティアのアリカと会談しにいったよ…」
「「「・・・・・・・・・・・・・はぁあああああっ?」」」
アスナの言葉に三人は呆ける。アスナがいうアリカとはオスティアの王女で、連合側の人間。そのことはテオとアスナから聞かされてが、戦争中に敵国の王女、しかも一刀に黙って会談しにいくなど無謀であった。
「何考えんだよテオの奴!?敵国で敵国の王女と会談なんて危険だぞ!」
「一様、スカイおねいちゃんがテオの影に隠れて待機しているから大丈夫…と思う…」
「だけど、そんな大事なこと、俺に黙って行かなくても…」
「おそらく、戦場や政治でがんばっている貴様のために役立ちたかったんであろう。あの小さな姫のことだ。この戦争を終戦させれば、貴様の手助けになるとそう思ったんだろう」
「うん。テオ…和睦を結ぶために会談しにいった…。そうすればカズト、戦場で危険な目にも、政治や研究で苦労かけなくてすむからって・・・・・」
「あのじゃじゃ馬姫、そこまで一刀のこと考えてたんだな。ちょっと見直したわ」
「ならば、城のものが口を割らないのは納得だ。貴様に心配をかけないためにテオが城の者たちに口止めをしてたんだろう」
「・・・・・・・テオの馬鹿。怪我でもしたら悲しむのは俺なんだぞ…」
テオの身をあんじる一刀。この世界にきて一番の付き合いの長い彼女がそこまでして自分のことを考えていることに一刀は知らなかった。だからこそ、守りたいたかったのだ。大切な仲間であり、一人の女性として。かならず別れてしまう運命であったとしても。
「あのーカズトさ〜ん」
一刀の影からディーブが出現した。いつもどおり微笑む顔であったが表情がぎこちなかった。
「ディーブ、おまえどこ行ってたんだ?つーか、テオがオスティアの王女と会談しにいってたことおまえ黙ってただろう。絶対」
「そのことについては姫様の頼みだったのでいえなかったけど、今はそれどころじゃないの―。緊急事態なの〜!」
「緊急事態だぁ?」
「それはいったい?」
いつもとちがってあせっているディープ。
マサトが緊急事態ということに首をかしげ、剣呉はどういうことか質問した。
「さっきスカイちゃんから連絡で、昨日の会談のとき姫様とオスティアの王女様が誘拐されちゃったのよ〜!」
「「「な、なんだってー!?」」」
「・・・・(またハマッた)」
驚いてハマってしまう一刀と剣呉とマサト。そのことにアスナは仲がいいなと思った。
一刀はディープの両肩をもってディープを揺らしてテオとスカイの安否を聞く。
「場所はどこなんだ!?テオは無事なのか!?それとスカイも!?」
「ふぇ〜ん、それがスカイちゃんとの通信が乱れてて内容が詳しくわからないの〜!!解読できた部分は完全なる世界に人間に攫われたことと、姫様といっしょに監禁されてるってことだけなの〜!おねがいだからそんなにゆらさないでぇ〜!?」
「落ち着けよ一刀!こいつを揺らしたってなんも解決しないぞ!」
「あっ、すまん」
「うっへ〜」
マサトに止められ、ディープを離した一刀だが、ディープは激しくゆらされてすこい目を回していた。
剣呉がその話に冷静に分析し、推測する。
「誘拐となれば、おそらく姫の身は無事であろう。命が狙いなら会談のとき殺してるはずだ」
「だけどよぉ。じゃじゃ馬姫たちがどこ監禁されてんのかわかんねぇぞ?この大陸、アメリカ大陸並みに広いし」
「う〜ぅ、それなら安心して頂戴〜。スカイちゃん…影竜の気配は特殊でねぇ〜姉妹ならその気配をたどることができるのよ〜」
「なら、テオといるスカイの居場所も?」
「そうよう。で、さっき、影を大陸中に範囲を広げて捜したらどうやら姫様たちは夜の迷宮にいるみたいなの〜」
「なるほど、夜の迷宮か・・・・・・・・・夜の迷宮ってなんだ?」
「おまえは少し黙ってとけ脳筋」
「おやつのバナナでも食べてたら…ゴリラ…」
「あれ、アスナまでさりげなく馬鹿にされた俺?」
『考えないほうがいいぞ相棒』
「そんなこよりも、テオたちを助けに行くぞ!あっ、剣呉はアスナとお留守番を頼む。軍を指揮できるはおまえしかいないし、もしもんときはアスナを守ってくれ」
「俺も付き添いたかったがその判断は正しい…。いいだろう。帝国はまかせてくれ」
剣呉は納得するが、
「カズト…私もテオ助けに行きたい…」
「だーめ。アスナはおとなしくお留守番してなさい」
「でも…私もカズトの役に立ちたい…」
一刀の袖を引っ張って駄々をこねるアスナ。一刀はアスナの頭をやさしく撫でてやった。
「だったら、俺のために此処を守ってくれ。ここは俺やテオたちの帰る場所。帰る場所がないと俺とテオたちは困るんだ。だから、アスナはここに残って守ってほしんだ。お兄ちゃんのおねがいだ。ねぇ?」
「・・・・・・・わかった…」
アスナは頷いて承諾する。
「うん、アスナはいい子だな。帰ったらテオと一緒に買い物に行こう。ほんでいい子のアスナに好きなもの買ってあげちゃう♪」
「ありがとう・・・・・・・でも、ほんと二人だけのほうがいいんだけど」ボソ
「ん?なんか言ったか?」
「なんでもないもん・・・・・・・」
アスナつぶやきが聞き取れなかった一刀。アスナを妹しか見ていない一刀に剣呉とディープは青春だなと微笑み、マサトは状況を理解できずぼへーとしていた。
「マサト、悪いがもうすこし付き合ってもらうぞ。ディープ、スカイの居場所まで影で転移してくれ。俺のテレポートでも移転先のイメージがなければ転移がむずかしんだ」
「いわれなくとも、スカイちゃんと姫様のために行きますよ〜」
「よっしゃぁ!俺の筋肉がうなるぜー!!」
ヤル気十分の二人。マサトにいたっては筋肉をみせぶらすようにポーズをとる。
スカイは影の能力で、自分と一刀とマサトの足元に影を広げて、転移の準備をする。
「カズト・・・気をつけてね…」
「帝国は俺が守ってやる。安心して姫とスカイの救出に専念しろ」
「ありがとう剣呉。…アスナ、いい子にまっといてくれ」
「じゃ行ってくるぜ!」
「うふふ、それでは転移しま〜す」
一刀とマサトとディープは影に包まれて消え、夜の迷宮へと転移した。
「とうちゃくで〜す」
一刀たち一行は夜の迷宮と呼ばれる建造物の付近に移転した。
「あそこが夜の迷宮か」
「ほんとなら、内部まで転移したかったんだけど、内部には特殊な結界が張られているらしく転移できなかったの…たぶん、スカイちゃんと通信できなかったのはソレのせいねぇ…」
「よし、うんじゃ、さっさとじゃじゃ馬姫たち助けに正面から乗り込もうぜ!」
赤龍帝の籠手を発動させるマサト。
「まて、マサト。下手に建造物を壊したら監禁されてるテオたちまで怪我をするかもしれん」
「そうよ〜。ここは、敵に気づかれずに隠密行動で潜入したほうがいいわ――」
ドッカーン!!
突如、夜の迷宮の一部が爆発。所々、雷や突風が吹き荒れ、火の気や煙が立ち上っていた。
「・・・・・・・・・なぁ、攫われたのはテオとスカイだけか?」
「いいえ〜オスティアの王女さまも一緒よ〜。…そういいえば、その王女さま紅い翼と協力者だったわねぇ〜」
「そいつらも王女さん助けに来たんだよな?そのわりにおもいっきり破壊工作してんぞ?」
「あの馬鹿…。救出活動で目立ってどうするんだよ…」
「どうします〜カズトさん。きっと中は敵と迷宮に住んでいる魔物でごった返しているはずですよ〜」
「ハァ・・・しかたがない。こうなったら、力押しで特攻するか・・・いくぞマサト、ディープ!」
「暴れまくってやるぜ!」
「それではとつげーき〜!」
夜の迷宮・内部
ドッカーン!
「姫さーん!どこにいるんだー!返事しろー!」
ドッゴーン!
「早く、返事しないと瓦礫の下敷きになっちまうぞー!」
建造物を破壊しながら攫われたアリカを探すナギと遮那。ことの発端はアリカとテオが会談の翌日の今日、ナギと紅い翼は完全ある世界と繋がっていた執務官の弾劾手続きを取ってもらうためマクギル元老議員に会いいったが、そのマクギルは偽者で、完全なる世界の幹部の一人で白髪の青年あった。本物はとっくに処理されていたらしい。さらに、白髪の青年がマクギル元老議員に成りすまして、紅い翼を反逆者に仕立て上げたおかげで、紅い翼は指名手配にされ、無様にその場から逃げる羽目となり(振り返るざまに遮那が朱雀をお見舞いしてやった)、隠れ家へと逃亡した。で、アリカが誘拐されたことを知り、(原作知識がある)キョウスケの情報で、ナギと遮那はさっそうと夜の迷宮へとアリカを救出に向かった。
なのだが、
「「「「死ねー!千の呪文の男ー!」」」」
「「「「ギャォオオオオオオ!!(なに住処壊してんだごらぁあああ!!)」」」」
さがすのが面倒なので魔法や必殺技で建造物を壊しながらアリカを探す。
そのため、おもいっきり完全なる世界の構成員や迷宮に住む魔物に襲われかけていた。
もっとも・・・・・、
「おめらはお呼びじゃねぇよ!呪文以下省略、雷の斧!!」
「どけ三下!灼爛炎帝!」
『ぎゃっぁああああああああああ!?!?』
二人の敵ではなく、雷と炎で黒焦げになった。
「派手にやってるなナギ、それに遮那も」
「っ!?ブレイド!」
ナギたちの背後から一刀がやってきた。さらに一刀の後ろでは、影の茨で敵を絞め殺しているディープと、赤龍帝の籠手で殴り潰しているマサトもいた。
「なんで、おまえがここにいるだぁ?」
「おまえらと同じでウチの小さな姫を助けに来たんだよ」
「ウチの…?あぁ、そういえば、あの王女といっしょにヘラスに第三皇女も攫われてたんだったな…」
「スカイちゃんの気配からみて、近くに姫さまたちがいるはずよ…。きっと、オスティアの皇女さまもいると思います〜」
「なら、ここは俺に任せて、お前らはじゃじゃ馬姫やらを助けにいけ!なんせ、姫を救い出すのは姫の騎士なのは王道ってもんなんだしよ!」
親指を立てて、殿と勤めようとするマサト。彼の男気にナギはかっこいいと思い、遮那はキョウスケと同じにおいがするなと思った。
「よし、任せたよマサト!ディープ、案内しろ」
「は〜い、こちらですよ〜」
「俺たちもついていくぞ!」
「おう、後ろは頼んだぜ、えぇーと…」
「マサト・アルマー。じゃじゃ馬姫を助け出したら、あとで俺と勝負してくれ。俺も強いやつと勝負すんの好きなんでな!」
「おまえもラカンと同じく口かっ。いいぜ、俺と戦う前に死んだらら承知しねーからな!」
マサトを残して、一刀たちはテオとアリカ、スカイが監禁された場所へ向かった。
「ふん、見たところ、おぬしはヘラスの兵士だな」
「貴様ごときが完全なる世界に殿を申すなど、自殺行為」
「即殺して、千の呪文と千の武器の首を貰い受ける!」
「がぉおおおおお!!」
完全ある世界と構成員と魔獣がマサトをただの筋肉と勘違いして、マサトを襲い掛かる。
相手が二天龍の一角の龍の魂が閉じ込められ神殺しの武具の使い手だと知らずに。
「まとめてかかってこい!俺の筋肉がただの肉の塊じゃねーこと証明してやるよ!いくぜドライグ!」
『オウッ!別世界といえば俺に牙をむくとはおもしろい!今回は久々にあばれるぞ相棒!』
一瞬にして禁手『赤龍帝の鎧』を発動し赤い全身甲冑に身を包んだマサト。
全身から赤いオーラを放出、拳を鳴らし、鎧の緑の眼が光り輝く。
「『さぁ、俺たちを楽しませろモブ共!』」
一刀たちの背後でとてつもない爆発音と轟音、多くの敵と魔獣の絶叫が響くが、一刀は振り返らずに先を進んだ。
その後、完全なる世界の中でマサトは『赤き龍帝王』『ヘラスのバグ筋肉』『ラカンの2pカラー』として呼ばれることとなる。
マサトが敵を一掃している頃、テオとアリカとスカイはとある部屋に閉じ込められていた。
「くう〜!なんて頑丈な扉なのじゃ!びくともせんわ!!」
外で轟音が聞こえた頃、外にいたはずの見張りはどこかへ(暴れているマサトを止めに)いったので、好機と思い今のうちに逃げようとしてドアを蹴破ろうとするテオ。しかし、ドアは頑丈で破れなかった。
「テオドラよ。そんにことをしてもなん解決にもならぬぞ」
同じく捕まったアリカが話しかけた。その横には体中怪我だらけで、満身傷痍のスカイもいた。
「すまねぇ姫様。俺がこんな怪我さえしなければ誘拐されずにすんだのによ…面目ねぇ」
「なにをいうか。おぬしは裏切り者の家臣に代わり、妾たちは守るため必死に完全ある世界の者たち抵抗したんだ。それに最後の力で仲間と連絡したことは勲章ものじゃ。あとで褒美をやるから楽しみにしておくがよい」
「そいつは、ありがてぇ…。けど、今はそれよりも、早くここから脱出する方法をかんがえねぇと…」
「今は休んで怪我を治しておけ。それがおぬしが今やるべきことだ」
そういって、アリカは膝枕でスカイを横に寝かした
「一国の王女さんが俺みたいなハーフを膝枕していいのかよ?」
「よい、おぬしは妾の恩人だ。おぬしのような忠義が厚いものなど久々みたぞ。テオドラはいい家来をお持ちでうらやましいなー。妾の馬鹿騎士共とは大違いだ」
「馬鹿騎士とは誰じゃ?」
「紅い翼のナギという奴と遮那という女子の顔をした小童のことじゃ」
「あぁーカズトが言って馬鹿の集団の奴らのことか…」
「カズト?誰だそやつは?」
「カズトは妾の騎士で、戦場ではブレイドと呼ばれておるのじゃ」
「なんと、あの千の武器や悪鬼夜叉と連合が恐れられいるあのブレイドのことか!?」
「なぁ、姫様。一刀の本名、連合の王女にバラしていいのか?」
「あっ、しまった!?アリカよ、すまないがこのことは連合には内緒にしてくれたもう!?」
「別にかまなぬ。戦場などで本名を隠すのは普通にあるしな。…じゃが、その代わり妾の問に答えてくれるか?」
「ん?なんじゃ?」
「ア…アスナはどうしているのじゃ…?おぬしの騎士が攫ったことは知っておる。だから…」
アスナのことで内心心配するアリカ。どうやら、彼女もまたながいことアスナの処遇ことで悩んでいたらしい。
その彼女にテオはアリカを安心させようと肩に手を置いた。
「安心せい。アスナは妾とカズトたちが保護のもと自由させておる。そのおかげか、かつて人形であったあやつは今や自分自身で学び、選択するほどまでに人の心を取り戻しておる。いつかは普通の少女として人生を送れよう」
アスナが普通の少女として人生を遅れるついては本音をいえばテオには内心自信がなかった。なにせ、一刀の知識を継承しており、テオにとって恋敵に近い存在であった。そんな子が普通の人生を送るなどまず無理だろう。アスナが選ぶことであるが、それでもテオは危険視している。おもに、一刀関係で。
「そうか、それはよかった…」
テオの悩みを知らず、胸を下ろし安心するアリカ。その彼女にスカイがあることを提案する。
「そこまでアスナが心配なら、会って見ればいいじゃねーか」
「そ、それは無理だ…!妾は、妾の国は数百年ものの間、あの子を苦しめてきた…。そんな妾があの子に会う資格など無い…!」
「資格はなくとも、謝る義務はあるんだろう?あいつの人生を奪ってなにも言わないのはダメだろう」
「スカイの言うとおりじゃ。この戦争が終わったらアスナに謝りに来い。あやつのことについてはそのときに話そうぞ」
「おぬしら…。うぬ、アスナに叩かれる覚悟で行こう…」
アリカは終戦後にヘラスに行くことを承知した。目的はアスナに謝ること。
励まされ涙を流すアリカ。そのとき、
ズッガァーーーン!!!
「よぉ、来たぜ姫さん!」
「愚連隊の到着だ」
「テオ、無事かー!」
「スカイちゃん〜大丈夫〜」
壁ごとドアが破壊され、壁に大穴が空く。そこから、ナギ、遮那、一刀、ディープが入ってくる。
どうやら、ナギと一刀がドアを開けるの面倒だったため壊して入ったのだ。
ところが、これには問題があった。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(鼻血ダラダラ)」」
「ひ、姫さん…;」
活きよいよく壁を壊したので瓦礫が飛んでしまい、テオとアリカの顔に直撃したのだ。
スカイは地面に横になっていたため、瓦礫に当たらなかった。
「その鼻血はどうしたんだ、姫さん!?」
「完全の世界にやられたのか!?」
壁を壊した本人が原因だと気づかないナギと一刀。それぞれ姫に近寄り、
ドッカン!
「「おまえらの仕業だぁああああ!!」」
「「ぶっげぇええ!?」」
姫様のアッパーパンチで殴り飛ばされた。壁の穴に腰をかけていた遮那は呆れて「やれやれ」と首を振る。
なお、ディープはアリカの膝枕に頭を乗せるスカイを一瞬で奪い、
「スカイちゃん〜なんでオスティアの王女さまに膝枕されていたのかしら〜?」
「イタタタタタ!?そんなにきつく抱きつくな!痛いって!」
「スカイちゃんに膝枕してあげるのは私だけなの〜うわきは絶対にゆるさいわよ〜」
「ぎゃっぁあああ!?傷が開くぅううう!骨が折れちまうぅうううう!!」
「うふふふふふ♪」
ヤンデレになって、スカイに抱きついてホールドしていた。半龍であるため腕力はそうとうなものなので、ホールドしたスカイの体がギシギシと骨が軋む音が鳴る。
その後、土下座をしてなんとか許してもらい、一刀たちはテオとアリカとスカイ、そして迷宮にいた敵と魔獣をすべて倒したマサトもつれて夜の迷宮から脱出。紅い翼の隠れ家に向かった。
紅き翼の隠れ家。
「なんじゃこれが噂の『紅き翼』の秘密基地か。どんな所かと思えばただの掘立小屋ではないか!」
隠れ家について早々に感想を述べるテオ。一刀の秘密の地下研究所を見ているため、比べてしまう。ちなみにスカイはその小屋で休んでおり、ディープはスカイの看病で一緒だった。
すると、ラカンがテオに近づいてきた。
「俺ら逃亡者に何を期待してたんだこのジャリはよ」
「なんだ貴様、無礼であろう!」
「へっへ〜ん生憎ヘラスの皇族には貸しはあっても借りはないんでね」
「何ぃ?貴様何者だ」
「俺様は『千の刃』のジャック・ラカン様だ!」
自信ありげに自己紹介するラカンだが、
「なんじゃ、千の刃という奴はこんな筋肉ダルマのことか。まるでマサト二号じゃな、おぬし」
テオの反応は薄くかった。一刀や剣呉、マサトたちの非常識な日々に慣れており、マサトという筋肉馬鹿がおるため、あまり驚きはしなかった。
「なんだてめぇ喧嘩売ってんのか!?つうか、マサトって誰だ?」
「ん、なんか呼んだか?」
呼ばれていないのに、名前で反応してマサトがやってきた。
「てめぇ誰だ?」
「俺はマサト・アルマー!ヘラス帝国の客将にして究極の筋肉をもつ男だ!フン!」
筋肉に力を入れて、筋肉の膨張で上着を破り、上半身裸になるマサト。
筋肉の単語にラカンが反応した。
「究極の筋肉だと!?馬鹿を言え!究極の筋肉をもつ男はこのラカン様だ!フン!」
ラカンもまた上半身の筋肉を膨張させ上着を破り、上半身裸になる。
「そんな膨れるだけの筋肉など、真の筋肉とは言えん!真の筋肉の究極は量より質!俺が鍛え続けている筋肉こそが究極にして、芸術の美だ!」
「そんなもんただの見せかけただ!硬く、大きく、そして強い筋肉こそが極であり、真理!そして俺の筋肉が真理であり、俺こそが究極の筋肉の化身であり芸術の頂点だ!!」
「ウムムムムム!!」
「ウォオオオオオ!!」
お互いポーズをとりつづけ、にらみ合う二人。みてるだけで暑苦しい。だが、その二人の筋肉に挟まれて、暑苦しくなるテオのほうがもっと暑苦しく感じており、テオは青筋を多く浮かべていた。
「こうなったら、どっちが究極の筋肉かこのジャリに決めてもらおーぜ!!」
「受けて立つ!と、いうわけで審判を頼むぜじゃじゃ馬姫!」
いい笑顔で頼むマサト。その笑顔はめっちゃむかつくものでありテオの神経を逆なでし――
ブッチ♪
バキ!グッシャ!ゴン!
「この窮地のとき、なにボディービル大会やろぉとしておるのじゃおぬしら、あぁん?」
「「ご、ごべんぢゃざい〜・・・・・・・」」
ボキボキと拳を鳴らして睨み脅すテオ。その姿はまさしく龍の王であり、龍のような獰猛な瞳で足元でズタボロで土下座をしていたラカンとマサトを見下ろしていた。
あのバグキャラであるラカンと(転生者であることは一刀が教えた)マサトをリンチしたテオの強さに一刀以外は驚き、キョウスケは「あんなキャラだったか?」と原作を比べ、自分たちが物語に介入したため変わったのかと推測していた。
「さーて、姫さん。あのジャリ姫の言うとおり、俺たちは今や連合軍や帝国に追われ身…見方がいねぇ」
「もちろん、あんたの国もだ。上層部はもう真っ黒で腐っちまってる。文字通り八方塞で、俺たちは敵に囲まれちまった。さて、どうする気だ?」
ナギと遮那がいうと、アリカは少し考え、二人を見ながら口を開く。
「そうか…我が騎士たちよ…」
「だから姫さん、その我が騎士ってなんだよ!?俺はクラスといったら魔法使いだぜ」
「そうそう、うんで俺のクラスはサムライだ」
「どっちかといえば、あんたらのクラスってバーサーカーじゃないの?考えず暴れまくって、モノ壊すし」
「「そうかー?」」
ナギと遮那は騎士という言葉にむず痒いのか、はたまた気に入らないのかアリカに抗議する。
その横でリズがでしゃばるが、二人はそのクラスになぜか納得してしまいそうになる。
アリカはクスンと微笑し、かまわず言う。
「もう連合の兵でないのじゃろう。ならば主らもはや妾のものじゃ」
「いや、なんでそうなる…?;」
「いつからあんたのモンになったんだよ、おい・・・?」
唖然となるナギと遮那。その後ろでリズはじーと細目でナギをみつめていた。
けれどアリカはお構いなしに言い続ける。
「連合に帝国…そして我がオスティア、世界全てが敵というわけじゃ。じゃが……主と主の紅き翼は無敵なのじゃろ?」
その問いにナギと遮那は、
「当たり前だろ、姫さん。俺らを誰だと思ってんだ」
「敵にあったらぶっ飛ばし、魔王にあったら叩き潰し、神にあったらぶった切る、最強無敵の愚連隊。それが俺たちだ」
不敵な笑みでそう答えた。
「ふふ、世界全てが敵…良いではないか。こちらの兵はたったの11人、だが最強―いや、無敵の11人じゃ」
アリカはどこから出したのか剣を取り出した。
「今世界は完全なる世界に操られておる。ならば我らが世界を救おう!我が騎士ナギよ、そして、遮那よ。我の盾となり我が剣となれ!!」
「……へっ。やれやれ相変わらずおっかない姫さんだぜ」
「俺が従うが俺だけだが、あんたの戯言は気に入った」
二人はアリカの前に行き決意の眼差しを向けると、膝を降ろし忠誠の姿勢をとりアリカに告げる。
「いいぜ。俺の杖と翼…あんたに預けよう」
「だが、後悔すんな。俺の剣とナギの杖は相当な業を背負ってて重い…それを背負う覚悟しとくんだな」
「フッ、そんなもの主らと出会ったときより、とっくに心得ておるわ」
太陽に照らされる3人を紅き翼のメンバーと一刀と一刀におんぶされたテオと、復活したマサトは見守った。
忠誠を誓うナギと遮那の傍ら、テオは一刀に提案する。
「なぁ、カズトよ。妾もアリカたちと協力したいのじゃ」
「それはこっちの台詞だよ、テオ」
「にっしししし、俺も同意見だぜ」
テオを肩から降ろした一刀はテオとマサトとともにアリカたちに近寄った。
「アリカよ、妾たちもぬしらと協力しよぞう」
「世界を救うために世界と喧嘩する…そんなでけぇ祭りを参加しない馬鹿はいないさ」
「世界が敵なら逆に俺の筋肉を世界のやつ等に拝ませてやるぜ!」
「おぬしら…」
「へへへ、一回幻滅したけど見直したぜ、ブレイド」
「あっははあはは、悪いけどそれは俺の名前じゃないよ…」
そして、一刀はナギたちに改めて自己紹介をする。
「改めまして紅い翼、はじめましてアリカ王女。戦場ではブレイド・H・フェイクドール名乗ってましたがそれは仮の名。俺の本当の名前は北郷一刀。よろずや東方流星のオーナだ。どんな依頼でも必ず達成したやるからよろしくな」
「北郷一刀か…いい名前だな。私のことはナギ同様にアリカと呼んでよいぞ」
「おまえも今日から俺たちの仲間だブレイド―いや、一刀!」
「そっちの筋肉も、せいぜいがんばれよな」
「こちらこそ、よろしく」
「へっ!釘宮ボイスにいわれようが、俺の筋肉は常に全力全快だぜ!」
ナギと一刀はお互い力強く握手し、マサトは遮那の頭をなでて遮那に蹴りを入れられた。
「よろずや…?彼は何でも屋だったんですねぇ」
「傭兵でもなく、何でも屋がヘラスの英雄とはおもしろいですねぇ〜」
「だが、俺たちと全員で渡り合えた奴だ。これは戦力になるぞ」
一刀が何でも屋ということに、詠春、アル、ガトウがそう言う。その中でラカンが「もっとも、あいつらを入れたら13人になって不吉なだけどな、がっははははは!」と不謹慎なことを言うと、リーファが武装色の覇気を纏った肘でラカンの腹を無言で突き出して黙らせた。そのため、ラカンは腹を押さえてゲロを吐いた。
そしてリーファは、
「私の名前はリーファ・F・ソードと言うの。よろしくね、一刀さん♪」
「あっ、あぁ…;」
猫を被り両手で一刀と握手をして自己紹介をするリーファ。別人といえ知り合いの従妹妹の容姿瓜二つで、積極的にする彼女に一刀は若干、わからず引いてしまいそうになる。もちろん、彼女の好意は気づいていない。
だが、
「カズト・・・・おぬしいつのまにこの牛乳娘のフラグを立てたおったのじゃ?」
テオにとっては不満であり、低くドスの声で聞く。
「いや、彼女とは一回会っただけ、なにもなかったですよ…;」
「牛乳って…私、リーファっていう立派な名前があるんだけど?」
「おぬしの存在価値などその乳くらいじゃろうって。ヘラスではおぬし=おっぱいとして認知しておらんぞ」
「あっはははは、わたしって胸しか認識されてないんだねぇ…」
「リーファさーん。自分を見失いわないでー」
ヘラスでの自分の評価に眼がうつろいでいるリーファ。
一刀は励ますがリーファは「励ましてくれるの…?///」と返事する。それにはテオはちょっとムカッしたので、一刀ともどもリーファをいじめることにした。
「まぁ、もっとも、こんな牛乳娘より、おぬしは妾のほうが好みだろうしな。あこがれる位なら大目に見てやろう」
「好みって…まさか一刀さん…キョウスケとアルと同じなの…」
「まって!?勘違いしてないで!俺は至ってノーマルだ!」
「うふふふふ、なにがノーマルじゃ。昼夜も問わず妾の幼い肉体を求め、おぬしの体や道具で戯れ、しゃぶりつくしては妾をなんども絶頂させおったくせに…おかげで妾の肉体がカズトのモノなってしまったわ…///」
「テオ様!?なんで官能的な台詞を言う!?っつか、プライバシーのことは黙秘するにいった人が何で自分で暴露してるんでだよ!!」
妖艶な顔で頬を薄く赤めるテオにツッコミをいれる一刀。もっとも、テオが言って事は一様本当のことである。本番はなかったが。
テオとの夜伽で紅い翼のまじめ派とアリカは赤くなり、ナギはある意味で一刀を尊敬し、いつのまにか復活したラカンは口笛を吹き、アルとキョウスケは、「「是非!そのことについて【詳しく教えてください】!!」」と聞きいてきて、遮那が「煩悩に忠実だなおまえら…!?」とツッコミをいれた。で、一刀の前にいるリーファは、
「か、かず…かっ、一刀さんの幼女絶倫変態性犯罪者!!!///」
そういい残して、後ろに振り返って走り去っていった。
「まって!まって!誤解のまま逃げないで!誤解で納得されるとこっちはめっちゃキツいー!」
誤解と解こうと、リーファを追いかえる一刀。その様子をナギたちが笑っていると、キョウスケがあることに気づく。
(そういえば、この後の展開ってアスナが敵サイドにいないと成立しないよな?アスナはヘラスにいるし、このあとどうなるんだ?)
原作とだいぶズレたことに考えている。そのとき、上空からリーファの狙う殺意を一刀が感じ取った。
「あぶない!?」
一刀が叫ぶが、リーファは頭が混乱していて殺意に気づいておらず、一刀は瞬歩で刹那に移動をし、リーファに近づくと、すぐさまリーファを押し倒し伏せさせる。すると、頭、擦れ擦れで上空からの槍が飛来し、地面に突き刺さった。
「大丈夫か…?」
「ありがとう…///」
助けられたリーファは赤くなって感謝する。なんせ、一刀に被さる形だったため、背中に一刀のぬくもりが感じた。なぜ、赤くなってるかは鈍感の一刀にはわからなかった。
「オーイ!リーファ、一刀、無事か〜!?」
ナギたちが一刀たちを心配して駆け付ける。一刀は「なんとか・・・」と返事をし、槍が飛んできた上空へ見上げると、そこには、
「ほう、さすがは物語より外れたしイレギュラー。勘が鋭いな…」
昆虫のような容姿と全身甲冑を身に纏った昆虫の羽根の形をした羽根をもつ者たち(イメージはソード・アート・オンラインのフェアリィダンスで大量に出てきた白いやつ)が武器を構えて上空に浮かんでいた。
数にしては軽くて一万以上いた。
「なんだこいつら!?」
「連合?いえ、連合軍にあんな人たちはいなかったはず…」
「帝国もあんな奴らはしらぬぞ!?」
「なら、完全ある世界の差し金か!」
アリカ、アル、テオ、ガトウの順に言い、全員警戒態勢をとった。
一刀は見下ろしている彼らの気を感じ、なんなのか察した。
「おまえらは神側の関係者だな…?」
「なにっ神だと!?」
反応したのキョウスケであった。また、遮那やリーファ、そしてマサトなど転生者組みも同じであった。神側によって転生したため、なぜ神の関係がいるのか疑問に思うと、神関係者の者たちが言葉を発した。
「そうだ。我こそすべての世界の物語を管理する神の使い。また、世界の物語を守る守護者である!」
「この世界はあまりも、原作から離れている。よって即急に修正しなくてはいけない」
「そのため、イレギュラーであるおぬしと転生者、そして、彩光翔の聖槌『パルコー』の使い手は抹消させてもらう!」
神の使いたちは槍や剣を構え、一斉に一刀たちを襲い掛かった。
一刀たちはそれぞれ迎撃する。戦闘力はあまりなく(一刀たちが出鱈目に強いだけだが)ほぼ一撃で倒せるが、なにぶん数が多く、一刀と転生者組み、そしてリズを積極的に狙ってくる。徐々にだが、力量と経験不足のリズを狙って襲ってくる数が増えている。
「なんかあたしだけめちゃくちゃ襲わてない!?あたしなんかヤッたの!?」
大槌を振り回して神の使いを叩き潰しながら叫ぶリズ。襲われる理由では、わけがわからない事情で叫ぶ本人と、神の使いを叩き潰している大槌が原因であった。
「貴様の存在は本来この世界に存在しない者だ!」
「我ら神を差し置いて世界を守護する存在であるパルコーにその使い手となれば黙ってはおれん!」
「パルコーともども、抹消する!」
神の使いたちが、リズの存在を否定する。リズは彼らのわけのわからない事情と、自分の存在を否定され泣きそうになる。けれど、神の使いたちはリズと大槌――パルコーを破壊しようと無慈悲にリズを殺しにかかる。
そのとき、横から雷が放出し、神の使いは黒こげになった。雷の斧を放ったのはナギであった。
「俺の幼馴染を…リズを否定すんっじゃね!こいつは俺の大事な幼馴染だ!こいつを否定すんなら誰だろうが俺がただじゃおかねぇ!」
「ナギ…///」
幼馴染が否定され傷つかれているとに、ナギは怒る。襲い掛かる神の使いを殴り、捻り、蹴り、魔法の稲妻で黒こげにと無双する。
リズはナギが自分をかばったことに、頬を赤くして惚れ直していた。タカミチと一緒に小屋に隠れていたアリカはすこしムカッとしていた。
「その強さ、あまりにも原作を超えている!?今すぐにその強さとあの女を捨てr――がっぁ!?」
「うっせー。俺が強くなろうが俺の勝手だ。てめぇらが指図すんな。それに、大切な幼馴染を捨てるかよバーカ」
神の使いの顔を殴り貫いたナギ。怒りでがむしゃあに暴れたいる間、徐々にだが、神の使いが減ってきていた。
「くっ、ここまでイレギュラーがおきるとは、このことを早く主に報告しなければ!」
「に・が・さ・ない!プレデタークロス!!」
一刀勝てないと分かり神の使いたちは空へと逃亡しようとするが、一刀のプレデタークロスで重力と磁力により神の使いたちは圧縮される。けれど、一様神の使いであり、つぶれされないようと圧力に抗い耐えていた。そのため、動けず上空に固定されてしまう。
「ぐっぉおおおお!?離せ貴様!原作を守る我らに手を出していいと思ってるのか!」
「黙れ!貴様らみたいな原作主義は、不幸の物語を変えることをいつも否定するくせに、不幸に変えられた物語には見ていぬ不利をする。そんな、悪行を助け幸せを挫く、貴様らに原作をどうこうする権利など無い!」
「そのとおりです!!」
一刀の台詞にその場にいる仲間たちの声ではない凛とした声が響いた。
空が割れ、隙間より深緑の長髪をした神々しい女性が降臨した。
「こんどはなんだ!?」
「なんか神々しい人が降りてきたわよ!?」
「あの駄神よりも神様らしいなー」
「はらへった〜」
キョウスケ、リーファ、遮那、マサトと転生組みが言う。遮那は女性が自分を転生させた駄目神の似た気配を感じて神様だと見抜く、マサトは興味がなかった。そのほかの紅い翼は突然のことに驚き目を点にしていた。
女性は見下ろす形で、一刀に言う。
「よくぞ、言い切りました外史を渡り歩く万事屋。その言葉こそ、我ら神が今やるべきことなのです」
「あんた、誰だ?」
「私の名前は護天神・ヒルヴァニック。あなたの知り合いの管路とは知人の仲なので敵ではありません。私はある事情によりこの世界の危機を知らせに参りました」
「護天神だと!?世界守護神の一柱がなぜここへ!?」
ヒルヴァニックの存在に神の使いたちは驚く。この反応からして相当な神だと一刀と遮那とキョウスケは理解した。
ヒルヴァニックは神の使いに指差して、説明する。
「一刀さん。そいつの主は犯罪神の片腕と呼ばれた者です。その者は部下やクズ転生者を使って、多くの世界や物語を不幸にしてきました…そのため、我ら神界はそいつらを犯罪者とみなし、検挙しているのです」
「つまり、こいつらは原作主義者の皮を被った子悪党ってことか?」
「そういうことです。なので、ヤッちゃっても神界にはなんの問題ありません♪あと、ことの説明はあとで私がしますので、捕虜をする必要もありませんよ」
「そうか…なら尋問する必要ないよなぁ」
「ひっ!?」
にやりと笑う一刀に神の使い(笑)たちは怯み(その拍子に圧縮で潰された者が続出し)逃げようとするが、圧縮で逃げられない。
このままプレデタークロスで圧縮して潰すのもいいが、相手が子悪党の神の使い(笑)で、リズを泣かしたので、出血大サービスで大技を決めることにした。
「ナギ!こいつらに向かって千の雷を放てくれ!ちょっと試したいことがあるんだ!」
「何する気かしらねぇが、いいぜぇ!呪文以下省略!千の雷!!」
ナギが千の雷を放つ。
「見せてやるよ。バオウの可能性を!バオウ・ザケルガァアアアア!!」
千の雷を乗せるように、バオウ・ザケルガを放つと、バオウ・ザケルガと千の雷が重なり絡め合う。そして千の雷がバオウ・ザケルガと同化し、バオウ・ザケルガの胴体が枝別れしていき――、
バォオオオオオオオオオオオ!!!×1000
頭部が千以上もあるバオウ・ザケルガとなった。
「俺の千の雷を吸収して首が増えた!?」
「あの雷の龍にはそんな力があったのかよ!?」
「これぞ、クロスオーバーの醍醐味!名づけるならアレはバオウ・ザケルヒュドラだな!」
「一刀さんかっこい〜!!」
バオウ・ザケルガの形態と迫力にナギと遮那は驚き、キョウスケは技を名づけ、リーファは一刀のすごさに目を輝かせていた。ほかの者たちはナギと同様に驚いていた。
バオウ・ザケルもといバオウ・ザケルヒュドラは、宙で動けない神の使い(笑)たちを全員噛み砕き、悲鳴を上げながら電撃のエネルギーに包まれ消滅した。いや、一体だけ虫の息で残っていた。おそらく隊長格だろう。
「がっは、これが物語りより外れた者の力か…おそろしいものだ。だが、物語…世界の筋書きからは逃れられん…おぬしの大事な義妹は今頃、物語の反動により…筋書きの線路に戻されているはずだ…」
「それはいったい、どういうことだ!?」
一刀が聞くが、神の使いは壊れたように一刀に嘲笑った。
「がっはははは、貴様はどれほど世界に愛されようが、いずれは世界に捨てられる定め。運命に抵抗しようが、貴様に行く場所も、愛される者は永遠ないわ。あわれでさびしげな人生だ。あっははははは――」
刹那、ヒルヴァニアが剣を抜刀し、神の使いを縦に両断。神の使いの笑い声は止んだ。
「下種の言葉を耳にする必要はありません。穢れるだけです」
カッチンと、剣を鞘に収めると神の使いは塵となり消滅する。
本来、ヒルヴァニアは神界の規定により世界で力を使うことは違反だが、能力ではなく素手を出したため、ギリギリセーフであった。たぶん。
一方、一刀は神の使いが言った台詞を考えるが、なにやら胸騒ぎがし念波で剣呉と連絡をとった。
《もしもし、剣呉。応答しろ!》
《か…一刀…》
連絡が取れたが通信が不安定で、剣呉の声にいつもの凛とした覇気がなかった。
《どうした!?剣呉、なにかあったか!?》
《す…すまない…俺の力不足だ…フードの不審者が大結界を…帝国が…――》
不安定で内容が途切れ途切れになってしまった念波は、ついには切れてしまった。
「剣呉。オイ、剣呉応答しろ!剣呉!!」
「カズト、ヘラスでなにあったのか!?」
「わからない。だけど、帝国で、剣呉とアスナたちになにかあったのはたしかだ」
「あの剣呉が!?」
剣呉の長年の友であり自称ライバルであるマサトが驚く。一刀も彼の強さは把握しており、そこらへんのチート転生者には負けない実力があるため安心して留守を任せたが、彼の身になにかが起きていることに不安が加速する。
「悪いけどテオはナギたちとここで待っててくれ。帝国は俺とマサトで行く」
「なんじゃと!?いやじゃ!ヘラスは妾の国じゃ!妾も一緒に行くぞ!」
テオは残ることを反対し一刀たちに付いて行こうとする。そのテオをタカミチと詠春が引き止める。
「離せ!?妾は一刀と行くのじゃ!」
「駄目ですよ!向こうがどうなっているかわからないんですよ!」
「危険かもしれませので、ここはどうか私たちと一緒にいてください!」
「いやじゃいやじゃー!」
駄々をこねるテオ。そこに人影が伸びた。
「姫様ごめんなさ〜い!」
「ぐっへ!?」
小屋にいたディープがテオの首筋をチョップし、気絶させた。ディープの横には包帯を巻いたスカイもいた。スカイはテオを持ち上げてディープに渡し、抱っこした。
「姫様を黙らすならこんぐらいしねぇとなっ」
「スカイ、ディープおまえら…」
「今の俺は足手まといになるだけだし、俺が姫様の面倒をみてやるよ」
「姫様のことは私たちにまかせて、どうか一刀さんは帝国に…」
「感謝する!マサト、テレポートで行くから俺の身体に触れていろ!」
「わかったぜ」
マサトが一刀の肩に触れると、一刀はテレポートでヘラスに向かった。
「大丈夫かなぁ一刀さん…。それに剣呉っていう人も…」
「わからん。なにせこの世界は原作とかけ離れている。この先の展開は俺の知識は役に立たん」
オリキャラに一部の原作キャラ設定、さらに神などもはや原作と違う展開になってしまった。
そのことにキョウスケは不安をよぎるが、この場では注意不足であった。
「あの〜さっきから気になってたんですが…さっきのあの神の使い?たちがリーファさんたちのこと転生者と呼んでいましたよね?それはどういう意味なんですか?」
「原作や俺の知識とかもです!どういうわけか説明してくれませんか?」
キョウスケたちの言葉にタカミチと詠春が聞く。ほかも同じで説明を求めてる目をしていた。
「キョウスケ〜どうするの〜」
「ここまで状況が複雑になってしまった以上しかたがない…。たが、あんたの口からも詳しく説明してくれよな、護天神殿」
地上に降りたヒルヴァニアを横目で覗く。ヒルヴァニアは「はい」と返事して紅い翼に近づく。
「もとより私の目的はあなたたちに危機を黒幕を伝えに来たので、それはかまいません。ただ、その前にちょっと質問してよろしいですか?」
「ん、なんだ?」
「紅い翼のリーダーのナギさんと副リーダーの遮那さん、そしてパルコーの主のリズベットさんがたちが、一刀さんたちについて行っちゃいましたけど、よろしかったんですか?」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ?』
周りを見渡すと、ナギと遮那とリズの三人の姿がなかった。
「これは、いったい…!?」
「町がめちゃくちゃだ…!?」
ヘラスの街中に移転した一刀たちが目にしたのは、破壊された町と帝国の迎撃システムの大砲と飛行船で撃退されている連合艦隊の空中戦艦だった。
「なっ、大結界の一部が解除されてる!?」
一刀はヘラス付近の国境にはヘラスを囲む超弩級の結界を張っていた。結界は都合よくヘラスに仇名す敵だけを認識し入らせない認識システムと戦艦の集中砲火を浴びてもびくともしない強度、そして破壊されても高速で修復する自己修復機能をもっていた。しかし、もしも敵に利用されるなどがあったときのために、進入できるように一部だけ解除できる出入り口は作っていた。ただ、その出入り口は巧妙に隠されており数時間ごとに解除場所を変更されている。そのため出入り口は作った本人である一刀しかあけることができない。だが、目の前でその出入り口が開かれ、連合軍の艦隊が進入していた。
「俺の結界をやぶるなんて、一体誰が…――」
「へぇー、ここが帝国かー。えらく、荒れた国だなぁ」
「荒れるのなにも、連合軍が荒らしたみたいだぞ。俺たちが言うのもアレだが、ここまでやるのかよあいつら…」
「もぉー!戦争がおわったら帝国でショッピングしようと思ったのに〜」
「「へっ?」」
隠れ家にいたはずの三人の声が聞こえ、一刀とマサトは後ろを振り向くとそこにはナギと遮那とリズがいた。一刀がテレポートする寸前にナギと遮那が一刀の袖に触れ、さらにリズが行こうとするナギの肩を持ったため、一緒に転移されたようだ。
「ナギ、遮那、リズベット!?なんでおまえらがここにいるんだよ!?」
「なんでって、そうりゃーもちろん、おまえの手助けに決まってんだろう!」
「もう、おまえは俺たちの仲間だ。仲間のピンチを放っておけるかよ」
「それに、アスナちゃんに会いたいしね♪」
一刀たちと協力するためについてきたらしい。リズにいたってはアスナにもう一度会いたかったためだ。
三人の気持ちに一刀は微笑み、内心うれしかったが、リズの言葉で重要なことを思い出した。
「そうだ、アスナ!それに剣呉も!あいつらどこに――」
そのとき、街角から一人の男が現れ、一刀たちに声をかけた。
「ぐぅ、一刀…マサト…」
「「剣呉!?」」
剣呉であった。しかも怪我をしており頭に血を流し、胴体は血が溢れ出し赤い衣服をさらに紅く染めていた。
地面にひざを突き、倒れそうになる様子であったため、一刀たちは急いで駆けつけ、マサトが剣呉を支え持った。
「しっかりしろよ、パイナップル頭!?なにがあったんだよ、オイ!!」
「はぁはぁ、誰がバイパップル頭だ、筋肉馬鹿!」
大量出血で満身傷痍でも、マサトに対してはしっかり答える剣呉。声からして、まだ大丈夫そうだ。
「剣呉、俺たちがいない間、いったい何があった?その怪我は誰にやられた!?」
「ことの順を話せば、おまえらが姫を救出に行った後俺とアスナは昼飯を食いに町に外出してたときだ。司令部より念波で何者かが大結界の隠し通路を開放させたという情報を聞きいたときに、どこからともかく、いきなりフードを被った者と白髪の青年が現れてアスナを攫おうとしたんだ…。たぶん結界の出入り口をみつけたのはそいつらだろう…」
「フードの奴は知らねーが、白髪の青年ってもしかして、人形みたいで死んだ魚の目をキザな奴が!?」
「紅い翼の千の呪文かぁ…そうだ、おまえの言うとおり、人形のような青年だ…」
「攫いにきたのは完全なる世界の幹部っか!ちっ、あいつら姫だけじゃなく、ちび姫まで狙ってたんかよ」
「で、その後どなったの?」
「もちろん、アスナを守るために応戦したが、何分、二対一に連合軍が介入して、連合の無差別攻撃から住民を守りながら戦うことになってな。さらにフードの奴の化け物の強さでさらに俺の能力を使わせない戦術を使い、俺を追い込まれあげく、フードの奴に蜂の巣にされて負けてしまった…なんとも不甲斐ない!」
「不甲斐ないよりも、死んでもおかしくないほど重傷なんってるんだけど大丈夫なの・・・・!?」
「俺ほどの男ならこんな怪我、屁でもない――ぐっは!?」
滝のように吐血する剣呉。胴体の傷からも大量の血が噴出した。失血死してもおかしくない血の量である。
「キャッーー!?屁以上に血が溢れてるぅうううう!?」
「ほんとに大丈夫かぁああああ!?」
「死ぬな剣呉ぉおおお!!」
「まってろ、いま医療班を呼んで――」
「俺のことはいい!それよもアスナを助けにいけ!!」
「アスナ!?そうだ、アスナはどうした!」
「俺が敵を足止めをしてる間、近くの時計塔へ逃した…だが、早くしなければ・・・捕まってしま―ぐほっぐほ!?」
「剣呉!?しっかりしろ、剣呉!?」
『出血がひどすぎる!このままだとコイツはやべぇぞ!』
危険な状態の剣呉にドライグも出てきた。しかし、全員は回復魔法を持っておらず、一刀がストックしていた回復アイテムは間が悪く、軍に配給しているためストックがなかった。なんとか傷口だけは塞ごうと錬金術で傷口を接合しようとするが、なにか不治癒の呪いが掛かっており、傷がうまく塞がらなかった。この場で手伝うことができないリズはあわてる。
「どうしよう…どうしすれば…――」
『奏者…他者の命のため、癒しをもとめるか…』
「へっ?」
女性のような声がリズの耳に響く。声の主はリズが背負っている大槌こと神の使い(笑)がいっていたパルコーであり、槌の部分の宝玉が点滅していた。
「今の声…あたしのハンマーが…!?」
『おい、そいつ今の俺と同じ匂いがするぜ!しかもすげー力を感じる!?こりゃーなんなんだ?』
「神滅具かっ!?けど、そんなハンマーなんて原作にはなかったはず…」
ドライグはパルコーが神滅具と似た気配だというが、マサトはそんな神滅具は知らないと言う。
リズはパルコーを持つと、点滅する宝玉の部分から声が響いた。
『奏者…汝、他者を助けるため、私を振るか…』
「…たしか、パルコーっていう名前だったわね、あんた。この人を助ける力があるんならあたしに遣しなさい!」
『私…奏者が求めるのならば…私、力を貸す…』
リズの脳裏に技の名前と使い方が流る。パルコーを一回軽く振り回して、寸止めで剣呉を叩いた。
「降誕の聖繭」
剣呉の周りが光の膜が覆われていき、剣呉の怪我と不治癒を直していき、光がおさまると剣呉の傷は完治し、息が正常になった。
「ふぅ、一様傷は直ったけど流した血は戻っていないわ。はやく輸血しないと危険よ」
「ありがとう!おめぇはダチの恩人だぁ!;;」
「とにかく今は剣呉を医者を見せるのと、アスナを探すためにも、ここは二手に分かれて行動しよう」
「俺と一刀はアスナを、リズとマサトはこいつを治療するために病院にいってくれ」
ネギがグループ分けをし皆は納得する。そのとき、空や物陰に悪魔や兵隊が現れて一刀たちを取り囲んだ。
「ちっ、悪魔かっ…」
「連合のやつもいるみてぇだな」
「どうやら、俺たちをアスナたち元にいかせないらしい」
剣呉が動けない今、剣呉を守りながら戦闘態勢を取ると、どこからか、無数の杭や飛んできて、敵を突き刺し、さらに轟音が鳴り響き音の衝撃で敵が吹っ飛び、疾風が吹けば敵の間にオレンジの陰が通り敵を切り刻んだ。
そして、一刀の前に三人の少女が現れた。
「主、遅くなりました!」
それは、対悪魔用に開発された封魔の力がある杭を持った鈴。そして、マイクを持ったうづきと刀の虎鉄を持ったミオであった。
「鈴、ミオ、うずき!おまえら、無事だったんだな!」
「ハイ!住民の非難を手伝っていました!剣呉さんとアスナちゃんのピンチに駆けつけることができず、すいません!」
「でも、遅れた分はきっちり働きます!」
「ここは私たちにまかせて、主たちはアスナちゃんのところへ!」
鈴がそう言って三人は、敵に突っ込み倒していく。
「三人とも、ここはまかせた!行くぞナギ、遮那!」
「おう!」
「こいつのことは、たのんだぞリズ!」
「わかった!」
「おまえらも気をつけろ」
一刀と遮那とナギは群がる敵を倒しながら近くの時計塔へと走り行く。
「みんな、どうかアスナちゃんを助けて…」
ナギたちの背中を見つめながら、リズがそう願う。
街中にある時計塔。それは一刀の活躍を記念して町の職人たちが作り上げたものであった。しかし、まだ建造中で時計は動いておらず、屋根が半分しかなかった。
そして、一刀たちはその時計塔に出入り口である巨大の門の差し掛かる直前、
「また会ったね。千の呪文の男に灼眼の幼鬼」
門の前には、白髪の青年――アーウェルンクス1が待ち構えていた。
「悪いけど僕たちの邪魔はさs―――」
「ヴァルカンショック・イグニション!!」
「雷の斧!!」
「白虎!!」
一刀たちは聞く耳持たず、走りながら技を放った。
「えっ?ちょっとたんm――」
ドッカーン!!
突然のことで障壁を張れず大火球と電撃と神風の虎をもろに直撃。威力はおさまらずにそのまま門をぶち破り、向こうの壁へと貫通、時計塔に向こう側がみえる大きな穴が開いた。アーウェルンクスはそのまま吹き飛ばされていなかった。
「ついノリでやっちゃったけど、アレの相手しなくていいのか?」
「文字数の無駄だ」
遮那が言うとが、一刀がきっぱりと切り捨てた。敵の都合より、アスナのほうが重大なのだ。
「アスナー!!どこにいるんだー!!」
「姫子ちゃーん!」
「ちび姫ー!」
三人が塔へと入り叫ぶ。音が反響していくと…
『カズトーー!!』
アスナの悲鳴の近い叫び声が頭上より聞こえてきた。
「アスナ!?」
「上かっ!」
「遮那、杖に乗れ!いっきに屋上まで行く!」
空を飛べない遮那は杖に乗ったナギの後ろに乗り、一刀はサイコキネシスの念動力で一気に上へと上昇した。
上には時計台を遮る天井があり、ドアから入る暇もなく、突撃して時計台の部屋に突入した。
そこには・・・
金色の夕日に照らされる黒く布が多いフードで顔を隠した人物が、力尽きているアスナを抱えていた。
「カズト・・・・・ナギ・・・・・・遮那・・・・・・・」
『ほぅ、もうきたか千の呪文に異世界のものたちよ』
フードの者は男か女かわからない異質な声で言う。ナギはフードの者の威圧に警戒し、遮那が自分の存在をしれていることに唖然するがすぐに戦闘態勢をとった。そして、一刀は弱弱しく衰弱していたアスナを数秒見つけると鬼のような眼になって、一瞬でフードの者の懐に入り、一騎当千を腰から抜いて抜刀する。その姿にナギと遮那が「早い!?」といい、一刀はフードの者の首に木刀を振った。だが、木刀はフードの者の魔法障壁で止められた。
「テメェ〜アスナになにをした!!」
『おまえか、我が血縁に異界の術を教えたのは…』
ガチガチと木刀と魔法障壁の間に火花が散り、フードの者は右腕でアスナを抱えて空いた左手を一刀に向けて魔法陣を展開、魔力のビームを撃つ。その前に危険を察知した一刀が飛び上がって回避し、屋根が作られていない柱の上に着地した。
『異界の術、錬金術による創造と分解・・・・それで我に抗い力尽きただけだ』
一刀たちは改めて周り見渡すと、壁や床、柱がまるで粘土のように盛り上がり、槍や剣が飛び出していた。
どうやら、アスナは錬金術で部屋の周りを練成し、攻撃し、さらに人体分解で抵抗し続けて集中力と体力が切れたのだと一刀は察した。
『だが、こやつに異界の力を触れさせたのはまずかったな。おかげで…こやつのイレギュラーの因子が目覚めつつある』
「イレギュラーの因子…?」
その言葉に遮那と一刀は疑問に思い、一刀はアスナが転生の能力を初期化したことを思い出した。
『貴様は世界に災いを呼ぶ者だ…よって、世界と救済のため貴様はここで排除する』
フードの者は一刀の存在が世界と自身の計画の災いと見抜き、背後に巨大な魔方陣を二つ展開し、陣より極太の魔力のビームが放出した。ナギと遮那が防ごうとする前に、一刀が両手に長刀と大太刀を転送させた。
「言いたいことは…それだけかぁっ!!」
二本の刀を同時に抜刀し、ビームをぶった切った。魔法が斬られたことに一瞬、フードの者が動揺し、その隙に一刀は大太刀を突き出すと、刀身が伸びてフードの者の掌を広げて魔法障壁を張るが障壁ごと左手を貫通し突き刺ささり、刀身を縮めると同時にフードの者に近づいて長刀を振り下ろし、左肩ごと左腕を切り落とした。
『馬鹿な!?不滅の存在である我が傷を!?』
左腕の腕から大量の血が噴射し、動揺するフードの者。自身の左腕が元に戻らず無くなっていることに対してである。
「…神、悪魔、魔王、霊、あらゆる存在や概念を斬り、あらゆる力を吸収する呪い刀・破修羅。そして、戦闘狂である闘神が使っていた神刀・無明鬼哭刀。この二本こそ、俺の切り札であり、俺の本気だ!」
ある世界の超神器と呼ばれる呪い刀と似た名をもつ長刀と七星天の猛将であるオーガスの形見としてアスラより譲り受けた大太刀。
この二本こそが一刀の実力を100%発揮させる獲物であり、本気で殺すと決めた時だけ使う刀であった。
『不死殺しではなく存在…概念に対して斬る刀剣に神が使いし刀剣…不滅である我には天敵だな…』
一刀の二本の刀の脅威にフードの者は冷静に判断すると、足元に移転魔法の魔方陣が展開された。
『いたしかたがない。ここは引かせて貰おう…』
「逃げるのかよ!」
「まってこらぁああ!!」
ナギと遮那がフードの者を捕まえようと一刀と同時に動くが、
―――残念だけどラストステージまでお預けだよ
なぞの声が聞こえ、三人の身体に光の鎖がまき付き拘束され動けなくなった。
「なんだこりゃ!」
「拘束魔法か!?」
「くっ!?いったい誰が!」
光の鎖を解こうと暴れる三人だが、鎖は外れず、フードの者とアスナは転移寸前であった。
「アスナぁ!アスナぁぁぁ!」
「カズト・・・・助けて…カズトォォオ!」
二人は互いを叫ぶ、アスナは一刀の力を振りしぼるが、手を伸ばすが空をつかむだけで。
そして、一刀の叫びは虚しくフードの者とアスナは転移して消えた。
「ちっくしょうぉおおおおおお!!」
夕日が沈み、夜になる時刻、時計塔の頂上で一刀は悔しく叫んだ。
「うっふふふ、これで準備は整った。あぁ〜ようやく会えるよ僕だけの籠の鳥の姫…」
世界の影に隠れ、歪んだ笑みを浮かべる者が、姫と会うことに待ちあびていた。
その者は醜悪の根源に近いものであった。
つづく
説明 | ||
作者「そろそろあとがき書きたいな〜」 一刀「だったら書けばいいだろう?時間もあるしさぁ?」 作者「悪いけど、本職があるため書く時間がないんだ。そいでこの小説は一ヶ月くらいかけなくなります」 一刀「さらっと重要発言するなよ!」 はやて「本編はいつになったら書くんやろ〜…;」 テオ「本編が投稿するまでネギま編でも読んでおれ」 アスナ「わたしたちと…カズトとのにゃにゃを悔しがってね…」ニヤリ はやて「ムッキー!!」 一刀「それではネギま編第六話をどうぞ…;」 |
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