艦隊 真・恋姫無双 37話目
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【 もう一人…… の件 】

 

? 揚州 九江郡(淮南郡) 寿春 にて ?

 

豪壮な部屋の中、一人の幼……ゴホン……美少女が窓を見ながら溜め息を漏らす。 その様子を……目を煌めかせて、扉を開けて眺める臣下が居た。

 

??「ハァ…………」

 

─────ソロリソロリ

 

足音も立てずに少女の傍に近付き、横から顔を出した!

 

??「『美羽』様ぁ? どうしたんですかー?」

 

美羽「フゥ……………」

 

??「……………? 美羽様ぁ〜?」

 

美羽「ハァ〜……フゥ……!」

 

臣下の主である美羽(袁術 真名 美羽)は、そんな様子に気付く様子を見せず、とある方向を向いたまま。 

 

『何時もだったら大騒ぎするのに……』と考える臣下であったが、長年の御守り役兼お世話役もやっているので、弱点を攻める事など如何様にも出来る。

 

??「美羽様、お漏らしされた御布団……無事に乾きましたよ〜?」

 

美羽「ピギャアァアアア────ッ!? それは秘密だと申し付けたじゃろう!? な、『七乃』には言うではない! 七乃にだけにはぁあああぁ────あッ! ………七乃?」

 

七乃「はぁ〜い! 七乃ちゃんです〜! あれぇ〜、美羽様ぁ〜? もしかして、本当に粗相をしちゃてますぅ? ちょっと、カマ掛けたんですけど?」

 

美羽「うっ! うううぅ…………………(コクリ)」

 

七乃「───もぉ! あれほど御注意を申し上げているのに、お飲みになるからですよ! 寝る前の蜂蜜水!! 虫歯になっても、七乃は知りませんよ?」 

美羽「うぅ……ぐぅ……」

 

臣下……七乃(張勲 真名 七乃)は慌てる主の姿に恍惚するが、おくびにも出さずに注意を述べる。 

 

長年仕えてきた主でもあるから、公私は弁えている(わきまえている)つもりであるのだが……周りの者からすれば、かなり甘い躾振りだとの事。

 

七乃「それに、近頃の美羽様は何か変ですよ〜? 蜂蜜水を夜になれば、ガブ飲みするわ、暇さえあれば……益州の方角ばかり見ては、溜め息を漏らされるわ……何か心配事でもあるのですか?」

 

美羽「………………」

 

七乃「本当どうされましたぁ? いつもの美羽様でしたら……からかえば、直ぐに泣き叫んで……私に可愛い姿を堪能させてくれるんですけど?」 

 

美羽「………………七乃ぉ……」

 

七乃「あぁ〜すいません、つい本音が! え、えっと……お熱は……ありません? あっ……お嬢様は風邪には無縁でしたね! 失礼致しました───」

 

美羽「……………七乃……」

 

七乃「───本当に、どこか……お身体の具合でも悪いのですか? まさか、蜂蜜水の召し上がり過ぎでお腹がッ!?」

 

心配する七乃に、美羽の口が開き──出てきた言葉は予想外の言葉だった。

 

 

美羽「七乃……。 七乃は『天の御遣い』を……存じておるか?」

 

 

七乃「──は? は、はいはいっ! ──何進大将軍からの命令にあった人ですねぇ!? うぅ〜ん、そうですね〜〜?」

 

美羽「…………………」 

 

七乃「私の情報網でも、多岐に渡り報告が入ってきますが……イマイチ信憑性が薄いんですよ? 白い変わった服を着用した男だけ……確か何ですが……」

 

美羽は、どこかしら……残念そうな表情を浮かべ……応える。

 

美羽「…………そ、そうか……。 妾は別に……身体が悪くは無い。 どこも……身体は痛とう無いのじゃ……」

 

主の考える事が……珍しく分からない。 

 

何時もなら、『誤魔化そうとしてバレバレの仕草』『表情と言葉で日常の行動より推測して判断』等して、美羽の隠し事に気付く七乃だったが……今度は分からない。

 

七乃「そうですか。 もし、何かありましたら……何時でも仰せ下さいね? 七乃は、何時如何なる時も……美羽様の味方ですから!」 

 

七乃は、そう当たり障りの無い言葉を語り、部屋を去った。

 

─────バタン!

 

 

 

美羽「………じゃがな。 ………心が……痛むのじゃ。 心が………」

 

再び……益州の方角に顔を向ける………美羽であった。

 

 

◆◇◆

 

【 大活躍? の件 】

 

? 司隷 洛陽 宮殿内 にて ?

 

漢王朝皇帝『劉宏』の部屋に……十常侍の張譲が訪れた。

 

劉宏は、一人としては余りに大きい寝台の上で、伏せている。 その横に、何進の付けた『配下の者』が、世話をしていた。

 

張譲「陛下……。 何進大将軍の御使者より言を承り、御報告に上がりました。 ……あと数刻で、洛陽に到着するとの事……陛下に奏上致します!」

 

劉宏「そうか……」

 

張譲が、一礼を行い劉宏に近付くと……何進達が洛陽に到着する旨を伝えた。

 

劉宏の青白い幽鬼のような顔に、僅かながら赤みが差した! 

 

まだ見ぬ『天の御遣い』への期待が、その表情で分かる張譲は……苦虫を潰したような顔をして劉宏に進言する!

 

張譲「漢王朝の臣『張譲』が、陛下に恐れながらも言上致します! 今回、御伺いました件。 ……あの素性の知れぬ蛮族を、宮殿内に入れるだけではなく、陛下の拝謁まで御許可されるとは、真の事でございましょうか?」

 

劉宏「………何進の見込んだ者なら……任せられる……」

 

張譲「しかし、高祖より始まりし崇高なる漢王朝において、このような事例は初めての事! 幾ら……陛下の信頼厚い忠義の臣である、何進大将軍の推薦と云えど、余りにも危険極まりない行為と、申しざるえません!!」 

 

張譲との会話で長くなりそうだと分かり、傍に付いている者が制止した!

 

??「───アマリ長ク喋ラセチャ駄目! 身体ニ毒!!」

 

張譲「…………フンッ! 五月蝿い『女童』めが! この私が、正式な作法にのっとり、言上しておるのだ! 陛下! このような下婢に身の回りを任せるなど……漢王朝としての名折れ! 即刻退室させて───」

 

??「カエレ……ッ!!」

 

張譲「ぐぬぅ!! こ、この私に帰れなどぉ───ッ!!」

 

??「カエレ────ッ!!」

 

張譲の物言いに苦痛を覚えていた劉宏も、??の口添えして退室を促す! 

 

劉宏「………朕に免じて……下がれぇ! 張譲!!」

 

張譲「───クッ! ………後悔なさりますな! 失礼ッ!!」

 

────クルッ! カッカッカッカッ! 

 

張譲は、恨めしげな表情を二人に見せつけ──礼もそこそこに、荒々しく足音を響かせながら退室して行った!

 

 

??「劉宏…………」

 

心配する劉宏に顔を向けた??の頭に、手を乗せ優しく撫で……労いの言葉をかけた。 劉宏は、??の事を……とても気に入っていたのだ。

 

劉宏「良い、良いのだよ……。 朕こそ……幼きお主に……助けられてばかりだ……北方よ!」

 

北方棲姫「劉宏……早ク元気ニナレ! 元気ニナッタラ『飛行機ゴッコ』シヨウ! ホッポノ『ゼロ』……貸シテアゲル!」

 

劉宏「『飛行機ごっこ』……とな……?」

 

北方棲姫「コレガ……『ゼロ』! コレガ……『レップウ』!」

 

劉宏「……フフフッ……北方は変わった遊びを……知っていると見える……」

 

北方棲姫「コウヤルノ! 見テテ……ブゥーン! ズガガガガ───ッ!」 

 

北方棲姫が『零戦』と『疾風』を左右の手で持ち、交互に操る様子を目を細め眺める劉宏。 

 

無論、飛行機自体が無い時代、劉宏が戦闘機の意味が分かる訳が無いのだが……北方棲姫が楽しむ様を……楽しんでいたのだ。

 

劉宏「───北方を見ていると……朕の人生……何だったかと思う。 その自由奔放さが羨ましい……! 朕は宦官に擁立されて……血筋だけで生かされた『鳥籠の金糸雀』よ! ……自分の運命ながら……嫌気が差すわ……!!」

 

北方棲姫「違ウ! ホッポモ……自由ナンカジャ無イ! オ姉チャント……ホッポガ……戦ウ事……ナルカモシレナイ……知ッテル! ダケド……諦メナイ! ───諦メタクナイッッ!!」 

 

北方棲姫の意外な言葉と覚悟に───己の甘さが──身にしみた。

 

ーーーーー

 

前皇帝『恒帝』の後を、時の大将軍『竇武』、太尉『陳蕃』により擁立! 

 

されど、宦官排斥の為に動いた事により、宦官『曹節』『王甫』等に逆襲され逆に排除を受けた。

 

政権は宦官に良いようにされ、己が……ただの飾りに過ぎないと知った劉宏は、己の欲望に従う事しか出来なかった。 それが、自分の運命だと……達観してしまった為である。

 

ーーーーー

 

劉宏「そうか……。 朕の恨み事は、運命に向けるのでは無く……自分の運命を省みなかった……朕自身に問うべきであったか! 『五十にして天命を知る』と学ぶが……あまりに気付くのに………遅過ぎた………!!」

 

北方棲姫「………劉宏?」

 

劉宏は、北方棲姫に真剣な顔を向けて───頼み事をする!

 

劉宏「北方………朕の願いを聞いて……貰えるか?」

 

北方棲姫「………『レップウ』……駄目ッ! 貸サナイ!!」

 

劉宏「……皇女たちの身を………守って欲しい!」

 

北方棲姫「───!?」

 

劉宏「朕亡き後………皇女達を……辯皇女、協皇女を! 姉妹の絆を信じる北方なら……信用できる。 もし、荷が重ければ……頼めれる者に……頼んで貰いたい! このとおり……お願いする!!」

 

 

◆◇◆

 

 

【 新たな仲間 の件】

 

? ?州 陳留郡 陳留城内 にて ?

 

《 夕方 6時頃 》

 

華琳「桂花、明日に洛陽へと出発するけど……準備はどうなっているの?」

 

桂花「はい、行軍までの日程、露営地点、糧食の準備、兵士達の調練、武器の点検……すべて終了しています! 更に春蘭、秋蘭も準備は既に終了と、最終報告を受けており、滞りなく順調!! 問題はありません!!」

 

華琳「期限の3日の内、ここまで完璧に行える軍師は、居ないんでしょうね。麗羽のお陰で……『私の子房』を手に入れれたのは───大きいわ!」 

 

桂花「…………………」

 

華琳「───さて、見事に私の期待に応えてくれた貴女に……御褒美をあげる! 今夜……私の閨に来なさい!!」

 

桂花「………華琳様、誠に申し訳ございませんが……御辞退させて下さい」

 

華琳「─────!? ………理由は?」

 

桂花「それは…………」

 

─────ドン!

 

秋蘭「華琳様! 緊急の報が──桂花も居てくれたか!? なら、有り難い! 是非、軍師として力を貸して欲しい!!」

 

華琳「────何があったの!?」

 

秋蘭「はっ! 陳留より十里程先の村からの救援要請です! ……賊の大軍勢、凡そニ万により襲撃! 籠城をして抗戦するも、味方が数千、簡易的な柵で防ぐしかなく、早急な救援を願うとの事です!!」

 

華琳「直ぐに準備をして向かうわ! 春蘭は……既に戻って来てる? 朝に近辺の賊討伐を任せたけど………?」

 

秋蘭「姉者は、丁度こちらに帰還したばかりだったので、準備を整えて貰っているところです! 『先の賊討伐より歯応えがありそうだ!』と、嬉々として華琳様からの命令を、お待ちしておりますよ!!」

 

桂花「秋蘭───! その報告、詳細に教えて!!」

 

★☆☆

 

? ?州 陳留郡 某村 にて ?

 

《 少し遡り……昼3時頃 》

 

陳留より離れた村に、盗賊の大集団が襲い掛かっていた。

 

ーーー

 

頭目「こんな小さな村なんぞ、早く潰してしまえ!!」

 

賊1 「頭!! 小さいながらも……結構手強いですぜ!? いつの間にやら、防備を整えてて、俺達を迎え討ってきやがった!」

 

頭目「馬鹿がぁ! それくらい見れば分かるわ!!」

 

賊1「はぁ、はいッ!!」

 

頭目「────いいかッ!? 『胡才』様や『楊奉』様が、判断するのは結果だ! この万を擁する軍勢が、小さい数千居るか居ないかの村を、落とせなかったらどうなるか分かるだろうッ!? 死ぬ気で行けぇ───ッ!!」

 

賊「分かりやしたぁ────ッ!!」

 

ーーー

 

この者達は、村々を襲撃して勢力を拡大する『白波賊』の分隊である! 

 

本来、白波賊は──司隷河東郡を本拠地にする盗賊団。 

 

遠く離れた地を攻める事は、普通は無いのだが……漢王朝の権威失墜に伴って仲間の増加が増えたのだ! 

 

税が払えない者、盗賊に全部を奪われ……自分も荷担するようになった者。 食えなくなって参加した者………等。

 

本来なら喜ばしい事である。 

 

勢力拡大を目指すのであれば、『兵力』は多い方がいいのは必然。 兵が多ければ、色々な行動が取れるので、戦術に幅が広がるからだ。

 

しかし、その分……自分達の狩り場が近隣に無くなるのは当然。 

 

西に向かえば猛将で犇めく(ひしめく)天水や西涼に近付く事になる。 

 

南に目を向ければ、長安と洛陽に挟まれ不利、北は最近名を挙げる幽州太守と名族と三公を輩出した袁家が目を光らせる。

 

最終的に───東を狙った。 

 

この周辺で有名なのは、陳留刺史の『曹操』のみと判明した事もある! しかし、最大の理由は、陳留刺史の法は厳格で正しく、富豪が移住している! だから、これだけの人数を集めて攻め寄せてみたのだ! 

 

ーーーーー

 

賊2「刃向かう者は殺せ!! 若い女は生け捕りにしろ! 他の残った奴らも──始末して後腐れが無いようにしてしまえ!!!」

 

賊達は、腕に『黄色の布』を巻き付けて、それで敵味方を判断する。

 

かなりの勢力を誇る賊のため、顔を覚えきるのも困難! また、戦場で一瞬で分かるように区別する必要もあるので、目立ち易い布を巻き付ける『目印』を覚え、使用し始めたのだ!!

 

別に『幸せを呼ぶから』と云う訳じゃ──無い。

 

ーーー

ーーー

 

大軍が迫ると聞いて、凪達が率いる『大梁義勇軍』は、いち早く、この村に駆けつけ、防御態勢を取っていた。

 

『義を見てせざるは勇無きなり』

 

……この言葉どおり、強者から弱き者を守るため、凪達は籠城態勢で抗戦を決断! 無論、自分達だけで相手になるような兵力では無い! 

 

凪『陳留刺史様に救援を要請するんだ! あの方は、私達を決して見捨てはしない! どんな劣勢な戦でも、必ず駆けつけて下さるッ!!』

 

だから──華琳達に救援の遣いを送ったのだ!

 

ーーー

 

凪「沙和、援軍の要請は……大丈夫か?」

 

沙和「うん! 凪ちゃんに頼まれて、 陳留刺史様に救援要請を送ったけど……あれで良かったの? それと、頼まれた竹簡もバッチリ!!」

 

凪「あぁ……充分だ! 真桜──そっちの防御用柵は完成してるか?」

 

真桜「完璧や……と云いたいんやけど、最後の柵が材料不足で強度が弱い! 今は、あのチビッ子達が、奮戦してくれてるから何とかやけど……!!」 

 

凪「二人共………成長したんだな! よし、私も頑張るぞ!!」

 

真桜「───凪、あのチビッ子達は何者なんや!? 最初会うた時に、久しいそうに声掛けてくれたねんけど……ウチィ……覚えへんで?」

 

沙和「────沙和もなの!!」

 

凪「昔────私達と想いを共にした───仲間さ!」

 

★★☆

 

??「流琉───! いつでもぉいいよッ!!!」

 

??「それじゃ、投げるよ! 季衣!! えぇ───い!!」

 

季衣「行けぇ───! 『天砲流乱星撃』!!」

 

ーーー

 

流琉が壺を投げ、季衣が壺を狙って煉瓦を投擲する!

 

ドォオオオ──────ッ!!!

 

激しい音と伴い衝突、細かい破片となり降り注ぐ!! 二人が、怪力で投げるので衝撃力が凄く、煉瓦と壺の破片が高速で飛来してくる!!

 

ーーー

 

賊1「ま、またぁ───グヘェ!!」

 

賊2「な、何か防ぐ物を! 早く早くぅ───ッ!!」

 

ーーー

 

賊側は、これが木の板で防ぐようにするのだが、風穴を簡単に開けられた!

 

鉄の防具で防げるが、そんな重い物を持ったままで動きたくない! 

 

大体、味方の兵がぎっちりしていて、動かす範囲も定まれている。 それに、鉄の防具なんて、下っ端風情が持ってるなんて……稀である!

 

そのため、壺が破裂する度に……賊たちの『絶叫! 悲鳴! 怒声!』が上がり、恐怖の色に顔が染まる!!

 

こんな強力な技を持った二人──季衣(許緒 真名 季衣)、流琉(典韋 真名 流琉)が、この村を訪れていたのは、実に幸運だった。

 

村にとっても、凪たちにとっても、季衣たちにとっても───!!

 

───二人もまた、前の世界では……凪達と同じ『魏』に属す、華琳の配下であり、『北郷一刀』に愛された女性であったのだから───

 

ーーー  ーーー  ーーー

 

昔……『天の御遣い』が……二人に語った対多人数戦の策。

 

『俺が……向こうの世界で読んだ漫画に、『壺を蹴って破片を飛ばす技』があってね……。 それなら、季衣や流琉が傷付かない位置で、多人数相手に戦闘できると思うんだよ!』

 

『兄ちゃん……もしかして……ボクの事………心配してくれるの?』

 

『兄様……!!』

 

『二人を心配するのは、俺だけじゃない! 華琳も、春蘭、秋蘭も、皆だって心配しているさ! ただ……俺は皆より……ホンの少し心配する回数が多いだけなんだよ! 大事な妹分であり……大切な女の子達だからね………!』

 

ーーー  ーーー  ーーー

 

賊3「頭ぁあ!! 駄目だぁあああ〜! 先頭が怯えて動かねぇ!!」

 

頭目「くそぉおおおッ!! テメェラ!! 一旦態勢を立て直すぞ!? 引けぇえええ────ッ!!!」

 

『───────────!!!』

 

雲霞のような賊の軍勢が、引き潮のように引いて行く!

 

賊側が引いた理由は、二人の攻撃の凄まじさに、軍勢の統率が出来ない事もある。 壺と複数の煉瓦で……味方の兵が数十人の死傷者となるのだ!

 

先頭に出たくもなくなる!

 

しかも、数時間戦って芳しい(かんばしい)成果が上がらない。

 

ここは、何かしらの作戦変更と休息が必要だと、判断するのも当然である。

 

ーーー

ーーー

ーー★

 

季衣「……賊たちの攻めが、引いてくよッ!?」

 

流琉「うん!! でも、油断は禁物! 引いた振りして攻めてくるかも知れないからね!?」

 

季衣「それっくらい! ボクだって分かるよッ!! 流琉は心配し過ぎ!!」

 

流琉「季衣がガムシャラに、敵へ突っ込んで行くからでしょう!?」

 

そんな口論を起こしている最中に、凪が近寄り、二人を宥めつつ労いをかける。

 

凪「───二人共、ご苦労様!! 二人の戦い振りが勇猛果敢だったため、敵が手強いと思い、一時的ながら引き上げて行く様子! 今のうちに休んで、更なる活躍をお願いしたいんだ!!」

 

季衣「凪ちゃん!! うん、分かった!!」

 

流琉「はいっ! それでは、何を行えば………?」

 

凪「兵に警戒だけ御願いしてくれれば……! 後は、私達に任せておいてくれればいい。 体力は、無尽蔵にある訳じゃないから、休める時に休んで貰えば。 私の出した連絡が……華琳様に無事に届けば……必ず勝てるッ!!」

 

季衣「凪ちゃん! ………真桜ちゃん、沙和ちゃん……ボクたちの事、まったく覚えていなかった。 まるで……誰か知らない人と挨拶交えるように……」

 

凪「すまない……! 真桜も沙和も……何時か思い出してくれると、信じているが……今のところは何とも………」

 

流琉「でも……私は、凪さんだけでも覚えていてくれて、正直……嬉しかったんです! 私たちの話や兄様の事は、夢物語じゃなかったんだ……って!」

 

季衣「うん! それは思うよ! 一月前に……空から大きな流れ星が見えた時、ボクと流琉は一緒に叫んだよね? 『兄ちゃん』の事!」 

 

流琉「うん……。 『兄様』の事………今まで忘れていたなんて……」

 

凪「それは、私も同じだ! あの時……沙和が大騒ぎして教えてくれなきゃ……隊長の事を忘れたままだった!」

 

流琉「凪さん! だけど、今は後悔している場合じゃないんです! ……今は何より此処を守るのが大事! 兄様だって……絶対そういうと思いますよ! 自分の事より、私達の事を優先する人だったから!!」

 

季衣「………そうだね! ボクが落ち込んでいても、物事は変わらない! それに、ボクたちを覚えている事なんて、関係ないんだ!! また、華琳様に仕えて───弱き人たちを守るんだ!」

 

凪「そうだな! 此処を何としても守り抜き、隊長と出会ったときに、胸を張って応えられるようにしないと!! 私達は、民を大切にした隊長の事を忘れなかったと、素晴らしき証になるだろうから!!」

 

季衣「そうだね! 兄ちゃんが喜んで貰えば……ボクも嬉しい!!」

 

流琉「───必ず勝ちましょう! あの時、言えなかった……兄様に会って『おかえりなさい』と言えるように!!」

 

 

ーーーーーーー

ーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

とりあえず……洛陽へ上がる人数は、徐々に増えて行きます。

 

どうなるかは……また考えなきゃいけませんが(笑)

 

次回も、宜しくお願いします。

 

 

説明
何とかできました。 3/2 時刻の経過 一部入れました。
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コメント
スネーク提督 コメントありがとうございます! 出さないと……失礼ですからね。 そういや……今回、幼い娘が多い『カエレ……ッ!』(いた)
ほっぽちゃん!あなたそんなとこにいたのねwニコ動で第七駆逐隊の動画観てからファンですわw(スネーク)
hokuhin提督 コメントありがとうございます! 姉妹対決は、成り行き次第……と云うところです。 作者も好きじゃないですから。 作者は『闘将……』も大好きでしたので、偶に出してます。 前作でも……さりげなく。 (いた)
ほっぽちゃんそんなところに居たのか・・・港湾さんとの姉妹対決はさせたくないなあ。そして泣麺男も中国の話でしたな懐かしいw(hokuhin)
Jack Tlam提督 コメントありがとうございます! お言葉どおり、何かしら負の感情で、荒れまくる可能性はあります。 その辺は艦娘と漢女と一刀に任せたいと。 ついでに、于吉達も絡んできます。(いた)
恋姫達が真相を知った時、どうするのか。比較的早い段階で真相を知った面々は兎も角、未だ真相を知らない面々が心配ですね。殊に独占欲と嫉妬心が強い人は……真相を知っていても、いざ実際に会えば負の感情が鎌首擡げたりしないか?ただでさえ一刀への依存度が基本的に高い恋姫達がどうなることやら。(Jack Tlam)
mokiti1976-2010提督 コメントありがとうございます! 正解ですww。 砲○でしたか? その人の必殺技です。  (いた)
一刀は季衣達に教えたのはラーメ○マンに出てきた散○流星脚ですか?(mokiti1976-2010)
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