艦隊 真・恋姫無双 38話目
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【 桂花の策 の件 】

 

? ?州 陳留郡 陳留城内 にて ?

 

《 夜 8時頃 》 

 

『大梁義勇軍』より救援要請の報告を得てから《一刻後》……秋蘭より準備が終了したとの報告が入る。

 

ーーー

 

秋蘭「華琳様! 準備を終え、何時でも出発できます!」

 

華琳「私たちの率いる軍勢は……八千、賊の数は二万余り。 後は、桂花の用意を待つだけ! ……この兵力差を覆すと云う……策の準備を!」

 

桂花「───御意!」

 

─────ドカドカドカドカ!

 

春蘭「桂花! お前に命じられた二十反の白布を用意した! これをどうするんだ!?」

 

秋蘭「──姉者! 華琳様の御前だぞ!!」

 

華琳「いいのよ! この二人のやり取り───興味を覚えるわ!」

 

ーーー

 

桂花「…………それを一尺(約23センチ)ごとに切断して、兵士に渡して頂戴。  それと、穴も二つ開けて欲しいの。 こう……使いたいから……」

 

春蘭「なんだ……それは? それをやると……強くなるのか?」

 

桂花「そうね……春蘭なら……強くなるかも知れないわよ?」

 

春蘭「そうか! そう言えば……ちょうど……『アイツ』と同じ色だしな! よしっ! 暴れまくって、夏侯元譲の恐ろしさ! 世に知らしめてやる!!」

 

ーーー

 

華琳「あら……意外。 貴女と春蘭が、そんなに仲が良いなんて思わなかったわ? それに、その物が……桂花の秘策なのね?」

 

桂花「私の知る人物より授かった……『天の軍略』で御座います!」

 

華琳「天の……?」

 

桂花「それと……華琳様! この策は、籠城している『大梁義勇軍』の挟撃が要になります。 ですので、誰かが……賊包囲網を抜け、連絡を取らなくてはなりません!!」

 

華琳「───誰に行かせるつもりなの? 春蘭は先陣を任せ、秋蘭は私の補助と弓隊の指揮! そうなると……この『私』しか……居ないわね?」

 

桂花「いえ……華琳様には、全体の指揮をお願いします! ですから……行く者は、この策を立案した『私』自身が、内容を知らせ協力を得たいと!!」

 

華琳「───────!?」

 

 

◆◇◆

 

【 来訪者 の件 】

 

? ?州 陳留郡 某村 にて ?

 

 

あの後……兵を引いた賊は、策を練り直し再度仕掛けてきた!

 

頭目「新手を……どんどん繰り出せ!! 村の奴らを疲れさせ、防御態勢を破壊しろぉ!! そうすれば……こんな村、こんな村ッ! すぐに陥落するわ! そうすれば、特別に分捕った品───お前達にくれてやるッ!!」

 

『ヒャハアァアアア────ッッ!!!』

 

『落ちろッ!!!』

 

ーーーー☆!

ーーー!!

━━━━━★!

 

敵の頭目は、軍勢を三つに分けて、攻め寄せる!

 

先陣で攻め寄せて、二番目が待機、三番目が休息と役割を決めて、動き出したのだ。 そのため、敵は充分に休息を得てから攻撃を開始ができる! 

 

しかも……何時もは、上の指揮官にしか手にする事がない戦利品を、自由に奪い自分の物にして良いと聞いて……否応なくやる気が出る!!

 

それに比べ、凪達の軍勢は二手に別れるしかなく、戦える人数も減って行く。 

『万』と『千』の兵力差は、数字以上の重さがあった!

 

ーーー

ーーー

ーーー

 

そんな強襲からも耐え抜いた結果………いつの間にか闇に覆われた。

 

こうなると……視界が困難となり、夜に攻める危険性が増大する。 それと同時に、激戦に因る疲労の蓄積も現れるので……双方見張りを立てて、自然と休戦状態になるのは……必然であった。 

 

 

そんな中………賊側は、期限付きで降伏勧告を差し出す!

 

『 明朝に総攻撃を行う! 降伏か死を選べ! 期限は、一番鳥が鳴く夜明けまで!! そちらの大将が直に来るがいい!! 』

 

兵数に有利である賊の頭目は、村側に揺さぶりを掛けるため、そんな手紙を送る。 成功すれば儲け物! 失敗しても疑心暗鬼となり、攻撃が鈍る事を期待して! 攻撃が鈍れば……被害が少なくなり、利益が多くなる故だった!!

 

★☆☆

 

《 夜 11時頃 》

 

義勇兵「三つの柵の内、二カ所が突破! 残り一つも崩れてしまい、もう門前を直接守るしか! ────俺たちの志、天に届かず残念ですッ!!」

 

凪「まだ諦めるな!! ────あと少し、あと少し耐えてくれ!」

 

季衣「───凪ちゃん! 壺の残りが、後二つだけになっちゃた……!!」

 

流琉「煉瓦も……残り少ないです!」

 

凪「───壺は、必ず一つ残して欲しい! その壺で最後の技を放った後、私が突っ込んで刻を稼ぐ!! その隙に、真桜や沙和達を伴い逃げてくれ!!」

 

真桜「阿呆抜かせぇ! 大事な親友残したまま、逃げると思ってんのか!?」

 

沙和「見損なわないでほしいの!!」

 

ーーー

 

季衣「流琉だけでも……逃げてよ! 流琉が死ぬとこなんか……ボク見たくない!」

 

流琉「私だって───季衣が殺されるところなんか……見たくない!! 凪さん!! まだ、刻限はあります! 何とか……全員が助かる道を見つけましょう!?」

 

凪「そうしたいのは、私だって同じだ! しかし……奴らの厳重な包囲を破るには、私達の力だけは無理だ! 外からの攻撃があれば………!」

 

ーーー

 

しかし、敵包囲網を破る事を考えるが……万の軍勢から逃れられる術は無い。

 

こちらは、全員徒歩だが……相手は騎馬隊も少なからず持っている。 今回の攻めには役に立つ事が無いので、降りて攻撃しているが!

 

ーーー

 

村人「────将軍! 楽将軍は!?」

 

凪「ここだ! ───どうかしたのか!?」

 

村人「は、はい! 賊たちの野営している方面から、女が馬に乗り……ユックリと進んで、此方に向かって参ります!!」

 

凪「その者の風貌は!?」

 

村人「ここらで見たことが無い高貴な服装と、頭に『猫のような耳が付いた頭巾』を被った女です!!」

 

凪「──────どこにッ!? 案内しろッ!!」

 

村人「こっちです!」

 

ーーーーーーダッ!!

 

季衣「流琉! ボクらも行こう!」

 

流琉「うん! 多分──あの人は!!」

 

真桜「凪の慌てよう……なんかあるや? 沙和!? うちらも行くでぇ?」

 

沙和「おう──ぅなの!!」

 

 

◆◇◆

 

【 鞭聲肅々 の件 】

 

? ?州 陳留郡 某村 にて ?

 

《 夜 10時30分 頃 》

 

『ガッハハハハハ─────ッ!!』ガヤガヤ

 

村を攻めていた賊たちが、休息を命じられ、思い思いのままで酒を呑み、肉を食らい、博打をやり、馬鹿騒ぎに高じていた! 

 

『村が落ちるのは……あと少し! 被害が多かったが、次の襲撃で余計に分捕りして、帳尻を合わせればいい!』

 

頭目が計算した損得勘定した結果の指令である。 

 

別名『取らぬ狸の皮算用』だが……そんな都合の良い事を考え、享楽の宴を繰り広げていた。

 

ーーー

 

賊4「明日こそはぁ───あ〜んな村、全部焼き尽くしてなぁ! あそこに居る別嬪の女を手に入れてやるよ!! ギャーハハハハハハッ!!」

 

賊5「馬鹿がぁ! ヒック! お前みてぇな奴が行ってもぉおお……殺されるだけぇええ!! 馬の後ろにでも……隠れていやがれぇええやぁあ!!」

 

賊6「俺は……うん……金だな! 金さえあれば……好き放題さ!! それこそ、酒も女も………? うぅうん!? 俺……酔ったかぁ? 女が馬に乗ってこっちに向かって来やがる………!?」

 

賊4「へっ! どこの女だか分からねぇが……小さくて可愛いじゃねえか! おぉ〜いっ! 俺の酌に付き合っ『ゴン!』───ッ! てぇえなぁ!! 誰だぁ〜! 人のドタマを叩きやがってぇえええッ!!」

 

賊5「この間抜け野郎ぉおお!! よぉく見やがれぇ! 『腕に黄色の布巻いている』だろうがぁ!?  ヒック! あれはぁ〜俺たちぃの仲間! しかも……あれだけの上玉だぜぇ! 頭目の女かもぉ〜しれんぞぉお!?」

 

賊6「あぁ……変なちょっかい出して、頭目の気が変わって分捕り無くなれば、テメェ……皆から……さぞ可愛いがられるだろうに……。 頭、叩かれる分なら、遥かに幸せだよな!?」

 

賊4「─────ぅうううッ! す、すまねぇ! 恩にきるぅうう!!」

 

賊5「なぁに、御礼〜は……とととっ……テメェの分捕り品でぇ! ヒック! 手を打ってやっからよぉお!! ガーッハハハハッ!!」

 

賊4「なぁ─────ッ!?」

 

ーーー

 

賊4の情けない声に───周辺から笑い声が上がった!!

 

 

★☆☆

 

 

桂花「…………心を静めるのよ………桂花」

 

───カポッ カポッ カポッ

 

賊8『…………………………』

 

賊9『へへへ…………』

 

桂花「…………………」

 

─── カポッ カポッ カポッ ───

 

桂花は、華琳に策の実行を願い出た後……痩せ馬に乗り……ユックリユックリと歩を進める。 

 

腕の黄色の布は、援軍要請の遣いの者が持っていた。 凪が、もしかの時に役に立てばと……竹簡を結ぶ紐として使い、使用方法も記載しておいたのだ。

 

慌てない、駆け出さない、騒ぎ立てない! 

 

静かに、静かに……賊たちの間を通過していった。

 

 

★ーー★ーー★ーー★ーー★

 

実は………今から半刻前、既に華琳たちは到着していた。

 

しかし、村を攻めている真っ最中に……桂花の策を実行するには……無謀過ぎる。 それに、凪たちに繋ぎを付けなくて───始まらない! 

 

そのため、軍勢を少し離れた場所に待機させ、白布の準備を始めていたのだ……

 

ーーー

ーーー

 

華琳は、準備ができた兵たちを引き連れ、春蘭、秋蘭、桂花を伴い………激しい攻防を行う村の様子を……望んでいた。

 

『━━━!? グボッ…………』バタッ!

 

『━━━━━!! ━━━!?』ゴフッ!

 

『ーーーーー! ────!!!』バタリ!

 

村人が……義勇兵が……勇敢に戦い傷付き、一人、また一人倒れるのを……冷静に─────

 

 

華琳「───皆、御覧なさい! 今の様子を目に焼き付けておくのよ。 私が、私達の力が及ばないために……多くの者が……代わりに戦い……死んでいく……」

 

『……………………』 

 

華琳「だが……私達は、残された者のため、必ずこの戦に勝利しなければならない!! いや、それだけでは足りぬ! 未来に平和な世を創世する事! それが……亡き者へ報いる事ができる……私達の役目なのだから!! 」

 

『━━━━━━!』

 

華琳は、そう言って……再び凝視する!

 

春蘭や秋蘭は、片膝を付いて礼をとった。

 

兵たちは、涙を浮かべつつ……その散り様を食い入るように見続ける!

 

桂花「…………………」トッ!

 

桂花は、華琳に顔を見せず……痩せ馬に騎乗した。

 

桂花「華琳様………後の事、お願いします!!」

 

華琳「行くのね……。 無事に……なんて無茶は云わないわ。 だけど……これだけは覚えておきなさい! 貴女は……私の子房よ! 他に代わりなど……誰も居ないから………」

 

桂花「…………御意!!」

 

 

★ーー★ーー★ーー★ーー★

 

 

桂花の実行した事、それは『普段どおりに振る舞う』と云う、易しいようで非常に難しい方法。 

 

万の敵勢の中を、寸鉄も帯びずに痩せ馬で越える……。 しかも、桂花は大の男嫌い! 

 

それでも───桂花は───!!

 

 

桂花「………一刀…………私に力を貸して……!」

 

 

全身を襲う嫌悪感に耐え……ただ、村の門前まで目指したのだ。

 

 

◆◇◆

 

【 夜 大軍の中を渡る の件 】

 

? ?州 陳留郡 某村 にて ?

 

桂花が痩せ馬で中央の門前に到着! 

 

ーーー

 

桂花「この村を守備する将に……話をしたいの! 出て来なさい!」

 

ーーー

 

桂花の後ろには、数十人の賊たちが、距離を十歩(約14b)ほど開けて、監視していた。 頭目が、様子がおかしいと思ったらしい。 

 

しかし、二万の大軍ゆえ人の顔も、どういう輩が居るのかも分からない。 中には、行軍途中で参加してくる者もいるのだ! 

 

もし、誤って殺害して、取り返しのきかない事になると───大変である!

 

それに、武器も持たず、平然と大軍の中を歩いて行かれるのも……異様に見える。

 

そのため、監視を付け、変な動きを見せれば───『即殺害せよ!』と命じていたのだ!

 

ーーー

 

凪「────私に用か? もし、降伏させるために説得しに来たのなら、無駄な話だ! 私達は、誰もお前達などに降らない!!」

 

桂花「貴女は、分かっているの? この大軍を見て恐れない? 貴女達の身は、風前の灯なのよ!」

 

凪「それでもだ! 私達に構うな! 私達は、全員──この地で討ち死にするまで戦ってやる!」

 

桂花「あたら若い命を散らすなんて……どうかしてるわよ? 今の世に、命を懸けて守るべき物があるの?」

 

凪「その言葉……そのまま返そう! 命を懸けて守る物があるため、私達は戦いを止めない!! 快楽だけでは、人間生きて行けないんだ!!」

 

桂花「そう! これほどまで不利を説いても……分からない訳ね!?  『北郷一刀』に逢う事も無く、無意味に逝けばいいわ! ─────『凪』!!」

 

凪「黙れぇ───ッ!! 『桂花』!!」

 

ーーー

 

凪の拳が、急速に氣を集約して光輝き───桂花に向け殴りかかるッ!!

 

桂花「─────!」

 

凪の拳は、桂花の顔を通り過ぎて、後方へ氣弾を放つ! 氣弾は、後ろに居た賊の足下にあたり、大量の砂塵を撒き散らす!!

 

凪「桂花様!! 早く中へ!!」

 

桂花「───────!!」ダッ!

 

凪と桂花、痩せ馬は……門の中に吸い込まれるように入って行く!

 

慌てた賊たちは、警戒態勢を取りながら、まんじりともせず夜明けを待つ!

 

ーー  ーーーーー  

 

いつ来襲されるか? いつ攻撃されるか?

 

いつ………自分が死ぬのか─────?

 

ーー  ーーーーー

 

しかし、その間に………敵からの攻撃は……皆無だった。

 

 

 

◆◇◆

 

 

【 暁に見る…… の件 】

 

? ?州 陳留郡 某村 にて ?

 

《 朝 5時頃 》

 

広大な地平線より……太陽が昇る!

 

賊たちは、何もなかった事により……ホッととした笑みを髭だらけの顔に浮かべ、互いに喜んだ。

 

…………しかし、その喜びも束の間!

 

村より、白く輝く『氣弾』が………天高く昇る!

 

賊たちは驚き、村を見た! しかし、驚くのは……それだけではなかった!

 

───ザザザザッ!!

 

顔を白い布で覆った……異形の兵たちが……太陽を背にして、自分たちへ突っ込んで来たのだ! 

 

ーーー

 

華琳「第一陣、秋蘭の弓兵隊、三度斉射!! その後、第二陣、春蘭! 斬り込みなさい!!」

 

『────ハッ!!』

 

ーーー

 

秋蘭「我が弓、我が矢! ───貴様らが犯した行為の報いとしれ! 全体、斉射ァァァッ!!」

 

『───────!』シュッ!!

 

ーーー

 

春蘭「貴様らぁあああッ! 殺してきた者たちに、あの世で詫びに逝けぇええええッ!!!」───ザシュ!

 

賊1「な、なん、何だぁあ──ギャアァアアアアッ!!」

 

ーーー

 

華琳の軍勢は、怒濤の如く押し寄せる! 

 

どの兵も、あの………惨劇を目にした。 

 

新人の兵は、怒りに燃えて果敢に攻め込み、古参の者は……己の状況を弁えつつも、持つ剣に力が入る! 

 

全員が怒りに燃えて……士気は天を衝かんとするほどに!!

 

ーーーーー

 

それに、比べ賊たちの動きは……鈍かった!

 

謎の女による付加不思議な行動……。 その後の厳戒態勢の緊張感、そして、暁を見て………これで休めると思った時に、異形の兵からの襲撃!!

 

しかも、連戦の疲れによる体力の低下、精神的緊張の緩みもあり、瞬く間に……為す術もなく倒れる賊軍勢! 

 

頭目「逃げるなぁーッ!! 押し返せ! 押し返せッ!!」

 

頭目にも、報告が殺到して情勢が把握出来ない! 如何に優れた将と云えど、短時間で大量の情報を纏め、最適な方法を選べなどと云うのは出来ない!!

 

そして、返事を求められる頭目の答えが、上記の台詞である!!

 

しかし、異形の軍勢だけなら及第点に入るのだが、大事な事を忘れている。

 

一体……今まで『何をしていたのか?』を!

 

★☆☆

 

─────バァアアアッン!!

 

頭目が──迎撃の為に兵をほぼ向かわせた時! 

 

村の正面の門が開き、中から三人の将に引き連れられた兵が現れる!

 

凪「今こそ反撃の時! 狙いは賊大将の首一つ!! 突撃ッ!!」

 

季衣「行くぞぉおおおッ!!」

 

流琉「皆さん! 気を付けて!! 必ず、生きて再会しましょう!!」

 

百人一組で別れた将兵は、華琳たちに呼応して攻撃を仕掛ける!

 

ーーー

 

凪「ハァアアア──ッ!! 『猛虎蹴撃』!!」

 

賊4「と、虎がぁあ───ゴブッ!!」

 

賊5「く、来るなぁ!! ────うごぉおおおっ!?」

 

凪の氣弾が……巨大な猛虎の形を取り……賊を蹴散らす!

 

ーーー

 

季衣「大将は───どこだぁあああ!! でりゃあ───ッ!!」

 

賊6「ぐぼっ! ガ、ガキのくせに………や、やるじゃねえか………!」バタッ!

 

流琉「季衣───ッ! あんまり深入りしちゃ危ないよッ!!」

 

季衣と流琉の武器『岩打武反魔』『伝磁葉々』が唸りを生じて、立ちふさがる賊を弾き飛ばして行く!!

 

ーーー

 

季衣「凪ちゃん! すごい、すごいよぉ!! 氣弾が虎の形してるけど、これってどうなってるの!?」

 

凪「た、隊長の世界の将は……腕から虎を放つと……聞いて……」

 

流琉「凪さん、季衣───今は、戦いに専念して! ここを何とかしないと……兄様や華琳様に逢えないままだから!!」

 

ーーーーー

 

後方から襲撃! しかも……思いも知らぬ強力な技で蹴散らされ、慌てふためく賊たち!!

 

賊8「ひぃいいいッ!!」

 

頭目「最後までぇ───戦えぇえええッ! このままではぁあああ!? このままではぁあああ────ッ!!!」

 

頭目は声を枯らし、劣勢になりうる軍勢を指揮する!

 

しかし、元々仲間意識も無く、欲と快楽だけで繋ぎ止められて居た集団。

 

その元が断ち切ら出れば……絆など無きも同然!

 

賊11「やってられるかぁあああッ!!」

 

賊12「これで終わりだな………次んとこへ……行くか………」

 

櫛の歯が抜けるように……逃亡兵が増えて行く!!

 

二万を数え………自分たちの欲に従った軍勢も、今では一万を切り……士気は完全に地へ墜ちた!!

 

ーーー

 

春蘭「賊の頭目が居たぞ!! 逃がすなよ! 絶対に逃がすなよ!!」

 

秋蘭「華琳様の軍勢も囲んでいるのだ! この包囲から逃れる術は無い!! だが、もし……敵の頭が……姉者のような武を持っているのなら、分からんがな………」

 

華琳「大丈夫よ! 例え、春蘭と同じぐらいの武の持ち主でも、アソコの三人には、勝てそうもないわ……。 是非……私の配下に加わって欲しいのだけど……?」

 

華琳は、周囲の状況を踏まえて───微笑んだ!

 

 

◆◇◆

 

【 決着 の件 】

 

? ?州 陳留郡 某村 にて ?

 

《 朝 7時頃 》

 

頭目「か、囲まれただと───!? な、ならば……血路を斬り開いて戻るのみ! ぜ、全軍、俺を中心に円陣を組め! どこか手薄の場所より、逃げ出して───ん!? あ、開いてる!! ほ、包囲に穴が!!」

 

頭目は、その様子を見て狂喜乱舞する!

 

華琳たちの兵で三方向がふさがり、残りの部分が口を開いているのだ。

 

頭目「…………所詮は、付け焼き刃の連携! 村の奴らが、包囲に間に合わず、あそこに我々が抜けれる穴が開いているじゃないか! これは好機! 全軍──あの場所より脱出するんだ!!」

 

『おぉ─────ッ!!』

 

頭目と残存の兵は……纏まり抜けた! 

 

兵数は……既に三千届かなかった。

 

ーーー

 

頭目たちが逃げる先には、桂花、凪たちが待ち構える。 

 

ただ、違うのは頭目たちの進路を遮るのでは無く、進路の両端に並ぶように準備。

 

そして、最初に作って置いた柵を壊して『棒状の物』にした。 それを部隊の者が幾つか持たせ、それを『敵が来たら足下を狙って投げろ!』と指示してある。

 

桂花「『欠囲の法』に惑わされ、そろそろ……敵兵が出てくる頃よ! 全員、柵の残りは手にしているでしょうね?」

 

真桜「大丈夫や! 予備も含めて仰山、持ってきたでぇ!!」

 

沙和「でもぉ……こんなの、扱えないの!!」

 

桂花「投擲が駄目なら、捉える側に移動しなさい! これで全員捕まえるつもりだけど、逃れる奴が数人居る筈。 そんな奴を捉えるのに、こんな棒状の物の方が役立つのよ! 命を奪わずに済むのであれば!!」

 

★☆☆

 

頭目「突っ込めぇえええッ!! 脇目を振らず通り過ぎよ!!」

 

賊たちが集団で逃げだすが、何故か包囲網から攻撃が一切ない! 普通は不振に思うが……逃走の真っ最中! その疑問も、直ぐに消える!

 

そして、包囲網を抜けた時、足下に『棒』が多数投げ込まれた!!

 

『おっ……!』グラッ!

 

『ぎゃあああッ!!』グラリッ!

 

ドドドドドドォォォォーーーーーーッ!

 

先頭が転べば……当然後方も───!!

 

見事な将棋倒しが決まり……華琳達が捕縛に動き始めた!!

 

ーーー

 

春蘭「大人しくしろぉ!! 貴様らには、洗いざらい吐いてもらうぞ!!」

 

賊「く、くそぉおおおッ!!」

 

秋蘭「怪我人の手当てを急げ! 現状調査と記録を忘れるな!!」

 

頭目「ぐぅ……くぅうううぅぅ────ッ!!」

 

ーーー

 

中には、運が良い奴が居て数人闘争できた者が居る!

 

その者には『棒を投擲して捕獲せよ!』と、桂花より指示が出ていた!

 

賊「ハァ─ッ! ハァッ!」

 

沙和「待てぇ──なの! 全員で投擲なの!」

 

ブ───ン! ブン! ブーン! 

 

『ガコッ!』『ドカッ!』『ガラガラッ!』

 

賊「グワァ──アアアッ!!」バタン!

 

沙和「なるほどぉ〜! こう使えばいいの!!」

 

沙和は、今更ながら桂花の指示の正解さに感嘆するのであった!

 

ーーー

 

こうして、この村は……多数の被害を出したが……多くの命や財が救われ、二万の軍勢を数千で撃破した『曹孟徳』の名前、義と勇を共に示した『大梁義勇軍』の勇名は、一躍有名になったのだ!!

 

 

◆◇◆

 

【 凪の決意 の件 】

 

? ?州 陳留郡 某村 にて ?

 

《 昼近く 11時頃 》

 

一通りの作業が済んだ後、華琳は将兵を集め、論功行賞を行う!

 

華琳「桂花……見事な働きだったわ! 貴女の策と行動がなければ……私達は多数の被害を出していたかも知れない。 それに、貴女は大役を果たして、無事に私の下へ帰って来てくれたわ! だから、勲功第一は──桂花よ!!」

 

桂花「………………ありがとうございます!」

 

ーーー

 

秋蘭「ホントに見事な軍略だった。 敵の大軍の中を普通に進んで行くとは……誰も思い付かない! 全く凄いものだ! それに、白布で顔を隠して攻めるなんて、敵は……完全に意表を突かれたようだ!!」

 

桂花「…………成功して良かったわ……」

 

ーーー

 

華琳「それにしても、楽文謙も考えるわね? 竹簡に『開門を命じるときは、我が真名を叫ぶように!』と書いてあったけど。 これなら……万が一、中の文章が読まれても……実行できる者は少ないわ!』

 

凪「一種の賭でした! 私の事を存じている桂花様が、竹簡を拝見しただいたのは行幸でした!」

 

華琳「それにしても、武の長ける者が……まさか、智に長ける桂花の知り合いだったと云うのも、意外だったけど………」

 

桂花「………人脈に、抜かりはありませんので……」

 

ーーー

 

春蘭「…………桂花、華琳様から聞いたぞ。 『天の軍略』と言っていたそうだが……それは、一刀の………」

 

桂花「……そう。 一刀から聞いた天の『夜戦』と『奇襲』、『捕縛術』等を、私なりに応用したのよ。 初めて聞いたときは、無謀やら野蛮やら色々反論したけど……。 実際やってみて……最初に思い付いた者を尊敬するわ!」

 

ーーー

 

華琳「それから……『大梁義勇軍』の楽文謙、李曼成、于文則! 一緒に奮戦し活躍した許緒、典韋!」

 

『─────ハッ!』

 

華琳「貴女達の実力は、今度の戦で高く評価したわ! そのような人物を在野に置くなど、私の誇りが許さない!! それに、その力を……我が軍で奮ってもらえば……多くの者が救われる!!」

 

『………………………』

 

華琳「────是非、我が軍勢入りを希望したい! 返答は如何に!?」

 

 

季衣「ボクは──お願いします! この軍で力を振るわせて下さい!」

 

流琉「季衣が行くなら……私も!!」

 

凪「…………………」

 

真桜「うちは、ここの大将が気にいったぁ! 沙和も凪もええやろッ!?」

 

沙和「沙和も賛成なの!!」

 

凪「私は…………申し訳ありません。 一時的な客将であれば……。 『隊長』を見つけましたら……ここを離れさせて貰います!」

 

『────────!!』

 

真桜「凪! 待ちぃ!! 前から言っていた『隊長』かいな!? えぇかげん目を覚ましぃ!! そんなもん、どこにもおりゃせんと!?」

 

沙和「凪ちゃん! 気をしっかり持って欲しいの!! 沙和、凪ちゃんと離れたくなーい!!」

 

凪「………すまない。 これは確定事項なんだ……桂花様より情報を聞いた。 隊長は、益州に降り立ったと。 そして………洛陽に向かわれている事も! だから───曹孟徳様! この儀、何卒お届け下さい!!」

 

華琳「………残念ね。 貴女の参入してくれるのを、特に期待していたのに! ………いいでしょう! その者に逢えるときまで、客将の扱いをさせて貰うわ! 心変わりになれば何時でも申し上げなさい!!」

 

凪「ハイッ!!」

 

華琳「他の者には、我が『真名 華琳』を預ける! 今後も忠誠に───励みなさい!!」

 

『───────ハッ!!』

 

桂花「…………凪」

 

春蘭「……………」

 

ーーーーーー

 

華琳の軍にも……多くの仲間たちが集まり、華琳に忠誠を誓う。

 

しかし、凪だけは違った。

 

凪は、元主のでは無く、北郷一刀に忠を尽くさんとする!

 

果たして……この結果が、凶と出るか吉となるか……誰にも分からなかった。

 

 

ーーーーーーー

ーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

一応……解説を。

 

桂花が云う『夜戦』は川越夜戦。

 

『奇襲』の話は、鍋島直茂の父親が使いました『化け物の術』(本来は鬼の面)、能登半島に伝わるお祭り(これで上杉謙信を追い返したと云う伝承)を参考にしたものです。

 

『捕縛』は、テレビの時代劇からですね。

 

そろそろ、義輝記も書かなければ……と思うんですが。

 

また、次回もよろしくお願いします。

 

説明
今回、恋姫しか登場しません。 話も長いです。
3/8 イチマルゴーマル 一部加筆修正しましまた。
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コメント
hokuhin提督 コメントありがとうございます! 凪は一刀の陣営参加確定です。 桂花の主役とした二次は、結構……読んだんですが……。 確かに戦場で活躍するのは無いかも。(いた)
桂花が珍しく活躍したなあwそして凪はやはり一刀の下へ行くのか・・・艦娘との相性がどうなるか楽しみです。(hokuhin)
スネーク提督 コメントありがとうございます! 一応『艦これ』主体なんですが……何故か桂花の活躍振りが目立つ回です。 他にも、原作とは……かなり違う様子を見せてくれる……筈です。(いた)
桂花が原作とか二次とか今までで見た中で一番活躍してる気がする!?(スネーク)
劉邦柾棟提督 コメントありがとうございます! テイルズオブは……作者には分かりません。 全然ですよ。 『獅子戦吼』やら『真・獅子戦吼』と言われても…… (いた)
mokiti1976-2010提督 コメントありがとうございます! 腕から虎は……前回と同じ『拉○男』です。 川越夜戦は……偶然ですw  戦術関係の本に、よく掲載されてる例でしたので参考にしました。 歴史物の小説は意外と作者は読まないんですよ。(いた)
「獅子戦吼」かな?(劉邦柾棟)
そして気弾が虎の形というのはやはり拉麺○からですね?そして河越夜戦…そういえば某小説で北○綱茂も『焔の虎』とか称されていたような。(mokiti1976-2010)
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