恋姫英雄譚 鎮魂の修羅19
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黄巾党討伐により帝から報酬を賜った一刀達は、幽州に帰参した

 

幽州では、黄巾の乱での一刀達の活躍が無駄に拡張され見事に英雄として祭り上げられてしまっていた

 

その為、帰参した一刀達を出迎えたのは幽州民達による凱旋歓迎の嵐だった

 

「公孫賛様万歳!!!」やら、「御遣い様万歳!!!」やらの称賛の声が木霊し続け、その興奮はお祭り騒ぎという言葉で表して相違ないだろう

 

こういった状況を見て一刀は思う

 

一刀「(そうか、英雄っていうのは、こうやって作られるものなんだな・・・・・)」

 

英雄というのはなるものではなく、人々が胸の中に抱く妄想、幻想なんだと一刀は思った

 

そんな黄巾の乱の興奮が冷めぬ中で、宴が催される案が持ち上がったが、一刀は帰って来たばかりでも忙しく動いていた

 

留守にしていた間の幽州は、北郷隊の活動もあり、そして黄巾の乱が早く終わったという事もあり、目立った治安の乱れは無かった

 

しかし、一刀が留守にしていたという事もあり国交での烏丸との貿易でトラブルが目立っていたので、一刀と共に帰還した北郷隊がこの解決に全力を挙げて取り組んだ

 

それと同時にこの興奮の中で悪事を働く輩も続出していたので、治安体制の強化にも乗り出した

 

北郷隊の頑張りもあって、これらの犯罪は次々と摘発され、犯罪が広がるのは未然に防がれた

 

黄巾党の首謀者である天和、地和、人和、幹部こと影和は一刀が言った通り暫く潜伏する事となった

 

しかし、働かざる者食うべからず、4人には一刀専属の侍女として働いてもらう事となった

 

これは、そんな興奮が冷めてきた頃の幽州での話である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拠点・白蓮

 

 

 

 

白蓮「・・・・・はぁ」

 

城の廊下を歩く白蓮

 

黄巾討伐から帰って来てからというもの、白蓮は溜息ばかりを吐いていた

 

白蓮「私は、何の為にここにいるんだろうな・・・・・」

 

一刀が来てからというもの今の自分には殆ど仕事は回らなくなってきている

 

文武共に優れた一刀の活動範囲は多方面に及ぶ為、幽州の武官文官の心は殆ど一刀に傾いてしまっている有様である

 

今では周りの武官文官は、自分に目もくれない、太守であることもあるから挨拶はしてくるが、殆んどアウトオブ眼中である

 

これでは、幽州太守の面目は丸潰れである

 

白蓮「はぁ・・・・・私の存在ってなんなんだろうな・・・・・」

 

一刀が優秀なのはいいが、これでは自分の存在など無いに等しいのではないか?

 

帝から地位向上を賜ったはいいが、その地位に能力が付いて行っていなく、服に着られるが如く地位に敷かれる様だ、これではまるで濫?充数である

 

これだったら一刀の地位が上がってくれた方が圧倒的に良かった

 

もともと自身の仕事の手が回らないから武官文官の募集をして、その中に桃香の名前があった事にも驚いたが、予想外な事にその中に天の御遣いというとんでもないダークホースが混じっていたのが運のつきだった

 

幽州の陣営についてから目覚ましい勢いで結果を出していき、幽州ナンバー2になった今でも屯田作業や街道整備、治安維持の現場へ赴き陣頭指揮を執っているのである

 

その武は、一騎当千、その智は頭脳明晰、おまけにその容姿は美男子といって差し支えない

 

その一刀の働く姿に惚れ込み、男性仕官達は一刀を模範にし、または絶対の忠誠を誓っている者もいる

 

今では城に仕えている侍女、女官全てが一刀に惚れこんでいる有様で、そのほぼ全てが一刀の正室の座を狙っているという噂が絶えない

 

その証拠に夜になり耳を澄ませてみると『北郷様ぁ〜〜〜??一刀様ぁ〜〜〜ん??』、と淫らな声があちこちから響いてくるのだから

 

実際白蓮も一刀を想像して・・・・・

 

白蓮「はぁ・・・・・本当に私の存在って・・・・・」

 

星「それでな、そのメンマが上手いのなんの♪」

 

菖蒲「うふふ♪本当に星さんは、メンマがお好きなんですね♪」

 

その時、向かいの廊下の角から星と菖蒲が話に花を咲かせながら出て来た

 

星「おお、おはようございます、白蓮殿」

 

菖蒲「おはようございます、白蓮様・・・・・どうかされたのですか?凄く気を落としているみたいですけど・・・・・」

 

白蓮「・・・・・私のことを気にかけてくれるのはお前くらいだ、菖蒲ぇ・・・・・」

 

菖蒲「・・・・・本当にどうされたんですか?」

 

星「ええ、もともと薄い存在感がさらに薄くなっていますぞ」

 

白蓮「星はいちいち一言多いぞ!!・・・・・実はな、一刀の事で悩んでいるんだ・・・・・」

 

菖蒲「一刀様ですか?」

 

星「一刀殿が何か不祥事でも起こされたのですか?」

 

白蓮「そっちの方がむしろいいさ・・・・・一刀は不正なんて一つもしていない、常に私を押してくれる、優秀過ぎる・・・・・だから悩んでいるんだ・・・・・」

 

星「なるほど分かりました、一刀殿が有能過ぎて、自分の居場所を無くしてしまわれているのですな・・・・・」

 

菖蒲「・・・・・・・・・・」

 

白蓮「なぁ、星、菖蒲・・・・・私はどうしたらいい?どうしたら一刀の信と仁と忠に報いてやれるんだ?」

 

一刀は、あくまで白蓮の家臣としての位置を貫くつもりだ、自分と白蓮の立場を考えて常に白蓮を押してくれるのは白蓮としては喜ばしい事ではあるんだろうが、今回の場合だとそれがかえって恨めしい

 

権力という魔性の魅力を持つものに対し欲を持たないというのは美徳ではあるが、それと同時に欠点でもあるのだから

 

今まで何度も一刀に自分の代わりにこの幽州の太守になってくれと頼み込んでいるが、全て断られている

 

一刀の言い分はこうである

 

一刀「俺が太守になってしまったら、俺はこの幽州から離れられなくなってしまう、それこそ漢王朝を改革する事が出来なくなってしまう」

 

彼は、本気で漢王朝を変える気なのだ、この先に来るであろう群雄割拠の時代を未然に防ぐ為に

 

白蓮「(むしろ私なんて蹴落としてって勢いでだな・・・・・)」

 

そうされても自分は納得するだろう、あくまで『殺されなければ』という前提付きの話ではあるが

 

もちろん一刀の場合それはありえないだろうが

 

星「ふむ、つまり白蓮殿は、自分が太守であるにも関わらず太守としての役割を果たせていない事に不満を抱いているという事ですね」

 

白蓮「まぁ、簡潔に言えばそうなるな・・・・・」

 

菖蒲「という事は、白蓮様は一刀様に何か褒章を与えたいと思っている、と思ってもいいのですか?」

 

白蓮「それは私も今までずっとしてきたさ、だけど一刀の奴は、どんな装飾品や絵画や服だろうと受け取ってくれないんだよ、かといって休暇を与えてしまったら仕事が滞ってしまうし・・・・・」

 

星「まぁ、あのお方は本当に無欲であるからな・・・・・」

 

菖蒲「はい、集まった税も決して私事には使いませんし、横流しもしません、貰ったお給金も殆ど使われていないみたいですし・・・・・」

 

星「使われているのは、食費くらいですな・・・・・一刀殿は、よく我々に奢ってくれますが、挙句の果てには自分で料理を嗜まれていますからな」

 

菖蒲「はい、私も一刀様のお料理を食べさせていただいた事がありましたが、大変美味しかったです♪」

 

星「うむ、一刀殿の作るメンマも絶品だ♪」

 

白蓮「そういった事は侍女の役割なのに、一刀って本当に変わっているよな・・・・・」

 

周りからすれば一刀は本当に不思議な人間に映る

 

庶民と同じものを食べ、気に入らないと言って食べ残すこともない、ましてや食べきれないほどの料理を並べるようなことは浪費としか思ってないらしく、中華フルコースを食べている所など見たことがない

 

おまけに今まで見たこともない料理も作り、生魚を平然と食べる姿には度肝を抜かされた

 

ちなみに菓子作りの腕も本職でも脱帽もので、この三人もご相伴に与る事が出来ていた

 

今までに見た事の無い菓子が目の前に並び、そのどれもが良い香りを漂わせていた

 

その時ほど、口に運ぶ手が止まらず、その後体重を気にしてしまった事は無い

 

その甘い匂いが漂うと女性だけでなく男性仕官まで調理場の方に寄って行き、一刀に「一つどうだ?」と声と掛けられるのを待っている、と言われている

 

運よくありつけた者は自慢の種で、もはや一種の恩賞となっている

 

白蓮「そうなんだよ、二人とも一刀が欲しがりそうなものを知らないかぁ?」

 

星「そうですな・・・・・ありませぬな」

 

白蓮「もうちょっと考えてくれよ!」

 

星「仕方ないでしょう、あのお方の頭の中には腐敗した漢王朝を清掃する事しかありませぬ・・・・・」

 

菖蒲「はい、日頃の行いを見ましても、一刀様の行動はその一点に絞られていますから・・・・・」

 

白蓮「何でもいいんだよ、あいつが喜んでくれるものならなんだって・・・・・一刀が来てから、私は一刀に頼りっぱなしなんだ、それに少しでも報いてやりたいんだよ・・・・・」

 

星「・・・・・調理器具や具材等は城に備蓄されています故、意味はありませぬな・・・・・武具等を送っても、素手で戦う一刀殿にとっては無粋なものであるし・・・・・」

 

菖蒲「・・・・・でしたら、一つ気になっていた事があるのですが」

 

白蓮「なんだ!!?この際何でもいい、一刀が喜びそうなものだったらなんでも!!」

 

菖蒲「はい・・・・・一刀様が戦場で着ていらっしゃる、あの戦装束なんですが、最初に見た時もそうなんですが、ここ最近は黄巾の乱もありましたので、ひどく傷んでいます」

 

星「ああ、共に旅をしていた時から着ていたからな、もはやボロボロだ、いつ破れてもおかしくない」

 

白蓮「そうか、それを新しく作って送ればいいんだな♪」

 

ようやくまともな意見を聞けて歓喜する白蓮だったが

 

星「しかし、ただ送るだけでは面白味に欠けますな」

 

白蓮「?・・・・・どういう事だ?」

 

星「ふむ、前々から白蓮殿に聞きたかった事があるのですが・・・・・白蓮殿は、一刀殿のことをどう思っているのですかな?」

 

白蓮「どう思っているって・・・・・私には勿体ない家臣だと・・・・・」

 

菖蒲「そ、それはつまり・・・・・女性としてどう、ということですか?////////」

 

白蓮「は・・・・・はぁ〜〜〜〜〜!!!??/////////」

 

いきなり核心を突く星の質問に戸惑い赤面する白蓮

 

白蓮「い、いきなり何を聞くんだよ!!?////////」

 

星「ちなみに私はお慕いしていますぞ♪//////」

 

白蓮「え、ええええ!!!??///////////」

 

星「あれほどの殿方は他にいますまい・・・・・まぁ、ものの考え方に難ありですが、どんな人間にも欠点はあります、どの様な人間であろうとも・・・・・菖蒲はどうだ?」

 

菖蒲「そそそそそんな!!私などが一刀様に好意を抱くなど、恐れ多いです!!/////////」

 

星「立場や地位などは問題ではない、一人の女として正直に言ってみろ」

 

菖蒲「・・・・・わ、私は・・・・・私も一刀様をお慕いしています/////////」

 

星「は〜〜〜っはっはっはっはっは♪」

 

菖蒲「わ、笑わないで下さい!聞いてきたのは星さんなのに酷いです!/////////」

 

星「ふふふふ、すまんすまん♪菖蒲が夜な夜な自分の部屋で自慰に耽っているのは知っていたのに、聞くのは無粋であったな♪」

 

菖蒲「え、ええええ!!?なんで、どうして!!?/////////////」

 

星「何を今更、この城の女官達は皆そうであるぞ、おまけにあれだけ大きな声で・・・・・一刀様ぁ〜〜〜?一刀様ぁ〜〜〜?、っと淫靡な声をあげていては、嫌でも耳に入ってしまうぞ♪」

 

菖蒲「ううう〜〜〜〜〜っ///////////////////」(モジモジモジモジ)

 

星「それで、白蓮殿はどうなのだ?」

 

白蓮「わ、私は・・・・・」

 

考えた事はある、一刀が自分の事をどう見ているのかを

 

一刀の事を異性として見ていなかったのかと言われれば嘘になる

 

一刀は男として自分の事をどう考えているのかも、気にはなっていた

 

白蓮「わ、私も・・・・・一刀の事が好きだ/////////」

 

星「はい、ここにも堕ちた者が現れましたな♪」

 

白蓮「そういった言い方をするなよ!!/////////」

 

星「はっはっはっは♪良いではありませぬか♪一刀殿が好かれる事は良い事です♪」

 

白蓮「・・・・・なんだか上手いこと丸め込まれたみたいだけど、これ以上問答を続けても意味ないから、何も言わん・・・・・それで、どうして私が一刀の事が好きじゃないと面白味に欠けるんだ?」

 

星「ふむ、そこが重要なのです、ただ贈り物を送るだけでは無粋この上ありませんからな・・・・・ここは一つ、一刀殿と逢引をしてさりげなくこれを渡すんですよ♪」

 

白蓮「あ、あ、あ、あ、逢引だって!!!??/////////////」

 

菖蒲「か、か、か、一刀様と、あ、あ、あ、逢引!?////////////」

 

星「何を驚く?我々も年頃の女であるぞ、殿方と逢引など珍しくもないであろう?」

 

菖蒲「そ、それはそうかもしれませんけど、いきなりすぎて///////////」

 

星「白蓮殿も一刀殿の功を労いたいのでありましょう?なれば、それくらいの気概は見せなければ♪」

 

白蓮「・・・・・そうだよな」

 

確かに星の言っている事も尤もである

 

これまでの一刀の功績を考えれば、たかが服一着で済まされるはずがない

 

ここは自分も体を張ってその恩義に報いらなければ、太守として名が廃る

 

しかし、星は本当に一言多い

 

星「そして、逢引をした日の夜は、熱い夜伽を?」

 

白蓮「それは話が飛躍し過ぎだ〜〜〜〜!!!///////////」

 

菖蒲「/////////////////」(モジモジモジモジ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、白蓮は星と菖蒲の協力も得て、一刀逢引大作戦の計画を練った

 

菖蒲が一刀の部屋に忍び込み戦闘装束の寸法を測り詳細な絵を描く

 

星がデートの進行ルートの情報を仕入れ計画を練る

 

白蓮は、計画発足日に一刀に仕事が集中してしまいデートそのものが中止にならないようにスケジュール調整

 

そして、服の見繕いは幽州で一番の服職人に注文した

 

しかし、戦闘装束は完全なオーダーメイドであるため完成には時間が掛かってしまであろうことは想像に難くない、ところが白蓮達は服屋の店主に五日間で仕上げる様にと無茶な厳命を下した

 

この突貫工事に店主はひーこら言いながら打ち込んでいたが、白蓮は通常の五倍の値段を払っていた為、店主は嫌でも気合が入り僅か三日間で仕事をやり終えたのだった

 

しかも、その出来栄えは、一刀が最初にこの世界にやって来た時の新品の戦闘装束と殆ど変わらない

 

その上出来過ぎる仕事ぶりに、その店主は幽州お墨付きの栄誉を賜れた

 

そして、計画発足日が訪れる

 

 

 

 

白蓮「なぁ、菖蒲・・・・・どこか変な所は無いか?」

 

菖蒲「大丈夫です、とてもお綺麗ですよ、白蓮様♪」

 

星「うむ、似合っておりますぞ♪」

 

ここは白蓮の執務室、その中でいろいろ問答をする三人

 

白蓮は鏡に向かい合う、その中には綺麗に化粧をし、香水をふりかけ、雅な髪留めをし、優雅な赤いチャイナドレスに身を包んだ自分が映り込んでいた

 

白蓮「うう〜〜、今までの人生の中で一番緊張しているぞ〜〜」

 

星「何をおっしゃられます、肩の力を抜きなされ♪」

 

白蓮「しかし、なにもここまでしなくてもいいんじゃないのか?」

 

菖蒲「何を言うんですか、人生初の逢引なのですから、これくらいしてもいいではありませんか♪」

 

星「その通り、こういった事はむしろやり過ぎな方がいいのですぞ♪」

 

白蓮「お前ら他人事だと思いやがって・・・・・」

 

星「おや、ならばここで引き下がりますかな?」

 

白蓮「・・・・・いや、私も形だけとはいえこの幽州の太守だ!やる時はやる!」

 

星「よくぞ言いました♪」

 

菖蒲「では、参りましょう♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一刀の執務室の前へワープ

 

星「白蓮殿、御武運を♪」

 

菖蒲「応援しています、白蓮様♪」

 

この二人は、遠くの廊下の影から白蓮を見守っていた

 

白蓮「(とはいうものの、やっぱり緊張するぞ〜〜)」

 

どうしてもその場で足踏みをしてしまう白蓮だったが

 

白蓮「(だがここで引いてどうなる、勇気を出すんだ!)」

 

自らに気合いを入れ、扉をノックする

 

一刀「はい、誰でしょう?」

 

白蓮「一刀、私だ」

 

一刀「白蓮か、入っていいぞ」

 

白蓮「ああ」

 

そして、白蓮は一刀の部屋に踏み込む

 

一刀「っ!!??・・・・・」

 

天和「うわ〜〜〜、綺麗〜〜〜・・・・・」

 

地和「ちょ、ちょっと、どうしたのよ、その恰好・・・・・」

 

人和「・・・・・////////」

 

影和「とてもお綺麗です、公孫賛様/////////」

 

一刀の執務室には、自分の机に座り親お茶を飲みながら寛ぐ一刀とメイド姿をした張三姉妹と波才がいた

 

4人とも部屋の掃除やお茶くみなどで忙しく動いていた

 

ちなみに、この4人の正体は一刀以外は知らない

 

元黄巾党員という例外はいるが、彼らは解散する際、4人が張三姉妹とその幹部である事をバラさないと固く誓っている為、4人はこうして一刀の侍女をしていられるのだ

 

下手に黄巾党である事を知る人間が増えれば、それだけでその情報が外に漏れる可能性が出て来てしまうし、反逆者を匿っている事がバレれば、空丹から得る事が出来た信頼も無に帰し、下手をしたら朝敵の烙印を押され各諸侯に幽州を攻撃する大義名分を与えてしまうからだ

 

一刀「白蓮、どうしたんだ?その恰好」

 

白蓮「か、一刀!今、暇か!?////////」

 

一刀「ん?ああ、今日は不思議と他の皆から仕事が回ってこないからな」

 

これも白蓮の計算の内である、白蓮が他の文官達と連絡を取り今日一日は自分達で仕事を片付けろと厳命している為である

 

一刀は、これが白蓮の思惑だとは気付いていない

 

これからの事を考えて、一刀も他の文官の能力向上や育成に力を注いでいる為、みんな自分で出来る仕事は自分でしていると思っているのだ

 

白蓮「そうか、それは良かった!それじゃあ、今日一日私に付き合ってくれないか!?」

 

一刀「え?何処に?」

 

影和「なるほど、逢引ですね♪」

 

地和「あ、逢引ですって!!?」

 

天和「わ〜〜〜、羨ましいな〜〜、私も一刀と逢引したい〜〜//////」

 

人和「姉さん、邪魔しちゃ駄目よ」

 

白蓮「おい〜〜〜!!私が言おうと思っていたのに〜〜〜〜!!」

 

一刀「い、いきなりなんだ!!?なんでそうなるんだ!!?」

 

白蓮「ああもう!!いいから何も言わずに付き合え!!これは太守命令だ!!」

 

一刀「・・・・・わ、分かった」

 

これまでも一刀が白蓮に命令される事はあったが、ここまで一方的な厳命はされたことが無かった

 

何とも言えない白蓮の凄味に押され、一刀はやむなく従った

 

人和「一刀さん、こちらの処理はやっておきますので」

 

影和「一刀さんも忙しくて遊ぶ暇も無かったでしょうし、楽しんできてください〜♪」

 

天和「え〜〜〜〜、私も行きたい〜〜〜!」

 

地和「ちぃを除け者にするなんて100万年早いわよ!!」

 

人和「姉さん達、私達の立場を忘れたの?我慢して」

 

天和「・・・・・・・・・・」

 

地和「・・・・・・・・・・」

 

一刀「それじゃあ着替えるから、皆ちょっと外に出てくれ」

 

今の一刀は、文官の服を着ている為、このまま逢引に出かけるには具合が悪かった

 

影和「お着替えなら、手伝いますよ」

 

人和「ええ、遠慮しないでいいです、私達は一刀さんの侍女なんですから」

 

一刀「だからいちいち着替えの手伝いなんてしなくていいって、それにこれから着替える服はそんなものは一切必要ないから」

 

影和「・・・・・分かりました」

 

人和「そこまで言うなら・・・・・」

 

4人は、一刀が着替えをしようとする度にその手伝いをしようとするが、全て断られている

 

一刀自身がそんな事に慣れていなく恥ずかしいのであるが、4人は4人で一刀の体を見てみたいという好奇心があった

 

そして、5人が退出して1分もしないうちに一刀が出て来た

 

一刀「お待たせ」

 

白蓮「うわっ!!?なんだその服!!?」

 

天和「わ〜〜〜、綺麗〜〜〜//////////」

 

地和「ちょっと、何よその服!!?」

 

人和「もしかして、天の衣ですか?」

 

影和「これが天界の衣服/////////」

 

その光輝くポリエステル製の服を見て5人は面食らった

 

一刀「あそうか、フランチェスカの制服を皆に見せるのは初めてか、これは俺が前に居た所で日常的に来ていた服で、別に天とは関係ないよ・・・・・それじゃあ行こうか、白蓮」

 

白蓮「う、うん///////////」

 

こうして、一刀と白蓮は街に繰り出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、街

 

一刀「で、どうするんだ、何か予定があるのか?」

 

白蓮「あ、ああ、いいいいろいろ計画しているぞ!!」

 

なんとか冷静を装う白蓮だったが、内心はほぼパニックだった

 

白蓮「(ヤバい〜〜〜〜!!心の臓が爆発しそうだ〜〜〜〜!!)」

 

只でさえ一刀と逢引しているという現実を受け入れることが出来ずにいるのに、今の一刀はこれまで見た事も無い服に身を包んでいるのが白蓮の緊張に拍車をかけていた

 

白蓮「ままままずだな、あああああの店でだな・・・・・」

 

ほぼ呂律が回っていない状態である、この先どんな計画を立てたのかもあやふやになりかけていた、そんな時

 

一刀「ほらほら、そんなに緊張しない、俺だって逢引なんて初めてなんだからさ」

 

白蓮「え?・・・・・」

 

信じられない言葉が一刀から出て来た

 

これほどの男前なら他の女が放っておかないはずであるのに、お互い初めての逢引だって言うのだから

 

一刀「だからさ、俺も分からないことだらけだから、白蓮がそんなだと困っちゃうんだ、だからそんなに緊張しないでくれ」

 

白蓮「あ、ああ・・・・・分かった♪」

 

お互い逢引初体験であることが余りにも意外だった事もそうだが、一刀でも出来ない事があるという事を知り逆に気が楽になった

 

なにより、この誰よりも優秀な一刀が自分を頼ってくれているという事が嬉しく白蓮は冷静さを取り戻した

 

そして、二人は近場の雑貨屋に足を運んだのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その後を

 

星「ふふふふ♪頑張っていますな、白蓮殿♪」

 

菖蒲「白蓮様、羨ましいです//////////」

 

この二人が尾行していた

 

菖蒲「それにしても星さん、一刀様の着ていらっしゃるあの服は・・・・・」

 

星「ああ、菖蒲はあれを見るは初めてだったか・・・・・あれはかつて一刀殿が天の世界で着ていたという服だ」

 

菖蒲「あれが、天の世界の・・・・・」

 

見慣れぬ服に興味津々な菖蒲であったが

 

星「お主らもそんな所にいないで、一緒に見物しようではないか♪」

 

菖蒲「え?あ!?」

 

後ろを振り向くと一刀専属侍女達が看板を影にし一刀の動向を探っていた

 

どうやら一刀と白蓮に気を取られてしまい後ろがガラ空きあったようだ

 

人和「申し訳ありません、趙雲将軍、徐晃将軍、姉さん達を止められませんでした・・・・・」

 

影和「天和さんも地和さんも逢引を邪魔されたら気分を害しますでしょ?」

 

天和「だって気になるんだもん〜〜〜!」

 

地和「そうよ、気になっておちおち仕事も出来ないわよ!」

 

星「まぁ、その気持ちも分かるからな、同行を許可しよう・・・・・ただし、我々は邪魔をしようとしている訳ではない、遠くから静かに見守るという決まりを守るようにせよ」

 

天和「うん、それくらいは守るよ〜♪」

 

地和「まっかせて〜♪」

 

人和「・・・・・まぁ、私も気にはなっていたし////////」

 

影和「私も一刀さんと公孫賛様がどんな逢引をするのか楽しみでしょうがないです♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその後、逢引は中盤に差し掛かり二人は飲食店に足を運んだ

 

白蓮「いや〜〜、ここの飯は美味いな〜〜♪」

 

一刀「だろ、俺がこの町で一番お勧めの店だ♪」

 

街の一角に佇む飲食店内で注文した料理に舌鼓を打つ二人は、知らない人が見れば間違いなくカップルと見られて相違ないだろう

 

白蓮「(そういえば、こんな明るい一刀って初めて見るかもな)////////」

 

これまで仕事に次ぐ仕事で、じっくり一刀と触れ合った事が無かったから気付かなかったが、向かい側で料理を口に運ぶ一刀はとても良い笑顔だった

 

白蓮「(きっとこれが、本当の一刀なんだな)////////」

 

ここ最近は、黄巾党による数多の犠牲者と漢王朝の実態に嘆き気味だった

 

普段戦争という行いを否定してばかりだが、本来の一刀はこういった明るい性格なのだ

 

白蓮「(拙い、目が離せない)//////////」

 

その太陽の様な笑顔に釘付けになり、箸が止まってしまう

 

一刀「(モグモグモグ)・・・・・ん?俺の顔に何か付いているか?」

 

白蓮「い、いや、なんでもない!本当に美味いなこの店は!//////////」

 

なんとか平静を装うが、一刀が気になってしまい、料理の味が分からなくなってきてしまう

 

白蓮「(どうしよう〜〜!!また緊張してきちゃったよ〜〜!!)////////////」

 

無駄に心臓が脈打ち今後の逢引の計画も虚ろになってしまっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星「その調子ですぞ、白蓮殿♪」

 

菖蒲「頑張ってください、白蓮様♪」

 

天和「うぅ〜〜〜、私も一刀と逢引したい〜〜〜」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

地和「この〜〜〜、ちぃを差し置いて何楽しくやってるのよ〜〜〜」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

人和「姉さん達、抑えて」

 

影和「羨ましいです〜♪//////////」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ふぅ、腹も膨れたし次行くか・・・・・で、今度は何処に行く予定なんだ?」

 

白蓮「え、ええと、そのだな!・・・・・そうだ服屋だ!!服屋に行こう!!」

 

一刀「今度は服屋か、分かった」

 

白蓮「え?あ・・・・・(しししし、しまった〜〜〜〜〜〜!!!)」

 

緊張し過ぎて計画を前倒ししてしまった白蓮

 

なんとか訂正しようとするも

 

一刀「じゃあ、行こうか」

 

ギュウ

 

白蓮「あ・・・・・なななな、何するんだ、一刀!?///////////」

 

不意に手を握られ、リードされる白蓮は思考が乱れる

 

一刀「何って、逢引するんだったらこれくらいしないとな♪」

 

白蓮「え、あ・・・・・それもそうだよな/////////」

 

その掌からの暖かい感触に計画などどうでもよくなってくる白蓮であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

影和「うふふふ♪どんどん進展していますね♪」

 

人和「公孫賛様、楽しそうです♪」

 

菖蒲「・・・・・あれ?でも、道順が違いますね」

 

星「ああ、このままでは注文した店に行ってしまうぞ」

 

天和「?・・・・・注文した店って?」

 

星「ああ、計画ではもっと後でこの先の服屋にて白蓮殿は、一刀殿に服を送る予定なのだ」

 

菖蒲「この次は、装飾店に行かれる予定だったのですが、何かあったのでしょうか?」

 

地和「きっと緊張して頭の中が真っ白になって、訳が分からなくなったのね」

 

星「何とも情けない話ではあるが、これはこれで面白そうではあるな♪」

 

影和「ええ、公孫賛様がどんな対応をされるか楽しみです♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ここだな」

 

白蓮「ど、どうして分かったんだ!?」

 

手を引いてやってきたのは、どんぴしゃで注文した店だった

 

一刀「この辺りの服屋といえばここしかないからな、北郷隊の隊長として町の区画は記憶していて当たり前だぞ、じゃないと治安なんて守れないからな」

 

白蓮「あ、それもそうか・・・・・」

 

当然の如くそう言われ、白蓮も納得するしかなかった

 

白蓮「(こうなったらすぐに服屋を出て計画通りの道順に戻ろう)」

 

ここまで来てしまった以上あれこれ考えてもしょうがないので、白蓮と一刀は店内に入る

 

しかし、ここで大きな誤算が生じてしまった

 

「へい、毎度どうも・・・・・って、公孫賛様!!?」

 

白蓮「(あ〜〜〜〜!!しまった〜〜〜〜!!)」

 

そう、店主の事を忘れていた

 

少し後にここを訪ねると言っておいたのに1刻半ほど早く来てしまったのだから、店主は頭をかしげていた

 

「公孫賛様、随分とお早いですね・・・・・」

 

白蓮「あ、あの、これはだな!」

 

一刀「?・・・・・どうした?何か服でも注文していたのか?」

 

ここら辺は無駄に鋭い一刀である

 

白蓮「い、いや、あの・・・・・」

 

デートの後半でそれとなくこの店に寄りプレゼントを渡しいい雰囲気にしようと思っていたが、こうなってしまったからには腹を決めるしかない

 

白蓮「ああ、すまない、予定より早く来てしまった、頼んだものは出来ているか?」

 

「ええ、ご注文通り誂えていますよ♪」

 

そう言いながら、店主は作ったものを取り出す

 

白蓮「あ、ちょっ!!?」

 

いきなり目の前に作った服を広げる店主

 

綺麗な贈り物用の袋に入れて手渡すつもりだったのにこれはあんまりである

 

一刀「っ!!?これって、無刀術の戦闘装束!!?」

 

目の前に広げられたのは、できたてホヤホヤの戦装束だった

 

「・・・・・公孫賛様、お隣の方は・・・・・ま、まさか・・・・・」

 

白蓮「ああ・・・・・天の御遣い北郷一刀、その服はこの一刀に送るものだったんだ・・・・・」

 

「そそ、そんな!!最初に言って下さいよ!!」

 

白蓮「しょうがなかったんだ!!予定ではもっと後に来るはずだったんだ!!」

 

そんな白蓮と店主の問答を黙って聞いていた一刀だったが

 

一刀「つまりこういう事か?白蓮は、この服をこの逢引のもっと後に俺に渡すはずだったと?」

 

白蓮「あ、ああ・・・・・その通りだ・・・・・」

 

一刀「けど、こういったものは特注品のはずだし、黄巾の乱からそれほど日数は経っていないし・・・・・まさか」

 

白蓮「察しの通り、私が特別に、早急に作らせたんだ、通常の5倍の値段で・・・・・」

 

一刀「・・・・・・・・・」

 

白蓮「いつも頑張っている一刀をどうしても労いたくて、でも私にはこれしか思いつかなくて・・・・・怒っているか?・・・・・」

 

無駄な資金の浪費を嫌う一刀の性格を知っていた為、白蓮は俯き気味に一刀の顔色を窺う

 

一刀「・・・・・いや、怒ってないよ、白蓮の気持ちは分かった」

 

白蓮「一刀・・・・・」

 

一刀「いままで白蓮の贈り物を散々に断って来たけど、これくらいだったら受け取らない理由は無いからな・・・・・嬉しいよ、ありがとう♪」

 

白蓮「ほっ、良かったぁ〜〜〜〜♪////////」

 

嬉しそうな笑顔で感謝の言葉を述べられた白蓮はようやく心の底から安堵できたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星「うむ、上手く行ったみたいですな♪」

 

菖蒲「一刀様は、基本的に無駄な散財を認めませんから、怒らなくて良かったです♪」

 

地和「そりゃそうよ、乙女が男の為に奮発したのよ、ここで怒っていたら男じゃないわよ♪」

 

天和「空気読めるね、一刀って♪」

 

人和「流石一刀さんです♪」

 

影和「女心をよく分かってますね、一刀さんって♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白蓮「気に入ってくれたか?」

 

一刀「ああ、寸法もばっちりだったよ、俺もそろそろ新しいものを新調しようと思っていたから手間が省けて助かった♪」

 

白蓮「本当に良かった♪////////」

 

「毎度ありがとうございました、これからも御贔屓に♪」

 

そして、服屋を後にした白蓮は上機嫌で、一刀の脇には戦装束の入った袋が挟まっていた

 

一刀「それじゃあ、次は何処に行くんだ?」

 

白蓮「そうだな、元の道順に戻らないといけないから、元来た道を戻って・・・・・」

 

計画を前倒ししてしまったため、途中のやり残したことを取り戻そうと頭の中で再度計画を練る白蓮だったが、ここで思わぬ伏兵が来た

 

鶸「あれ、一刀さん!?白蓮さん!?」

 

蒼「あ〜〜、一刀さんと白蓮さんだ〜〜♪」

 

白蓮「え、あ!?鶸、蒼!」

 

一刀「よう、どうしたんだ?」

 

鶸「それはこちらの台詞です!その恰好はどうしたんですか!?」

 

蒼「うんうん、白蓮さんばっちり決めちゃってますし、一刀さんも見た事ない服を着ちゃってるし〜♪」

 

白蓮「あ、あの、これはだな!!」

 

一刀「この服は、俺が前に居た所で日常的に来ていた服だ」

 

鶸「それって、天の衣という事ですか!!?」

 

一刀「まぁ、そうともいうかな・・・・・それで俺達は、ただいま逢引中という事だ」

 

鶸「ああああ、逢引ですか!!?///////////」

 

蒼「え〜〜〜、すご〜〜〜い、いいないいな〜〜〜♪蒼も一緒に行きたい〜〜〜♪」

 

鶸「ちょっと蒼、邪魔しないの!!///////」

 

蒼「え〜〜〜、だって羨ましいんだもん〜〜〜!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地和「も〜〜、あの二人ったら、二人水入らずな所にどうして割り込んでくるのかな〜〜!」

 

天和「そうだよ〜〜、お邪魔虫だよ〜〜!」

 

星「仕方あるまい、当初の予定ではここにはもっと後に来るはずだったのだ」

 

菖蒲「はい、鶸さんと蒼さんを責める事は出来ません」

 

人和「そうですね、こういった想定外な事が起こっても仕方ありませんね」

 

影和「一刀さん、何とか二人を振り切って下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ところで二人は何をしていたんだ?」

 

鶸「私達は、街の視察をしていたんです、お母様から天の御遣いがどんな街を作っているかも調べてこいと言われていますので」

 

一刀「そうか、それでどうだ?ご感想は?」

 

蒼「うん、人攫いも起きないし、市場は活気付いてるし、本当に良い街だよ〜♪」

 

一刀「それは何よりだ・・・・・だったら、俺達と一緒に行かないか?」

 

白蓮「え、ちょっ!!?一刀!!?」

 

鶸「一刀さん!!?」

 

蒼「え〜〜〜、いいの〜〜〜♪♪」

 

一刀「ああ、案内役がいた方がいいし、そっちの方が視察しやすいだろ?」

 

鶸「私達は嬉しいですけど、お二人は逢引中なんでしょ!?私達が居たら邪魔なんじゃ!?」

 

一刀「大丈夫、更なる邪魔者がいるから・・・・・お〜〜〜〜い!!そろそろ出てきたらどうだ!!?」

 

白蓮「え!?」

 

鶸「ま、まさか・・・・・」

 

蒼「あ、確かに誰かいるね・・・・・」

 

建物の角に声をかける一刀

 

すると、数秒遅れて尾行犯6人組が不機嫌な顔をしながら出て来た

 

星「一刀殿、ここは気付いていない振りをするのが殿方の役目ですぞ」

 

地和「そうよそうよ、公孫賛の気持ちも考えてあげなさいよ!」

 

天和「そうだよ〜、せっかく隠れていたのにこんなの無いよ〜!」

 

影和「前言撤回です、一刀さんは乙女心を分かっていません・・・・・」

 

一刀「おいおい、逢引中だってのに、いちいち後を付けられて監視されるこっちの身にもなってくれよ」

 

人和「・・・・・それは、そうですけど」

 

菖蒲「申し訳ございません、一刀様、白蓮様・・・・・」

 

一刀「そっちだって、そんな影から覗き見るようなことをして息苦しいだろ?・・・・・もうこうなったら全員で行こう!」

 

白蓮「ええ!!?一刀!!?」

 

一刀「グダグダ話していてもしょうがない!全員面倒見てやる!」

 

蒼「わぁ〜〜〜お、一刀さん太っ腹ぁ〜〜〜♪え〜〜〜い♪」

 

星「流石一刀殿ですな♪それっ♪」

 

ムニュン  ムニュウ

 

一刀「な、ちょっ!!?何するんだ!!?////////」

 

白蓮「ええええ、ちょっ!!!??星、蒼!!!??/////////」

 

鶸「なななな、何やってるのよ、蒼!!!//////////」

 

いきなり星と蒼は一刀の腕に抱き付き、そのふくよかな双乳を押し付ける

 

蒼「え〜〜〜、だってこれから皆で逢引するんだよ〜〜、だったら早い者勝ちだよ〜〜♪//////////」

 

星「さよう、お主達もグズグズしていたら自分の席が無くなってしまうぞ♪」

 

影和「では、お言葉に甘えて、それ〜〜〜♪」

 

天和「なら私も〜〜〜♪」

 

ムニュムニュ〜〜〜ン

 

一刀「うおおおおおい!!!??////////」

 

今度は、背中に二人分の双乳が押し付けられる

 

地和「ちぃを除け者にするなんて許さないわよ、一刀〜♪」

 

人和「わ、私も・・・・・/////////」

 

一刀「なっ!!?ちょっと!!?/////////」

 

三姉妹の次女と三女は一刀の腰に抱き付いてきた

 

白蓮「ちょっ、お前達離れろ〜〜〜〜!!!一刀は私と逢引しているのに、優先権は私にあるはずだぞ〜〜〜!!!」

 

星「白蓮殿、さっき蒼が言った様に、早い者勝ちですぞ♪」

 

蒼「そうだよ〜〜♪恋は戦いなんだから〜〜♪」

 

白蓮「あ〜〜〜も〜〜〜〜〜!!!どうしてこうなるんだ〜〜〜〜〜!!!!!」

 

太守の威厳は何処に行ったのか

 

せっかくの逢引を邪魔されて白蓮はご機嫌斜めだった

 

菖蒲&鶸「「/////////////////」」(モジモジモジモジ)

 

ここに、この輪の中に入りきれず居た堪れない気分になる二人がいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、一刀と9人の乙女のデートの幕が上がった

 

両手に花どころではないので、大変だろうと思われたが、結果から言えば、それは大成功と言っていい

 

全員で舞台を観戦し、高級料理店で舌鼓を打ち、路上で雑技団の公演を観賞し、その他にも様々な遊戯を楽しんだ

 

一番不貞腐れていた白蓮もデートが進むにつれて吹っ切れたのか、この状況を一番楽しんでいたように見えた

 

このデートで一番の被害を被ったのは、一刀の財布であるのは言うまでもない

 

しかし、元々自分から全員をデートに誘ったので、これくらいの出費は覚悟していたし、皆満足そうだったので良しとした

 

そして、楽しい時間はあっという間に過ぎ、街は茜色に染まっていく

 

白蓮「いや〜〜〜〜♪久しぶりに羽を伸ばせたぞ♪」

 

一刀「楽しんでくれたか?」

 

白蓮「大満足だ♪」

 

夜も近いので、街のあらゆる店が次々と閉店していく中、満足そうな白蓮と共に街を行く一刀

 

他の皆は城に戻っていた、流石に最後くらいは白蓮に花を持たせてあげようという皆の気遣いが見える

 

そして、二人は郊外までやって来る

 

茜色がより一層濃くなってきて雰囲気が最高潮に達した所で白蓮の足が止まり聞き難そうに口を開く

 

白蓮「・・・・・なぁ、一刀///////」

 

一刀「ん?なんだ?」

 

白蓮「前から聞きたかったんだが・・・・・その・・・・・一刀は、私の事をどう思っているんだ?///////」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

夕日のせいか、白蓮の顔はいつにも増して真っ赤だ

 

しかし、一刀もそこまで鈍感ではない、今日一日デートをしてきたのだ、これが女性として、恋愛対象としてという質問である事くらい分かる

 

一刀「・・・・・ああ、白蓮は女性として魅力的だ、皆から普通と呼ばれ続けて、それでも頑張り続ける努力家だ、とても尊敬できる」

 

白蓮「そ、それじゃあ一刀、今日私の「けどな!!」・・・・・」

 

一刀「今の俺には、白蓮を一人の女性として見る事は出来ない」

 

白蓮「・・・・・・・・・・」

 

一刀「俺は、今の漢王朝を変えるまで、恋愛の類は絶対にしないと心に決めている、今日白蓮と逢引をしたのは白蓮の気持ちをくんだからだ、俺は白蓮を恋愛対象として見ていない」

 

白蓮「・・・・・・・・・・」

 

分かっていた事とはいえ、この言葉は白蓮の心に深く突き刺さった

 

ひょっとしたら、一刀が自分に振り向いてくれるかもしれないという期待が心の中に少なからずあったのだから

 

白蓮「・・・・・うん、そう言われるのは分かっていたからな、すまなかったな、酷な事を聞いてしまって」

 

一刀「いや、こっちこそすまない・・・・・」

 

白蓮「いいんだ、一刀の気持ちは分かっていたからな、私も無理強いをして一刀の枷になるのは避けたいしな・・・・・なぁ、一刀、一刀は本当に漢王朝を変えられると思うのか?」

 

一刀「変えなければ、この大陸は春秋戦国時代の様な先の見えない暗黒の時代に突入してしまう」

 

白蓮「はあっっっ!!!!!??」

 

その言葉に、白蓮は愕然を通り越し、悶絶しそうになる

 

春秋戦国時代、それが始まった年代は諸説あるが、晋の家臣であった韓・魏・趙の三国が正式に諸侯として認められた紀元前403年とする説と紀元前453年に韓・魏・趙が智氏(晋)を滅ぼし独立諸侯としての実権を得た時点というこの二つの説が主流である

 

または、周が東遷を始めた紀元前770年から秦の始皇帝による天下統一の紀元前221年までの約550年間とする説もある

 

どちらにせよ、この戦乱で余りに多くの血が流された事に変わりは無い

 

白蓮「ほ、本当なのか・・・・・」

 

一刀「まず間違いない、俺の知っている歴史の通りなら・・・・・」

 

白蓮「・・・・・・・・・・」

 

将としての武人としての大望は白蓮にもあるが、自分が生きているはずの無い年数まで戦い続ける気力などあるはずがないし、そのような地獄そのものの時代など見たくもない

 

白蓮「・・・・・分かった、一刀が嘘をついた事は無いからな、私も一刀に全面的に協力する」

 

一刀「ありがとう・・・・・でも、全てが終わった暁には、白蓮ともっといろんな所に行きたいな」

 

白蓮「ああ、その時には私をちゃんと恋愛対象として見てくれな♪」

 

一刀「結婚するかどうかは、別だけどな♪」

 

白蓮「なんでそこで必ず結婚しようって言ってくれないんだよ!!!」

 

一刀「はははははは♪♪」

 

白蓮「あ、待てよ一刀、待ってくれ〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

そして、一刀は城へと走っていき、白蓮も不貞腐れながらその後を追うが、やけに楽しそうだった

 

茜色に染まる空は、この時だけは二人の安楽たる時間を祝福しているかのようだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文字数が多過ぎましたので、今回はここまでにしておきます、Seigouより

説明
幽州拠点、パート1
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コメント
ゴゴゴゴゴって・・・一刀は気配とかに敏感なんだから、ばれて無い方がおかしいよwwwww気配位殺そうやwwwww 個人的には白蓮と一刀がハッピーエンドに行ったらいいな〜・・・だったら良いな〜(スターダスト)
いや、全部だろう(スネーク)
私は、3で。(yuuki)
さて問題!なぜ尾行に気付かれたでしょう? 1.一刀がTUEEEから 2.尾行者がYOEEEから 3.尾行者からの殺気がヤバすぎたから! さぁ皆さんはどう思いますか?(心は永遠の中学二年生)
あんだけ大勢で尾行してたら気付かれるっての。 ε=(・д・`*)ハァ… それに「殺気」やら何やらも出してれば・・・・・・ねえ〜?(笑)(劉邦柾棟)
優秀すぎる家臣がいると大変だな〜^^;まぁ無能な太守とかなら一刀を恐れて暗殺とかしそうだしな・・・。漢王朝を変えたら種馬になるのだろうかw(nao)
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鎮魂の修羅 恋姫英雄譚 北郷一刀 ファンタジー 拠点 恋姫†無双 白蓮 

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