真・恋姫無双 〜今度こそ君と共に〜 第8話
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一刀たちは約1500の兵を纏めるとすぐさま城外へ出撃した。

 

敵は自分より少数、まさか打って出るとは思ってもいないであろうと冥琳の意見と

 

「大丈夫よ、私の勘もそう言っているわ」

 

という雪蓮の意見が合致したので一刀は出陣を決意した。

 

そしてしばらくすると進軍する一刀らの前に無数の白煙や黒ずんだ煙等が上っていた。

 

「ちょっと待って!この先の村、既に賊に襲われているわ!!」

 

地形に詳しい包(魯粛)がこの先に村がある事を知っており、そこから尋常では無い煙では無いことは誰の目からも明らかであった。

 

それは百戦練磨の雪蓮や冥琳、梨晏(太史慈)は勿論、一刀も分かっていた。

 

「このままじゃ拙い。このまま部隊を突撃して賊を蹴散らせようよ!」

 

「ちょっと待って、敵は私たちより数が多いのよ!このまま状態が分からないまま突撃して、もし敵に何らかの策があった場合、対応できないわ!」

 

梨晏と包はそれぞれ意見を言い合っていたが、横で聞いていた一刀はお互いの言い分は分かっていたが判断に迷っていた。

 

雪蓮と冥琳は一刀の君主としての成長を促すため、ここは意見を出さずに黙って聞いていたが、すると

 

「……た、助…けて……」

 

一人の幼い子供が命からがらになりながら助けを求めて、一刀たちの軍勢の目の前で倒れた。

 

「大丈夫か!しっかりしろ!!」

 

一刀は子供を抱きかかえると子供は自分を助けに来てくれた安心したのか、一刀の言葉には答えずに一方的に話す。

 

「ハァ……ハァ…おにい…ちゃんたち、む、村が賊に襲われて…ハァ…父ちゃんや母ちゃん…、賊……に殺されて…母ちゃんが俺だけ逃がしてくれたけど……ハァ…逃げる途中で…賊に切られて……は…早く村の…皆をた、助けてあげ……て…」

 

「お、おい、目を覚ますんだ!」

 

子供は最期の力を振り絞り、一刀に助けを求めるとそのまま意識を失い、一刀の呼びかけに応える事ができず帰らぬ人となってしまった。

 

そして一刀はしばらく無言でいると子供の遺体を抱きかかえ、兵士に

 

「この子を丁重に葬ってくれ」

 

子供の遺体を兵士に預けた。

 

「一刀、勿論、このまま突撃するだろう?もしこの状況でまず様子を見ると呑気な事……」

 

ビクッ!!

 

梨晏は、一刀に対してそう言いながら詰め寄ろうとするが、最後まで言葉が続かなかった。

 

一刀の顔を見た瞬間、梨晏は今まで感じた事が無い殺気を感じたからだ。

 

そして一刀は一人、村の方へ足を進める。

 

「待て、一刀!どこへ行く気だ!?」

 

冥琳は今まで見た事がない一刀の姿を見て、慌てて止める。

「何処へ…決まっているじゃないか冥琳…。あの子の仇を討ちに行くんだよ。確かに人を殺すのは怖いけど、……でもあそこに居るのは「人」じゃない。己の欲望を満たすために、子供の命を簡単に奪い取るような外道に堕ちた「人の形をした獣たち」を殺しに行くだけだよ…」

 

「ちょっと待て、一刀!いくらお前が雪蓮より強いと言っても1万の賊を相手するのは無理だ!!」

 

「ちょっと一刀冷静になりなよ!!」

 

「あいつらが憎いのは分かりますが、無茶にも程があります!!」

 

冥琳、梨晏、包の三人が一刀を止めようとするが、今の一刀に聞こえていないのか、足を止めようとしない。

 

「一刀……待ちなさい」

 

雪蓮が一刀の肩を掴むと

 

「雪蓮、邪魔をし……」

 

パチーン

 

一刀が振り向いた瞬間、雪蓮は問答無用とばかりに一刀の頬に平手打ちを喰らわせた。

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「一刀……貴方、私たちを舐めているの?何、急に君主になったからって全て一人で背負い込もうとしているのよ。あんな幼気な子供が殺されて私たちが黙っていると思っているの?もっと私たちを頼りなさいよ!」

 

「雪蓮……」

 

雪蓮の言葉を聞いて、目が覚めたのか一刀は叩かれた頬を摩りながら

 

「雪蓮、今の平手打ち効いたよ……お蔭で目が覚めたよ。雪蓮、冥琳、包、梨晏、ごめん。頭に血が上ってしまって…。皆、協力してくれる?」

 

「さっきよりいい顔になったわ、一刀」

 

「フッ…愚問だな、一刀」

 

「ここで引いたら女が廃るわ」

 

「勿論、付いて行くわよ」

 

「よし!簡単だが作戦を立てるぞ!!」

 

すると冥琳の声が鳴り響いた。

 

そして軍議が終ると一刀たちはすぐさま行動を開始した。

 

一方、村では賊たちは戦利品を片手に既に宴会を始めていた。

 

これから最期の晩餐になろうとは知らずに……

 

「おい、酒足りねぇぞ〜もっと持って来いよ〜」

 

「そうお酒が足りないの…それじゃお酒の代わりにこれ上げるわ」

 

「へっ!?」

 

ビチャ…

 

「な、何だ、こ…これは」

 

それはさっき雪蓮が殺した男の飛び散った血であった。

 

「ギャアアア――――!!!」

 

突然の事で度肝を抜かれた男は叫び声を上げるが、

 

「うるさいわね〜」

 

ズシャッ!

 

男が叫び声を言い終えたと同時に邪魔と言わんとばかりに雪蓮に一刀両断にされる。

 

「て、てめぇ!」

 

男の叫び声に気付いた一人が勇気を振り絞って雪蓮に掛かって行こうとするが、

 

「何処見ているの…貴方、敵は前だけじゃないわよ」

 

ドッシュッ!

 

その背後から梨晏が容赦なく叩き切る。

 

そしてこの騒ぎで、ようやく賊たちは雪蓮たちが来たことに気付き、周りを数十人の武器を持った男たちが取り囲む。

 

「てめぇら官軍の者か!」

 

「たった二人で来たのか!?面白え、こいつ等捕まえて犯してしまえ!」

 

「フッ…貴方たち早く逃げた方がいいわよ」

 

「そうそう、もうすぐしたら鬼より怖い人がここに来るわよ」

 

賊たちは人数が多いので強気になって好き勝手な事を言っていたが、一応最後の警告として雪蓮と梨晏は余裕な態度で忠告するが、

 

「へっ!鬼より怖えだと、そんな奴いるかよ」

 

「どうせ、こいつらのハッタリだぜ!!」

 

賊は冗談だと思い強気な態度を崩さなかった。

 

ドゴーン!

 

一番後にいた男が何者か一刀両断で吹っ飛ばされて、その巻き添えに更に数人が吹っ飛んでいた。

 

「賊共!今日がお前達の命日になる……さあどちらかを選べ……のた打ち回る死か、一瞬の死か。お前たちが奪った大勢の罪無き命をお前たちの死で償わせてやる!さあ苦しんで死ぬのがいいか…それとも楽に死にたいかのがいいか、どちらを選べ!そして今までお前達が己の手で殺めた罪な無き者達に詫びながら死んでいけ!!」

 

先程までの憎悪と怒りを大きな闘気に変えた一刀が賊の背後に立ち、『野風』を構え咆えていた。

 

冥琳が立てた作戦は簡単な物であった、まずは一刀・雪蓮・梨晏の三名に以前から雪蓮に鍛えられ付き従っていた兵200を連れ、敵を蹂躙。

 

そして逃走する兵は冥琳と包は既に包囲する形を取っていた。

 

敵を蹴散らす為には、一刀ら圧倒的な力を持って賊を制圧する必要があった。

 

「さあ命が惜しくない者は掛かって来なさい!」

 

雪蓮の声で賊は一刀たちに掛かって行く。

 

しかし雪蓮と梨晏に掛かって行った賊は二人によって瞬殺される。

 

「ハハハ!弱い!弱い!〜これじゃ私を満足させられないよ!!」

 

「笑いながら人を斬るなんて、普通の人間じゃ付き合えないわ…」

 

「あら、でも梨晏もそう言いながら、楽しそうに斬っているわよ」

 

「それって褒め言葉?」

 

「ええ、その通りよ」

 

雪蓮は梨晏とは初めてとは思えない連携を取りながら、軽口を叩いて賊を斬る。そして彼女らが一振りする度に賊は葬られていく。

 

「――なにビビってやがる、テメエら!敵は少数だ、とっとと殺しちまえ!!」

 

賊の頭が兵士に命令するが、浮足立った賊は動きが鈍い。

 

 

「部下に命令せずにアンタが掛かって来たらどうだ?」

 

「何だとこの野郎!!」

 

一刀は賊の頭を挑発して、頭は一刀に突っかかるが

 

「遅い!」

 

「ギャアアアア―――!!」

 

一刀は頭の右手首を一刀両断する。

 

「た、頼むから助けてくれ!」

 

そして賊の頭は一刀に命乞いをするが

 

「……そうやって、同じようにすがる者を、あんたはどうした?」

 

一刀はそう言いながら賊の頭を討ち取った

 

一刀たちは立ち向かう者は勿論、逃げようと背を向けた者や恐慌し身動き出来ない者もその悉く斬り捨てていく。

 

そして戦いが終息方向に向かっていたが、一刀の身体に異変が起きていた。

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「ハァッ、ハァッ、ハァッ……身体が熱い!……熱いッ!!」

 

「あああああ!!」

 

一刀は何か取りつかれた様に刀を振るう。

 

「お、おい雪蓮!一刀の様子が変だぞ!?」

 

最初に気付いたのは梨晏であったが、横で見ていた雪蓮も一刀の異変に気付き

 

「……拙いわ。ここは梨?、貴女に任せたわ!」

 

「お、おい!雪蓮!!」

 

雪蓮は梨晏の返事を待たずに一刀の元に向う。

 

「一刀!私よ!雪蓮よ!!正気に戻りなさい!!」

 

「…しぇ、雪蓮?」

 

「そうよ、一刀大丈夫?」

 

「身体に傷は無いが…か、身体が熱い、熱いんだ。一体どうなっているんだ……」

 

雪蓮は一刀の身体を触って見ると異様に熱を持っている状態であった。

 

それは一刀が君主として先頭に立って戦い、この世界で初めて人を斬って興奮して感情が暴走している状態で、これは雪蓮が戦いの度に起きていた熱病と同じ症状であった。

 

「ここは……拙いわね。一旦冥琳のところに行くわよ。しばらく我慢しなさい一刀」

 

まだ一刀より理性が残っていた雪蓮は、冥琳のところに向う。

 

そして雪蓮は冥琳を見つけると

 

「一刀が私と同じ症状が出たわ。しばらく冥琳任せるわよ」

 

この一言で冥琳は全てを理解し、

 

「仕方ないな…こっちは私に任せろ。一刀の事は任せたぞ」

 

そして雪蓮は兵たちに人払いを指示し、一刀と共に空き家に入る。

 

「ハァッ、ハァッ、ハァッ……あ、あつい……あつい、雪蓮……」

 

一刀の興奮は今だに治まらず、そして雪蓮はある決断をする。

 

雪蓮は自ら裸になり、一刀に

 

「ハァッ…一刀、貴方も裸になりなさい。今の貴方は、私と同じ熱病になっているわ。この“熱”を冷ますには大切な者と身体を重ねなくてはならないの、だから私を抱きなさい、一刀」

 

(大切な者と、身体を重ねる……!?)

 

辛うじて残っている理性を総動員して考えるが雪蓮は

 

「良いのよ。それより一刀、滾って仕方ないんでしょ?いらっしゃい」

 

「……ごめん、雪蓮」

 

一刀は雪蓮を抱き始めるが、予想以上に一刀の興奮が収まらず

 

「ハァッ、ハァッ、ハァッ……雪蓮!!」

 

「っ!」

 

突如、雪蓮の肩に噛み付く一刀。それは歯型が付き、雪蓮の肩から血が流れるが一刀はそれを自ら舐め取る。

 

雪蓮は一瞬痛そうな顔をするが、直ぐに優しく一刀の頭を撫で始める。

 

「一刀、戦いが終わったわ……だから私を好きにしていいのよ」

 

雪蓮は一刀が落ち着くまで、一刀の相手を続ける。

 

暫くすると一刀の体から力が抜け、

 

「ごめん……雪蓮。……俺」

 

一刀が我に返り、雪蓮の肩に出来た一刀の歯型の傷について謝罪した。

 

血は止まっているが、多分痕となって残ってしまう可能性が高い、だが雪蓮は笑いながら

 

「いいのよ…一刀。これでお相子ね」

 

雪蓮は以前の外史で同じように一刀の肩を傷付けた事があったので、今回はこれでお互い様という事を言う。

 

「でも…」

 

「いいのよ、一刀。これは一刀と私の絆。実を言う私ももう少しで私も暴走しそうだったの、だから、冥琳にはいい口実ができたわ」

 

雪蓮は優しく笑いながらそう言うと、一刀の事を優しく抱きしめ直す。

 

「ありがとう……、雪蓮」

 

一刀は雪蓮の優しさに身を包まれ、そのまま寝てしまったのであった。

 

だが、わずか1500の兵が、六倍以上の相手に完膚無きまでに叩き潰した事で、一刀の名は瞬く間に大陸全土に流れたのであった。

 

 

 

 

説明
今回は一刀が暴走してしまいます。

では第8話どうぞ。
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コメント
陸奥守さん>普通であれば人を殺せば気分が悪くなるというのが当たり前のところですが、敢えてHALさんの返答に書いてある形にしました。引き続き応援よろしくお願いします。(殴って退場)
一刀が雪蓮みたいに暴走した所です。雷起さんへの返答で説明があったけど。(陸奥守)
HALさん>ここは経験者雪蓮が適切な対症法?で制止。雪蓮と一刀の以前の歯型の話を逆にしてみたかったのでこういう形になりました。(殴って退場)
雷起さん>暴走については、一刀が初めて人を斬ったという事でああなったという事で、今後こういう設定を入れるかどうか未定ですね。(殴って退場)
たっつーさん>でも董卓陣営には1人で3万を倒す化け物さんがいますからね…。(殴って退場)
kiraさん>覇王さんは勿論、各諸侯は興味を持っていますが、桃色さんはどう考えているかは今後の楽しみということで。(殴って退場)
劉邦征棟さん>PSP自体持っていないので、それ知らないんですよww。(殴って退場)
daitetuさん>蓮華については、ここで言うとネタばれになるので言いませんが、一応基本は決まっています。(殴って退場)
陸奥守さん>すいません。どの部分が新しい設定と思いましたか?(殴って退場)
更新お疲れ様です。暴走一刀<(`^´)> 殺戮の余韻は雪蓮が鎮め^^ 次回も楽しみにしています。(HAL)
一刀は『暴れ種馬』として大陸に名を轟かすんですねw(雷起)
覇王様やそれなりに見識を持つ者は一刀達に興味を示すだろうが、桃色の人は、今回の賊の殲滅に対して実情も知らず険悪しそうだ。(kira)
「コンシューマ」のPSP版呉√での設定が出て来たな。(劉邦柾棟)
雪蓮じゃなくて一刀が暴走か……ところでこれ蓮華どうなるんだ?(daitetu)
なんかいきなり新しい設定が出てきたな。もしかして俺が忘れていただけなのだろうか。(陸奥守)
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