艦隊 真・恋姫無双 40話目
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【 十常侍の企み の件 】

 

? 司隷 洛陽 都城 にて ?

 

都城の一室では……年老いた宦官たちの……悪巧みの声が響く。

 

部屋の主は、十常侍筆頭………張譲!

 

そして、その周囲に……残りの十常侍が……醜悪な顔を奇妙に歪め、この洛陽に来る『天の御遣い』について……相談していた!

 

ーーー

 

張譲「皆の者! 何進が城門に来たら……私に知らせよ! ここにある陛下の詔を見せて、『天の御遣い』不要になった旨を何進に申し渡せば……! そのまま……御遣いを連れて屋敷に帰るだろう!!」

 

趙忠「ふむふむ……。 して……どうなさるつもりかえ……?」

 

張譲「クックックッ……簡単な事よ。 陛下の余命……後僅か。 崩御されれば……偽の詔もいつの間にか散失、何進が御遣いに懸想して我が者にしたと噂が流れる! そこに、詰問の者を行かせ対応を促せば……!!」

 

孫璋「ホホホホッ! 何進如きが、幾ら世迷いごとを語ろうとしても、我々が核心を掴んでいるからに、信じるに値されず………!」

 

張譲「何進の処分は決まり……我々の下に御遣いが付く事になるッ!」

 

夏ツ「じゃが………じゃがの? 御遣いが我に………力を貸さない場合は?」

 

郭勝「─────殺せ! 殺してしまぇえええッ!!!」

 

段珪「いやいや……かなりの傑物との報告が参っておる! 金でも色でも権力でも……掴ませて───我々の虜にすればぁ……のぉ?」

 

栗嵩「それに……御遣いに付く女共も……美女揃い……! 人質に取るのも良し、売りさばいても……また良し………!」

 

畢嵐「しかしのぉ………あのぉ笑い声がぁ……頭に響く煩い名族ぅ! それとぉ……小難しい小娘がぁ……残りおるぅ! あの者達もぉ……早よぉ排除したいものよぉ………!!」

 

張恭「いやいや〜あの者には、あの者達で使い道があるものよ〜? 馬鹿は馬鹿なり、頭が回る者は回るやり方で、下僕に落とせば良いことだ〜!!」

 

韓?「とりあえず……何進の侵入を防ぐのが第一! 御遣いの事は、その後じっくり………ノ──ッホホホホッ!」

 

『ホホホホ───ッ』 

 

『ノーホホホホッ!』

 

張譲「一同……控えいぃ! アノ方も……大層楽しみにしている! ほれッ! アノ方よりの褒美の黄金だ!! 皆で分けようでないか!?」

 

『お、黄金でごじゃるか!!』

 

『おぉおおお─────ッ!?』

 

ーーー

 

張譲が叫ぶと……十常侍の面々が、醜い笑顔で近寄ってくる! 

 

『アノ方』……張譲にしか連絡をしない謎の人物は、豊富な財源を持つのか、黄金の小さな塊を複数の箱に入れて渡してくる。 

 

そして、今回も……また。

 

他の十常侍は、『アノ方』の意見に逆らわない。 

 

黄金と云う妙薬で……思考を既に止められているから。

 

人として……大事な物と引き換えにして……………

 

 

◆◇◆

 

【 洛陽城門へ の件 】

 

? 司隷 洛陽城門 にて ?

 

今日も洛陽の門前は、大賑わいだった!

 

漢王朝の首都、陛下のお膝元であるがゆえ、人々の活気に溢れ往来も激しい!

 

『人馬の動く事、大河の如し! 人の行き交う様子、芋を洗うが如き!』

 

───っと、どっかの偉いさんが言った……かも知れない語句が浮かぶ程の、賑わいだったのだ。 

 

ーーー

 

商人「お勤め、ご苦労様です!」

 

番兵「うむ! 符節は持っているか? 符節が無いと入る事は出来んぞ?」

 

商人「へぇ! へへへっ……こ、これで、如何ですかね?」ニギッ!

 

番兵「ほぅ……五銖銭の符節か。 しかし、形は良いが……重さが少し足りないな? これでは許可が……」

 

商人「じゃ……これで!」ニギッ!

 

番兵「………良し! 通れ!!」

 

商人「はぃ! ありがとうごぜぇやす!」ペコペコ

 

ーーー

 

そんな繁栄する洛陽は……宦官の介入により……洛陽の政治は腐敗を極め、賄賂、売官がまかり通る。 正史でさえも、この時代に『三公……司徒、司空、太尉』まで売りに出されたと云われる。

 

上が腐れば、下にも腐りは回る。 宦官の腐敗政治は、下級役人まで及んでしまっているのだ!!

 

★☆☆

 

そんな中、大勢の豪華な騎馬隊が、洛陽の門前に現れる!

 

何進「大将軍何進! 陛下の勅命を済まし帰還した! 大事な賓客もいらっしゃる! ────早急に通行許可を願いたい!!」

 

袁紹「中軍校尉『袁本初』ですわ! この気品溢れる、このぉわたくしの美貌が───符節も同然! さっさと小難しい手続きなど止めて、ここを通らせなさい!!」

 

番兵「しょ、少々お待ちを───ッ!!」

 

何進の顔を見た番兵は、関を守備する隊長に連絡! 

 

隊長は、番兵に上役に伝えるように申し渡すと……何進の前へ恭しく礼を行う。 そして、事情を説明した!

 

隊長「閣下! 陛下の勅命を無事に果たされた事、お喜び申し上げます! しかし、十常侍の張譲様より、陛下の新しき詔が発せられたとの命を受け、閣下の御帰還をお待ちしておりました! 今、暫くの御辛抱を………!!」

 

何進(…………やはり、動いたか………)

 

何進は、鷹揚に頷き了解すると……隊長はホッとした顔になり、一礼して下がった。 

 

ーーー

 

何進「………一刀! 準備はいいか?」

 

一刀「少し肌寒いけど……大丈夫だよ! お、おいっ! 皆で寄り添わなくてもいいから!! 外套が結構厚くてあったかいから、心配いらな……なんだよ? その残念そうな顔は………!?」

 

騎馬隊に囲まれる荷馬車の上に一刀が立つ。

 

恋姫、艦娘たちが、その後ろに従い……付いている。

 

………★

 

しかし、貂蝉だけが……姿を消す。

 

貂蝉「だってぇ〜! 都一の踊り子と天の御遣いのスキャンダルだなんてぇ、恥ずかしいわよぉん!!」

 

それが、理由……との事だ。

 

ーーー

 

長門「加賀ほどでは無いが……私の身体は熱いのだ! 提督の身体を心配しての行為、我慢して寄り添わせろ!!」

 

焔耶「北郷様! 外は思っているより寒いですから!!」

 

一刀「………大丈夫だから、静かに付いて来てくれ!」

 

アリゾナ「へぇ〜、提督の胸板……結構厚いんだねぇ〜。 うふふふっ!!」

 

一刀「い、いつの間に! やめぇ! さ、触るな───ッ!!」

 

ーーー

 

何進「思ったより……大丈夫だな………フン!」

 

 

…………

…………

 

『荷馬車の積載重量』は………?

 

はいはい……細かい事は黙っておけですネ………

 

 

◆◇◆

 

【 一刀の策? の件 】

 

? 司隷 洛陽 城門近辺 にて ?

 

黒き官服を着用した張譲と不愉快な、護衛の兵と共に現れる!

 

ーーー

 

張譲「これは、これは! お待ち頂き……申し訳ない! 大将軍何進殿!!」

 

何進「張譲殿か……。 今回は……貴殿の周りに屯する(たむろする)残りの中常侍たちはどうしたのだ? 取巻き者たちが居れば、厚着代わりになるだろうが。 貴殿の細身の身体、外に出るだけでも辛かろう……」

 

張譲「この老骨の身は、既に陛下に捧げておりますれば。 このくらいの寒さなら、大丈夫でございますよ! それに、他の者も仕事がございますれば。 ご心配を御掛け頂き……申し訳ありませぬ………」

 

何進「いや……年老いた者を労るのも孔子の教え……当然の事だ。 して、此方に出向かれた理由は、一体何なのだ? 陛下からの勅命で……『天の御遣い』様にお会いし、御足労を願ったのだが……? 早くせぬと……陛下の命数が!」

 

張譲「さてさて……その事で御座います! あの後、陛下は『天の御遣い』様を必要とされないと申し上げられ、勅命を翻すように承り申したが、何進殿は既に出立! 何とも気が早い方だと……御嘆きになられ……」

 

何進「………………」

 

張譲「陛下からの大事な使命! 行き違いにならぬように、ここで……こうして御帰還を、今か今かと待っていた次第。 これ、このとおりの詔でございます! ですので、何進殿には申し訳ありませんが……その方の謁見は……」

 

何進「………ふむ、丁度いい。 張譲殿、この『天の御遣い』様を拝見して貰わないかな?」

 

張譲「おぉ……儂のような老骨に、そのような方を拝見させて頂き、宜しいのですか!?『構わん……是非、感想を聞かせて貰いたい!』……わかりました。 では、失礼致しまして………」

 

ーーー

 

騎馬隊は既に下馬をして……地面にて顔を伏せる。

 

艦娘たちも、恋姫たちに倣い……顔を伏せて礼をとる。

 

ーーー

 

何進「張譲殿、この方は『天の御遣い』! 言わば、陛下と同じ位の高い方だ! だから、その方が我々に礼をする事は無い! 左様、心得よ!!」

 

張譲「ホホホホ……分かり申した。 それでは……『天の御遣い』様、中常侍張譲にも、そのお姿を拝見させてくだされ!!」

 

一刀「…………………」

 

一刀は、今まで羽織っていた外套を……左右に広げる!!

 

天の御遣いは、『白き輝く服を纏っている』と聞いていたため、張譲は元より、近くの護衛兵、番兵、洛陽の民や通行人も……近寄って固唾を飲んで見守った!!

 

張譲「お、おおぉおおお─────ッ!? な、なんじゃ!! これは!?」

 

『ーーーーーーーーーー!!』

 

張譲を始めとする、見物人がどよめく!!

 

何とぉ────『天の御遣い 北郷一刀』は、下着一枚の裸だったのだ!!

 

 

◆◇◆

 

【 一部の人には不可視 の件 】

 

? 司隷 洛陽 城門近辺 にて ?

 

何進「どうだ! 素晴らしい衣服じゃないか!? 私もお会いして、鳥肌が立ったぞ!! 王朝に数多くの宝物があるが……どの宝物も、この衣服の前にはガラクタ同然! この衣服の輝き、正に『天の御遣い』に相応しい!!」

 

張譲「バッ──ッ!!」

 

張譲は、何進の説明に───額へ青筋を立てて反論しようとしたッ!

 

すると、何進が─────こう付け加えた。

 

『……だがな、《天の御遣い》様の衣服の素晴らしさは外見だけでは無い! 《馬鹿には、全然、全く、少しも見えないのだ》!!』

 

張譲「────────!?!?」

 

『…………………………』

 

唖然とする張譲と護衛兵達の後ろから、民衆の歓声が聞こえる!

 

ーーー

 

洛陽民1「おぉ──ッ! 何と煌びやかな衣装だ!」

 

洛陽民2「素晴らしい! 素晴らしいですわ!!」

 

洛陽民3「何と美麗な衣服! あの白さこそ御遣い様の心を表し、あの輝きは御遣い様の位の高さを! 陛下と謁見されれば、漢王朝は更に栄えるッ!!!」

 

ーーー

 

張譲「( ゚д゚) ・・・ 」

 

張譲「(つд⊂)ゴシゴシ 」

 

張譲「(;゚д゚) ・・・ 」

 

護衛兵『( .:;@u@)・・・』

 

何進「───皆、その顔は何かな? ま、まさか……この服が見えない……とでも? 中常侍と云う陛下直属の臣下の主従が……揃いも揃って───!!」

 

張譲「ノ、ノーッホホホホッ! いやぁ──このような衣装! 生まれて初めてみましたわい! お、お前たち、お前たちも、そう思うじゃろう!?」

 

護衛兵「はっ、はいっ!! とても感激でありますぅ!!」

 

何進は、鷹揚に頷く。

 

何進「で……張譲殿!」

 

張譲「な、なんでござろうか!?」 

 

何進「このような『天の御遣い』様を、陛下にお会いさせねば、誠に申し訳ないと思わぬか? このような……見事な服を羽織られているのに関わらず、陛下に謁見もせず、ただ御帰還を願うのは……忠臣とは云えぬではないか?」

 

張譲「しかし、陛下は…………」

 

何進「おぉ───ッ! 陛下は確かに詔を翻したが、張譲殿が己の責として罪を被り、我らや御遣い様を陛下に合わせたいと言われるか───ッ!?」 

 

張譲「な────っ!?」

 

何進「なるほど! いやはや、漢王朝には、まだ気骨溢れる忠臣が此処に居る!! この何進、またまだ張譲殿には、到底及びもつきません! 皆の者、全員──聞いたなぁ!? 張譲殿の見事な覚悟をッ!!!」

 

ーーー

 

洛陽民4「流石だぜぇ───ッ!!」

 

洛陽民5「かっこいい────ッ!」

 

洛陽民6「そこに痺れるぅ、憧れるぅ──ッ!」

 

ーーー

 

張譲「ぐぅ〜〜〜〜!!」

 

何進「張譲殿……まさか、御遣い様の衣装に目が眩み、この衣装を我が物にしようと企んでおられるのか!?」

 

張譲「い、いやぁ!! そんな、わ……訳が………」

 

何進「ん〜? 何やら変ですな? やはり……御遣い様の衣装が見えない! 即ち………馬K『わ、分かったッ! あ、案内する! 案内させて貰う!』────はっ! 宜しくお願い申し上げる! 張譲殿!!」ニヤッ!

 

何進が、勝ち誇ったように笑った。

 

◆◇◆

 

【 一刀の姿を見て の件 】

 

? 司隷 洛陽 城門近辺 にて ?

 

長門「…………うむッ! こ、これは………!?」

 

金剛「HEY! 長門、一人だけ顔上げて狡いネ! 提督の裸……Wow! 意外とsophisticated(洗練された)身体ですネ! 益々惚れ直しマース!!」

 

雷「うわぁ…………」

 

電「一刀さん………綺麗……」

 

スチュワート「あわぁ………」

 

暁「…………お、大人………」

 

響「か、肩を貸した時に………分かったが、司令官……かなり鍛えている!」

 

ビッグE「────これが……大和男子か!」

 

比叡「て、提督の裸……初めて……ひえぇ〜!」

 

榛名「あぁ〜! 提督ぅ────!」

 

霧島「………マイクチェック………大丈夫ね?」

 

サラ「……………主よ!」

 

龍田「流石──私たちの提督ね〜! そう思うでしょう、天龍ちゃん!?」

 

天龍「あ、あぁ…………」

 

木曾「そうこなくっちゃなぁ! 俺たちの提督は──よぉ!!」

 

翔鶴「……………………」

 

瑞鶴「へぇ〜! 提督さんって、何げに鍛え上げてるんだねぇ───あれっ? 翔鶴姉? ちょっ! 翔鶴姉ぇ!! 気絶してないでぇよぉ!!!」

 

雪風「か、かっこいいですぅ───司令ぃ!!」

 

アリゾナ「───やるわねぇ!!」

 

港湾棲姫「─────///////////」

 

桔梗「ほほぅ………これは、女心が蠢くな………」

 

焔耶「お、お館よりも……逞しい!」

 

朱里「………八百……ブンブン! 今回は真面目、真面目にやらなきゃ!!」

 

顔良「わ、私は………見てない。 何も見てない、男の人の………見てない」

 

ーーー

 

貂蝉「私は、別の場所で見てるわよぉん! だぁてぇ〜、一刀ちゃんと比べられたらぁ! もおぅ、漢女心が鈍い人ねぇ〜!!」

 

 

◆◇◆

 

【 劉宏の対面 の件 】

 

? 洛陽 都城内 広間 にて ?

 

この後、張譲が渋々と何進と一刀、恋姫、艦娘を引き連れて、劉宏の部屋へ案内する。 

 

話を聞いて集まって来た十常侍たちも……一刀の『見えない服』を見て、賞賛の言葉を掛けた!! 事情は、全て護衛兵から聞いている。 張譲は、残りの十常侍たちも、同じ過ちをしないために、護衛兵に知らさせていたのだ。

 

結局……総勢40人近い者たちが、劉宏に拝謁する事になった。

 

勿論、さすがに大人数ゆえ、別の広間に案内される。

 

前後左右に大扉が配している、百人ぐらい入れる広間。 そこに、十常侍と護衛兵が左側に、何進、一刀、恋姫や艦娘が右側に並ぶ。

 

劉宏の体調は、幸いな事に小康状態が続いていたが、念のため寝台を用意。 

 

─────異例の謁見となった。

 

ーーー

 

張譲「へ、陛下! 何進大将軍及び『天の御遣い』様方をお連れ申し上げました!」

 

何進「────陛下! 何進! ただいま……戻りました!」

 

劉宏「……構わぬ。 来る衆無い近う寄れ! 『天の御遣い』殿もな……」

 

劉宏の声が掛かり、何進と一刀が前に進みでる。

 

何進「陛下! 此方が……かの天の御遣い『北郷一刀』様でございます!」

 

劉宏「………うむ、うむ!」

 

一刀「お、お初にお目にかかります! 北郷一刀と──」

 

一刀が膝を付いて礼をしようとすると、劉宏が片手を上げて、それを制す!

 

劉宏「どうぞ……そのままで。 朕と同位以上の方が……ご挨拶されては、立場が………ゴホッゴホッ!!!」

 

張譲「───陛下ぁ!」

 

何進「陛下! 大丈夫ですかぁ!!」

 

劉宏「あ、案ずるな……。 して、北郷……殿で宜しいか……?」

 

一刀「は、はいっ!」

 

劉宏「その……お召し物………は? 確か、天の御遣いは『白き衣服』を纏うと聞いておりましたが……」

 

劉宏が、衣装に興味を示すのを見て、張譲が説明をする。

 

張譲「おぉ──ッ! 陛下──どうか、お聴き願いたい! かの御遣い様の衣装は、とても素晴らしい御服でございますぞ!! 白く輝き眩い光が、闇夜の月光のように淡く照らし、その質は絹のような手触りと光沢が───!!!」

 

劉宏「ゴホッ! ……そ、それは……見事だ。 是非……朕にも……」

 

劉宏は、病で痩せ細った顔をユックリと見せ、一刀に懇願した。

 

何進は、一刀の顔を伺うと……一刀が力強く頷く!

 

何進「…………一刀!」

 

一刀「(コクッ!)………どうか、御覧下さい………」

 

一刀は、何進に外套を取り外させて──その姿を見せた!

 

★☆☆

 

劉宏「────? 張譲……お主は………見たのだろうな?」

 

張譲「はっ! 恐れながら、陛下より先に拝見させて頂きました! 陛下に危害を加えんと欲する輩が多い今、不肖……この張譲、陛下の楯になるため、先に確認をと!!」

 

劉宏「……………幾ら凝視しても……朕には御服は見えぬ! ………これは、如何なる事……や!?」

 

張譲と残りの十常侍たちは、ザワザワし始めた!

 

趙忠「………陛下は……見えませぬかえ………?」

 

畢嵐「恐ろしや〜、恐ろしや〜!」

 

張譲「な、何と!? 陛下には……この照り輝く美しい御服が見えませぬと! 巷では、民が御服を見て伏し拝む程にも関わらず! しかも……御遣い様と何進殿が申すに、この御服を拝見出来ぬ者……恐れながら………!!」

 

劉宏「良い……許す!」

 

張譲「はっ! …………馬鹿であると! 即ち、御遣い様を拝む資格も無いと……云う事ですな? あぁ〜〜〜ッ! 何と忌むべき事かぁあああッ!!」

 

一刀「……………………」

 

その張譲の言葉を聞いて……劉宏は……寂しく笑う。

 

劉宏「ハハハ………ゴホッ! そ、そうか………。 いや、さもありなん! 朕は、多くの民を見限った! 自分の仕事を放棄して……欲に赴くまま、この日まで生きてきた。 これは、天が朕を見限ったとの……宣告だろう………」

 

劉宏は、目を瞑り涙を流した! 

 

自分の行ってきた事を省みて……もう取り返しができない事を……悔やんでいた。 そして、その罪を償う時間さえも……既に無い事も……… 

 

何進「───陛下! どうぞ、お心を鎮めて下さい!! これは、陛下に仇なす不心得者を欺くための……策でございます!!」

 

『──────!?』

 

一刀「……陛下。 非礼と余計な事で、心を乱させてしまい……深くお詫びさせて頂きます! 実は……何進大将軍より、陛下の御側に巣くう痴れ者が、多数居るとの事、お聞きしました!」

 

何進「天の御遣い様は、その事を憂い……あえて肌着だけとなりて、お前たちを試されたのだ! 嘘を平気で語る『馬鹿』な者かどうか!!」

 

張譲「な、何と無礼な──ッ! 陛下を試されたのか──御遣い様はッ!?」

 

孫璋「し、痴れ者が! は、恥を知れぇ! 恥をぉおおおっ!!」

 

一刀「試したのは、陛下じゃない! その側近として……悪名高い張譲、お前と十常侍だ! 悪名は、既に天まで知り渡っているぞッ!?」

 

張譲「な、何を証拠にほざきおるッ! へ、陛下! この者達、陛下を貶め善良なる儂を騙し、有能なる十常侍を政権から追い出して、漢王朝を己の物にしようと企む……憎き者達ですぞ!! 陛下、然るべき裁きをッ!!!」

 

騒ぎ立てる張譲と十常侍たち! 

 

すると、何進が劉宏の傍により……恭しく尋ねた!

 

何進「陛下……! 陛下は……北郷様や私と会う事は不要と、詔を発しられたそうですが……!?」

 

劉宏「ば、馬鹿なぁ! 朕は……お前が北郷殿をお連れして……戻る日を、一日千秋の思いで待っていたのだぞ!?」

 

何進「やはり……張譲殿! 我々を謀ったな!?」

 

張譲「は、話の論点をずらすでは無いッ!! へ、陛下の前で肌着姿で拝謁するなど、前代未聞!! ───者共! この愚か者共を捕らえよ!!」

 

『ハ─────ッ!!』

 

────バンッ! バンッ! バンッ!!

 

─────ドドドドドドッ!!

 

三方の扉から……多数の武装した兵が入り込む!!

 

恋姫、艦娘たちは、何進と一刀を守るように囲むが、何進が前に出て張譲に叫ぶッ!!

 

何進「────張譲! 貴様が私達に偽の詔を読み上げた事、覚えているか!? 貴様の服を探せば……その詔の竹簡がある筈! それが証拠だ!!」

 

張譲「ノッーホッホッホッ! これは──異な事を言われる、何進よ! 私がそのような物を持っている証拠があるのか? 今、此処で官服を脱いでも良いぞ! もし……無ければ……罪を認めると云う条件ならばな!」

 

張譲は、こんな事態もあろう事かと、知らせに護衛兵に竹簡を持たせ、十常侍たちに渡してある。 だから、幾ら探しても持って無いため、このような態度がとれた。

 

何進「───────くっ!!」

 

何進も、張譲の様子を見て、手許に竹簡が無い事を悟り、顔が苦しげに歪む!

 

張譲は、勝ち誇った余裕の表情を浮かべたッ!!

 

 

─────その時、ある『男の声』が流れた。

 

 

『──あの後、陛下は《天の御遣い》様を必要とされないと申し上げられ、勅命を翻すように承り申したが─────』

 

その声を聞き─────張譲の顔色が変わる!

 

霧島「提督が用心のため、貴方の声を録音するようにと、依頼されましたが……こうも早く役に立つなんて………」

 

霧島が録音していた機材を片手で持って、それを示す!

 

一刀「───己の醜悪さを認めたらどうだ? 張譲!!」

 

騒然とする中───着替え終わり───白の海軍将校の衣服を着た、北郷一刀が、何進の傍に立っていた。

 

 

ーーーーーー

ーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

半日時間が空いたので───急いで小説の元を書き上げ、色々と推敲しまして、なんとか仕上げました。

 

策の元は、皆さん、ご存知かと思います『裸の王様』からです。

 

今度こそは、忙しくて時間が取れないと思いますので、来週頃になるかと。

 

また、よろしくお願いします。

 

 

説明
ある童話が策の元です。
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コメント
雪風提督 コメントありがとうございます! 裁きが始まりますが、どう動くやら。 そろそろ恋姫達との合流も視野に入れています。(いた)
一刀裁きの始まりなのですぞ、皆の者控えよ・・・。(雪風)
小説に関わる知識も、なるべく正確に表すようにしてます。 文章の訂正多いですけど………(いた)
あ、そういえば聞いたことありますねwちゃんと分けてる人初めてだから分からんかったww(スネーク)
『十常侍』は、『中常侍』が複数居たため付けられたそうです。 ですので、個人を差す場合は『中常侍』、団体のときは『十常侍』にしました。 それと『十常侍』といっても、十人だけじゃないんです。(いた)
そういえばところどころ中常侍になってるのは何でですか?(スネーク)
hokuhin提督 コメントありがとうございます! 麗羽『 ( ゚д゚) ・・・   (つд⊂)ゴシゴシ   (;゚д゚) ・・・   (つд⊂)ゴシゴシゴシ 』 繰り返し中 (いた)
麗羽が珍しくおとなしいなw裸の一刀みてなんか言うと思ったのにw(hokuhin)
mokiti1976-2010提督 コメントありがとうございます! 猪々子「あ、ありのまま……今、見たことを話すぜ? 斗詩が…………いや、な、何でもない! 何でもないんだぁ!」 (いた)
何だかんだ言って斗詩が一刀の裸を一番凝視してそうな気がするのは気のせいでしょうか…?(mokiti1976-2010)
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! こっちの呼称の方が馴染み深いので。 宮刑だと切るモノが既に……な(ゲフン!) いろいろと考えてますが……どうしようかなと。 向こうは残虐な刑罰たくさんありますから。(いた)
恋姫だろうと濃い姫(漢女ともいふ)宦官だろうと誰をディするとか改悪コメントして楽しむつもりはないですけどもこの人達はそうですね、宮刑とかが妥当じゃないですかね(禁玉⇒金球)
Jack Tlam提督 コメントありがとうございます! バレバレでしたか。 史実でしたら十常侍どもは抹殺なんですが……。 反連合も見せ場の一つですので、是非やりたいところです。 艦娘も……更に増えますよ。(いた)
スネーク提督 コメントありがとうございます! 前作からネタばれが多いと……云われても懲り無い作者です。 十常侍はどうなるか……そのまま斬られるか、一刀の判断で追放か……? あんまり書きますと、ネタがばれるかも知れないので、また次回にてw(いた)
やはりか、予想通りでした。さて、この一刀は軍人ですし、この手の相手に容赦するようなら軍人としての資質が問題視されるどころでは済みません。ただ、麗羽がいる時点で反連合の気配があるんだよなあ……それでもやるんだ、戦力は充実しているし、どこぞのツンツン眼鏡みたいなのも居ないし。勝てるでしょう。(Jack Tlam)
恥ずかしい、眼福、外套でなんとなく想像できて童話ということで確信したwwwさぁ、ここでとっとと十常侍たちを処刑して、後顧の憂いを断つか甘い判断で追放だけか、この一刀はどっちかな?(スネーク)
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