艦隊 真・恋姫無双 42話目 |
【 宦官相伝の術 の件 】
? 司隷 洛陽 都城 にて ?
一刀たちが劉宏に集まっている頃……
とある部屋にて、妙に甲高い老人達の話し声が聞こえる。
ーーー
張譲「おのれぇ───えええッ! 天の御遣い『北郷一刀』め! 忌々しい真似を! 後少しで、邪魔な何進を除く事が出来たものを!!」
趙忠「なぁに! この洛陽から離れて、他の軍閥に取り入れば良い事。 我々の権威、財産、血族の力は健在! その者を誑し込めば……のぉ?」
張譲「ふむ……それもそうか。 全員……付いて来ておるか?」
孫璋「大事ない……何のこれしきの事! ホーッホホホホッ!!」
畢嵐「郭勝が捕まったようじゃなぁ……馬鹿な奴よぉ……クククッ!」
段珪「さて……張譲殿、この後どうするかえ〜?」
ーーー
高望「…………………」
宋典「…………………」
夏ツ「お二方……気に病む事もあらじ。 張譲殿は、些か気持ちが高ぶっているでだけじゃよ。 まだまだ、お二方の使い道があるわいの!」
栗嵩「────然り、然りッ!!」
張恭「されど……儂等の足を……引っ張る真似だけは……控えなされよ……」
ーーー
韓?「しかし、段珪殿の仰る通り……何処へ向かえば? 何進との権力闘争に敗れた我らを……必要とする軍閥が……あるかの!?」
張譲「ノーッホホホッ! 儂等が集団で移動すれば、見付かるが道理。 ならば、皆で別れて向かおうでないか? 儂と段珪殿は『○○』じゃ!」
段珪「うむッ! 悪くは無かろうて!」
ーーー
趙忠「ホホホッ! ならば……儂は北の★★を目指す! 他に来ぬかや?」
高望「な、ならば、私が付き添って参ろうか……の?」
韓?「面白い! 私も行くぞぉ!」
ーーー
孫璋「『●●』は意気盛ん、賑わいも華やかだと聞く! 我のような者に相応しい!! この地へ入ろうかの!?」
宋典「今度は………のぅ! ノーッホホホッ!!」
夏ツ「儂は、賑やかな方か良い! 金も入るじゃろうしぃ!」
ーーー
畢嵐「南は未だに未開拓が多数ぅ。 されど……まだ見ぬ宝物も然りぃ!」
栗嵩「寒いのは苦手じゃ! 南へ参ろうかの!」
張恭「女も……また……南の方がな! クククッ!!」
ーーーーーードタドタドタドタッ!!
張譲「───ムッ! 皆、声を潜めよッ!!」
★☆☆
──────バンッ!!
洛陽兵長「この部屋かッ! 複数の人数の声が聞こえると言うのはッ!?」
洛陽兵1「はっ! この部屋で間違いありません!」
─────!?
……………!
───────クルッ!
洛陽兵長「どこを見ても誰も居ないぞ! 本当に、この部屋より聞こえたのだろうな?」
洛陽兵1「間違いありません! 複数の女官より『声が聞こえて気味が悪い』と、報告がありました!」
洛陽兵長「幾ら見ても、『箱』が多数整理して置かれている、物置場にしか見えん! 別に異常は無さそうだ!!」
洛陽兵「しかし!」
洛陽兵長「………私だけの判断では……断定が出来ん。 相手は、あの十常侍……念のため、将軍方にも部屋を見ていただこう。 油断せず、虱潰しに捜さなくては行かんからな! ────報告に行くぞ!」
洛陽兵1「了解です!」ダッ!
洛陽兵長「…………………」──ボトッ!
ドタドタドタドタ─────ッ!
張譲「…………行ったか。 ───ほぅ?」──スッ ゴソゴソ!
趙忠「どうされた……? 張譲殿!?」
張譲「ホホホッ! ───各々(おのおの)それぞれの場所に向かえなされ! 逃走用の馬車が既に、都城の外に用意してあるそうだ。 『あの方』が手を回してくれてある! 直ぐにも………移動するぞ!」
ーーーーー
この後、四つの編隊に別れた『箱』たちは、通路を堂々と進む。
勿論、その通路を女官、兵士、十常侍を捜索する者も通る。
しかし……何故か素通りが多く、たまに不審(ふしん)に思い睨みつける者も居るが、ほんの少し動くのを止めると、首を傾げながら移動する。
張恭「いつも思うが……不思議な物よの? 何故、このような児戯のような真似事で気付かれないのか。 のう……張譲殿よ?」
張譲「宦官に……古きから伝わる『隠密術』よ。 伝えによれば……『蛇』の異名を持つ男より伝授されたと云いよるわ! 先代の曹節様も、首を傾げておったが……。 しかし、実用の高さは……この通りじゃわい」
★ーー★ーー★ーー★ーー★
十常侍たちは、竹で編んだ籠(かご)を被り進んでいる。
厳密に言えば、高価な紙を茶色に染めて、膠(にかわ)で惜しげもなく貼り付けて、中が見えないように工夫した、長方形状の『箱』みたいな物。
先代の桓帝に仕え、宦官の地位を著しく上げた『曹節』の話では、秦の時代から伝わる宦官秘伝の『隠密術』と云う。
伝説によれば、始皇帝に仕えし趙高が、倒れていた男を救い、その礼に伝授されたそうである。 ……趙高の悪名高き行いを考えれば、ありえそうだが。
『《だんぼーる》は、戦士の必需品だ!』
ちなみに……男が去り際に呟いた言葉も……術と共に伝わっている。
★ーー★ーー★ーー★ーー★
十常侍達は、この隠密術を利用して……まんまと洛陽の脱出を果たした!
無論……背後にいる『あの方』の力もあったのだが………
◆◇◆
【 アノ方の正体 の件 】
? 司隷 洛陽 都城 にて ?
洛陽兵長「────失礼致しますッ!!」
??「許可する! 入れや!」
洛陽兵長「─────はっ!!」
★ーー★ーー★ーー★
都城の一角に、??の部屋がある。
皇帝の部屋と……この部屋を見比べて……どちらが皇帝の部屋に相応しいかと……考えてしまうほどの……煌びやかな室内であるのだが。
これも……全部、民達からの血税から賄われていると聞いたら、皇帝の部屋を指差す者が多いだろう。
ーーーーー
近衛兵の数百年以上の給金に値する……豪華な家具類。
丁寧な彫刻、見事な飾り付けされた天井!
そして………その部屋にそぐわない『多くの動物の剥製』が、所狭しと飾られている! 虎、鷲は勿論の事、水牛、大熊猫のような大型草食系動物も置かれ、一種の博物館を思わせる。
主は、三十代前半なのだが……まるで二十代の娘に見えるような美女である。
★ーー★ーー★ーー★
そんな中を、洛陽兵長が……しっかりとした足取りで、この部屋の主へと向かう。 そして───張譲の云う『アノ方』へ、報告に向かったのだ。
洛陽兵長は、上役の将軍に連絡して、部屋を更に捜索! 居ない事を確認してから、休憩と称して持ち場を離れて、この部屋を訪れていた!!
ーーー
??「ほうかえ! ほうかえ! 十常侍どもは無事に逃げたとな?」
洛陽兵長「────はっ! ??様の命じらました『紙』を落とし、誘導致しましたので………」
??「オーッホッホッホッ! 妾の為に力添えされた功おます臣。 まやまや、妾ん力になって貰わねば……困るんやえ〜? しいやぇ……かなおなご、何進は……なんをしいやおるんやろか?」
洛陽兵長「陛下の様態が……」
??「早よ……死んでくれへんかや? ほんにぃ待たせる……お人やでぇ。 早う我が娘『劉辯』に、皇帝の座を渡しいやくれればええモンを………」
洛陽兵長「────! どうか、お声を控えて下さい! 誰かに聞こえられては……!」
??「───ふんっ! なんぼ、どないあいや掻こうとも……我が娘の即位は決定や! 王美人の娘如きに………皇帝の座は渡しまへんえ!!」
洛陽兵長「そ、それは……勿論!」
??「あんたはんは、何進と御遣い達を……見てお行き! かなおなごが、なんを陛下に強請るんか……確認しいや来はるんや! えぇなぁああ!?」
洛陽兵長「は、はいっ!!」──スッ!
………
………
………
洛陽兵長が立ち去った後、??は先程まで行っていた日課を行う。
部屋にある大きな鏡台の前に座り、髪を整え、紅を差して化粧を施し、銅鏡を綺麗に磨きて、映りを良くした。
??「………鏡よ、鏡よ、鏡はん! 洛陽で一番、華やかで美しおなごは……どなたはんどすえ?」
『………都城にて華々しい衣服を纏う……《何皇后》です……』
何皇后「そない、ほしてええん! そないほななきゃいけまへん! どなたはんよりも華やかにしいや、美し容貌を持つおなご! そら───皇后ん『妾』でおますと!! オーッホッホッホッ! オーッホッホッホッ!!」
ーーー
当然だが、銅鏡が応える訳が無い。
銅鏡に向かい虚ろな目で、何皇后が……独り言を呟くだけであった。
◆◇◆
【 時代の流れ の件 】
? 司隷 洛陽 都城 にて ?
劉宏「劉辯、劉協………無事……だったか?」
劉辯「心配不要!」
劉協「姉上も……私も……大丈夫です!」
劉宏「……………良かった…………」
ーーー
劉宏の身体は………誰が見ても……既に余命が……幾許も無い事が分かるほど……衰弱していた。 寧ろ、あの騒ぎの中で、良く命が保てれた方だと、思わずにはいられない。
いわば……皇女たちの行き末が……それだけ心配だったワケである。
ーーー
劉宏「北方……礼を述べさせて欲しい。 よく、皇女を救ってくれた……感謝する……!」
北方棲姫「劉宏トノ……約束……果タシタ。 劉宏……ホッポノ約束……」
劉宏「す……すまぬな。 病が治れば……『飛行機ごっこ』とやらを……一緒に行う約束だったな。 朕が零……北方が烈風……か?」
北方棲姫「烈風……貸ス! 劉宏ニ貸スッ!! ダカラ……ダカラァ……元気ニナレェ!! 劉宏ゥウウウッ!!」ウワァーン!
劉宏「朕が亡き後……劉辯、劉協! 朕の代わりに……北方の相手……頼むぞ!」
劉辯「…………御意」グスグスッ
劉協「……………!」コクコクッ!
ーーー
劉宏「か、何進………!」
何進「陛下……面目御座いません! 十常侍をのさばらせてしまっため、このような結果になり……何とお詫びすれば……!!」
劉宏「良い……! 主は……功績を挙げたのだぞ……! しかも……二つもだ! 何故……謝罪を受けなくては……ならぬのだ?」
何進「しかし───ッ!」
劉宏「ひ、一つは……天の御遣い『北郷一刀』殿を……朕に引き合わせた! そして……もう一つ! 十常侍らを宮中から……追い出した事!」
『────────!』
何進「し、しかしながら……私の行いの為に……陛下の寿命が!!」
劉宏「元々……死ぬ定めの者……それが早くなっただけ。 寧ろ、次代の皇帝へ苦衷の種が……消えた。 これを評価せず……何と言おうか!?」
何進「陛下………」
劉宏「北郷殿………そして……御遣い様に尽くす方々!」
一刀「───陛下!」
『────────!』
劉宏「……後の事は、何進と皇女たちに……伝えてあります! 朕が申し上げる事など……ありますまいが……この国の民を……どうか……お救い下さい。 お情けに……縋れるのなら……何卒……皇女の事も……お頼み……を!」
一刀「────!!」
──────ガクッ!
ーーーーー!
────!
ーーーーーー!
何進「────陛下!」
劉辯「御父様!!」
劉協「ち、父上!!」
北方棲姫「劉宏ゥ──ッ!!」
ーーー
ーーー
一刀「陛下! 『漢中鎮守府 提督 北郷一刀』! その御命令、謹んで拝命致します! 一同! 漢王朝皇帝 劉宏陛下に───敬礼!!」
『──────!』バッ!
◆◇◆
【 十常侍の行き先 の件 】
? 司隷 洛陽 都城 にて ?
張譲「クククッ! 段珪殿よ! これから『涼州』に向かうが、どうであろう?」
段珪「悪くはなかろう! 涼州兵は騎馬に長じて、勇猛果敢! 逆に考えれば……戦馬鹿の集まり。 しかも、権威に弱く……漢王朝の忠誠心厚き者共。 儂らの権威があれば……直ぐに味方が付きますぞ?」
張譲「そうじゃろ! そうじゃろ! ホーッホッホッ『ガタンッ!』──な、何じゃ!? 急に止まりおって!!」
馭者「も、申し訳ありません! 先方に軍勢から停止の命令を出されため、やむを得なく───!」
段珪「どこぞの愚か者か、牙門旗を確認して参れぇ!!」
馭者「は、はいっ! 『馬』と『董』の牙門旗が見えますッ!!」
ーーー
趙忠「今……『幽州』ではのぉ? 『公孫』なる者が、異民族である鳥丸と懐柔策を行っておると、報告を受けた事があるのじゃ! かなりの成果を挙げておるらしいの!?」
高望「なら……官位を与えて、我々の金蔓にすれば、やれば宜しいのでは?」
韓?「じゃがな……公孫は堅物でな? 我々の名を出しても、逆に拒絶するのじゃよ? まるで害虫のように───おぉっ! 噂をすれば!」
趙忠「『公孫』の牙門旗か! 丁度良い! 我々の味方に付くよう、説得しようかの! 天の御遣いなる者に、漢王朝を占拠されたと云えば……断りはしまい──ッ! ノホホホホホッ!!!」
ーーー
孫璋「『陳留』の曹孟徳……先代大長秋『曹季興』様の孫と聞くでないか? これを利用しない術は……あるまい!!」
宋典「しかしぃ……かの曹孟徳は、『宦官を嫌う事、蛇蝎の如し』と聞いておる! 果たして信用して……良いものか?」
夏ツ「宦官と云えど……我らは大長秋の一つ下位を持つ中常侍! 幾ら曹孟徳とは故、位は雲泥の差よ! 切れ者で鳴るアヤツだからこそ、我々の力が理解出来るもの! 余計な心配などせず、早よう向かうぞ!!」
ーーー
畢嵐「儂らは、袁術を頼ろうと思っておるぅ! 寿春に居を持つ袁家よぉ! 名家だけあり、当主は、高価な蜂蜜水を毎日飲み放題と聞いておるなぁ! そこに行けば、我々も贅沢な暮らしが出来るのだよぉ!?」
栗嵩「袁家と申せば……袁紹の本家! 裏で繋がっておれば、儂らは一網打尽……そこは大丈夫でござろうな?」
張恭「ホッホッホッホッ! 気弱な御仁ばかりじゃ! 袁紹と当主袁術は、犬猿の仲で有名な話! 向こうが『左』と云えば、袁術は『右』と答える程の悪さよ! 袁紹が襲えば……袁術が匿ってくれるのは道理!!」
栗嵩「ほぅほぅ……要らぬ心配であったか! すまぬ、すまぬ! ホッホッホッホッホッホッ!!」
◆◇◆
【 張譲達の末路 の件 】
? 司隷 新安付近 にて ?
董兵「お嬢様! 前方から豪華な装飾を付けた馬車が一台、此方に向かい疾走して参ります! 如何なさいましょうか!?」
月「───えっ!?」
詠「───とりあえず、至急止めなさい! 事情を尋ねるから、そのまま停止させるのよ! 良いわね!?」
董兵「───はっ!」
月「ありがとう! 詠ちゃん!!」
詠「………おかしいわね……」
月「どうかしたの?」
詠「月……考えてみなさい。 豪華な馬車が一台、しかも護衛も付けずに街道を通るなんて、賊を呼び込もうとしているようなモノよ? それも、かなりの速さで抜けようとする。 これらを合わせると…………」
月「じゃあッ! 誰か助けを求めて、どこからか逃走して来た!? た、大変! すぐに───助けなきゃ!!」
詠「ま、待ってッ! 月、落ち付いて!! まだ、あるから!!」
月「───ふぇっ!?」
詠「もう一つの考えは……………」
★☆☆
馬車より貴人が降りたった。
『急いでいるのに関わらず──何故止めるのか?』と、迷惑な顔をする段珪、
何時ものように威圧的な態度で、月に向く張譲!
月と翠が、地面に片膝を付き……顔を下げる!
詠や蒲公英達が、後ろに同じ姿で跪いた。
張譲「そちが………天水太守の董仲穎か! 私は洛陽で劉宏陛下にお仕えする中常侍張譲じゃ! こちらは、同じく中常侍『段珪』!」
段珪「……………ふんッ!」
月、翠「「はっ!」」
張譲「率直に申す! 洛陽にて……『大将軍何進』並びに『天の御遣い 北郷一刀』が……陛下を弑逆し、皇女を人質に取り洛陽を占拠した!」
段珪「よって……涼州兵で洛陽を攻め寄せ、謀反人共を誅殺し、陛下の無念を晴らせッ! そして、我々を保護せよ!」
月「………………」グッ!
翠「………」ギロッ!
張譲「─────どうしたぁ!? 返答は!」
月「…………ボソボソ」
翠「……………!」
段珪「ハッキリせい! 一刻を争っているのだ! 早くしなければ、北郷一刀が皇女様に何をされる『───止めて下さいッ!!』──な、なんだと!?」
月「ご、ご主人様は……そんな悪い人なんかじゃ……ありませんッ!!」
翠「ふざけんなぁ! あの、ご主人様が───そんな悪い事する訳ねぇじゃねぇか!! ─────馬鹿も大概に言いやがれ!!!」
張譲「な、何を言い出すのだ! 私は、漢王朝、皇帝陛下に仕えし十常侍だぞ! お前たちのような田舎役人より、遥かに上位の位置するのだぞ!?」
段珪「それに──今の言いぐさはなんだ! お前も反逆者『北郷一刀』の配下の者『ザッシュッ!』────ヒィッ!!」
段珪の眼前に、矛がどこからもなく落ちて、地面に突き刺さるッ!
恋「ご主人様の悪口……許さない!」
蒲公英「たんぽぽも────ここに居るぞぉ!!」
張譲「お、おのれぇ───漢王朝に反旗を翻す愚か者共が! やはり、お前たちの服従は表面的な物だったか!」
それを見て、怒れる張譲に───詠が声を掛ける!
無論、月の援護のためでもあるが、最大の理由は───張譲と段珪を!!
詠「────まだ、自分を忠臣と偽るつもりなの? 叛臣共ッ!」
─────糾弾するため!!
段珪「な、何を言い出す! 儂ら正式な十常侍──張譲と段珪であるぞ!」
詠「確かに……アンタ達の醜い顔は……何回か見ているから分かるわ。 だけど、分からないのは……アンタ達の行動よ!」
『─────────!』
詠「アンタ達は、皇帝陛下の傍仕えである栄職! それが……皇帝陛下を弑逆され、皇女様を人質にされるのを、黙って指を咥えて見てたわけ!? 自分達は、のこのこ陛下達を見捨て……此処まで逃走したの!?」
張譲「ぶ、無礼者め! 儂らのような宦官が、陛下達の傍に居て何の役に立つ! 急いで退室し、洛陽から抜け出し……力ある軍閥に援助を願う! これが最適な役目なのだ!!」
─────ザッ!
ねねも立ち上がり、詠の代わりに反論し援護する!
ねね「……ほぅ………立派な態度ですな。 では、洛陽の民たちは、見捨て参ったのですか!? 陛下が危害に遭われるほどの禍なら、洛陽の民を安全な場所に誘導するのも、官の役目だと…ねねは思うのですよ!?」
段珪「馬鹿な! 洛陽の民より……儂ら十常侍の命が遥に重い! 儂らが居なければ、政(まつりごと)は動かないのじゃぞ!? それに、援軍を送らねば事態の収集はならんのだ! 元凶を何とかしなければ───!!」
ねね「つまり……洛陽の民を見捨てて此処に……と?」
張譲「違うッ! 儂らの役目は……救援要請! 然るべき位の人物が行かねば要請は出来まい! 洛陽の民の誘導は、執金吾の役割! 役割分担を明確にしたまでの事! これでどうだ! 疑念が解けたのなら───早ようッ!!」
詠「あっそう! じゃあぁ、後一つ聞かせて貰うわ! その禍を逃れようと、避難して来る民が、一人も……こっちに来ないのは?」
段珪「儂らは、馬車を飛ばしてきたのだ! 徒歩の民より速く此処に居ても、おかしくなかろう!!」
詠「洛陽の民は数十万……中には馬車とか個人で持つ富豪も居るわ。 それなのに来たのが……アンタ達だけって? ────あっ! 戻って来たわね? どうだった? 霞!?」
─────ザザザッ!
霞が愛馬を置いて、詠たちの傍へと駆け寄る。
張譲たちへ接触する前に、詠から頼まれて、先の街道の様子を見に行って貰ったのだ。 豪華な馬車が一台だけ……もしかすると、何かしら伏兵でもいるかも知れないとの考えで。
しかし、予想外の想定が……思わぬ結果を齎した。
霞「ゼェッ! ゼェゼェ──ッ! 詠! す、数里先までぇ見に行ったが、誰も……誰もおらんかったわぁ! 伏兵どころか、猫の子一匹も………!!」
勿論、霞も……そんな事知らずに、話すのだが……段珪と張譲にとって、致命的な墓穴を掘った事になった。
段珪「ぐぅ─────!」
張譲「それは、儂らが出た後に……城門が閉ざされて………」
ねね「皇帝陛下のいらっしゃる宮殿から門まで、どれくらい掛かると思っていやがるのですか? どう考えても、馬車を用意して脱出するまで、半刻(約一時間)は掛かるはず! その間に門に避難民が殺到するのですよ!?」
張譲「────────!」
ねね「しかも、豪華な馬車で街道を疾走する奴を、素直に脱出させてやる謀反人が! 馬車だけ堂々通して、その後、直ぐに城門を閉め直し、民を閉じ込めるなんて………無理な話ですな〜?」
張譲「──────ガクッ!」
段珪「────お、おのれぇ! ウグッ!!」
──────!
───────!
段珪が、詠やねねに掴み掛かろうとするが、二人の前に武人が現れ、段珪に得物の刃を向けた!!
恋「………動けば……殺すッ!! ───お前もッ!!」
張譲「───────ッ!」ドスン!
張譲が逃げだそうと動くが、恋と霞の目を誤魔化せる訳が無い。 殺気が張譲の足を引き止め……膝から倒れた!
霞「大人しくしゅうのが、利口って……ちゃうか!?」
段珪「───────!」ガクッ!
翠「お前ら、コイツらを縛って馬車に乗せとけッ! 洛陽に向かうぞぉ!」
涼州兵「は───っ!!」
ーーー
詠「やっぱり……! アンタ達の悪行は、西涼や天水まで響き渡ってるの! 幾ら田舎者のボクたちでも、ハッキリと把握してるのよッ!!」
月「……………………ご主人様」
★★☆
翠「へへへ──っ! ご主人様に顔合わす前に、手柄を立てれて良かったな、月ぇ ───んッ? どうかしたかぁ!?」
月「翠さん、蒲公英ちゃん、恋さん、ねねちゃん! ご主人様……本当に、本当に……悪い事……してないよね? 絶対───してないよねッ!?」
恋「(コクッ!) ───大丈夫、ご主人様……暖かい。 お日さまみたいな人。 皆を……幸せにしてくれる……不思議な人。 ……だから……」
ねね「ふふん! 悪い事をする前に、ねねの『超必殺ちんきゅうらいだーきっく』を放ち、へぼ主人をコテンパンにぶちのめして、改心させてやるのです!」
翠「心配してもさぁ……しょうがないだろう? そん時は、皆で止めればいいさ! 他にも、記憶を持っている奴が……必ず居るだろうしな!」
月「────はい! はいっ!!」
蒲公英「あぁ───ッ! お姉様が、珍しく良いこと言ってる! 何かなければいいんだけど…………」
翠「どういう意味だ! 蒲公英────ッ!!!」
蒲公英「ごめんなさぁ───い!!」
ーーー
詠「一応───月の顔を立てて言ってみたけど。 報告だけの人物だから、ボクも……心配でね。 実際に会ってみないと…………」
霞「華雄がひとまず先に、洛陽の様子を確認しに行ったでぇ!!」
詠「えぇ──ッ! あの猪はッ!! いいわ……ボクたちも行く! 洛陽がどうなっているのか? 月たちが慕う……天の御遣い『北郷一刀』の真の姿を確認するためにもッ!! このまま、洛陽に向かうわよ!!」
ーーーーーーー
ーーーーーーー
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
秦の時代の降りた人は……この話だけで終わりです。 別に出てきて、暴れる事は、ありませんからね。
潜入方法が有名だった事、作者の友人が大好きなゲームでしたので、使ってみました。
今度の更新も、来週越えてになりそうです。
義輝記を待っていらっしゃるも、申し訳ありませんが……今しばらくお待ち下さい。 進め易い方を選んで、きりの良いところで、入れたいと思います。
また、よろしければ……読んで下さい。
説明 | ||
少しずつ……物語が重なります。 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1504 | 1298 | 14 |
コメント | ||
雪風提督 コメントありがとうございます! 今、分かっている事は………次作、今日(3/21)出しますからね(笑)!(いた) これからの外史の欠片が紡ぐ道はどんな道か・・、楽しみです・・そして漢は一刀達は・・み〜(雪風) hokuhin提督 コメントありがとうございます! 張譲は捕らえられ処刑される運命となります。 ですが、正史だと早死にするアノ人が………。(いた) とりあえず月達が今回は陰謀に巻き込まれなくって良かったが、やはり連合は起きてしまうのかな。(hokuhin) イマ提督 コメントありがとうございます! お楽しみ頂ければ何よりです。 今回、宦官の比率が大部分ですので、面白みに掛けるのではと心配しておりました。 次回は、別の恋姫たちに……『ふふふ怖いか』さんが出会う予定になりますので、楽しみにして下さいね。 (いた) ス○ーク様 出演ありがとうございます! 年老いた宦官には、木箱は重いので籠になっています。 加護に通じるとか……とも。 木箱が動いていたら、出演していたと思って下さい。(いた) コメント欄にいたわ、蛇がw 今回も楽しませていただきました。恋姫たちの中には記憶を持っている子たちがいますから、そうそう十常侍の思うようにはいきませんよね。 次回も楽しみにしてます。(イマ) ( ▼ω・)出演させろとは言わぬ、モブに紛れておくからな。時代に合わせて木箱を使おう( ▼ω- `)フッ(スネーク) スネーク提督 コメントありがとうございます! 別に出演して頂く予定はありません。 ただ……戦○水○を物語に出そうと考えています。 まだ先の話ですが。(いた) ( ▼ω・)呼ばれた気がした(スネーク) mokiti1976-2010提督 コメントありがとうございます! 残り三方向……丁度、洛陽に向かっています恋姫達と鉢合わせます。 どうなるかは、次回にと……。(いた) とりあえず西に来た連中は捕まって何より…しかし他の方に向かった奴らはどうなるのか?曹操と公孫賛はあんな連中のいいようにされないとは思うのですが…。(mokiti1976-2010) |
||
タグ | ||
真・恋姫†無双 艦隊これくしょん | ||
いたさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |