真・恋姫†無双 裏√SG 第37話 |
明朝
いまだ朝霧が濃い中、私達はただ前へと進んだ
武器、食糧、雑貨、信頼、信念、命、誇り
様々なものを背負って、私達は前へと進む
その先に待ち構えるものは、かつてないほど強大で、かつてないほどの絶望かもしれない
だが、それでも私達は前へと進む
私達には、いつでもどこでも、あらゆるものを突破する力があったから
今までは、それを使わなかっただけ
だが、今回は違う
今回だけは、突破させてもらう
だから私は、こう叫ばしてもらおう
咲夜「さぁ、来てやったぞ三国!覚悟はいいか!?」
蓮華視点
とうとう私達は、何も出来ないまま今日を迎えてしまった
目の前には、約三万程になる屈強な人の群れ
それを束ねているのは、ギラギラと獰猛な獣の目をしている女
咲夜……司馬懿…仲達…
咲夜との出会いは、もう20年以上も前だ
母様が健在だった頃、母様が思春と共に連れて来た客人
歳も近く、すぐ仲良くなれた私達は、その後も交流していき、いつしか親友とも呼べる仲になっていった
きっと、呉以外の人間では、最も信頼している人
そんな彼女が、今は敵として、前にいる
桃香「来ちゃったね…」
桃香から罪悪感溢れる声が漏れたが、本当に桃香の言う通りだと思う
来ちゃったよ…
もうなんか、その一言だけで片付けられてしまう…
例えるなら…そう。絶望という名の死神が大釜持って食材調達しに来た感じだ。
そしてその場合、食材は間違いなく私達になる
華琳「時間はあった。手も尽くした。それでも私達は何も出来なかった。状況を変えられなかった。こうなってしまうのは仕方のない事だわ」
若干諦めた風に言う華琳だが、その瞳は少しだけ嬉しそうだった。
そんな彼女を見た瞬間、私は呆れ、溜め息をついてしまう
こいつ、愉しんでやがる…
蓮華「咲夜、お待ちかねみたいよ。誰が行く?」
もちろん私は行く気はない。咲夜相手に口で勝てる気は全くない。
というか、どう言ったところで、彼女達が正しい事をしているので、そもそも勝つ事なんて出来ない
桃香「私、説得してみるよ!」
桃香が胸元で手をギュッとし、気合いを入れて行こうとしていたが、私はそれに待ったを掛けた
蓮華「いや、あなたが行ったところで、泣かされて帰ってくるだけになるじゃない」
桃香「ひどーい!?そんな事ないよ!て言うか、説得に行くだけなんだから!舌戦をする訳じゃないから大丈夫!」
その自信はどこから来るのかしら?なんて思ってるうちに行ってしまうし
蓮華「どう思う?」
もはや答えが確定している事を聞いてみた。華琳は私を見る事なく…
華琳「無理ね」
一蹴した
そして案の定…
桃香「咲夜さん!少しお話し…」
咲夜「引っ込めバカ女!お前、どうせ説得だなんだと考えてんだろ!?お呼びじゃねぇんだよ!」
桃香「そ、そう言わ…」
咲夜「黙れバカ女!ここはテメェの出る幕じゃねぇんだよ!わかんねぇか?あぁん!?いつまでも頭ん中お花畑か?ちょっとは状況考えろ!」
桃香「い、いや、その…」
咲夜「これで最後だ!退けバカ女!そのバカみてぇに重そうな乳引っさげてとっとと失せろ!じゃなきゃ大衆の目の前で全裸にして純潔奪うぞ!」
桃香「ふ、ふえぇぇぇ……」
泣いて帰って来た…
桃香の精神が弱いのか、それとも咲夜が酷いのか、恐らくは後者だろう
華琳「蓮華、あなたは良いのかしら?」
蓮華「遠慮しておくわ。戦う前から心折られたくない」
現在桃香は朱里と雛里に連れて行かれ、泣きながら後方へ下がっていった。
あれはもう使い物にならないだろう
蓮華「それに、親の手前、子どもの前で無様は晒せないわ。もう出遅れではあるんだけどね」
【晋】の軍勢の奥の方には、雷蓮、氷華、風香が控えていた。
あの子達までここにと驚いたものだが、五胡の迎撃で三人のうちの一人を大将にして戦うよりはマシだろう。きっと、対五胡の総大将はシャオか美羽ね
華琳「本当に今さらね。だけど、行かないわけにもいかないでしょ?」
そう言って、華琳は前へ出て行った。その足取りは随分と軽そうだった。
きっとウズウズしているに違いない
本当に、溜息しか出ないわ…
咲夜視点
雪蓮「これぞ外道」
悠里「気持ちがいいくらいの人でなしですね」
秋蘭「見ろ、あの狂気に満ちた笑み。本当に人間か?」
凪「あれで接客業をしているのですから、驚きですよね」
詠「流石の僕も、あそこまで追い詰めれないわ」
月「やっぱり、夫婦だと似ちゃうのかな?」
霞「いや、あれは天性のもんやで」
華雄「だな。例え月様が鬼畜外道と結婚しようと、ああはなりますまい」
流琉「なれるものでもないですしね」
零士「あれ?もしかして僕、酷い事言われてる?」
華佗「ん?そんな事はないんじゃないか?」
音々音「そうですぞ。東殿は気にせずとも…」
恋「零士も咲夜も、一緒」
おいおいみんな、随分な言い様じゃないか。バカ女も含めてお仕置きしちゃうぞ?
て言うか、あの罵倒には愛があるからな?勘違いするなよ?
何て事を思っていると、桃香と入れ替わり出てきたのは、魏の王だった
氷華「母上…良く来れたわね」
雷蓮「正直、母様が出て来なくて良かったと思ってる」
風香「お母さん…泣いてたよ…かっこ悪い…」
娘達も母親に会えたからか、嬉しそうな心配そうな表情で見ている
咲夜「よぉ華琳!お前にしては随分と体たらくだな!」
まずは一言、軽く掛けてみる。華琳はそんな私の言葉に苦笑いでため息を吐いた
華琳「えぇ、全くよね。返す言葉もないわ」
咲夜「おいおい、随分と素直じゃないか?気持ち悪いぞ、ほんとに華琳か?」
華琳「失礼ね。曹孟徳はこの世にただ一人よ。他の誰も、私と同じ様に生きる事なんて出来ないわ」
咲夜「ハッ!そりゃ昔の話だろ?今はお前、お前の周りにいるその他大勢と大差ねぇぜ。かつて覇王とまで言われたお前も、歳食って男を知ったら、腑抜けるもんなんだな!」
華琳「味が出てきたと言いなさい。確かに昔ほど苛烈ではなくなったけれど、かと言って腑抜けた訳でもないわ」
そう言って、華琳は私を見てニヤリとした。その笑みは、喜色に満ちている
おいおい、予想はしていたが、本当にタダでは転ばないな
咲夜「お前、この状況を最大限愉しもうとしているな」
華琳「あら、そんな不謹慎な事は考えていないわよ。ただ、私達の目的の為にも、今あなた達に邪魔される訳にはいかないから、全力を持って追い返そうとは考えているけどね。ましてや、相手があの【晋】なのだから、余計にね」
咲夜「過大評価し過ぎなんじゃないか?私らはどこにでもいる、ただの料理人達だぞ?本気のお前らに勝てるわけないじゃないか」
華琳「ただの料理人なら、水関すら突破出来ないわ。それに、用心して損はない筈。あなた達は確かに料理人。武人じゃない。だから、こうして話している間に奇襲される可能性もある」
チッ、流石に付き合いが長いだけあって、読まれていたか。
油断して後ろを向いた瞬間にズドンと零士に撃たせるつもりだったが、そう上手くはいかないよな
咲夜「よくわかってんじゃねぇか。なら、こっちも遠慮はしない。お前らが男を優先して私ら(民)を蔑ろにした落とし前、一般人代表としてツケてやるよ!」
華琳「国の代表に啖呵切る一般人なんていないわよ。でも、いいわよ咲夜、来なさいよ!悪は必ず殺すという【晋】の理念、通してみなさい!」
華琳はニヤッと私を見て奥へ引っ込んで行った。私もそれを確認し、みんなの元へと戻る。
そして再び振り返り、ナイフを洛陽側にいる奴らに突きつけた
咲夜「全員、見ての通りだ!あいつらは手前の都合を通す為に私らに矛を向けてくる!大陸を代表する武将、軍師、総大将全員がだ!」
私は後ろにいる奴ら全員に聞こえるように、腹の底から叫んだ。
私の言葉に、多少なりとも動揺する者がいるかもしれない。
だが、私はそれを責めるつもりはない。
動揺した者が居たとしても、私の言葉で払拭させればいい
咲夜「だが、何も恐れる必要はない。あいつらは確かに強いが、在り方としてはどうしようもなく間違っている。あいつらは私らを見捨てたんだ!悔しくはねぇか!?見返してやりたくねぇか!?お前らの上に立つ人間に、自分の力を証明したくはないか!?」
自分の今までの人生で、こんなにも声を張り上げた事があっただろうか。
少し、喉が痛くなりそうだ。だが、それでもいい。今はそれが必要なのだ
咲夜「もし、そんな気持ちがあるなら、私に付いて来い!お前らの望み、私が、【晋】が叶えてやる!さぁ、付いて来れるかお前達!覚悟を決めたら気合いを入れろ!気合いを入れたら敵をもてなせ!」
私の隣には零士を始め、悠里、雪蓮、秋蘭、凪、流琉、恋、華雄、霞が並んでいる。
その少し後ろに、月、詠、音々音、華佗、氷華、雷蓮、風香が控えていた。
皆の顔はとても清々しそうに、穏やかに、だけど瞳は熱く燃えていた
咲夜「声高らかに行こうじゃないか!お食事処【晋】、開戦だ!」
『いらっしゃいませぇぇぇぇぇぇ!!!!』
洛陽決戦が、切って落とされた
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こんにちは! Second Generations複数視点 洛陽決戦其一 |
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コメント | ||
いらっしゃいませー、で某糞ゲーオブザイヤーのやつ思い出したw(noel) 男の為に国売った割には元気だなコイツらw(noel) 遂に始まってしまった。にしても桃香が可哀想思えてきた。まぁ相変わらずではあるけども。(ohatiyo) |
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