英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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〜エルベ離宮・紋章の間〜

 

「”帝国解放戦線”と言えば”通商会議”の時にも襲撃して来たエレボニアのテロリストでしたな……そして”身喰らう蛇”と言えば”リベールの異変”に加えてエレボニアの内戦の裏で暗躍していたという犯罪組織…………」

「その……リィンさんはメンフィル帝国が”帝国解放戦線”のリーダーと”身喰らう蛇”の最高幹部と思われる”蛇の使徒”の一人をメンフィル帝国が拘束していると仰っていますが……」

リィンの話を聞いたアルバート大公は考え込み、クローディア姫は不安そうな表情でリウイを見つめた。

「…………ああ、事実だ。カイエン公を拘束する際に奴等も拘束した。」

「リィンさんは二人の”減刑”と仰っていましたが………メンフィル帝国に拘束されている二人の処罰は既に決定しているのですか?」

リウイの話を聞いたアリシア女王はある事が気になり、真剣な表情で尋ねた。

 

「それは…………」

「現在は”処刑”の予定じゃ。」

アリシア女王の問いかけにイリーナが複雑そうな表情で答えを濁している中リフィアが静かな表情で答えた。

「ええっ!?い、幾ら相手がテロリストのリーダーや”結社”の最高幹部とは言え”処刑”は余りにも惨いのではないでしょうか……?」

「……そもそも一体何の”罪”で二人を”処刑”する事にしたのですか?幾ら二人がカイエン公同様内戦の元凶であるとは言え、メンフィル帝国が拘束したのですからエレボニアの内戦の件は関係ないですよね?」

リフィアの答えを聞いたクローディア姫は驚いた後反論し、エイドスが静かな表情で問いかけた。

 

「まず”帝国解放戦線”のリーダーであるクロウ・アームブラスト。当事者であるクローディア姫とアルバート大公は覚えていると思うが奴はオズボーン宰相を暗殺する為にテロリスト達をオルキスタワーに送りこんで暗殺を狙い、暗殺失敗の際にはタワーの屋上に停泊させたヘリを自爆させてタワーごとオズボーン宰相を葬ろうという計画を立てた”首謀者”だ。万が一タワーが崩壊した際、”通商会議”に参加していたリフィア達がそれに巻き込まれてしまえば最悪命を失っていただろう。皇族の命を脅かしたという”罪”は重い。」

「そ、それは……しかしあの事件は未然に防がれたではありませんか!」

「―――実は後に判明したのですがあの時”帝国解放戦線”は他の方法でオズボーン宰相や各国のVIPの方々に加えてクロスベルの民達ごと葬ろうとしていたのです。どちらかというとそちらに対する”罪”が重いとの事です。」

「え………」

「我々に加えてクロスベルの民ごとというのは一体どういう事なのですか?」

エリゼの説明を聞いたクローディア姫は呆け、アルバート大公は戸惑いの表情で尋ねた。

 

「……その件に関しては私が説明をさせてもらう。エレボニアとカルバードのテロリスト達に襲撃されたあの会議の日にガレリア要塞が”帝国解放戦線”に襲撃され、一時的に”帝国解放戦線”によって占拠されてしまった。」

「ええっ!?」

「まさかそのような事が起こっていたとは……!しかし何故そこで先程の話が関係するのですか?」

オリヴァルト皇子の説明を聞き、クローディア姫と共に驚いたアルバート大公は真剣な表情で尋ねた。

「…………!!まさか…………ガレリア要塞に搭載されてある”列車砲”で”クロスベルごとオズボーン宰相を葬ろうとしていたのですか”?」

「………………はい。」

そしてある事に気付いて信じられない表情をしたアリシア女王の推測にアルフィンは悲しそうな表情で頷いた。

 

「そ、そんな…………」

「各国のVIPの方々どころかクロスベルの民達まで巻き込もうとしていたなんて……」

「……なるほど。その件も考えれば確かに極刑が降されてもおかしくありませんな。」

「「…………………」」

アリシア女王の推測を肯定したアルフィンの答えを聞いたクローディア姫は表情を青褪めさせ、ユーディットは信じられない表情で呟き、セルナート総長は納得した様子で呟き、ヴァイスとエルミナは静かな表情で黙り込んでいた。

「……どういう事ですか?そのような話は初耳です。エレボニアは何故当事者である我々にもそのような事件があった事を報告してくださらなかったのですか?」

一方アルバート大公は厳しい表情でオリヴァルト皇子達を見つめて問いかけた。

 

「……お恥ずかしい話になりますがテロリストにガレリア要塞が占拠されてしまい、各国のVIPの方々の命を脅かしてしまったという失態を隠す為に情報操作を行いました。」

「それは…………」

「エレボニア帝国の立場を守る為に情報操作、ですか。」

「国としては正しい判断だな。」

クレア大尉の説明を聞いたクローディア姫は複雑そうな表情をし、エルミナとヴァイスは真剣な表情で呟いた。

「……しかし情報操作を行ったその件を何故メンフィル帝国は存じているのですか?」

「メンフィル帝国とはガレリア要塞の件を内密にする代わりに当時実習活動でガレリア要塞に訪れていた”Z組”のメンバーの中にメンフィル帝国の”客将”であり、トールズ士官学院に留学していたエヴリーヌ殿がいらっしゃいまして。事件が起こった際彼女はメンフィル帝国にガレリア要塞で起こった事件を報告した後エレボニア帝国に無許可で”列車砲”を破壊してしまったのですが……メンフィル帝国よりガレリア要塞の件を内密にする代わりにエヴリーヌ殿の行動をとがめないという内容もあったのです。」

アリシア女王の疑問に対し、オリヴァルト皇子は静かな表情で答えた。

 

「ええっ!?エ、エヴリーヌさんが”列車砲”を!?」

「エヴリーヌ……”魔弓将”ですか。生身で”列車砲”を破壊するとは噂以上の凄まじい使い手ですな。」

驚愕の事実にクローディア姫は驚き、セルナート総長は静かな表情で呟いて真剣な表情でリウイ達を見つめた。

(あ、あの娘、そんなとんでもない事をやっていたの!?)

(”魔神”ならば兵器の破壊も容易い事ですわ。)

(アハハ……フェミリンスさんは当然としてママもできる気がするよ。)

(そういうミントだって”竜化”すれば破壊できると思うんだけどな……)

ジト目になったエステルの小声にフェミリンスは静かな表情で答え、苦笑しているミントの小声を聞いたヨシュアは疲れた表情で推測していた。

 

「話が逸れてしまいましたが……クロウ・アームブラストの件を一端置いておくとしまして、”身喰らう蛇”とやらの最高幹部を”処刑”する”罪”は一体何なのでしょうか?」

その時エイドスが話を戻してリウイ達を見つめて尋ねた。

「”蛇の使徒”の”第二柱”―――”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダはこの場にいる全員が存じていると思うが国際犯罪組織。加えて奴は下手人アルティナ・オライオンにユミル襲撃が起こった際混乱に紛れてアルフィン皇女と共に”シュバルツァー男爵家”の娘の一人であるエリス・シュバルツァーの誘拐を指示した首謀者だ。」

「”シュバルツァー”という事は先程の話に出て来た…………」

リフィアの説明を聞いたアルバート大公はリィンとエリゼを見つめ

「―――はい。当時誘拐されてしまったエリスは俺の妹でそちらにいるエリゼの双子の妹に当たります。」

「……………………」

アルバート大公の言葉に続いたリィンに視線を向けられたエリゼは何も答えず静かな表情で黙り込んでいた。

 

「貴族の令嬢誘拐の首謀者である事だけでは極刑の判決が出る可能性は低いが、ゼムリア大陸で自らの野望の為に暗躍していた国際犯罪組織の最高幹部なら極刑の判決が出てもおかしくないな。しかもエリス嬢を誘拐して国家間の関係を戦争状態に陥らせてしまったという重罪もある。」

「……そうですね。実際”身喰らう蛇”は”リベールの異変”を起こした首謀者であり、エレボニアの内戦の裏で暗躍していた”協力者”でもあったのですし、メンフィルとエレボニアを戦争状態に陥らせた元凶の一人でもありますしね。」

「それは…………」

ヴァイスとエルミナの話を聞いたクローディア姫は複雑そうな表情をし

「フム…………リィン・シュバルツァー殿。その二人の”減刑”を嘆願する理由を尋ねても構わないだろうか?」

考え込んでいたアルバート大公はリィンを見つめて尋ねた。

 

説明
第597話
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コメント
本郷 刃様 まあその方が周りも同情してくれますものね 匿名希望様 いや、撃つ気は少なくてもあったでしょう。実際原作序章では本当に撃っていますし(sorano)
追記 それにあの事件に、どうしてクロウは敢えて敵として参戦したんだろうか? 勿論、自分は帝国解放戦線のメンバーじゃないという事を証明するためっていうのはあるんだろうけど、あの作戦は彼らにとっては何が何でも成功させなければならないはずなのに。(匿名希望)
列車砲の事件ってホントに撃つ気あったのかな? 宰相を葬るだけなら一発で十分だし、数少ない幹部クラスの戦力を2つに分けるのはもったいなさすぎる。むしろ稼働は2つして、どちらかを確実に守るべきだった気もするな。(匿名希望)
魔神なら下手な国でさえ滅ぼせますけどね、止められるのは神格者や神くらいでしょうw 減刑の嘆願理由は下手に建前を言うよりも本音で語る方が好印象かな〜(本郷 刃)
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