本編補足 |
先駆け
C1 誘い
C2 集結
C3 突撃
C4 勢い余って…
C1 誘い
夜。ヂョルガロン王国国境付近クジョの森。焚火を輪になって取り囲むゴド盗賊団の盗賊団員達。彼らの傍には彼ら専用の人型機構が2機ある。炎が彼らの影を揺らす。彼らから少し離れた位置の石に座る痩せこけたゴド盗賊団員のアング。ゴド盗賊団の頭目は、金の入った袋を地面に投げつける。音を鳴らせ転がる数枚の硬貨。
ゴド盗賊団の頭目『ちっ、これぽっちしかねえ。』
腹を押さえるゴド盗賊団員A。ゴド盗賊団員達に背を向けるアング。
ゴド盗賊団員A『…こうも獲物がなくっちゃなぁ。腹が減ってたまらんぜ。』
アングは周りを見回し、瓢箪でできた酒器を取り出し、舌なめずりする。
ゴド盗賊団員B『金も食い物も、周りにゃ野郎どもばかりだしよ。』
瓢箪でできた酒器の蓋を開け、片目を閉じ、酒に映り揺れる月をみつめるアング。ジョルガロン王国の国境の壁の方を向くゴド盗賊団員達。
ゴド盗賊団員C『ちっ、あの壁の向こうには、金も財宝も食い物も、女もあるってのに!』
アング『ぷっは〜。うめぇ。』
口を腕で拭うアング。アングの方を向く一同。ゴド盗賊団の頭目は蟀谷に欠陥を浮き出させ、アングを睨み付ける。
ゴド盗賊団の頭目『おい!テメェ!!』
振り返るアング。アングを睨み付ける一同。ゴド盗賊団の頭目はアングに駆け寄り、胸ぐらをつかむ。
ゴド盗賊団の頭目『なに酒のんでんだよ!!俺達がこんなんだってときによ!』
持ち上げられ首を振るアング。
アング『あ、い、いや〜これは…。』
アングの周りによるゴド盗賊団員達。ゴド盗賊団員Aは腰に手を当て、アングを睨み付ける。
ゴド盗賊団員A『テメ、俺達に酒があることを隠してやがったな!』
ゴド盗賊団員B『やせっぽっちでクソ程も役に立たねえくせに、立派に酒なんぞ飲みやがって!クソがぁ!』
両手を前に突き出すアング。
アング『うわわわわわ!ちゃいます!ちゃいますって!!』
頬を人差し指で掻き、目をそらすアング。
アング『こ、こりはですね…。』
アングを押し倒すゴド盗賊団の頭目。目を見開いて、ゴド盗賊団の頭目の顔を目に映し、青ざめるアング。
ゴド盗賊団の頭目『仲間に隠し事するとはいい度胸じゃねえか!ああ!』
ゴド盗賊団員D『そうだ!やっちまえ!』
ゴド盗賊団員E『やっちまえ!やっちまえ!!』
蹄鉄の音。
振り返るゴド盗賊団員達。木々の間から現れる騎乗したペル盗賊団員A。
ペル盗賊団員A『おお、派手にやってんな。』
拳をおろし、ペル盗賊団員Aの方を向くゴド盗賊団の頭目。咳き込むアング。
ゴド盗賊団の頭目『お前はペルんとこの…。』
馬から降りるペル盗賊団員Aの傍に寄り、見下ろすゴド盗賊団の頭目。ペル盗賊団員Aはゴド盗賊団の頭目を見上げ、尻餅をつく。
ペル盗賊団員A『おいおい、そんな怖い顔で見つめんな!せっかくいい話があるってのによ。』
腕組みをするゴド盗賊団の頭目。
ゴド盗賊団の頭目『いい話〜?』
ペル盗賊団員Aは尻をはたきながら起き上がる。
ペル盗賊団員A『ま、あんたらがのらないってなら別にいいんだが…。』
ゴド盗賊団の頭目はペル盗賊団員Aの眼と鼻の先に顔を寄せる。
ゴド盗賊団員A『で。』
ゴド盗賊団の頭目を見つめ、ゆっくり頷くペル盗賊団員A。
ペル盗賊団員A『あ、ああ。あんたら…。』
ペル盗賊団員Aはヂョルガロン王国の国境の壁を指差す。
ペル盗賊団員A『あの壁の向こう側へ行ってみたくないか?』
眼を見開き、ヂョルガロン王国の国境の壁の方を向く一同。
C1 誘い END
C2 集結
深夜。ヂョルガロン王国国境付近クジョの森。 集うゴド盗賊団、ペル盗賊団をはじめとした獣人、亜人を含む各々の盗賊団員達が輪になって座る。中心には驢馬に乗った筋骨隆々とした色黒の大男で矛を構えるクジョの騎馬民族の大王を自称するボブサピュー。
ペル盗賊団の頭目『おい、本当に俺ら、あの壁の中に入れるんだな!』
頷くボブサピュー。
A盗賊団の頭目『しかし、大丈夫なのか?俺らはごろつき…あいつらは正規兵だぜ。何かいい方法でもあるのかよ?』
鼻で笑い、矛の柄で自身の肩を叩くボブサピュー。
ボブサピュー『だからこそ、お前らを集めたわけよ。』
顔を見合わせる盗賊団員達。
ゴド盗賊団の頭目『どういうこった?』
矛の柄で自身の両肩を交互に叩くボブサピュー。
ボブサピュー『今、農民反乱でシルパラとシャクノツゴーが出陣…。』
ざわめき。
B盗賊団の頭目『そ、それは確かに朗報だけどよ。そんな農民ごときに多くの兵を出すか?』
ざわめき。
ボブサピュー『まあ、話を最後まで聞け。』
頷く一同。ボブサピューは人差し指で自身の右目を指す。
ボブサピュー『おりゃ見たんだよ。ヨウ関からよ。シンノパクラと兵士達が出ていくのを。』
顔を見合わせる一同。
ボブサピュー『つまり、今、ヨウ関は固められてないってこった。』
ボブサピューは一同の顔を見回す。
ボブサピュー『守備の奴らが居ても、この人数なら押しつぶせるだろ。』
笑みを浮かべる一同。
ボブサピュー『壁を越えれば自由だ!金も財宝も、食い物も、女も!好きなだけ!奪え!殺せ!犯せ!』
一同を見下ろすボブサピュー。
ボブサピュー『どうだ?』
雄叫びが木霊する。
C2 集結 END
C3 突撃
深夜。ヂョルガロン王国国境付近クジョの森。山道を歩く盗賊団員達と彼らの所有する人型機構。ゴド盗賊団員Aの方を向くアング。
アング『なあ。』
アングの方を向くゴド盗賊団員A。
ゴド盗賊団員A『何だ?』
アングは駆け足しながらゴド盗賊団員Aの前方に出る。
アング『壁こえたら、金、食い物、女…自由にしていいのか?』
ゴド盗賊団員A『んっ、ああ自由じゃねえのか。』
ゴド盗賊団員Bの方を向くアング。
アング『本当にいいんだな。』
眉を顰め、頷くゴド盗賊団員B。
ゴド盗賊団員B『いいんじゃねえか。』
飛び上がるアング。
アング『そうか!』
鼻息を荒げて、彼らの前進アング。
アング『金、食い物、女!金、食い物、女!』
顔を見合わせるゴド盗賊団員Aとゴド盗賊団員B。
ゴド盗賊団員A『いつにもまして、やる気まんまんだな。』
ゴド盗賊団員B『死ぬんじゃねえか?』
深夜。ヂョルガロン王国国境付近クジョの森。高台からヨウ関を見下ろす一同。ボブサピューは自身の専用の人型機構のコックピットのハッチの上に驢馬に騎乗して出、腕組みする。彼は矛を振り上げる。
ボブサピュー『これより!ヨウ関をぶち破る!俺に続けーーーーーーっ!』
砂煙をあげ、勢いよく駆けていくボブサピュー機。砂煙が一同を覆う、咳き込む一同。C盗賊団の頭目が小さく見えるボブサピュー機を指差す。
C盗賊団の頭目『おい、見ろ!もうあんなとこまで行っちまったぞ!』
D盗賊団の頭目『先を越されるな!続け!続けーーーーっ!』
高台を駆け下りていく盗賊団員達。
C3 突撃 END
C4 勢い余って…
ヂョルガロン王国国境付近クジョの森。雄叫びを上げ、駆け下りていくゴド盗賊団、ペル盗賊団をはじめとした獣人、亜人を含む各々の盗賊団員達。
ボブサピューの声『ちぃ、もう…。だが、ふんっ!貴様らが出てきたところで!この大軍勢を見ろ!』
ゴド盗賊団員A『あのやろ。もう行きやがったのか!』
アング『ちっ、先を越されるかよ!』
ボブサピューの声『何とぼけた顔をしてやがる!』
徒歩の盗賊団員達を抜き去る、各盗賊団の人型機構達。アングはそれらを睨み付け、飛び上がる。
アング『おめえら、卑怯だぞ!奴らに先を越されるもんか!うおおおおお。』
ボブサピューの声『ちょうどいい。奴がヂョルガロンの王だ!それ血祭りにあげてやれ!!かかれ!』
勢いよく駆けていくアング。続く徒歩の盗賊団員達。
ボブサピューの声『うおっ、何をしているはやくかかれ!奴を殺しゃ、さらに自由自在だ!金、財宝、食い物、女!自由にできるんだぞ!テメェら…。あれ?』
砲弾がアングの前方のA盗賊団の人型機構のコックピットを貫く。倒れるA盗賊団の人型機構。押しつぶされる盗賊団員数名。腕を伸ばす盗賊団員を駆けていく盗賊団員達が押しつぶす。
ボブサピューの声『くそっ!』
ヂョルガロン王国国境ヨウ関。城壁に立つ鎧兜を着たヂョルガロン王国国王のギュウジュウとユ王国国王の容姿端麗なユガの息子で容姿端麗なユーリに文官のリンパクとソンタク及び守備兵達。ヨウ関に突撃する盗賊団の人型機構群。息を切らし駆けていく盗賊団員達。
ゴド盗賊団員A『おいおい。ボブサピューの野郎は何処に行きやがった!さっきまで声聞こえてただろ。』
ゴド盗賊団員B『そういや見なかったな。俺達より先に言ったのに。』
アング『いいじゃねえか。これで分け前が増える。けけけけけ。』
アングは他の盗賊団を追い抜いて門に駆け寄る。砲弾が盗賊団の人型機構の多数を貫き、駆ける盗賊団員多数を吹き飛ばす。門に矛を突き立てるアング。
アング『金、食い物、女!金、食い物、女ぁ!』
矛を何回も突き立てるアング。門にたどり着き、押す各盗賊団の人型機構。その下で、門に刃を突き立てる盗賊団員達。
アング『これでこんな生活ともおさらばだ!』
銃撃音。
弓と銃弾が飛び交い、血まみれになり倒れる幾多の盗賊団員達。歯を食いしばり門に矛を突き立てるアング。
アング『金、食い物、女!金、食い物、女ぁ!』
人型機構用の弓矢がアングの後頭部に当たる。
アング『ぁあ?』
血飛沫と脳漿が飛び散り、顔面が真っ二つに割れ、地面に膝を落とすアング。ざわめきが巻き起こる。盗賊団員達の後の森林に現れるシャクノツゴー軍の旗。ゆっくりと地面に崩れ落ちるアングの体。
C4 勢い余って… END
END
説明 | ||
・必要事項のみ記載。 ・グロテスクな描写がございますので18歳未満の方、もしくはそういったものが苦手な方は絶対に読まないで下さい。 ・心理的嫌悪感を現す描写が多々含まれておりますのでそれういったものが苦手な方は絶対に読まないで下さい。 |
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