九番目の熾天使・外伝 〜vsショッカー残党編〜
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「退屈させるなだと……嘗めるなぁ!!」

 

ヒートに挑発されたSR11号は、怒りの感情を剥き出しにしながら彼女に殴りかかる。自分はショッカーに開発された改造人間で、人間を超えた存在だ。そんな自分がこんな小娘などに甘く見られるなど、彼にとってはとても我慢のならない状況だった。しかし…

 

「面白いくらい挑発に乗るわね」

 

「―――ッ!?」

 

そういった感情も、ヒートからすれば実に思惑通りだった。ヒートの両手がSR11号の突き出した右手を掴んだ瞬間、SR11号は気付けば背負い投げの要領で彼女に投げ飛ばされ、地面に叩きつけられていた。

 

(!? !? !?)

 

何が起こった。俺はこの小娘に何をされた。SR11号は思考が追いつかないまま、倒れている自身に目もくれず考え事をしているヒートを見据える。

 

「う〜ん。肉体その物を改造してるだけあって、やっぱり体重も相当重いわね……ヒートのパワーでも何とか持ち上げられるくらいのレベルって事ね…」

 

俺を見ていない。彼女はデータ解析の為に考え事をしているだけで、地面に倒れているSR11号の事など眼中にもない。それがSR11号にとっては、とてつもなく腹立たしかった。

 

「…調子に乗るなよ小娘の分際でぇっ!!!」

 

「あぁそうそう、攻撃面のデータは今の攻撃で充分取れたわ。だから次は防御面ね」

 

SR11号の回し蹴りも、ヒートはしゃがんで難なく回避し…

 

−ドゴォッ!!−

 

「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

ヒートの左足でのキックが、SR11号を大きく吹き飛ばした。想定外の攻撃力にSR11号は驚愕しつつ近くの柱にぶつかり、地面に落下する。

 

「ふぅん、意外と吹っ飛ぶのね。これだと防御面もそこまである訳じゃないって事かしら…?」

 

「ッ…おのれ!!」

 

つまらなさそうに呟くヒートだが、そもそもこの場合は彼女の使っているヒートメモリが相性抜群である事から、彼女の全体のスペックが上がっているだけの事である。しかしそんなガイアメモリの特性も知らないSR11号は苛立ちが募るままに、自身のバイクへと飛び乗ってからヒートに向かって突撃する。

 

「自分の力じゃ敵わないからってバイクに頼るの? 男らしくないわね」

 

「!? うぁあっ!?」

 

それでもヒートは慌てず、SR11号が乗っているバイクを思いきり蹴りつける。それだけで勢いのままに突っ込んだSR11号は前方向に吹き飛び、彼のバイクがバラバラに粉砕される。

 

「ぐ…!!」

 

「さて……で、もう終わりかしら? 他に何か手はある? 今、あなたが必死に考えている事は何かしらね。私を倒す手段? それともここから逃げる手段? もしくは、この私に泣いて謝る手段かしら?」

 

言いたい放題のヒート。その明らかに馬鹿にしているかのような口ぶり、先程から彼女によって何度も味わう羽目になっている屈辱、そしてショッカーに忠誠を誓った改造人間としての誇り。それらが重なり、今のSR11号は正常な判断という物がまるで出来ていなかった。それ故に…

 

「う……うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

考えるよりも先に、拳が出てしまったのだ。SR11号はヒートに向かって駆け出し、ヒートもそれを見てロストドライバーのメモリスロットからヒートメモリを抜き取り、素早く左腰のスロットに装填する。

 

≪ヒート・マキシマムドライブ!≫

 

「面白いくらい釣られてくれたわね。改造した所為で思考能力も下がったのかしら」

 

「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

「ふぅ…………ライダーパンチッ!!」

 

もはやヤケクソとも言えるような声を叫びながら、ライダーパンチを繰り出そうとするSR11号。ヒートはその場から動かず、エネルギーが溜まった右手に炎を纏わせる。そしてSR11号のライダーパンチがヒートに炸裂しようとしたその瞬間、ヒートも同じようにライダーパンチを繰り出し…

 

「ご、ふ…!?」

 

「あなたの負け。残念だったわね」

 

クロスカウンターの要領で、SR11号の顔面に炸裂させた。逆にSR11号の拳は空振りに終わり、ヒートの拳で仮面がグシャリと凹んだSR11号は、全身からバチバチ火花を散らす。

 

「ば、馬鹿、な……何、故―――」

 

自身の敗北を認められず、断末魔を上げる事も無いままSR11号はその場で爆散。周囲には((かつてSR11号だった|・・・・・・・・・・・))パーツが散らばり、ヒートは構えを解いてから右手をパッパと払う。

 

「!? 11号が!!」

 

「くそ、ここは撤退だ!! 全員引け!!」

 

「ん? あ、おい……あちゃあ、逃げちゃったか」

 

「何やってんのよハルト、早く使い魔出して後を追わせなさい」

 

「ん、あぁそうだった」

 

≪ガルーダ!≫

 

≪ユニコーン!≫

 

≪クラーケン!≫

 

「そんじゃ、追跡よろしく!」

 

SR11号が敗れたのを見て、残った四人のショッカーライダー達は大きく跳躍し、あっという間に炭鉱から姿を消してしまった。ヒートに指摘されたウィザードは慌てて使い魔のプラモンスター逹に逃げたショッカーライダー達の行方を追わせてから、変身を解除してハルトの姿に戻る。その隣に立っていたカリスも一枚のラウズカードを取り出し、ベルトに戻していたカリスラウザーにスラッシュする。

 

≪SPIRIT≫

 

音声が鳴ると共に、カリスの目の前に等身大サイズのカード状エネルギーが出現。カリスはそのカード状エネルギーを通過し、容姿の若い青年―――相川始の姿へと変わる。

 

「お? おたく、なかなかのイケメンさんじゃないの」

 

「…お前達に聞きたい事がある」

 

「あら、スルーしちゃう?」

 

ハルトのイケメン発言をスルーし、始は同じく変身を解除していたハルカの方へと振り向く。

 

「お前達は何者だ? 先程の連中を、お前達は知っているのか?」

 

「ん〜……色々話を聞きたいって気持ちは分かるわ。でもまずは自己紹介からしましょう? 私は三千院晴香。仮面ライダーヒートよ」

 

「俺は仮面ライダーウィザード、春風アキラだ。まぁこんな名前だが、取り敢えず俺の事は一応ハルトって呼んでくれ」

 

「…相川始。お前達のように名乗るならば……仮面ライダーカリスだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「秘密結社ショッカー……改造人間……ショッカーライダー……ここがショッカーの作った世界……そして、最終目的が世界征服…」

 

炭鉱に存在する一つの小屋。そこまで移動した後、始は壁に背を付けたままショッカーに関係する情報をハルカ逹から聞かされ、考える仕種をしていた。ハルカは床に座って火の点いたランプで温まっており、ハルトは予め持ち込んでいた水筒でお茶を飲んでおり、その隣では未だ目覚めない少女が横になって寝かされている。そして何時の間に戻って来ていたのか、Wディアーリーズはハルトから貰ったお茶を、専用のティーカップで飲みながらのんびりと寛いでいる。

 

(まるで、天王路の造り出したケルベロスや、トライアルシリーズとそっくりだな…)

 

始はかつて対峙した男―――天王路博史の事を思い出す。かつて人造アンデッドのケルベロスを誕生させ、そのケルベロスと融合する事でアンデッド同士の戦い―――バトルファイトの勝利者になろうとした男の事を。

 

「まぁそういう訳で、私達はそのショッカーを追ってこの世界にやって来たの。私達以外にも、ショッカーを殲滅する為にやって来た仲間が何人かいるわ。今は別行動中だけど」

 

「そうか…」

 

「…取り敢えず、私達から説明出来る事は一通り説明したわ。次はあなたの話を聞かせて貰うわよ、仮面ライダーカリス……いや、ジョーカー」

 

「!!」

 

“ジョーカー”の単語を聞いた途端、始はハルカ逹に対して警戒したような表情を見せる。

 

「…何処まで俺の事を知っている?」

 

「安心して頂戴。別にあなたと戦うつもりは無いわ。私が聞きたいのは、あなたがどういった経緯でこの世界に来たかって事よ」

 

「……」

 

警戒心は解いていないものの、このまま睨み続けていても状況は変わらないと思ったのだろう。始はひとまず睨むのをやめる。

 

「…数日前だ」

 

近くの木箱に座ってから、始が再び口を開く。

 

「俺は外出中、いきなり妙な空間に吸い込まれ、そして気付けばこんな世界にいた。この世界が何なのかも分からないまま、先程のように妙な怪人達の襲撃を受けては戦って追い払う。ずっとその繰り返しだ」

 

「…なるほどね。恐らくアンデッドが持つ不死生を研究する為に、ショッカーはずっとあなたを狙い続けていたんだと思うわ」

 

「この世界に取り込まれた際、俺が持つカードからもアンデッドが数体ほど解放されてしまった。さっきの連中が従えていた奴等は全て封印出来たが……あと一体だけ、まだ封印されていないアンデッドがいる」

 

「その最後の一体、カテゴリーは何かしら? …まぁ、何となく想像はつくけれど」

 

「…恐らく、お前の想定している通りだろう」

 

始は13枚のラウズカードを取り出し、それを床に広げてハルカ逹に見せつける。蟷螂を始め、人間、シュモクザメ、蜻蛉、巻貝、鷹、毒蔓植物、蛾、ラクダ、百足、狼、そして蘭。カテゴリーAからカテゴリーQまでなら一通り揃っているハートスートのラウズカードだったが、カテゴリーQの隣に置かれているラウズカード―――カテゴリーKだけは唯一、動物の絵柄が何も描かれていない状態だった。

 

「はぁ……ハートスートのカテゴリーK、パラドックスカレハカマキリの始祖、パラドキサアンデッドね。また厄介な上級アンデッドが封印から解き放たれちゃってるのね」

 

「俺がいた世界では、奴は封印されてから今まで一度も解放されてはいなかった。仮に奴が他の奴等と同じように人間の姿をしているとなれば、居場所を特定する為の手がかりを掴む事は出来ないだろう。俺が直接、奴と対面しない限りはな」

 

「…まぁ、その辺はこれから対応していきましょう。居場所が分からないんじゃどうしようもないわ」

 

「だが、俺は一刻も早く元の世界に戻らなければならない。でないと、俺がいた世界は…」

 

「あ、そうだわ。あなたに一つ聞き忘れていた事があるの」

 

ハルカはデバイスに映ったジョーカーの全体像を始に見せながら、一番疑問に思っていた事を問いかける。

 

「あなたの正体であるジョーカー。それは、こんな姿で間違いないわね?」

 

「…あぁ、そうだが」

 

「ついさっき、あなたにそっくりの青いジョーカーを見つけたの。何か心当たりは無い?」

 

「!?」

 

青いジョーカー。その言葉を聞いた直後、始の表情はこれまでにない驚愕の物へと変化し、始はハルカの肩を掴んで問い詰める。

 

「そのジョーカーは今何処に…!?」

 

「ちょ、話す!! 話すからまずは落ち着きなさいっての!!」

 

「…あ、済まない」

 

ハッと我に返った始は素直に謝罪し、ハルカも彼が落ち着いたのを見てから説明する。

 

「私達がここへ来る前に、その青いジョーカーがこの子を抱き上げて……連れて行こうとしたのかしらね? 傍から見ると怪人が女の子を襲っているようにも見えたから、ハルトが変身してそいつと戦って、そしたら向こうから何処かに消えていなくなっちゃったの」

 

「…そうか」

 

ハルカの説明を聞いて、始は未だ驚いた表情をしつつも木箱に座り直し、未だ眠っている少女を見つめる。

 

「まさか、本当にアイツが…………いや、だが何故…」

 

「…青いジョーカーの正体、何か心当たりがあるみたいね。まぁ深くは追及しないわ。あなたの表情から察するに、かなる複雑な事情のようだし」

 

「…あぁ、本当に済まない」

 

「どうって事ないわ……さて」

 

ハルカはランプの火を消してから立ち上がる。

 

「ハルトの使い魔達がショッカーのアジトを突き止めてくれるまでの間に、okakaさんや支配人さん達と合流しておきたいわね。私達はこれから街の方へ向かうけど、どうする? あなたも一緒に来るかしら?」

 

ハルカから共に街へ向かうかどうか誘われ、始も少し考えてから答える。

 

「…分かった。同行させて貰おう……その子が目覚めた時に、俺はその子から話を聞かなければならない」

 

「…決まりね。ハルト逹も良いわね?」

 

「おう、こっちもOKだぜ」

 

「ハルカが言うのであれば、私も文句は無い」

 

ご機嫌そうなWディアーリーズを見て、始はようやく彼の素性についてハルカ逹に問いかける。

 

「…さっきから気になっていたんだが、そいつは誰だ?」

 

「あぁ〜…何て言うべきかな? 一応は俺達の仲間なんだが……今はその、違う人格が乗り移っちゃってるって言うか何と言うか…」

 

「…そうか」

 

「あり? 結構あっさり理解するのね」

 

「似たような事があったからな」

 

始もかつては、自身が現在姿を借りている存在―――ヒューマンアンデッドの意識が表面に出て来た事がある。その事を薄らでも覚えていたからか、現在ディアーリーズに憑依しているジークに対しても、特に深く追及しようとはしなかった。

 

「まぁ良い。だが、街へはどうやって行くつもりだ? 移動手段はあるのか?」

 

(!)

 

始はこの炭鉱にはバイクで移動して来た身である。ハルカ逹に移動手段があるようには思えない始だったが、彼はすぐには気付かなかった。彼の言葉を聞いて「待ってました」と言わんばかりの表情をした男が一人いた事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうする気だ?」

 

「ちっちっち、まぁ任せて頂戴よ」

 

小屋から出た後、広い場所に集まったハルカ逹。自分のバイクを回収して来た始がどうするつもりなのかハルトに問いかけ、ハルトは自信たっぷりに一つのウィザードリングを取り出す。

 

「さぁさぁお立会い、ここに取り出したるは何の変哲もないただの指輪! 種も仕掛けもありません! さぁさぁ皆さん、お手を拝借!」

 

「はぁ、面倒臭いわねぇ……ジーク、あなたも手を出しなさい」

 

「うむ、良いだろう。ハルカがそう言うのであれば」

 

「…?」

 

少女を背負ったハルカとWディアーリーズはハルトの左手に触れ、バイクに乗ったままの始は「?」と首を傾げつつも右手でハルトの右肩に触れる。

 

「この指輪を〜、このベルトのバックルに翳します!」

 

≪テレポート・プリーズ≫

 

テレポートリングがバックルに翳され、一同は一瞬の内に炭鉱から風都の街中へと転移する。

 

「するとあら不思議! さっきまで炭鉱にいたのが、一瞬にして街に瞬間移動してしまいましたとさ〜♪」

 

「…!?」

 

(…旅団だと転移如きじゃ驚かない人達ばっかりだから、ある意味で新鮮な反応に思えるわね)

 

周囲の景色が一瞬で風都の街中に変わったのを見て、流石の始も目を見開いた状態で驚いている。そんな彼の反応を見て、ハルカは内心でそんな事を思いながらも苦笑する。

 

「さて、okakaさんや支配人さん達は今、何処にいるのやら―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、そのokakaと支配人は…

 

 

 

 

 

 

「それにしても、良い事務所だな」

 

「お褒め預かり光栄だ」

 

鳴海探偵事務所。風都の住民達からいつも頼りにされているこの探偵事務所に、荘吉はokakaと支配人の二人を連れた状態で帰還していた。okakaと支配人は荘吉から受け取ったマグカップのコーヒーを飲みながら、荘吉に自分達の所属する組織の詳細を(所々ボカしながら)説明し、自分達も仮面ライダーとして怪人と戦っている事、今回の任務でショッカーを殲滅する為にこの世界に来た事、自分達以外にも何人かの仲間達がいる事など、説明するべき事を大まかに説明していた。

 

「…で、そのショッカーについて何か情報があったら教えて欲しいと?」

 

「あぁ、頼むよ。おやっさん」

 

支配人の“おやっさん”という呼び方に、荘吉はコーヒーを一口飲んでから問いかける。

 

「…そのおやっさんってのは何なんだ?」

 

「ん? あぁ、何となくそう呼ぶのがしっくり来ると思ってな。駄目だったか?」

 

「…いや、別に嫌という訳でもない。好きに呼べ」

 

「あぁ、じゃあおやっさんで」

 

「なら俺もそう呼ばせて貰うぜ、おやっさん」

 

「…おかしな連中だな」

 

荘吉はフッと笑みを浮かべつつ、机の棚から数枚の書類を取り出す。

 

「正直に言おう。俺はまだ、お前達が他にも色々隠している事くらいは分かる」

 

「だろうな」

 

「…だが同時に、お前達が色々な事情を抱えている事も分かった。それに免じて、あまり詮索はしないでおこう」

 

「あぁ、助かる」

 

本当に空気の読める人物で助かった。okakaと支配人は互いの顔を見て安堵した表情を浮かべる。

 

「そして同業者の身である以上、お前達にも色々と話はしておきたいんだが……生憎、そのショッカーって連中の詳細についてはまだ、それほど調べられている訳じゃない。残念だが」

 

「あらま」

 

「…ただ、ミュージアムから流出した何本かのガイアメモリを、妙な集団が回収しているところの目撃情報ならいくつか俺のところにも来ている。それからドーパント以外の怪物の目撃情報もな」

 

荘吉は手に持っていた数枚の書類を二人に手渡し、okakaと支配人はそれぞれの書類に目を通す。

 

「これは…」

 

書類には、街で目撃された怪人達の写真、その目撃場所や怪人の取っていた行動などに関する情報がより詳細に纏められていた。写真にはショッカー所属と思われる怪人の他にミラーモンスター、オルフェノク、イマジン、ファンガイア、ヤミー、ゾディアーツなどの怪人達も映っている。

 

「この街にドーパント以外の怪物が現れ始めたのは、ほんの一週間ほど前だったか……風都の空が今みたいな紫色になり、その直後に街中のあちこちに見た事も無い怪物が出没し始めたのさ。今も風都警察が怪物退治に勤しんでいる頃だろう。だが…」

 

「状況は更に悪化していくばかり……か?」

 

「そうだ。何故かは知らんが、あの怪物共は突然街の人間達を誘拐する行動を取り始めたんだ。既に何人もの住民が奴等に捕まっている。俺もスカルになって怪物達と戦っているが、どうにも手が足りない状況だった」

 

「そんな時に、俺達がやって来た訳か。誘拐された人達の足取りは掴めないのか?」

 

「居場所自体は既に分かっている」

 

荘吉はスタッグフォンを取り出して映像モードに切り替え、ある映像を二人に見せる。映像には、山の頂上にドンとそびえ立っている巨城―――ショッカーキャッスルが映し出されていた。ショッカーキャッスルの塔上にはショッカーの紋章入りの旗が掲げられている。

 

「つまり、この城がショッカーの拠点として使われているって事か……ん? という事は…」

 

okakaは気付いた。既にショッカーの拠点は判明している。それなら急いでこの城に向かうべきだ。なのに現時点で荘吉がこの城に向かっていないのは何故か。考えられる可能性は一つ…

 

「入りたくても、入れないようになってるって事か?」

 

「…察しが良いみたいだな」

 

荘吉はokakaから返されたスタッグフォンをしまう。

 

「城全体に、何やら大きな壁のような結界が張られているようでな。スカルになってどれだけ攻撃しても、破壊する事は不可能だった」

 

「侵入出来ない状態か。どうにかして、結界を破る方法さえ見つかれば…」

 

「それがまだ分かってない、という事か」

 

「悲しい事にな」

 

それを聞いて、okakaと支配人はう〜んと唸った。さっさと大ショッカーの残党を殲滅して((楽園|エデン))に帰ろうと考えていた彼等だったが、荘吉の話を聞き終えてからは、そう簡単に終わらない任務になりそうだなと思い始めていた。ショッカーという組織は本当に、何時になっても面倒極まりない組織である。

 

「…ところでだ。お前達の仲間とやらに、連絡はしなくて良いのか?」

 

「おっと、そうだった」

 

okakaは通信デバイスを取り出し、別行動中の仲間達に連絡を取る。

 

「こちらokaka。現在は支配人と共に、鳴海探偵事務所に滞在中」

 

≪こちらハルト。現在ハルカちゃんやウル達と共に、仮面ライダーカリスの相川始って奴と行動中。たった今、風都に到着したところだ≫

 

「! …そうか。今どうしてる?」

 

≪怪物に襲われていたと思われる女の子を保護してる。それからウルは……今現在、ジークってイマジンに憑依されてる真っ最中≫

 

「「…………………………………………は?」」

 

ハルトからの報告に、okakaと支配人は思わず呆けてしまった。

 

≪今はハルカちゃんのおかげで一緒に来てくれてる。鳴海探偵事務所だっけか? すぐそっちに向かうからちょいと待っててくれ≫

 

「…あぁ、分かった。そういえば刃は今どうしてる?」

 

≪え、執事ちゃんか? そっちにいるんじゃないのか?≫

 

「? そっちにいないのか?」

 

ハルトの報告に疑問を抱いた支配人は、オーライナーに待機中であろうユイとジンバに連絡を入れる。

 

「こちら支配人。ユイ、ジンバ、そっちに刃はいるか?」

 

≪いない。オーライナーには、私とジンバの二人だけ≫

 

≪む、いないのか? 私達はてっきり、レイ達と一緒に行動中だと思っていたが…≫

 

「「……」」

 

 

 

 

 

 

刃が完全に行方不明。

 

 

 

 

 

 

okakaと支配人は思わず顔を見合わせ、そして大きく溜め息をつきながら頭を抱える。

 

「…何かよく知らんが、苦労してるようだな」

 

「「えぇ本当に」」

 

荘吉からも同情される辺り、今のokakaと支配人は相当な苦労人となっている事が伺えよう……二人からすれば冗談な話じゃ済まされない訳でもあるのだが。

 

「たく。刃の奴、何処で何してやがんだ…?」

 

支配人は呆れた様子で刃に連絡を入れる。すると、すぐに刃との通信が繋がった。

 

「おい刃、お前何処で何してんだ?」

 

≪あ、支配人さん。すみません、少し単独行動を取らせて貰いました≫

 

「あぁ〜それはもう良いから。で、今何処にいる?」

 

≪山の頂上です。正確には、ショッカーキャッスルと言う城の前ですが≫

 

「「「!?」」」

 

刃の報告から、三人は思わず目を見開く。

 

≪残念ながら、結界を張られていて侵入は不可能でした。何でも話によると、結界を維持している装置を破壊しなければどうにもならないみたいですよ≫

 

「…!」

 

その時、okakaは気付いた。

 

「…お前、その情報は誰から聞いた?」

 

≪えぇ、野上幸太郎と名乗る人物から話を聞きました。本人は新しい電王だとか名乗っていますが≫

 

「「!!」」

 

スカルやカリス以外にも、別の仮面ライダーがこの世界にやって来ていた。しかもその野上幸太郎は今、自分達も知らない情報を有している可能性が高い。

 

「…刃、その幸太郎って奴にちょいと変わってくれ」

 

≪分かりました≫

 

少しして、通信デバイスからは別の声が聞こえて来た。

 

≪ん、もしも〜し。アンタが刃の言ってたお仲間さんか?≫

 

「あぁそうだ。お前が野上幸太郎だな?」

 

≪その通り、アンタ逹と同じ仮面ライダーさ。話は聞こえてたよ。情報が欲しいんだって?≫

 

「分かってるなら話は早い。すぐに合流出来るか?」

 

≪合流するのは良いけど、俺にだって色々事情があるんだ。こっちの条件を呑んでくれるのなら、アンタ逹の手伝いをしてやっても良いよ≫

 

「…分かった。条件は何だ?」

 

≪あぁ、それは―――≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ショッカーキャッスル内部…

 

 

 

 

 

 

 

「イーッ!」

 

「イィ?」

 

「イッ」

 

「イィーッ!」

 

改造手術室にて、ある改造手術が行われている真っ最中だった。白衣を着たショッカー戦闘員達が忙しくしている中、手術台には一人の人物が寝かされていた。

 

 

 

 

 

 

 

『……』

 

 

 

 

 

 

 

迷彩模様のアンダースーツに、防弾チョッキのようなプロテクター…

 

 

 

 

 

 

 

両手の黒い手袋と、両足の黒いブーツ…

 

 

 

 

 

 

 

首元にまかれた黄色のマフラー…

 

 

 

 

 

 

 

腰のベルトに取り付けられた風車ダイナモ…

 

 

 

 

 

 

 

緑色の複眼に触角、銀色のクラッシャーが存在する紺色の仮面…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その姿は、まさに“仮面ライダー”その物だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued…

 

説明
動き出す陰謀
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コメント
次話、更新しました(竜神丸)
全然無事じゃないな…それと、ディア、スマン。派遣期間が5月一杯まで伸びてしまった… (支配人)
人外の僕の内臓機能にダメージ与えられるってあの師匠ホント何なんだろう…(魔法カード『ご隠居の猛毒薬』を使いながら)(ディアーリーズ)
ディア:明らかに無事じゃなさそうなんですが(竜神丸)
僕は…無事に帰ってkゴフッ(ディアーリーズ)
アン娘:今度は誰に何をされた?(支配人)
竜神丸:レッツゴー仮面ライダーフラグ、もしくは3号的な新たなショッカーライダーか?(支配人)
ナニカサレタヨウダ…(Unknown)
刃:現在公開中の春映画の事を考えれば分かるかと(竜神丸)
竜神丸さん::ショッカーに捕まったライダー・・・再改造か( ̄へ ̄|||) ウーム(黒鉄 刃)
分かりやすく言うなら……ショッカーに敗れたライダーは、捕まった後に何をされる?(竜神丸)
まぁ、味方サイドばかりじゃあ相手が…ねぇ?(支配人)
取り敢えず途中経過:7人目のゲストキャラが登場。ただし、味方サイドではないようで…(竜神丸)
今回はお休みを頂きましたので・・・>>劇場(kaito)
朱雀さん::夢を持つ事は良いことだと思いますよ?(黒鉄 刃)
朱雀:誕生日か、おめでとう。コメントで、しかも男で悪いが。 独り身は寂しいよな…(支配人)
okakaさんとディアが忙しそうですな・・・(黒鉄 刃)
まあ、所詮戯言ですけど…(朱雀)
happybirthday to me 一度は彼女を作って誕生日を祝ってもらいたいものですね…(朱雀)
俺は大丈夫だが、2230までだな。遅くとも2330には寝ないとキツイ(支配人)
そもそも出ない☆(キリヤ)
ふむ…やっぱり今日は難しそうなのでやめときましょうか>劇場(竜神丸)
竜神丸さん::劇場?・・・みんな忙しそうですし自分の場合参加しても、みんなのコメント待つ間に小説読むのにのめり込んで何時も出遅れますし、後は戦闘描写がみんなさんみたいにぽんぽん出ないので・・・(^_^;)(黒鉄 刃)
・・・・・・・帰りてぇ・・・(新人教育の関係で貫徹確定)(okaka)
…………何だあいつ…………滅茶苦茶速ぇ…………(二百式)
あーうー・・・頭が割れそう・・・頭痛い・・・(ガルム)
ああ?頭使うゲームきら?い………(キリヤ)
ちょっとばかし今回の話で劇場やりたいけど…………皆さんの状況からして無理っぽいか(竜神丸)
会社の担当から連絡…派遣期間5月一杯延長・・・ ディア、げんぶ、式、ガルム、スマン。会おうって何度もコメントしてる俺がこんなザマで…(支配人)
賭けに負けたからさ(キリヤ)
あっれれーおっかしいぞー?何で僕のフラグが増えることが決定事項になってるんだろー?………まあ良いや師父の所逝かなきゃ(ディアーリーズ)
マーセ、サイドアームズ更新しました。今回めっちゃ短いです。(okaka)
おはよう、起きたのは良いんだけど今週夜勤なんだよなぁ・・・(okaka)
眠い… 0000過ぎはあかんか…もう少し速く寝ないと(支配人)
………寝たタイミングが良かったな(キリヤ)
言葉だけでも怖いものは怖いのよ!?((((;゚Д゚))))ガクブル(黒鉄 刃)
まあ、いうだけで送る気一切ないけどねwww (Unknown)
アン娘:アッチ系の力で脅すのは止めろって(ガルム)
刃さん…蛇螺ちゃんを滋賀に派遣してあげますね?(ニッコリ)(Unknown)
いやー、ディアとアンさんのフラグで飯が美味い(笑)(黒鉄 刃)
おや、こりゃ失敬。 まぁフラグ王達に敵う奴はいないからな、遠くから楽しく見させてもらおう(二百式)
途中経過:ディアさん、ようやくジークが離れてくれました(竜神丸)
二百式:言ってる事と思ってる事が逆になってまっせ(竜神丸)
竜神丸さん、いいぞもっとやれ!! (やめてやれよ、アン娘が可哀想だろ!!)(二百式)
支配人:後はコアの塗装組み立てのみ。 しかしココが一番集中する。 ここの配色で全てが決まるからね(二百式)
やめたげてよぉ!!(Unknown)
フラグ体質持ちは大変だな。まぁ頑張れ………(二百式)
朱音:ですよね〜(よし、本編戻った後に三人くらい建ててやろう)(竜神丸)
朱:そう・・・それなら私の意見を言うわね。 アン娘には一度で三人くらいフラグを立てるべきだと思うの。  朱音!?真顔で何言いだしちゃっていらっしゃるの!?(Unknown)
朱音:えぇ、聞きますとも←(竜神丸)
朱:それなら私の言葉は聞いてくれるのかしら?(Unknown)
アン娘:いや、あなたの答えは聞いてないので←(竜神丸)
いやいや、ディアさんだけで結構ですってwww(Unknown)
さ〜て、ディアさんがフラグを建てる為の女性キャラを用意しなければ…(アン娘さんの場合は本編に戻った後で用意するから今は良いとして←)(竜神丸)
式、おお、もう少しで完成か(支配人)
その体質が羨ましいと思う反面、面倒ごとはノーサンキューだよ。特に裏の方(支配人)
あっ、そうだ支配人。機体70%完成したよ(二百式)
ヒャッハー!!竜神丸さん…もっとディアさんにフラグを建てさせましょう!!(Unknown)
所詮はフラグ体質だ。逃げ切れる筈も無い……(二百式)
ときたま思うがなんでそんなにフラグを建てられるのかがわからない… ってか相手もよく覚えてられるな。(支配人)
ディア:…………まぁ、つまりはそういう事なんでしょう?(↓でディアさんが残してた証言を見ながら)(竜神丸)
ボクニヒャクキサンガイッテルイミワカンナイ!   こなた「………3人くらいかなぁ、アキ」アキ「そんな少なくないでしょう…どう低く見積もっても5人はいたわよ…」(ディアーリーズ)
ディアさんのフラグで飯が美味いwww(Unknown)
………あったんだな。 何人だ?(二百式)
フラグハナカッタンジャナイデスカネェ?(挙動不審&震え声)(ディアーリーズ)
おっ、主役のお帰りだ。どうだった?(二百式)
ただいまです〜。 こなた「………ただいま〜(疲労困憊)」アキ「………受験より疲れた気がするわ…(満身創痍)」(ディアーリーズ)
キリヤさん>どうも(朱雀)
?♪(湾岸線ドライブ中)(二百式)
保育園の同窓会ってあるんだねぇってのが正直な感想。(支配人)
1、ディア保育園同窓会 2、トトカルチョスタート 3、ディア、フラグをチップに(キリヤ)
こんばんは 今来た産業(朱雀)
いや、なんか俺も倍プッシュで賭けなきゃいけない気がして……(キリヤ)
あれ?キリヤさんもう賭け参加してません?(↓のコメ見て)(黒鉄 刃)
賭けの対象がフラグに……アン娘さんが賭けたら俺も賭けよう。(エリナに許可貰って(キリヤ)
仮にフラグが建った場合、今回のvsショッカー残党編でまた一人ほどフラグ建ててあげましょう(竜神丸)
トトカルチョか。 超大穴で0 (こなちゃんたちが仕事して)(支配人)
ディアのフラグトトカルチョなんてやってんのかw・・・2つ以上にマーセでのディアズタボロフラグを賭けよう(okaka)
じゃあ自分はディアがフラグを7人立てるに500$(リアルにはんな金持ってない)(黒鉄 刃)
その場にいる女子全員← ・・・なんでだろう普通有り得ないはずなのに強く否定出来ない・・・(ガルム)
すこしは信じてやろう。一人(キリヤ)
10人ぐらい?(ZERO)
二、三人は行くかも?(竜神丸)
なぁ、ディアが何人堕としてるかな? 俺は四人(二百式)
それじゃあ行ってきまーすノシ こなた「わたしも行ってきまーす」 アキ「お目付役として行ってくるわ」(ディアーリーズ)
……キラン☆(←それは良い事を聞いた!的な顔)(竜神丸)
なら、僕は今日の同窓会で僕がフラグを立てないということに…小説内でのフラグを賭けます!もしフラグを立てたら小説内でもドンドン立てて良いですよ(慢心)(ディアーリーズ)
やっぱり賭けにならんな!(ディアのフラグうんぬんに対して)(ガルム)
ああ…マジで別れるとは思って無かったよ……こっちは断ったのに(Unknown)
ディアが女性からなにかを貰って帰ってくる(恋心とか連絡先とか)に100ユーロ(キリヤ)
アン娘は前に近所の人妻にフラグ建ててなかったー?そんときのコメで「あなた(アン娘)と一緒にいるために今の人とは別れるわ」というのがあったような気がするんですがね?(kaito)
(フラグ建ったわ・・・)(ガルム)
あとガルムさんに二百式さん…無い無いwww(ディアーリーズ)
他の保育園は無いんじゃないですかね?僕達のところは母親たちが連絡取り合ってますし、僕達も連絡先知ってますし、当時の担任にも連絡取れますから(ディアーリーズ)
流石はディアさん…私を超えるかwww(Unknown)
保育園の同窓会・・・・・・そんなのあるのか(ZERO)
ディアが何人か堕としてるに10ドル(二百式)
ディアがフラグを建てるに1ペソ・・・賭けにならんか(ガルム)
今日は〜夜から同窓会〜♪保育園の同窓会なんて3年ぶりだなー♪   こなた「ホントにねぇ。前は私達が高校に入学した時だし」アキ「皆元気かしらね?」(ディアーリーズ)
ハッハァ!病気だぜぇ!38.8℃だぜぇ!・・・グハッ(バタン)(ガルム)
なぜに丼物?(一昨日の深夜に吉○家のキムチ牛鍋食べた人←)(黒鉄 刃)
そんな丼よりおうどん食べたい(Unknown)
牛丼食べたい(竜神丸)
カツ丼食いたい、卵がトロトロのやつ(キリヤ)
天丼食いたい(kaito)
幸太郎「Σ田吾作言うな!?」(竜神丸)
代休でござる 田吾作!未来で言うところの田吾作じゃないか!(okaka)
バイトダルいでゴザル(ガルム)
旅…並行世界の幸太郎、おやっさん、 始がいるってことはアンデットともしかしたら剣崎もいるのか?(支配人)
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