ごちゆり!6 |
ごちゆり!6
【チノ】
とある日のこと、ココアさんがコーヒーの銘柄当てに挑戦するというので
私も付き合うことになって、わかってもらえるように心を込めてそれぞれのカップに
コーヒーを淹れてみる。
飲むときには美味しそうにいただくココアさんの表情を見ていると胸の奥が
少しだけくすぐったく感じていた。
「ふぅ・・・美味しい」
「で、銘柄は?」
「私から見て手前のがキリマンジャロで、左がブルーマウンテン、右がコロンビア!」
「全部・・・一つずつずれてます・・・」
「そんな・・・!」
私は突っ伏すようにがっかりすると、ココアさんはショックなのを伝えるように
頭を大げさに抱える仕草をしていた。
けど真面目にやっているように見えなかったからか、無性に腹が立った私は。
「もう、真面目にやらないなら受けないでください・・・!」
「え・・・、私そんなつもりは・・・」
「ココアさんの言うことなんてもう信じません・・・!」
「チ、チノちゃんに嫌われたああああ!」
私に叱られたココアさんは声を大にしながらそう言って走ってどこかへ行ってしまった。
少ししてから私もちょっと言い過ぎたかなと思って一度座って落ち着くことにした。
そういえばこんな言い合いしたのは二人が付き合い始めてから初めてのような気がする。
目の前にはココアさんが飲んでいた3杯のコーヒーが入ったカップ。
どれも半分くらい入っていて、少しずつじっくり飲み比べていたのがわかる。
今入っているのはだいぶ温くなってしまったが。
「片付けてしまいましょうか・・・」
そんな時だった、運ぼうとカップに手をかけようとしたとき。
視界にココアさんが口をつけたと思われる場所にコーヒーの跡がついていて。
それを見た直後に私は動きを止めた。
「これは・・・」
ごくりという音が自分には聞こえないくらい集中していて、口の跡がついている
カップを手元まで引き寄せて口元に近づけた。
(こ、このままいけばココアさんと間接キスができ・・・な、何を考えてるんですか
私は・・・!)
しかし一度意識してしまったら簡単に払拭することはできないのがわかってしまう。
以前ならともかく一度好きだと認めてしまった後ではこの飲みかけはとても
魅力的に映ってしまうから。
「そ、そういえばティッピーは・・・!」
おじいちゃんが声をかけてくれればこの気持ちを緩和できると思って振り返ると
さっきまで近くにいたティッピーの姿がなくなっているではないか。
おそらくココアさんが泣きながら出て行く際に一緒に連れていってしまったのだろう。
こういう時に限ってリゼさんもお客さんもいないなんて・・・。
顔が熱が出たときのように熱くなって再びカップを見つめていると
ほぼ無意識に私の唇がココアさんが飲んだと思われるところにゆっくりと近づいていく。
キスの時と違ったドキドキが私の中で大きくなってどうにかなってしまいそうな
くらいだった。
チュッ
ココアさんの唇が触れた場所が自分のとくっついて何とも言えない気持ちになる。
何だか見られてはいけないような、恥ずかしいような独特な感情が湧いてくる。
しかしそれと同時に愛しい気持ちと心地良い快感が波のように押し寄せてきて
私は思わず眼を瞑って顔を上げていた。
「やってしまい・・・ました・・・」
普段から厳しく言っていた私がこんな恥ずかしいことをしてしまったという
感情が、より私の気持ちを昂ぶらせているのでしょう。
その甘美な感情がやめられなくなり、みんなが帰ってくるまで何度も何度も
カップに口付けをしていた。
しばらくして帰ってきたココアさんは私のしたことに何も気付かず仕事に戻って
ティッピーも所定の位置に戻っていつも通りの空気に戻っていた。
リゼさんもいつものようにキリッとした対応でかっこよく接客をしている。
そんな中で私だけソワソワしてイケナイことをしたような気持ちだったけど。
決して悪い気はしなかった。
その日、私は自分でも意識できるくらいにずっとココアさんが働く姿を
目で追っていたのがわかる。
今日のことはココアさんには言えないけれど、夜にはココアさんの部屋まで
甘えに行こうかなと思いながら仕事の残り時間がんばることにした。
後にあの日の私は少し笑顔があってごきげんだったと言われてまた私は
みんなの前で赤面することになるのだった。
お終い
説明 | ||
本当はココアの誕生日のSSにしようとしたけどココアの出番ほとんどない上にチノ視点だったので断念したでござるの巻(^q^) 普通のちゅーとは違って間接はまた違った雰囲気出るかなとか思ったり。 そんな百合ップルになった後の二人のお話でした♪ |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
489 | 488 | 1 |
タグ | ||
ご注文はうさぎですか? チノ ココア 百合 間接キス | ||
初音軍さんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |