英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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〜オーロックス峡谷〜

 

「リフィア、貴女ね……」

「め、滅茶苦茶よ………あれ?”達”って事は他にもいるんですか?」

リフィアの滅茶苦茶な答えに仲間達と共に冷や汗をかいたエリゼは頭痛を感じて頭を片手で抱え、疲れた表情をしたアリサはある事に気付き、不思議そうな表情で尋ねた。

 

「うむ。余の他に余の騎士であるゼルギウスとシグルーンもお主達の助力になる。」

「なっ!?シグルーン中将に加えてゼルギウス将軍まで俺達”紅き翼”のメンバーに……!?」

「やったね。戦力が超増強だね。」

「それじゃあシグルーンさんも戻ってくるのね。」

「どうせあの女の事だから、以前の事を全く気にせず、あたし達に接してくるのでしょうね。」

「だからお前はどうしてそんな喧嘩腰になるんだよ……」

リフィアの話を聞いたリィンは驚き、フィーは明るい表情をし、ゲルドは微笑み、ジト目になっているサラ教官にトヴァルは呆れた表情で指摘した。

 

「お、お姉様。お父様達に相談もなくそんな勝手に決めない方が……」

「無駄だって。リフィアだし。」

「うふふ、リフィアお姉様は誰にも止められないものね♪」

「ア、アハハ………」

冷や汗をかいてリフィアを諌めようとするプリネに忠告は無駄である事を伝えるエヴリーヌとレンの言葉を聞いたツーヤは苦笑していた。

 

「オリヴァルト皇子、余達も”紅き翼”に協力しても構わんな?」

「フム。喜んで……と言いたい所だが、その代わりに一つだけ私の頼みを聞いて頂けないだろうか。」

「お、お兄様……?一体何を……」

リフィアの協力の申し出に対して予想外の答えを出したオリヴァルト皇子にアルフィンは戸惑いの表情をした。

「む?一体何じゃ?」

「………メンフィル軍の一部でも構わないから、宰相殿との決戦の際に最前線で戦うエレボニア軍の助力をして頂けるようにリウイ陛下達に取計らってくれないだろうか?私は一人でも多くのエレボニア軍の兵達を生還させたいんだ。―――勿論その中には”鉄道憲兵隊”や”情報局”、それに領邦軍も入っている。」

「殿下……」

「………………」

「……勿体無いお言葉です。」

オリヴァルト皇子の本音を聞いたラウラは驚き、ユーシスは目を伏せ、クレア大尉は静かな表情で会釈をした。

 

「―――よかろう。後でリウイ達にも説明して、メンフィル軍の部隊をエレボニア軍と連携できるように取り計らっておこう。」

「ありがとう。これで何とか兵達の死傷者を一人でも減らす事ができるね……」

「はい……」

リフィアに感謝を述べた後安堵の溜息を吐いたオリヴァルト皇子の言葉にアルフィンは静かな表情で頷いた。

 

「……そうじゃ。ちょうどいい機会じゃし、今の内にエレボニア国王代理の件も伝えておく。」

「え……」

「まさかエレボニアに派遣されるメンフィル皇族の方が決まったのでしょうか?」

リフィアが呟いた言葉を聞いたアルフィンが呆けている中、ある事を察したクレア大尉は真剣な表情で尋ねた。

「うむ。――――エフラム、エイリーク、ヒーニアス、ターナ。この4人が協力してエレボニア国王代理を務める事になった。」

「なっ!?エフラム皇子殿下達がですか!?」

「しかも一人ではなく四人も派遣するのですか……!?」

「というか何で4人も派遣するんだ?普通は1人だろう?」

意外な人物達がエレボニア国王代理を務める事にリィンは驚き、ラウラは信じられない表情をし、トヴァルは不思議そうな表情で尋ねた。

 

「―――ケルディック……いえ、バリアハートの統括領主である私達の件同様、皇族達にはそれぞれ公務があります。幾らエレボニア国王代理の件を承諾したとはいえ、どうしても外せない公務もありますからエフラムお兄様達が協力して務める事になったのです。」

「最初に言っておきますがエフラム殿下達はまだお若いですが、それぞれ皇族としての公務もこなしていますし、いつでもそれぞれのご両親が納めている広大な領地の領主の跡継ぎとしての能力も備わっていますから心配いりませんよ。」

「ま、少なくてもサボりなオリビエが王様になるより、よっぽどマシだろうね。」

プリネとツーヤの後に説明したエヴリーヌの話を聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいた。

「あのー、エヴリーヌ君?リベールでの旅行の後は心を入れ替えてちゃんと皇族として忙しく働いているんだよ?」

オリヴァルト皇子は苦笑しながらエヴリーヌに指摘し

「アハハ、でもその言い方だとリベールでの旅行以前はサボっていた事になるよね〜。まあ実際リベールでの旅行以前は社交界にも滅多に顔を出していなかったそうだから、本当にサボっていたんじゃないの〜?」

「ミ、ミリアムちゃん!」

無邪気な笑顔を浮かべるミリアムの言葉を聞いたクレア大尉は慌てた様子で声を上げた。

 

「うふふ、余談だけどレンにもエフラムお兄様達と一緒にエレボニア国王代理を務める話はあったけど断わったわ。」

「?どうして断ったの?みんなの話によると貴女は様々な才能に愛されているのよね?だったら、エレボニアの王様の代理も務められると思うのだけど……」

レンの話を聞いてある事が気になったゲルドは不思議そうな表情で尋ねた。

「だって、内戦で荒れ果てた上メンフィル・クロスベル連合との戦争によって財政も人材もみんなボロボロになったエレボニアの復興なんてめんどくさいし、レンの祖国のメンフィルならまだしも他国のエレボニアの為にそこまでしてあげたいって気持ちなんて全然ないんだもん♪」

そしてレンの身も蓋もない答えにその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「レン、貴女ね……」

「前々から思っていたが、わざわざ敵を作るような発言は控えるべきだぞ。」

「め、めんどくさいから断ったって……」

「というか、そのエレボニアをボロボロにした原因の一人がよくそんな事が言えるね。」

「ま、まあまあ……」

プリネとレーヴェは呆れた表情をし、ジト目でレンを見つめるアリサとフィーをセレーネは苦笑しながら諌めていた。

 

「ったく、前々から思っていたがよくその歳でそんな敵を作るような発言が次々と出てくるな……その内後ろから刺されるぞ?」

「クロウ。」

その時クロウ達がリィン達に近づいてきた。

 

「一応礼を言っとくぜ。敵であった俺達の命を助ける為にあそこまでした所か、鉄血との決戦に俺達を加える為にここまでしてくれた事……感謝している。」

「礼は不要だ。”仲間”なんだから、このくらいは当然だろう?」

「フフッ、あれ程の激闘をも”このくらい”で済ませるのはリィンくらいだろうな。」

「リィンらしい答えね。」

クロウの感謝の言葉に対して答えたリィンの答えにその場にいる全員が冷や汗をかいている中、ガイウスとゲルドは苦笑しながら呟いた。

 

「リィンに感謝するのは当然だが…………”C”―――いや、クロウ・アームブラスト。それとヴィータ・クロチルダもエリゼにも感謝するのじゃぞ。本来なら重罪人であったお主達は処罰が実行されるまでは牢屋に拘禁されているはずだったのに、あれ程の好待遇で過ごす事ができたのはわざわざお主達が処罰されるまでの間の拘束権が欲しいと申し出たエリゼのお蔭なのじゃからな。」

「そのくらいはわかっているっつーの。俺達を牢屋から出して城館に軟禁するように取り計らってくれた事には感謝しているぜ、エリゼ嬢ちゃん。」

リフィアの言葉に頷いたクロウはエリゼを見つめ

「いえ、私は兄様達の為にしただけで、決してお二人の為ではありませんので私に感謝する必要はありません。」

「エ、エリゼ。」

エリゼの答えを聞いたリィンは冷や汗をかいた。

 

「ったく、俺を制圧した時といい、全部リィンの為かよ………前々から思っていたがお前のリア充度は色々とおかしすぎだろ。何でお前の周りにはそんなにいい女がたくさん集まるんだよ!?」

「フフ、その点については同感だね♪」

「え、えっと…………」

クロウとアンゼリカの言葉を聞いたリィンは答えが見つからず、冷や汗をかいて黙り込んでいた。

「だがリィンの”そういう所”に助けられたのだから、お前は文句が言える立場ではないと思うのだが?」

「確かにそうよねぇ?リィンの女運によって命が助かった所か、牢屋暮らしの筈が城館の客室に軟禁という好待遇で過ごせた上一時的に釈放されたものねぇ?」

「むしろクロウはリィン君に感謝すべきだろうね。」

「ア、アハハ……」

「グッ……痛い所を突きやがって。」

それぞれからかいの表情をしているユーシスとサラ教官はそれぞれ指摘し、ジョルジュの言葉にトワは苦笑しながら答えを濁し、クロウは疲れた表情で唸り声を上げた。

 

「ハハ………―――改めてよろしくな、クロウ。」

「……ああ。」

そしてリィンとクロウは互いに握手をした。

「クロチルダさんもよろしくお願いします。エマがずっと目標にしてきた”魔女”であるクロチルダさんの力……期待しています。」

「ええ……君がそれを望むなら、存分に力を貸してあげるわ。それに君には一生をかけてでも、恩を返すつもりだし。」

「ハハ、一生だなんて大げさですよ。」

クロチルダの言葉を大げさに捉えたリィンは苦笑した。

 

「ハア……本当に性質の悪い男ね。」

「姉さんがリィンさんの……ブツブツ…………」

その様子を見守っていたセリーヌは呆れた表情で溜息を吐き、エマは呆然とした様子でブツブツ呟き

「エマ?どうしたのだ?」

「ハッ!?い、いえ……な、何でもありません……」

ラウラに声をかけられるとようやく我に返った。

 

(ね、ねえ……クロチルダさんのリィンを見る目……ちょっとおかしくない?)

(そ、そう言えば……――――!ま、ままままままま、まさか……!?)

(こ、この野郎……!お前は後何人増やせば気がすむんだよ!?)

リィンを見つめているクロチルダの様子がおかしい事に気付いたエリオットは冷や汗をかき、ある事を察したマキアスは混乱し、クロウは顔に青筋を立ててリィンを睨み

(フッ、まさかあの”蒼の深淵”すらも射止めるとはな……まあお蔭で厄介者をシュバルツァーに押し付ける事ができるな。)

レーヴェは静かな笑みを浮かべてリィンとクロチルダを見比べていた。

 

「――――!リ・ィ・ン〜〜〜〜??」

「「に・い・さ・ま〜〜〜〜〜??」」

「……リィンさん?」

「お兄様……”また”ですか…………」

「むう〜……!」

「うふふ、”また”増えそうですわね♪」

「やっぱりリィンって、巨乳好きだね。」

一方クロチルダのリィンを見る目を見た瞬間クロチルダがリィンに想いを寄せている事を瞬時に察したアリサやエリゼ、エリス、クレア大尉はそれぞれ膨大な威圧を纏ってリィンを見つめて微笑み、セレーネは疲れた表情をし、トワは頬を膨らませ、アルフィンはからかいの表情をし、フィーは一瞬クロチルダの胸に視線を向けた後ジト目でリィンを見つめた。

「ええっ!?何でいきなり責められるんだ!?後フィー!誤解を招くような事を言うな!」

アリサ達に一斉に見つめられたリィンは慌てた様子で反論し

「……………………」

「ガタガタブルブル……!」

「リ、リィンさん……!本当に懲りない人ですね、貴方は!?」

「アハハ……でもスカーレットさんの件も考えたら、ありえてもおかしくないわね……」

「ハッハッハッハッ!さすがはリィン君だね♪」

エリゼ達の膨大な威圧の余波を受けたリフィアとエヴリーヌはそれぞれ表情を青褪めさせて身体を震わせ、ツーヤは顔に青筋を立てて身体を震わせ、プリネは冷や汗をかいて苦笑し、オリヴァルト皇子は声を上げて笑った。

(……やはり恐れていた事が現実と化してしまいましたか。)

(フフッ、リィンの”慈悲”に彼女も心を打たれて、改心してリィンの事を好きになったのでしょうね。)

(アハハハハハハハッ!敵組織の最高幹部すらも落とすなんて、さすがはご主人様ね♪)

(ふふふ、この様子ですと今夜あたりに彼女が夜這いに来るかもしれませんね。)

(リ、リザイラ様……今までのパターンを考えたらその推測、冗談になっていませんよ?)

リィン達の様子を見守っていたアルティナは呆れた表情で溜息を吐き、アイドスは微笑み、ベルフェゴールと共に興味ありげな表情をしているリザイラの推測を聞いたメサイアは表情を引き攣らせた。

 

その後……ようやく”Z組”が真の意味で全員揃う事ができたリィン達はリフィア達の好意により、その日はバリアハートの城館に泊まる事にし……久しぶりに全員が揃った事にそれぞれ花を咲かせながら夕食を取り、そしてそれぞれ用意された客室で休み始めた。

 

 

説明
第620話
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
2010 1873 2
コメント
本郷 刃様 これがこの小説の醍醐味の一つですからねw 匿名希望様 仕方ないですよ、相手は攻略王を超えた男ですからw(sorano)
だからすぐそうやって怒るから器が小さいと思われてしまうって……。(匿名希望)
毎度お馴染みのやり取りですね〜(本郷 刃)
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