裏次元ゲイムネプテューヌR
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「青年と焼滅の意志」

 

青年は夢を見た、赤い紅い、そして朱い夢を観た。

突如現れた魑魅魍魎にの群によって血にまみれた街、人を詰め込んだプレス機、そして異形に姿を変えた少女……それらの出来事全てがいっぺんに起きてる光景を観た。

青年は吐き気を堪えながらを視た、頭だけになった少女を抱きしめながら、頭から生えた少女の手に頭を撫でられながら。

そんな中、青年は思った――――

 

そしてユウザは、宿の一室で目が覚めた。最悪最低の悪夢の中から抜け出したその顔は、お世辞にも宜しくなかった。

部屋から出ると、表情が硬い男が手を振っていた。「この人が連れて来てくれたのか」とユウザは思った。

男の名はデバッカと言い、キメラの国との交流に来た死者だったが、突然城から大量の肉片と血が振り掛かって来るわそのせいで住民は全滅したわでそれどころではなくなったらしい。

偶然血肉の上に浮かんでいたユウザを見つけ、連れて帰っていったらしい。

「生物も無生物も全て飲み込んだあの血肉に、何故君だけ唯一飲まれなかったかは疑問だが」とデバッカは付け足した。

「だとすればきっとそれは、あの少女が助けてくれたんだ」とユウザは思った。

実は夢の中で薄々感づいていた、「あの娘は生贄にされたんじゃなくて、あの娘こそがキメラ王だったのでは」と。

そしてデバッカの話から、その憶測は確信に変わった。それと同時に、あの娘を殺したのは自分だと、ユウザははっきり分かってしまった。

あの時、少女の頭を抱きしめて嘆いたあの時に、頭だけになった少女が言った言葉がよみがえる

「泣かないでお兄ちゃん。お兄ちゃんは勝ったんだよ?私に勝ったんだから、私のこの先の分まで生きることが出来るんだから、泣かないで。」

あの言葉はそういう事だったのかと、ユウザは思った。生きたら勝ち、死んだら負け……そう言っていたあの娘に心配かけまいと、ユウザは直ぐに立ち直ろうと心に決めた。

 

「所で……何処に向かってるんだ?」とユウザは言った。「教か……いや、今は王宮か。」とデバッカは返した。

この国で暮らすには入国時に住民権を申請する必要があるらしく、その手続きを王様がやるらしい。

「今度はどんな王様だ?」とユウザは言った。これまでの国王は揃って人外だったため、今回もそうではないかと思っていた。

「人間だ、以前滅んだ機械の国やついさっき滅んだキメラの国とは違って、我々の国は人を王に立てている……教皇としてな」とデバッカが答えると、ユウザは安堵の息をついた。

この国の王が住民たちと同じ人であるならば、価値観とか思考とかはそこまで桁外れにぶっ飛んだものではない筈……ユウザそう思いながら、比較的落ち着いた表情で王宮に入って行った

そこで見たのは、結婚式場にでも使える教会のような内装と、一人のふさふさで真っ直ぐな髭を生やした老人だった。

「ようこそ迷い子よ……私はイヴォワール……辛い目に遭っただろうが、今はゆっくりしていきなさい」そう言って老人は微笑んだ。

 

イヴォワールの計らいにより、ユウザはデバッカの家に泊まる事になった。

これまでの事があってか、ユウザは強くなろうとデバッカの日課のトレーニングを一緒にやる事にした。

朝はランニングと屈伸、昼は素振りと腕立て伏せ、夜は腹筋と背筋……それらを毎日頑張った。

しかし日々鍛錬を積んでいるデバッカならまだしも、ほぼ一般人のユウザにいきなり始められる量ではなく、三日で身体が付いて行けずに倒れた

流石のデバッカも「なぜそこまで無理をする」と聞いた。

「死んだあの子の分まで生きるって約束したから、もう何もできずに守られてばかりは嫌だから」とユウザは答えた。

ユウザの中に熱意と覚悟を感じたデバッカは、ユウザの為にトレーニングメニューを丸二日考えて立てた。

 

デバッカの立てたメニューの通りにトレーニングを続けたユウザはそれなりに強くなり、デバッカと共に森に向かった。

そこに居た狼のような怪物……モンスターと遭遇した。瞬間、改変前の、モンスターの大群に襲われた街の事を思いだし、その場で立ち止まり、身動きが取れなくなった。

「何もできない」、「あの時のままだ」、「やっぱり俺はどうあがいても」、「助けて」

様々な想いが、様々な思いが、様々な感情が、ユウザの中で駆け巡り、そしてそんなユウザにモンスターは跳びかかって……

 

「立ち止まるな!!」

 

後ろからの声で我に返り、のしかかられる寸前に後ろに跳んでかわした。

ユウザを仕留めそこなったモンスターは飛び掛かった。そこをユウザはナイフを取り出して顎から刺して口を塞ぎ、そのまま切り上げたが、そのまま後ろに倒れた。

その直後にユウザが見たのは、頭上を通りすぎるモンスターの胴体だった。まだ息があると思ったユウザは、振り返りながらナイフを構えた。

けどそこに居たのはユウザの健闘を見守っていたデバッカと、その横で頭を二つに切り割られて横たわっているモンスターだった。

「初陣だとしても危なっかしいな」とデバッカはため息をつき、ユウザはそれを見て苦笑いをした

 

それからユウザはデバッカの任務に付いて行く内に腕を上げ、一人でもそれなりにこなせるようになった。

素材集めから小規模のモンスターハウス制圧、ボランティアのヘルプから他国企業の情報掌握、様々な依頼を受けて、様々な人と出会い、様々な繋がりを築いた。

そんな中、ユウザは教皇からお呼びがかかった。秘密裏に済ませたい理由があるらしいが……

「何故デバッカじゃないんだ?」とユウザは思ったが、その依頼の内容を聞いて理解した。

【裏切り者を処断せよ】それは((余所者|ユウザ))でさえ引き受け辛いものだったが、住民からすればとてもじゃないが引き受けられないものだった。

ユウザはその依頼を受けた、「自分が汚れ仕事をやれば、デバッカの負担も減るだろう」という恩返しのつもりと思いながら。

 

教皇からの情報を辿り、裏切り者の住処である宿舎を見つけたユウザは、息を潜め、標的が来るまで待つ。

そしてその宿舎から出て来た人物を見た時、ユウザは驚愕して動きを止めた。宿舎から出て来たのはデバッカだった。

教皇の情報によると、裏切り者の他に誰も泊めまってないらしいので、ユウザはもしかしてどこかから情報を得て先回りしたんじゃないかと思った。

……が、ユウザを見つけた時、デバッカは剣を抜き、「やはり来たか……」と言って構えた。

「どうしてアンタが……」ユウザはナイフを構えた。

「俺には友がいた……そいつはこの国を敵に回した奴だからな、俺も疑われて当然だ。」

デバッカはそれに付け加えて「だが教皇に手を出すほど愚かではない」と言って切りかかった。

ユウザは寸前でかわし、そのまま首目掛けて突きかかる……が、デバッカはそれを読んでいた。

「ッ!!」

「対人戦の場合、急所を初っ端から狙うのはシロートの浅知恵ってな!!」

ナイフで突き刺しに来た手首を掴み、そのまま背負い投げを決めた。

石造りの道路に思い切り叩きつけられたユウザは、その衝撃で動けなくなっていた。

(殺られる……!)とユウザは思わず目をつぶったが、それ以上の痛みも何もなかった。目を開けると、デバッカが見下ろしていた。

「俺はこれから身の潔白を証明してくる、それまでおとなしく寝ていろ。」と言い残し、デバッカは去っていった。

 

そしてしばらくして体の麻痺が治まったユウザは、デバッカが行ったであろう王宮へと走った。

真面目なデバッカの事だから、真正面から説得しに行く事は分かっていたユウザは、尚の事嫌な予感がしていた。

王宮の扉を開いたその先には、血だらけになりながら微動だにせず、膝を付いて忠誠の姿勢をとっていたデバッカと……

「まだ倒れぬか異端者」

不思議なオーラを放っていた教皇がいた。内装はデバッカを中心に吹っ飛んだ後があり、壁には長椅子、若しくはその破片が散乱していた。

デバッカは間違いなく手も足も出してない、一方的に攻撃しているのは教皇の方だった。

「もうやめてください!その人は裏切り者じゃないってもう十分解ったでしょう!」

ユウザは教皇を静止しようと叫んだが、教皇は意を介さず、「やはり貴様も裏切り者か!」とユウザに手を向け、見えない「何か」を発した。

瞬間、即座にデバッカが教皇の前に立ってユウザを「何か」から庇い、上から「何か」によって押しつぶされ、地面に叩きつけられた。

その後デバッカが動くことは無かった

 

「どうしてこんなことを……!」ユウザは怒りをあらわにした。

「決まっている、貴様らが異端者だからだ」とさも当然の様に答えた。

「貴様らのせいでグリーンハート様は女神をお辞めになられたのだ、貴様らのせいでグリーンハート様はお亡くなりになったのだ!」

錯乱している……というより狂乱している教皇は、手を再びユウザに向けた。

「だから私が王になった!皇になって国を治めた!これまでこの力で護って来た!それを!それを!今((異端者共|キサマラ))に潰されてたまるかああああああああ!!!!!」

教皇は何かを放とうとしたが、何も起きなかった……否、教皇の腕が蒼く燃え上がった。

「ななななななななぁぁぁぁぁぁぁ!?」

潰されて尚、忠義と潔白を証明し続けたデバッカを見て、荒れに荒れた周囲を見て、国の重圧に狂った教皇を見て、ユウザはこれまでの惨劇を思いだしていた。

「また死んだ」

蒼い炎が消えた瞬間、教皇の腕も消えた。

「また死んだ」

教皇が驚く間もなく蒼い炎が周囲に出てきた。

「また死んだ」

そしてユウザも、怒りに燃えていた。

「こんな世界」

教皇は慌てふためいた。

「こんな((理|ルール))」

燃えた端から教会が消えていった。

「こんな((事実|ゲンジツ))」

「貴様がやったのかあああああ!!!」

教皇が残った手をユウザに向け、「何か」を放とうとしたその時

「…………無くなればいいのに」

その瞬間、ユウザから青く蒼く、そして碧い炎が出て周囲に燃え広がっていった。

そ て王 を、街 、 を、 陸その のを、そ 全 を燃 消え

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――((物語|セカイ))の一部が消えましたか……そろそろ来ると思いましたよ、燒滅の時が

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