裏次元ゲイムネプテューヌR |
「事の始まり/俺の((原初|ハジマリ))」
俺達の前に現れた青年、そしてその隣には青年を呼び出した少女。
「もしかしてコイツと戦えという事か?」と思い始めたその時。
「いやはややーっと出られたぜぇ、あんがとな、マイ・ダーターブッ!?」
「私はアンタの娘じゃないって言ってるでしょ、いい加減覚えなさい」
「父親が違うってだけじゃねーか、気にすんなよ〜」
「ちょっ、こら!何勝手に触ってんのよ!にゃ、にゃでりゅにゃ〜!!」
「ほれほれほれ〜普段威厳を保とーとしてっけどこーなっちゃ何もねーぜ」
「や〜め〜ろ〜!」
……何この二人?親子かな?
「察しのとーり、コイツは俺の娘だ。父親は違うが俺のワイフの娘である事は違いねーから俺の娘って認識でいーぜ」
「だから娘じゃにゃいの〜!撫でるなばかぁ〜!」
とか言いながら満更じゃない少女、穏やかな表情でなで続ける青年、話は進まないまま、俺達三人は唖然としていた。
「おっとしまったこーしてる場合じゃなかった。」
「ぱ〜ぱ〜の〜ば〜かぁ〜!」
「うちの娘が世話になったな……あ、そん時の記憶無かったか。」
記憶……?いったいどういう事か聞こうとした直前、頭に激痛が走った。
「さて、今までの記憶を戻すついでに真実を伝えよう……要件はその後だ」
俺は目の前が歪むのを実感しながら、意識が遠くなってきた。
世が生まれ星が生まれ、物が、命が、魂が、生物が生まれた時、彼女は目覚めた。
((始まりの神|ザ・ルーツ))……起き上がり、膝を付いて彼女を迎えた神々は、彼女をそう呼んで崇めた。
神々は彼女に世界を見守る事が使命だと教え、部屋に閉じ込めだ。
ルーツは崇められていると同時に恐れられていた、始まりの神は全てに通づるからだ。
幾年幾月幾日……世界が何度も巡り廻ったのだろうか、世の中の状況を見てるだけで何もしてない(させてくれない)彼女は退屈だった。
「部屋でしか見てなかった世界を知りたい」……彼女はそう思って下界に降りた。
下界に降りた時、ルーツは早速モンスターに襲われたが、一人の人間に助けられた。
初めは「人間なんかに」と思っていたが、会う度に何かしら助けられて気になっていき、「あの人とお話ししたい」と思い始めた。
そうと決まったら一直線なルーツは、その人間が住んでる家を捜し当てる為に力を使い、その人間の住む家に強引に住み着いて来た。
話し合う度に、心が開いて行き、自分が始まりの神だという事や見てるだけで退屈だったから下界に降りて来た事等、秘密にしなきゃならない事をうっかり話してしまった。
もうあの時の様な話し相手になってくれないと思っていたルーツだったが、その人間は気にせず接してくれた。
「私は他の神様に怖がられたり崇められたりする程凄いんだよ?」とルーツは言った
「それがどーした、俺にとっちゃおめーはさ……天然入ってて危なっかしいただの可愛い女の子だよ」とその人間は返し、ルーツの頭を撫でた。
今まで崇められてきたルーツは当然のごとく撫でられたことは無かった。目覚めたその時から、自分と同等以上の目線で立っている相手なんて当然一人もおらず、甘えられなかったからだ。
そんなルーツがその人間に撫でられた瞬間、無表情だったのがかなりゆるんで笑顔になり、「もっとして」と言わんばかりに自分の頭を出した。
「そんな表情もするのか、((命華|メイカ))は可愛いな〜♪」
「メイカ?私の名前は……」
「ルーツって種族名だろ?ならお前には名前はまだないって事になるから俺が名付けた。」
「命のように儚くも美しい、繊細で清らかなお前の雰囲気に例えてな」とその人間は付け足した。
こうしてルーツと呼ばれて崇められた神は命華として、ストルという人間と一緒に暮らすことを決めた。
だがそんな事、神々が許す訳が無かった。
だが命華はそんな事気にせず、暫くすると子を儲けていた。
子と妻を置いて逝くのは気が引けると、ストルは自分も神になる事を決めていた。
だが神のお告げを聞いたという人々によって殺され、その決意が叶うことはなかった。
命華は彼の死を深く悲しみ、神々は「人間とはこういうものだ」とささやいて、彼女を連れ戻した……が、それらは自分たちが仕組んだ事だと命華にバレてしまった。
怒り狂った命華はありとあらゆるモノを辺り構わず滅ぼし回った。
これはマズいと神々は、二人の間に生まれた息子を鍵として、ストルの魂を餌に命華の魂を封印した。
歴史再現の書、ヒストリアに。
「そして、命華の遺伝子と他の神とのミックスで生まれたこの子は、ヒストリア内の守護神として洗脳されてたってわけ」
気が付くと、そこは気を失う以前と同じ場所だった……どうやら幻覚を見せられたようだ。
「んで、お前が何者かってんだがな……」
ついに俺の正体が分かる、そう思うと緊張が止まらなかった。
あの幻覚を見てる内に思いだしたけど、俺には6歳より下の記憶がない、【どの世界に生きてる時も】だ。
それが良く分からなかった。
「お前は((今神|イマガミ))のデウス・エクス・マキナことメアリー・スーによって創られた人造……もとい神造の魂だ。」
人造?神造?えっと……つまり俺は、造られた魂って事なのか?
「世の中には特異点がある、英雄とか勇者とかそーゆー奴がいる。俗に言う物語の主人公だな。それを人工的に造りあげたのがユウザ、お前だ」
それが俺の正体……?何だかよくわからない。
「常人には味合わないであろう悲惨な事が良く起きたり、超絶な力に目覚めたり授けられたり……魂の奥底の因果的な意味でそれを運命、宿命付けられてるんだよ」
それには心当たりが滅茶苦茶あった。突然町中がモンスターで埋め尽くされたり身内が目の前で消滅したり親しくなった人がプレス機で押しつぶされたりもしたし……
仲良くなった女の子を殺す羽目に遭ったり居候させてくれた恩人であり戦いのいろはを教えてくれた恩師でもある人が俺を庇って死んだり……
そもそも世界が書き換えられるとか消えるとかという時点で最早普通じゃないわけだ
「それがお前の正体だ。生きてる限り……いや存在する限り、お前には常人離れした運命に遭うのさ……マイ・ソン」
え、ソン?孫悟空?
「我が息子よって事だ。お前は俺とメアリーの魂を基にして創られたからな。」
え……って事はこの人が俺のお父さん!?マジで!?人工生命体だから親なぞおらぬとかそーゆー事じゃなくて!?
「自分は造られたから親なんていないって?そんな事聞いたらメアリー泣くぞ?アイツは歪んじゃいるがお前の事を溺愛してっからな?ここに囚われてた俺の拘束をゆるめたのもお前の為らしーし」
えっとつまり……外の世界が存在するという事と、俺はシステムとかそーゆー事でも無く、れっきとした人……って事なんだな。
そして俺は今、もう一人の親、父親と話してるわけだが……何だろう、そう思うと目が合わせ辛い。
「あれってどんな顔したらいいかわからなくて困ってる顔だねー♪」
「本当に嬉しそうな顔するな……悪趣味な」
「いいじゃないか、人の困り顔を見るのは僕の趣味だぞ?これまでの発明だってその為にあるものさ」
「それで凄い腕前だから余計に性質悪いんだよお前は……」
そう言えばこの二人は……そーだ!崩壊前に助けてくれた人だ!まさかこんな繋がりがあったとは……
「……で、ここまで真実を話したわけだが「やるよ」え!?」
要件は分かってる、そしてそれをやればどうなるかのも。けどそんな事構わない。
外の世界があるのなら、この世が誰かを封じるために在るのなら、その為だけのモノならば……
「俺はこの世界を……破壊する」
「面白そーだねそれ♪それが終わったら試しに世界を壊し回ってみよっかなー☆」
「ユウザ、俺は本来お前を止めねばならぬ、だが……ストル達の話を聞いた今は別だ。」
悲惨な出来事はもう嫌だ、これ以上悲しみたくない、苦しみたくない、何度も何度も似たよーな事を体験して吐き怪我する
こんな世界……無くていい、あったって虚しいだけだ
折角だからこの世を壊すついでに、俺は外の世界を見る!せめてそれぐれーはやってやる!
心の中に夢を刻み、身を奮い立たせ、俺は、俺達は、今のその先に往く
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