英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
〜トールズ士官学院・屋上〜
「”異界”。かつて世界を崩壊させる”害周波”の塊――――”ラウアールの波”によってできた深い亀裂―――”ガガーブ”によって世界が三つに別れた世界とは異なる世界にして、”ラウアールの波”――――異界では”異界の月”と呼ばれているものが転送され、いつ爆発するかわからない”異界の月”によっておびえ続けた世界。そこが私の生まれた世界。
そして”異界”は王様―――女王が納めているのだけど……”異界”の女王は世襲制ではなくある特別な体質の持ち主の女の子が次の女王になるという決まりがあってね……産まれたばかりの私はその一人だったの。だけど普通ならその女王の資格を持った女の子はその時代に一人しか生まれないのだけど、私とは別にもう一人―――イザベルが私と同じ女王の資格を持って生まれたの。
王宮の人達は女王の資格を持った女の子が二人も産まれてしまった事に危機感を抱いていてね……その結果イザベルが女王の後継者になる事が決定した後私が狙われる事になったらしくてね……王宮の楽士だったおじいちゃん――――レオーネおじいちゃんがまだ赤ちゃんだった私を王宮から連れ出して追手の見つからない所で私を育ててくれたの。
4歳くらいの頃だったかしら……?レオーネおじいちゃんが持っている物が必要で、”異界”とは異なる世界の人達がレオーネおじいちゃんを訪ねてきたの。事情を聞いたおじいちゃんはその人におじいちゃんが大切にしていた物がどこにあるかを教えたのだけど……その時私を狙っていた人達がおじいちゃんを訪ねてきた人達の後をつけていたらしくて、その人達がちょっと留守にしている時に私の命を奪おうとしていたの。
その時は私とおじいちゃんの事を心配してくれた人達の何人かが私とおじいちゃんを守ってくれてね……戻って来た人たちと協力して私の命を狙った人達を無力化したの。ちなみにその人達は色々あって、私とおじいちゃんを守ってくれることになったの。」
「なっ……!?じゃ、じゃあゲルドは皇族だったのか!?」
ゲルドの過去の一部を知り、ゲルドが皇族であった事に気付いたリィンは信じられない表情で声を上げた。
「フフッ、女王候補の資格を失った時点で私は皇族じゃなくなっているわよ。」
「…………………ゲルド、怖くは無かったのか?産まれた時から命を狙われていたなんて……正直、俺はゲルドの命を狙った人達を許せない。」
「―――私の為に怒ってくれてありがとう、リィン。でも私の事は気にしないで。リィンも知っている通り私には”予知能力”があるからその時点の私達が助かる可能性が高い事はわかっていたから。」
「………………」
優しげな微笑みを浮かべるゲルドをリィンは辛そうな表情で黙って見つめているとゲルドは再び外の景色を見つめて過去の話を再開した。
「……4歳の頃にあった出来事以降はずっと穏やかな毎日を過ごしていたのだけど……私が17歳になる少し前、おじいちゃんは寿命でこの世を去ったわ。そしておじいちゃんを看取った私は”異界”とは異なる世界の一つ―――”ティラスイール”に渡って、ティラスイール中で旅をしながら村や町の人々の為に多くの予言を残して行ったわ。
ちなみに私が”ティラスイール”に渡った理由は私より早く”ティラスイール”に渡って来た”異界”の女王になって”異界”の人々と話し合って決めたイザベルの目的――――”異界”にある”異界の月”を”ティラスイール”に転送させて”ティラスイール”を含めた3つの世界を滅ぼして”異界”を救うという方法とは違う”第三の方法”――――”異界”も”ティラスイール”を含めた三つの世界が犠牲にならない方法を探る為よ。
だけどイザベルを始めとした”異界”の人々はそんな私を”裏切り者”として見ていたようでね……旅をして1年くらいしたらイザベルに仕えている部下の人が私の命を狙って…………――――私はその時に殺されてしまったの。後はリィン達も知っている通り、キーアのお蔭で生き返ってリィン達と出会えたの。」
「……………………」
「―――今の話が私―――人々から”白き魔女”と呼ばれていた頃の私の人生の全てよ。」
ゲルドの壮絶な過去を知ったリィンが辛そうな表情でゲルドを見つめている中、ゲルドは穏やかな表情を浮かべてリィンを見つめた。
「どうして……ゲルドは平気でいられるんだ……!?」
「え…………」
身体を震わせながら声を上げたリィンの言葉を聞いたゲルドは呆け
「産まれた時から命を狙われてずっと隠れ住んでて……旅をしている時はその町や村の人々の為に予言を残していったのに、迫害をされて……そしてどちらかの世界を犠牲にならない方法を探していたのに故郷の人々から”裏切り者”扱いされた上、殺されるなんて……!なのにゲルドはどうして今も平気なんだ……!?」
「リィン………………」
悲痛そうな表情で自分を見つめて一筋の涙を流すリィンの言葉を聞いたゲルドは目を丸くした後、リィンを優しく抱きしめた。
「あ…………」
「―――ありがとう、私の為に涙を流してくれて。でも”私は大丈夫だよ”……それに私は今、とても”幸せ”よ……」
リィンを優しく抱きしめたゲルドは幼い頃自分の身を心配してくれた旅人達にも見せた笑顔――――全てを受け入れた穏やかな微笑みを浮かべてリィンを見つめた。
「え……”幸せ”って一体どういう事だ?」
「リィンやみんなに会えた事よ。私の”運命”を変えてくれたキーアには今でも心から感謝しているわ。キーアのお蔭でたくさんの友達もできたし……それに一人の女の子として異性――――リィンに恋をする事もできたわ。」
「ゲルド…………その、既にアルフィンと結婚している上アリサ達とも結婚する事になっている俺なんかでいいのか?」
ゲルドの告白に驚いたリィンは言い辛そうな表情で問いかけた。
「うん。リィン……大好き…………ん…………」
「あ…………(ゲルド……)」
そしてゲルドは自らリィンの唇に口付けをし、リィンは自分に想いを寄せるゲルドを抱きしめて優しき魔女の口付けを受け入れていた。
(ふふふ、予想通りの展開ですね。)
(ア、アハハ……ゲルドさんもリィン様に想いを寄せていましたから、ようやく……と言った所ですね。)
(……今朝エリゼ様達から叱咤や折檻をされたばかりだというのに、懲りずにまた増やしましたね。)
(うふふ、この後の展開を考えたら結界を展開しないとね♪)
(……今回は場所が場所だし、念の為に私も認識障害の結界を展開しておくわ。)
二人の様子をリザイラとメサイアが微笑ましく見守っている中、アルティナはジト目になり、ベルフェゴールとアイドスはそれぞれ結界を展開した。
「あ…………これはもしかして……”結界”……?」
「へっ……って、ベルフェゴール!?幾ら何でもこんな所でしたら色々不味いだろう!?」
結界に気付いたゲルドの言葉を聞いたリィンは驚いた後ベルフェゴールに念話を送ったが
(フフ、認識障害の結界も展開しておいたから私が結界を解くまで屋上周辺は誰も来ないし、ベルフェゴールの結界でどれだけ声を上げても誰も気付かないから大丈夫よ、リィン。)
(うふふ、そう言う事だからその娘も遠慮なく美味しく頂いちゃいなさい♪)
「ア、アイドスまで……」
アイドスまでベルフェゴールに助力していた事を知り、表情を引き攣らせた。
「?ねえ、リィン。この結界の事を知っているような口ぶりをしていたけど、もしかしてこの結界ってベルフェゴールかアイドスの仕業?」
「あ、ああ……」
そしてリィンはゲルドにベルフェゴールとアイドスが展開した結界を説明した。
「そう……フフ、二人には感謝しないとね。」
「へ。」
事情を聞いた後頬を赤らめて呟いたゲルドの言葉を聞いたリィンが呆けたその時、ゲルドは外套やローブを脱ぎ、ゲルドの純粋さを顕すかのような純白の下着だけの姿になった。
「な、なななななななっ!?ゲ、ゲルド……ま、まさか……!」
「うん…………私もみんなみたいに、たくさん愛して……」
慌てているリィンに答えたゲルドは顔を真っ赤にしてリィンに抱き付いた。
「そ、その……幾ら何でもここでするのは不味い気がするんだけど……」
リィンは必死に理性と戦いながらゲルドを何とか思いとどまらせようとしたが
「フフ、ユミルの露天風呂でアルフィンの純潔を奪って、”カレイジャス”では毎晩アリサ達と愛し合って、旧校舎ではエマの純潔を奪ったのだから、”今更”でしょう?」
「う”っ。カレイジャスでの事まで気付いていたなんて……というか何でエマの事まで……って、まさか予知能力か?」
ゲルドに図星を突かれると疲れた表情になった。
「うん。それと今夜私と会う前にリィンがクレアさんとリィン達の教室で子作りをした事も知っているわ。」
「……………………」
ゲルドの予知能力の凄まじい的中率を身を持って改めて思い知ったリィンは大量の冷や汗をかいた。
「リィン……みんなはよくて、私はダメなの……?」
「ダ、ダメって事じゃないけど……その……」
「お願い、リィン……私に好きな人に愛され、求められたという”証”を刻んで……」
懇願するかのような表情でリィンに抱き付いてリィンを見つめたゲルドは目を閉じ
「ゲルド…………」
ゲルドを愛しく思ったリィンはゲルドを抱きしめてゲルドと口付けを交わし、その後ゲルドと愛し合った。
ガガーブの”白”と”海”をやった人はお気づきと思いますがゲルドはまだ自分が殺された”真の理由”である自分の”真の目的”はリィンに教えていません。それに関してはラスボス戦後に判明させるつもりです。後予想していたと思いますがゲルドとも濡れ場になりましたので今回もシルフェニアを更新しておきました(遠い目)
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外伝〜白き魔女の軌跡〜 | ||
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2010 | 1866 | 2 |
コメント | ||
匿名希望様 リィンの毒牙から逃れているラウラはホントある意味凄いですよねw(sorano) リィンは身分の高い女性を落とす天才ですね。その牙が通用しないのが、ラウラだけ……。リィンには剣士には見えても女性には見えないの……か……?(匿名希望) |
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