チートでチートな三国志・そして恋姫†無双
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第48話 突然の訪問者

 

 

 

 

 

 

福莱と話をしたそのすぐ後に兵から、“孫堅と黄蓋と思われる2人が下?城へ向かって歩いてくる”という連絡が入った。

 

「これは……。」

 

「馬鹿の考えはわかりませんが、どうせですし利用させて貰いましょう。一刀さんは条約の内容を考えておいてください。私は、それをどうのませるか、ちょっと手を打ってきますので。」

 

そう言うと、水晶は福莱と紫苑を連れてどこかへ消えた。

 

「孫堅と黄蓋か。どんな人物なのか楽しみだよ。」

 

「恐怖はないのか?」

 

俺の呟きに応じたのは女?だった。

 

「正直、もう恐怖に感じることはないかな、そんな感じがしてるよ。俺も、色々な人と出会ってからここへ来たから、誰と会っても最初から臆することはなかったし、戦争で人が死ぬことも理解できるようになった。それに、愛紗たちとの演練で化物にも慣れた。恐怖はないよ。それに、ここは俺たちの本陣だしね。」

 

「なるほどな。しかし、言葉には気をつけることだ。」

 

「え?」

 

「聞きましたよ。ご主、あいえ、か、一刀さん。」

 

「愛紗よ、それでは追求にならんではないか。我らを“化物”呼ばわりは酷いのではありませぬか、一刀さん?」

 

いつの間にか、愛紗と星がこちらへ来ていた。たしかに「化物」は失言だったかもしれない……。

 

「ま、まあそれくらい強いってことで他意はないよ。それより孫堅は何の目的でここに来るんだと思う?」

 

「それは……。私にはさっぱりです。」

 

「ごまかされすぎだぞ、愛紗よ。」

 

「いや、ごまかしてなんか……。」

 

「話をそらしましたね!?」

 

「いやしかし、孫堅の考えですか。『俺たちが落とせなかった下?城をあっさり落とすなんて劉備軍は凄いなあ! 一度見に行ってみようか!』くらいでありましょうな。理性より感情で動く人もこの世の中にはいるのですよ。我々には理解出来ませぬが……。」

 

「なるほど……。」

 

「いや、そんな馬鹿が……。いるかもしれないね、確かに。」

 

そんな話のあと、俺は桃香に一つ頼み事をすることにした。

 

「悪いんだけど桃香、今回は交渉、というか会話の全権を俺にくれないかな?」

 

「それって、私は喋らない、ってこと?」

 

「悪いけど、そうなる。」

 

「うん、わかった! でも、上手くやってね。」

 

「わかってるよ、大丈夫。」

 

話し合いの場所は水晶が指定した場所ですることになった。あれが、孫堅と黄蓋。臣下の礼をとっているほうが黄蓋だろう。ということは、紫の髪の女性が“江東の虎”孫堅、字は文台か。なるほど……。確かに勇将の雰囲気があった。

 

「ずいぶん、あっさりと入れてくれたもんだな。一悶着あるかと思っていたんだが。」

 

「俺たちは、常に相手の先をいく。それだけだよ。」

 

「なるほど。君が北郷一刀か。良い目してんなあ。目的達成の為ならなんでもやる、そんな覚悟を持った目だ。俺は孫堅。字は文台。そしてこっちが……」

 

「黄蓋。字は公覆。」

 

「そうむくれるな、祭。」

 

「敵陣に2人で乗り込むなど阿呆のやること。今すぐ殺されてもおかしくないのですぞ!」

「こういう風に、ですか?」

 

「な……。」

 

2人のやりとりを見ていた水晶が突如、伏せさせていた兵に弓を射させた。弓はちょうど2人を円状にかこんだ。

 

「目を隠すってのは気に入らねえなあ、娘。兵を伏せてたのなんざ最初っからわかってらあ! 殺す気ならそうこいや!!

 

ん? なんで射ねえ?」

 

「俺たちの軍は、命令なく人を殺すことも、何かをとることもしない。全て命令の上でやる。殺されたいなら、弓で蜂の巣になるのがいいかい? それとも、ウチの極上の将を相手に戦うのがいいかい?

 

どちらかな?」

 

俺の言葉と同時に出てきたのは愛紗を筆頭にした武官たち。これまで余裕だった彼女の目が曇ったのを見過ごすほど俺は間抜けではない。

 

 

「一つ聞きてえ。もし俺の軍と君らの軍が戦ったらどうなる?」

 

「敵の城に護衛も連れず武器持参でわずか2人で乗り込んでくる間抜けな君主とそれを止められない臣下。我々とは質が段違いです。

 

そもそも、貴方たちが落とせなかった徐州を我々はあっさりと落としている。

 

どこにも負ける要素はありません。“勇気”と“無謀”は違うのですよ。」

 

「全く、返す言葉もないわい。じゃから拙速な行動は慎めと何度も言うておるではありませぬか。」

 

「炎蓮。俺の真名だ。お前らになら預けても良さそうだ。」

 

「大殿!?」

 

水晶の冷たい言葉に半分呆れながら同意した黄蓋の言葉を聞くと、突如真名を預けると言ってきた孫堅だった。あんまりな行動に黄蓋の声が裏返ったぞ、今。

 

 

「炎蓮さん、でいいのかな?」

 

「“さん”はいらねえ」

 

「炎蓮、条約を結ばないかい?」

 

「条約? 何だそれは?」

 

「盟約、とでも言うのかな。約束事だよ。

 

一つ、俺たちは互いに戦争を行わない

 

二つ、“天の時”が満ちたときに俺たちは荊州と益州を手に入れ、炎蓮たちは徐州と北海を手に入れる。

 

三つ、“合同軍事演習”を行う。

 

どうかな。」

 

「“天の時”ってのはともかくとして、俺たちはまだ益州も荊州も手に入れてねえ。それでもいいのか?」

 

「炎蓮!! こういうことは冥稟に相談してからにせねば……。」

 

「祭、州牧は俺だ。冥稟じゃねえ。全責任は俺が持ってる。」

 

「しかし!!」

 

「くどい!!

 

悪いな。それでもいいのか?」

 

「ああ。構わない。」

 

「乗った!! お前らと軍事演習なんて最高だぜ。」

 

「ありがとう。楽しみにしてるよ。」

 

そう言いながら、俺は心の中でガッツポーズをして、またそれが顔にでないように必死でこらえた。それを文章にして印を押し、完了。

 

「逝きましたね」

 

「水晶、今、“行く”の漢字が違ったろ?」

 

「ここまであっさりはまるとは……。本当に周瑜が哀れです。憤死しないか心配になってきました。」

 

「おそらく“冥稟”ってのが周瑜なんだろうけど、君主が策を受け入れないとそもそも軍師の存在意義ってないからなあ……。苦労してそうだね。」

 

 

その点、ウチは凄いよなあ。桃香は正しいかどうかを判断した上で軍師に任せてる。“州牧は俺だ、冥稟じゃねえ”あの言葉は自分が主である意識を強くもっているからこそ出るもの。良いこともあるけれど、今回みたいに最悪に働くこともある。桃香には絶対出せない言葉だろうけど、だからこそ人がついてくる。“危なっかしくて見ていられないから”かもしれないけれど、ついてきて助けてくれる。おそらく炎蓮にはないものだろうし、わからないものだろう。その感覚は。

 

 

 

 

 

後書き

 

孫権×周瑜(3)でやったところなので短めですみませんでした。

 

説明
第5章 “貞観の治”
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