英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
〜トリスタ・郊外〜
「ゼ、”ゼムリアストーンのレシピ”って……まさかゼムリアストーンを人工的に創りだせるんですか!?」
ウィルが呟いた言葉が気になったジョルジュは信じられない表情でウィルを見つめ
「ええ。先程エイドス様が仰ったように”ゼムリアストーン”は七耀脈が結晶化したもの……ですから各属性のセピスを塊にしてからそれら全てを合成させれば人工的に創りだせますよ。」
「まあ加工が結構難しいから現在は上級の工匠でないと無理だから、もっと簡単な加工方法を見つけるのが今後の課題かな。」
「フフ、下級の工匠達の為に簡単な加工方法を考えるのもウィルらしいですね。」
ジョルジュの疑問にエリナは答え、考え込んでいるウィルの言葉を聞いたセラウィは微笑み、エリナの答えやウィルが考えている凄まじさを知ったリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「ア、アハハ……ゼムリアストーンを人工的に創り出すなんて考えた事もなかったね……」
「というか普通は思いつかないわよ、そんな非常識過ぎる事。」
「フフ、さすがは凄まじい”風”が込められた武具を創ったウィルさんだな。」
「ううっ、”精霊窟”での僕達の今までの苦労は一体何だったんだ……?」
「マキアス………虚しくなってくるからそれは言わないでよ……」
「何かわたし達がやって来た事を全否定されるみたいに感じて、あの二人を思いっきり蹴飛ばしたくなるね。」
「それボクも思った〜!」
「落ち着け、フィー、ミリアム。気持ちはわかるがそれは八つ当たりだぞ。」
「うふふ、できれば後でわたくし達もご教授願いたいですわね♪」
「シャロン……貴女ね……」
トワは苦笑し、セリーヌは疲れた表情で指摘し、ガイウスは静かな笑みを浮かべ、マキアスとエリオットはそれぞれ疲れた表情で肩を落とし、ジト目で頬を膨らませているミリアムと共にウィルとエイドスを見つめるフィーの発言を聞いたラウラは冷や汗をかいて指摘し、シャロンの言葉を聞いたアリサは呆れた表情をしていた。
「な、何だかゼムリアストーンの価値が急激に下がったような気がするのは気のせいでしょうか……?」
「ハハ、エリス君。あの二人が”特別”なだけだからそんなに気にする必要はないよ。」
「うふふ、さすがはお兄様のお知り合いだけあって、どの方達も凄まじい方達ですわね♪」
「何でエステルが関われば、こんな”規格外”な連中が次から次へと現れるんだよ……?」
「言われてみればそうね………というかよく考えたら”嵐の剣神”や”英雄王”達もみんな、あの娘が関わっているわね………まさか、あのハチャメチャ女神による”女神の巡り会わせ”ってやつかしら?」
「サ、サラさん。その推測、冗談になっていませんわよ………?」
「エステルさんはその”女神”の子孫ですからね………」
「ゼムリアストーンを創る”空の女神”や”匠王”も非常識だが、そんな非常識な存在ばかりと必ず関わりがあってもおかしくない”ブレイサーロード”は双界一の非常識と言ってもおかしくないな。」
疲れた表情をしているエリスにオリヴァルト皇子は苦笑しながら指摘し、アルフィンは微笑み、疲れた表情で肩を落としたトヴァルの言葉に頷いた後呟いたサラ教官の疑問を聞いたセレーネは表情を引き攣らせ、クレア大尉は苦笑し、ユーシスは呆れた表情で呟き
「フフ、それを言ったら最高位の異種族と契約していて、多くの女の子達と付き合っているリィンも”規格外”よね?」
「ハハ……」
ゲルドに微笑まれたリィンは冷や汗をかいて苦笑していた。
「ねえねえ〜、それよりそろそろ始めようよ〜!あたし達、早く作りたくてすっごくうずうずしているんだから!」
「もう、この娘ったら……まあ、”工匠”として貴女の気持ちはわかるけどね。」
シャマーラの申し出を聞いたセティは呆れた後苦笑し
「あ、あのあの……えっと、お二人がリィンさんとエリゼさん、ですよね?」
「?はい。」
「俺達に何か用かい?」
ティータに話しかけられたエリゼは頷き、リィンは尋ねた。
「えとえと……後で”騎神”と”神機”を見せてくれませんか!?リフィアさん達に話を聞いた時からすっごく興味があったんです!」
「うふふ、ティータったら、相変わらず重度の機械マニアね♪」
「人形兵器に興味を持ち、あまつさえその技術を応用しようとするとか物騒すぎるマニアだと思うのですが……」
目を輝かせているティータをレンは微笑ましそうに見つめ、ティオはジト目で指摘した。
「ハハ……まあ、そのくらいなら別にいいよ。エリゼもいいよな?」
「ええ。」
「ほ、ほんとーですか!?えへへ……ありがとうございます!」
リィンとエリゼの答えを聞いたティータは嬉しそうな表情で頭を下げた。
「そう言えば気になっていたが……一体どこで武具を創るつもりなのだ?学院やカレイジャスでの施設では満足に創れないと思うが……」
「そうかな?ウィル達ならどこでも創りそうだけど。」
「エ、エヴリーヌさん……それ、冗談になっていませんよ?」
「ア、アハハ……実際施設も満足になかった”影の国”で工房を創り上げたものね……」
レーヴェの疑問に指摘したエヴリーヌの言葉を聞いたツーヤは疲れた表情をし、プリネは苦笑していた。
「フフ、”工房”については私やウィル達が”パンダグリュエル”の施設を少し改装して”工房”を創り上げましたから心配ありませんよ。」
「ええっ!?パ、”パンダグリュエル”に工房があるんですか!?」
「まあ、”パンダグリュエル”自体、元々豊富な施設があったから可能でしょうね……」
セラウィの話を聞いたエリオットは驚き、クロチルダは苦笑していた。
「さてと……―――話は色々と逸れたが”Z組”や協力者達、そしてゼルギウスとシグルーン、エリゼの武具の作成を頼むぞ、ウィル!」
「了解。”影の国”の時と同じ……いや、今回はセティ達もいるし、材料もエイドスの提供によって豊富にあるからあの時以上の武具が作れるように目指すよ!」
「フフ、ウィルならきっとできますよ。」
「またご指導の方、よろしくお願いします。」
リフィアの依頼にウィルは力強く頷き、その様子をセラウィは微笑ましく見守り、シュリはウィルを見つめて会釈をした。
「シャマーラ、エリナ。ここが私達の腕の見せ所ですよ。」
「うん!”匠貴”が三人もいるんだから、”影の国”で父さん達が創った武具以上の品に仕上げないとね!」
「”工匠”として腕が鳴りますね。」
セティの言葉にシャマーラとエリナはそれぞれ力強く頷き
「うふふ、リトルレディ達によるパーフェクトアシスタンツの結成、再びね♪」
「えへへ……頑張ろうね、レンちゃん、ティオちゃん!」
「ふう……めんどくさいですけど了解です。とっとと終わらせてしまいましょう。」
幼いながらも様々な方面で”才”のある三人――――レン、ティータ、ティオはそれぞれの手でハイタッチをして士気を高めた。
「あ、あの!お願いがあります!」
「ジョルジュ君……?」
その時真剣な表情をしたジョルジュが申し出、ジョルジュの様子をトワは不思議そうな表情で見つめていた。
「どうか僕もみんなの武具創りに手伝わさせてください!決戦に挑むみんなを見守ることしかできない僕もZ組のみんなの為に何かしてあげたいんです!最初はリィン君達の武器の強化を考えていましたけど……悔しいですけど、ディオン卿が創った凄まじい効果を秘めた武具の強化は僕の腕では無理だったんです……それに僕にもっと技術力があれば、”ゼムリアストーンの太刀”の完成も早くなり、リィン君とクロウの”約束”を叶えられていたかもしれないと今でも思っているんです……」
「先輩…………」
「………………」
「あれは別にお前のせいじゃねぇよ。あの爺さんにオルディーネを預けた俺やヴィータが一番責任がある。―――ま、自業自得って事だ。」
「……そうね。」
ジョルジュの話を聞いたリィンは辛そうな表情をし、エリゼは複雑そうな表情で黙り込み、静かな表情で語ったクロウの言葉にクロチルダは頷いた。
「先程の話や作業着を着ている事といい、君はもしかして技術者かい?」
「はい。以前シュミット博士に少しだけ師事して頂いた事もあります。」
「ふえっ!?確かシュミット博士って……!」
「ラッセル博士のエレボニア版と言ってもおかしくないゼムリア大陸の中でもトップクラスの導力技術を持っている人ですね。」
ウィルの質問にジョルジュは静かに頷いて答え、ジョルジュの答えを聞いたティータは驚き、ティオは真剣な表情でジョルジュを見つめた。
「俺達は導力技術だけでなく、他の様々な技術を使って武具を創っている。それこそ君にとっては専門外と言ってもおかしくない技術も勿論使っている。……というかむしろ正直導力技術を使っている部分が少ないと思うよ。だから導力技術者である君にとってはあまり参考にならないと思うんだけど……」
「それでもいいんです!リィン君達の為に僕も何かしたいんです!―――お願いします!」
「ジョルジュ…………」
ウィルを見つめて頭を深く下げて嘆願するジョルジュの様子をアンゼリカは目を丸くして見つめていた。
「…………わかった。同じ技術者として君の気持ちは痛いくらいわかるし、今は猫の手も借りたい程だ。今回は急ぎで創るから君に教えられる事は少ないかもしれないけど、それでもいいならいいよ。」
「あ、ありがとうございます……!」
「えへへ、よかったね、ジョルジュ君……」
「うふふ、僭越ながらわたくしも助力致しますわ。何かあれば是非お申し付け下さい♪」
「この女の事だから手伝いながら”匠王”達の技術をちゃっかり盗むんじゃないかしら?」
「ううっ、シャロンなら本当にやりかねないから冗談になっていませんよ……」
「ま、まあまあ……”ラインフォルトグループ”にとってもメリットになるでしょうから、あまり気にしない方がいいと思いますよ?」
ウィルの返事を聞いて明るい表情をしているジョルジュを見たトワは嬉しそうな表情をし、シャロンの申し出を聞いてシャロンの行動を推測したサラ教官の話を聞いたアリサは疲れた表情をし、クレア大尉は苦笑しながらアリサを諌めていた。
こうして……リィン達の武具はエイドスが提供した材料とそれらを使ったウィルを始めとした様々な才ある者達によって強化された。
そして全ての準備が整い、オズボーンとの決戦に向かう前日の夜リィンは士官学院を見回っていた…………
説明 | ||
第638話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1767 | 1629 | 3 |
コメント | ||
本郷 刃様 まあ今更強化した所でほぼ無意味という所がw(sorano) ジョルジュも技術面で強化されますねw(本郷 刃) |
||
タグ | ||
他エウシュリーキャラも登場 幻燐の姫将軍 空を仰ぎて雲高くキャラ特別出演 閃の軌跡U | ||
soranoさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |