艦隊 真・恋姫無双 54話目( 居酒屋編 )
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【 続 覇王さまとの賭け の件】

 

? 洛陽 居酒屋 鳳翔 店内 にて ?

 

華琳「良い顔付きね? 勝負は……私たちに関係無い物を選ばせて貰うわ! ────その方が平等でしょう?」

 

鳳翔「そうですね。 それで───その勝負とは!?」

 

秋蘭「………私から説明させて貰う。 確か、今日は予約客が居ない……これは間違いないか?」

 

鳳翔「えぇ……今日は普通の営業日ですから……大丈夫です。 でも、よくそんな事が………私が予定管理しているのに!」

 

秋蘭「これくらい……聞き取り調査をすれば、すぐに分かる。 さて、通常の営業なれば……その中で行わせて貰いたい。 観客の居る中で、両方不正が無い事を見て貰うのだ! 数十の目を誤魔化す事は、出来んからな!」

 

流琉「(た、確かに──平等と言えば平等。 だけど、勝ち戦を望む華琳さまの事、必ず勝つために……何か策を………)」

 

鳳翔「裏を返せば、お客様を利用した情報操作。 私に勝負を挑み、負ければ当然の結果、勝てば大殊勲! 弱者が強者に勝った話は、興味を持って聞きたがるもの! そして、名声の拡大に一役買う……ですか?」

 

流琉「────えっ!?」

 

華琳「………本当に惜しい。 そこまで分かっているのに、私の軍に参入してくれないなんて。 鳳翔が居れば……我が軍は、天を握る事ができるのに! だけど──貴女が勝てると思うの? この『覇王 曹孟徳の才』にッ!!」

 

鳳翔「───勝ちます! 勝って、貴女の思い上がりを、叩き潰して上げますッ!!」

 

流琉「………鳳翔先生ぃ!!」

 

秋蘭「さて、勝負は……これだ!!

 

★☆ー★☆ー★☆ー★☆

 

・勝負は、三つのお題

 

『水墨画』

 

『彫刻』

 

『得意な物』を観客の前で行い、審判を請う!

 

・結果の判断は、観客の判定に任す! 

 

・勝負は三回戦、『二勝』先勝した方が勝ち……とする。

 

・材料は、店内の品物で開始する事。 

 

・今から外で、新た調達し持ち込みのは厳禁。

 

・公平を期すため、今より関係者の店内外への出入りを規制。 

 

・客は、その限りでは無い。 

 

・ただ、双方の関係者が混ざっていたら、分かった時点で外す。

 

★☆ー★☆ー★☆ー★☆

 

秋蘭「……これらの制約に則り実行する! ───以上だ」

 

武蔵「ならば──我々給仕が、出入り口で警戒するのは……構わないな? お前たちの将、私たちの仲間が来たら、双方確認する事だ!」

 

秋蘭「うむ……此方の要求を呑んでくれたのだ! そこは認める!」

 

北上「あぁ……私に任せて貰おうと思ったのに。 サボれる理由がねぇ……」

 

大井「北上さんは、私と給仕をする事になってるんです! ねぇ〜北上さぁ〜んッ!? 『……う〜ん、やっぱぁ……こうなっちゃうんだよね〜私〜』 きゃあぁぁ〜北上さん大好きぃいいいッ!!」

 

鳳翔「…………………」

 

吹雪「鳳翔さん! この勝負、勝てますよね? 絶対に勝てますよね!?」

 

秋蘭「勝負は、今から四半刻後(約30分後)だ。 私と華琳さまは、奥座敷で休ませて貰う。 それまでには──準備を頼んだ!」

 

鳳翔「………わかりましたわ!」

 

 

◆◇◆

 

【 鳳翔さんの秘策 】

 

? 洛陽 居酒屋 鳳翔 店内 にて ?

 

華琳たちが、奥座敷に入るのを確認すると、鳳翔たちは、別の部屋に入り込む。 奥座敷は、宴会とか多いため、防音、耐久性が遥かに高く設定。

 

例えば……どこかの猫化した恋姫が暴れても、ちっとやそっとの事では壊れないし、音も漏れない。 だけど、それ以上のモノは……当然……無理!

 

要は、普通に使用して貰えば、大丈夫と云うワケである。

 

ーーー

 

流琉「───鳳翔先生ッ! ごめんなさい! ごめんなさい!!」

 

武蔵「どうしたんだ……チビッ子? 急に謝り出して?」

 

吹雪「『流琉』さんです! 武蔵さん!! 大切な真名を預けて貰ったのに、間違えるなんて失礼ですよ!」

 

鳳翔「………どうしたんですか? そんな悲痛な顔で謝られて……」

 

ーーー

 

皆が不思議そうな顔をして、流琉を見守る。

 

一応……曹操軍配下だが、心情的に鳳翔側ゆえ、華琳が残した結果。 

 

見方を変えれば……流琉を向かわせても、勝機はあると云う余裕を示すように見える! いや、それしか見えない!(確信)

 

ーーー

 

流琉「グスン、グスン! か、華琳さまぁは、何でも器用にこなす凄い人なんです! 一度習えば、教えてくれた先生よりも上手くなる『先生泣かせの生徒』だったと! 秋蘭さまに教えて貰ったんです! それを聞いていたのに!」

 

北上「何それぇ〜? まるで戦艦レ級が、人の振りして生活しているようじゃん。 って言うかぁ〜私……艦娘だけど〜何気に曹操より劣ってるよねぇ? こんなんじゃ……提督に必要とされないんじゃないのかな〜?」

 

大井「私の北上さんに、そんな事を言わすなんてぇ! 提督と曹孟徳……許さないぃいいいッ!」

 

ーーー

 

流琉「昔……兄様が、華琳さまの事を『完璧超人』と評して………」

 

吹雪「あぁ……なるほど。 でも、どちらかと言えば……貂蝉さんの方がそれっぽいけど………」

 

大井「ふんッ! 完璧超人の割には、私に胸の大きさで負けているわ!」

 

北上「……んんぅ、私は大井っちより小さいしな。 ……まぁ、別に……」

 

大井「北上さん! 心配いらないわ……私がぁ何時もしているマッサージを続ければ……必ず大きくなるわぁ! ハァハァハァッ!!」ワキワキワキ

 

北上「や、やめぇ〜〜! わあぁ〜〜〜ッ!!」

 

ーーー

ーーー

 

武蔵「重雷装巡洋艦を二隻、別の部屋に押し込んできたぞ! ───お前たちには、まだ早い!」

 

流琉「───はッ、はいッ//////」

 

吹雪「───ハ、ハァーッ! す、凄かったあぁあああッ!!」

 

★☆☆

 

武蔵が……気落ちしている鳳翔に声を掛ける。 

 

いつも、笑顔で対応する鳳翔にしては珍しく、シュンボリしている。

 

流琉も吹雪も、声を掛けれないのだが、武蔵は実に……無造作、直球、傷口に塩を塗り付けて、力一杯擦るように──問い掛けた。

 

武蔵「………で、鳳翔よ! 勝算はあるのか……!?」

 

鳳翔「それが………絵も彫刻も……した事がなくて……」

 

吹雪「そ、それなら……試しに私を描いて下さい!」

 

鳳翔「ふ、吹雪ちゃんをですか?」

 

流琉「そうですね! 筆と硯、あと紙を用意しました……一度描いて、実力を確認するのが大事だと……思います!!」

 

鳳翔「そ、そうですね! まずは試しに描いて……! 皆さん、批評をお願いします! ────ではっ!」

 

ーーー

ーー 数分経過 ーー

ーー★

 

鳳翔「…………………………」

 

吹雪「え、えぇ〜とぉ〜」

 

流琉「こ、これは───?」

 

武蔵「正直に言って───いいか?」

 

鳳翔の絵を見て、判断する者たち。

 

鳳翔曰わく『吹雪型 1番艦 駆逐艦 吹雪の図』

 

しかし、これは…………

 

───バタン!

 

北上「やれやれぇ、酷い目にあったよ。 ……おっ!? 描けたの? 見せて見せてぇ〜! おやっ! 意外と上手いねぇ『潜水艦カ級』かい! ………にしても……足があるねぇ? 『潜水艦』に足なんて……あったかなぁ?」

 

大井「う〜ん、壊滅的ですね! ───諦めましょうか?」

 

鳳翔「 (つ?<。) 」

 

重雷装巡洋艦の二隻が、痛烈なダブルクリティカルを放ち──鳳翔が轟沈寸前。 味方を攻撃してどうするんだ! この二隻はッ!!

 

吹雪「そ、そんな簡単にぃ─『ガッ!』──あっ! 墨がッッ!」

 

流琉「だ、大丈夫ですから。 紙の上に墨が掛かった状態ですから。 このまま、動かさないように処理しましょう!!」

 

吹雪が、持ち前の優しさを発揮し、鳳翔の傍に近寄ろとしたら、硯に軽く当たり、中の墨が……紙に飛び散り、黒色に染まるッ!!

 

墨と云うものは、一度……物の上に落ちると、色が染まり派手に目立つ! しかも、それを完全に取り除く事が出来ない厄介な物。

 

今回は、描いた紙の上に付いただけで、部屋の床に付いたわけでは無い!

 

鳳翔「────あっ! そうだわッ! この手でぇ!!」

 

鳳翔は、この様子を見て叫ぶ! 

 

難題だった『水墨画』に対する作戦が、頭に浮かんだようで、まるで綺麗な華が咲いたと思わせる、美しい笑顔を……浮かばせていたのだった。

 

 

◆◇◆

 

【 応援する者たち の件 】

 

? 洛陽 居酒屋 鳳翔 店内 にて  ?

 

 

ザワザワ……ザワザワ………

 

あれから、僅かな時間に……何故か知れ渡り……『居酒屋 鳳翔』は満員御礼の旗を入り口に出した。

 

ーーー

 

青葉「さあてぇ、やって参りました! 今、最も注目される軍閥第一候補、陳留太守『曹孟徳』、対するは、我らの居酒屋女将『鳳翔』による三本勝負が開始されます! 実況は、私『青葉型 1番艦 重巡洋艦 青葉』と……!」

 

霧島「艦隊の頭脳こと『霧島』が、解説をさせて頂きます!」

 

『うおおおぉぉぉ─────ッ!!!』

 

ーーー

 

盛り上がる店内! 

 

そして、何時もは主に、鳳翔の補助をする流琉が、料理を作り上げてカウンターに乗せて行く。 

 

いつも、横で見る鳳翔の様子をイメージしながら。

 

流琉「(鳳翔先生ぃ! 私、頑張ります!! だから、だからぁ!!)」

 

★ーー★ーー★ーー★

 

始め、鳳翔より店を任すと云われ、身体が固まった。 何時もは、鳳翔が切り盛りする店であり、流琉は鳳翔を助けて、料理を手伝っていたのだ。

 

名店『居酒屋 鳳翔』の名を、自分が汚す事になるかもしれない!

 

─────そう思うと、身体が震えて止まらない。 

 

数々の戦場を生き抜いた猛将が、たかが……こんな事で思われるが、流琉に取っては……とても重いものだったのだ。

 

しかし、鳳翔より手を握りしめられ……『お店を、お願いしますね!』と云われた途端、ある事を悟る。 

 

流琉『これは、卒業試験だ!!』

 

店を任されられるのは、『暖簾分け』をして大丈夫かの試しをする事。 つまり、先生と同じ立場、店を『鳳翔の支店』と名乗れるかの瀬戸際! 

 

そう思い直し、気合いを入れて、調理と指図をしていたのだった。

 

★ーー★ーー★ーー★

 

───ガタッ! ガタン! ゴトッ!

 

流琉「『胡瓜の漬け物』『おでん』『卵焼き』できました!」

 

武蔵「よし、持って行こう! 北上よ! 出入り口の見張り頼むぞ! (ふっ! 鳳翔……頑張るんだぞ!)」

 

ーーー

 

北上「この勝負……既に見えたねぇ。 おっと、兄ちゃんは……曹操軍の兵士さんか。 ワリィね、今回だけ出入り禁止になってんの! また、来て貰った時に、色々付けるからさ! うん、ごめんよ! ……頑張れぇ、鳳翔さん!」

 

ーーー

 

大井「あぁ〜ん! 北上さんと給仕やるつもりだったのに! 采配が悪いのよ、采配が──『すいませぇ〜ん!』はぁ〜い! 今、いきまぁす!! ………負けたら、北上さんと文句言わせて貰いますからね、鳳翔さん!」

 

ーーー

 

そして、カウンターの席には………

 

客「最後まで決して諦めない。 いかなる窮地でも成功をイメージする……それが成功の秘訣だ……。 頑張れよ、女将!」

 

仕事に付いて、直に応援出来なかったが……仲間たちは、陰ながら応援していた。

 

客「( ▼ω・)у- ……おっと……禁煙だったな……いかんいかん!」

 

 

◆◇◆

 

【 第一戦 開始 の件 】

 

? 洛陽 居酒屋 鳳翔 店内 にて ?

 

青葉「はい! 青葉です! 霧島さん、本日は、お忙しい中、此方に来て頂き──ホントッ恐縮ですぅ!」

 

霧島「いえっ! 私も世紀の一戦、是非見たかったので、呼んでいただきありがとうございます!」 

 

青葉「では、早速ですけどぉ……どう思います? この戦いの行方は……?」

 

霧島「えぇ……この勝負、ハッキリ言って分が悪いですね。 相手の曹孟徳は多芸多才の『完璧超人』……つまり天才芸術家に喧嘩を売っているようなもの。 果たして……鳳翔さんが、どこまで善戦できるのか……心配です」

 

青葉「はいっ! ありがとうございます! ………おっと、手元に資料が。 えっ!? コレッ! 鳳翔さんが描いたやつ!? 嘘ぉ! これじゃ……勝負にならないんじゃ……! あ、霧島さんにも見て貰って……」

 

霧島「これですか………。 なかなか上手い『戦艦ル級』じゃないですか? はっ!? こ、これが……吹雪!? 正攻法では、全く勝ち目は無いじゃないですか! これで──よく勝負を受けたモノですよ………」

 

青葉「あはははっ。 私たちは立場上、中立的位置になるんですが……鳳翔さんを、全面的に応援したくなる心情ですね。 あぁ……観客からも、憐れみの眼差しと絶望の表情が! 分かります、分かります! 私も同じですから!」

 

霧島「………勝敗が分かっているのに、全員席を立たないのは、鳳翔さんの仁徳に寄るものか? それとも、溜まっているツケの請求を恐れているのか? どちらかでしょうね…………」

 

青葉「はいっ! 以上、青葉からでしたぁ!!」

 

★☆☆

 

いつも、来店者には笑顔で迎えてくれる鳳翔だが、今回は緊張した様子で、奥座敷に座っている。 そして、対面の部屋では……勝利を確信したとばかりに笑みを浮かべる華琳の姿があった。

 

華琳「ふ〜ん、そうなの。 ならば、私の方に分があるわね?」

 

鳳翔「いえっ! 勝負は、まだ……わかりませんよ!!」

 

華琳「あの絵で、貴女の技量……全て覚ったわ! この勝負! 私が勝たせて貰うわよ!!」

 

その部屋を挟んで、通路が真っ直ぐに伸び──その通路に、吹雪と秋蘭がそれぞれの違う陣営を監視していた。

 

吹雪「まず、規則を説明します。 ───制限時間は、四半刻(約30分)! その間に紙へ描いていただく事になります。 終わりは、銅鑼の音が響くまでですよ。 質問は、何か……ありませんか?」

 

『…………………』

 

吹雪「では──双方とも、準備は良いですか? 『──コクリ』 で、ではっ! 始めて下さい!!」

 

────サッ!

 

ーーー

 

青葉「おぉ〜と、さすがは完璧超人『曹孟徳』! 筆に墨をタップリ付けて、紙に迷い無く走らせたぁ────ッ!!」

 

霧島「絵画としては、かなり難しい水墨画を、あれほど迷うなく筆を進める。 これは、曹孟徳の頭には、ハッキリと完成図が出来ているのでしょう。 あれが、ほんの手慰みだとしたら……やはり恐るべき人物ですね!」

 

青葉「そして、対する鳳翔さんは───あれ? 何も手を付けていないッ? 筆を硯にチャプチャプ入れて、墨を含ませているだけじゃないですか! しかも、何本も何本も……!!」

 

霧島「───早々に、曹孟徳の軍門に下るのを良しとしない抵抗? それとも、艦隊の頭脳たる私にも解明できない作戦? 何にしても、あの鳳翔さんの事! このままで終わらせるワケ──ありませんよね!?」

 

ーーー

ーーー

 

青葉「制限時間も後少し───ッ! 曹孟徳、仕上げに取りかかった!」

 

霧島「………こ、これは! 私の頭脳を持ってしても、勝算はゼロに近い!」

 

青葉「す、素晴らしい! まだ完成していないのに関わらず、感嘆の声が思わず漏れてしまう水墨画です! あぁ──っと、手の動きが更に早くぅぅぅ!! これで、曹孟徳に勝敗は傾くのかぁ────ッ!!」

 

霧島「─────! ほ、鳳翔さん!? いったい何を!?!?」

 

青葉「な、なんだぁこれはあぁぁぁ!? ほ、鳳翔さんは、紙一面に──墨をメチャクチャに塗り潰しているッ!? 負けるのが怖くて、とうとう自棄(やけ)を起こしたかぁあああッ!!!!」

 

霧島「でも……なんで? 墨で紙が真っ黒……はっ! ま、まさかぁ!!」

 

バァ────ン!

 

秋蘭「────制限時刻だ! 双方、筆を置いて欲しい!!」

 

 

◆◇◆

 

【 結果…… の件 】

 

? 洛陽 居酒屋 鳳翔 店内 にて ?

 

青葉「では……曹孟徳さまにインタビューしてみたいと思いますぅ! これは見事な『水墨画』ですね? 川へ浮かぶ舟に釣り人、迫る奇岩に雄大な山並み!! わぁあああッ! ……は、迫力ありますねぇ!!」

 

華琳「ふふふっ、貴女……なかなか解るようね。 陳留の近くの景色よ。 遠出した時に、ふと見かけたのよ。 いつか描きたい題材だったから、丁度良かったわ!」

 

青葉「ふぇ〜! すると、遠出なら……気分転換しに出掛けたんですか? 結構、お忙しい孟徳さまの事ですので、こういう機会は大事なんでしょうね〜!? 仕事を束の間、忘れて精神を解放する事も……」

 

華琳「確かに……気分転換は大事。 だけど、私は国を預かる者よ? 時を少しでも無駄には使いたく無い。 その時は、視察も兼ねて動くようにしているわ! 民の生活に不便は無いか、困った事は無いかを……確認しながらね!」

 

青葉「───えっ!?」

 

華琳「考えても御覧なさい。 民は、為政者に不満を伝えにくい。 少し辛くても我慢する。 そんな生活していては、生きる希望も無くなってしまうわ! 民あっての国、民あっての私たちなのよ!」

 

青葉「それじゃ……じっくり見て記憶したんじゃなく……」

 

華琳「そんな時間は無いわ。 ほんの少し眺めて、視察に戻っただけ。 景色は好みだったけど……民の方が大事だわ!」

 

青葉「み、皆さんッ! 聞きましたかッッ!? 曹孟徳さまは、自分の事よりも民の生活を優先される方だそうです! そして──御覧下さいぃいいい! この水墨画の完成度、これが少し見ただけで描ける物でしょうか!?!?」

 

『おぉ───上手いぜぇ!!』

 

『オレんとこのガキに比べりゃ、遥かにスゲェ───!!』

 

『曹孟徳さま───万歳ぃいいいッ!!!』

 

華琳「この曹孟徳は、民を大事にして、この世の中を平和に導きたいの! 二度と戦乱や天意で、人々を苦しめさせたくないのよ! だから、その為に私は戦い続ける! ───大陸に平和が訪れるまで!!!」

 

★☆☆

 

青葉「次は、えぇ〜とぉ………言いにくいんですが。 ほ、鳳翔さんにインタビューを! ほ、鳳翔さん……この墨で真っ黒な水墨画?は、何なのでしょうか? どう見ても……真っ黒な紙にしか見えませんが?」

 

鳳翔「………ボソボソボソ」

 

青葉「は、はいっ!? 今、聞こえなくて………」

 

鳳翔「や、『闇夜に潜む黒牛と鳥(カラス)』です………」

 

ーーー

 

華琳「───なっ!?!?」

 

秋蘭「──────!?」

 

吹雪「へっ!?」

 

霧島「────やっぱりッ!!」

 

ーーー

 

青葉「こ、これは───私には、同意も不定も出来ません! ほ、報道は平等に行わなければ。 しかし、私見を交えれば……納得するしかありません! 実際描けば……こうなりますから! 非常に写実的としか言えません!!」

 

鳳翔「ふ、吹雪ちゃんが墨を飛ばした折に……提督の話される『頓知話』を思い出しまして………」

 

霧島「………私も司令よりお話を伺っています。 まさか、鳳翔さんが……あの『暗殺拳』を伝承されているとは───」

 

鳳翔「───き、霧島さ……ん?」 

 

霧島「司令が話してくれました。 私も──ただの昔話だと聞いていたのですが……実在するなんて………」

 

華琳「面白そうな話ね! 聞かして貰っても?」

 

霧島「構わないわ。 ………遥か昔、謎の格闘技『モンド』なる暗殺拳があり。 その破壊力は凄まじく……数々の敵を『頓死』させ、時の権力者さえ手玉に取り、その威力を天下に知らしめたそうよ!」

 

華琳「………………」

 

霧島「特に……山奥深くに居る『闇黒師』より伝授された『年端の行かない男の子』が、その奥義を極め……立ちはだかる者達を次々『頓死』させ滅したと……。 しかし、その子の亡き後……伝承は途絶えた……と聞いていたのですが!!」

 

鳳翔「ち、違います! ご、誤解! 誤解です!」

 

霧島「えっ? 違うんですか? だって……それは『モンド』の奥義の一つ『闇夜の黒牛』では。 『使い手の意見に賛同しない場合、闇の世界に引きずり込むぞ?』と云う警告の絵だと………」

 

『ザワァ──────!!』

 

鳳翔「違いまぁーす!! そんな話じゃありません!!!」

 

青葉「と、とにかく……決めて貰うのは、これを見ている観客の皆さんですから! 霧島さんも鳳翔さんも、席に座って!!」

 

華琳「(鳳翔……ただ者では無いと思っていたけど……とんでもない人材だわ。 これは是非、私の軍に来て貰わなくては………)」

 

青葉「せ、静粛に!! それでは、採決を取りますぅううう!!!」

 

ーーーー

ーーーー

 

結果ーーー圧倒的多数で、鳳翔に票が入る。

 

観客の皆が皆……怯えた子犬のような顔をして………

 

これにより、鳳翔の必死の弁明も虚しく……第一戦は、鳳翔に分が上がった。

 

ちなみにーーーこの勝負の後に……正しい話を鳳翔が伝え直したそうだ。

 

 

 

続く

 

ーーーーーー

ーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

調子に乗って書いたら……とんでもない話に仕上がりました。

 

関係者の方たちに御迷惑かけないように、名前や設定を変えましたけど……。

 

ついてに、鳳翔さんが、絵を描くのが苦手というのは、この中だけの話です。

  

また……続きます。

 

説明
なぜか、こんな結末に。 5/7 マルハチマルマル 色々と訂正しました。
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コメント
hokuhin提督 コメントありがとうございます! 何故か、秋雲が大笑いして、巻雲に叱らる風景しか浮かびません。 今回の勝負は、華琳が仕掛けた勝負と云う名の謀。 不利は当然なんです。(いた)
秋雲が鳳翔さんの絵を見たらどう思うだろうかwしかし料理勝負3回にしなかったのだろう、これじゃあ平等とはいえないと思うが?(hokuhin)
スネーク提督 コメントありがとうございます! 鳳翔「○○ー○さん、依頼した吹雪ちゃんの似顔絵の回収、ありがと……え? 依頼料要らない?」(いた)
( ▼ω・)潜入先でダンボール被ってたらなぜか人が集まってきてバレなかったものの皆首をかしげていたんだが…何故だ?(スネーク)
プロフェッサー.Y提督 コメントありがとうございます! 後漢時代だからとか、霧島さんの勘違いやらで、とんでもない話になった頓知小僧さんの話です。 まぁ……少し『北○の拳』の設定入ってますが……www(いた)
…元ネタや事情を知ってる人間からすると「…これって漫才?それとも全員バカなの?」と言いたくなるけど…マジなんですよね、これ、関係者全員…つかー刀、どんな話し方をしたwww(プロフェッサー.Y)
mokiti1976-2010提督 コメントありがとうございます! 青葉「ども、恐縮です! お見せしたいんですがぁ、確かに『ダンボール箱』の上に置いたのが、見あたらなくてぇ……おかしいなぁ」(いた)
とりあえず第一戦は鳳翔さんの勝ちですね。でも個人的には鳳翔さんが書いた吹雪さんの絵も見てみたい…無理そうな気はしますが。(mokiti1976-2010)
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