真・恋姫†無双 裏√SG 第44話 |
賈充が俺を庇って戦死した
その事実は、俺や隊員の胸にしっかり刻まれていた
俺の部隊で出た初めての戦死者
俺のミスで出してしまった初めての犠牲者
その重責は、俺に重くのしかかってきた
それまで、俺達は特別だと思っていた
誰よりも強く、誰よりも戦果を挙げ、誰よりも多くを救ってきた
この中の誰かが、死ぬはずなんてないと考えていた
でも、それは違った
死は平等にある
賊も兵士も、命の重さは同じだった
賈充が死んだ事によって、殺してきた奴らにも同じように大切な人が居たと気づいた
それまでは考えなかった、賊の命、人生まで考えてしまった
そして考えてしまうと、俺は殺す事を躊躇ってしまうようになってしまった
そしてある日、俺はさらに知ってしまった
この世界に、俺がいる理由はないのだと
司馬昭伝其一
咲希の要請を受けて3日、俺はようやくこの世界に帰ってこれた。
この3日間、俺は戦い詰めだった。
ある事情で別世界に居た俺は、これまたある事情で百以上にもなる自称神様を屈服させてきたのだ。
どいつもこいつも、中途半端に強いせいで、変に苦戦してしまった。
正直、帰って少し寝たかったが、咲希の要請も気になったので、先に外史に来てみたところ、許昌が襲撃されている事に気付いた
俺は慌てて飛び、神器の力を借りて雷を落とし、敵を退かせる事にしたのだった
敵が退いて行くのを確認すると、俺の部隊にいたやつらがみんなして俺を取り囲んだ。
そして俺は、そのまま連れ去られる様に【晋】へとやって来て、腰を下ろしていた
霰「つか、なんやお前のその格好。羽根とか生やしてたけど、とうとう人間辞めたんか?それに、片目の色まで水色になって、どないしてん?」
あの世界においてきた恋人とはまた違った関西弁を聞いて、恋人が恋しくなってしまった。
あぁ、早く帰りたい
士希「辞めてねぇよ。それより、状況を聞かせてくれ。これはいったい、何の騒ぎだ?」
許昌にあんな数の賊が来るなんて、俺が生まれて一度たりともなかったはずだ。
俺が知る限り、許昌がこの大陸で一番安全なのだから
璃々「それについては、私から説明するよ」
璃々さんが真剣な面持ちで言ってきたので、俺は少し眠気が覚めてしまった。
どうやら、咲希の言っていた祭りとは、楽しげなものではなさそうだ
そして説明された内容は、俺の目を完全に覚ますには十分過ぎるものだった。
一連の麻薬絡みの事件
洛陽占拠
そして五胡の襲撃
それら全てに関わっている徐福の存在
そして、その徐福を討たんが為に、【晋】が動いている事
最後が一番信じられない事だったが、どうやら洛陽には猪々子さんが居るらしいので、その救出に行ったのだろうと納得した
士希「友紀もそれに?」
俺の問い掛けに、この場にいる誰もが口を閉ざし、下を向いた。
それが何よりの答えだった
士希「…」
正直、あの友紀が完全に悪に染まるとは信じられない。
クリスマスの翌日、秋菜にも言ったが、何か裏があるような気がしてならない
俺は立ち上がり、店を出た。
すると、霰が俺の肩を掴んで止めた
霰「どこ行くんや?」
士希「…俺達の思い出の場所だ」
その言葉に、霰はハッとして俺の肩から手を離した。
そして俺が歩き出すと、それについて来るように、一緒に歩き始めた
石苞「思い出の場所ってどこだろー?」
成済「確か、隊長達は幼馴染みだったからな。子どもの頃の秘密基地とかじゃないか?」
あれ?みんなついて来るの?
しばらく歩く事数分、目当ての場所に辿り着いた俺は、早速その家の扉を開けた
俺と霰が子ども時代、遊び場にしていた家
そして、友紀の家…
中は、ほとんどあの時のままだった
台所があって、寝台があって、タンスがあって
特に物の多い部屋ではないが、どこか生活感のある、思い出の場所
ただ、少し埃っぽいけど
士希「霰、お前、ここには来たか?」
霰「もちろん。せやけど、なんもなかったで?」
士希「それは、このタンスも調べてから言ってるのか?」
俺は部屋の奥にあるタンスの前にやって来た。
そのタンスの前で屈み、一番上の引き出しを開け、そして閉めた
霰「!?あ、せやった!その仕掛けは忘れとった!」
璃々「仕掛け?」
俺は璃々さんの問いを聞きながら、タンスの引き出しをどんどん開けては閉めていく。
士希「えぇ。実はこのタンス、ちょっとした工夫がされてあって、ある順番通りに引き出しを開けていくと…」
最後に下から二番目の引き出しを開け、そして閉めると…
ガチャリ
鍵が外れる音が聞こえた
士希「このタンス、実は一番下とその上の間に小さな収納場所があって、それを開けるために他の引き出しの開ける順番で鍵が外れる様な仕組みになっているんですよ」
璃々「ほえー、なんだか面白い仕掛けになってるんだね」
璃々さんや他の面子も感心したように声を漏らしていた。
父さんに習って、作った甲斐があったな
士希「………手紙か」
早速、一番下の引き出しを開けてみる。
そこには、先程まではなかった封筒が入っていた。
差出人は『友紀』と書かれているだけだった
封筒を開けると、そこには複数の紙が入っていた。俺はその中の一枚を手に取り、内容を確かめていく。
そこには、日本語で書かれていた、恐らく俺宛てのメッセージが残されていた
『あのタンスを開け、この手紙が読めるという事は、恐らくは士希か霰、もしくは【晋】の連中だろう。今回の騒動について、私なりに調査した結果を、ここに残しておく』
俺は手紙の内容を、この場にいる全員に聞こえるように音読する
『まず徐福について…あいつは本物の化け物だ。かつて始皇帝の時代にいた徐福本人で、武術、妖術、仙術など、あらゆる技術を膨大な時間を掛けて極めた怪物らしい。徐福曰く、あいつは大量の人間を贄に、自身を不老不死にしたと言っていた。犠牲にした人間の数だけ命がある。そう思っていい』
読みながら、俺はツッコミたい気持ちを何とか抑えていた
おいおい、なんだその怪物は!?咲希が言ってた通り、本物の化け物じゃねぇか!?大量の人間を犠牲に不老不死だと?それなんて錬金術だ!
『徐福の目的はこの世界を支配する事だ。長命を活かし、自分の為だけの世界を作り上げるらしい。人間を家畜のように使って、自分の悦を満たす事が目的だ。だから、ある意味あいつは、人間は極力殺さない。その代わり、薬漬けにするがな』
それはまた、ずいぶんと壮大に馬鹿げた事を考えているな。
恐らく、長生きし過ぎて、娯楽は全て知り尽くし、暇になってしまったのだろうな
『徐福が育てている麻薬の所在、及び薬の製造所をマークした地図を同封しておいた。出来ればここを襲撃して、麻薬の排除をお願いしたい』
霰「ふん、やっぱりあいつ、こっち側やったやんか」
霰は嬉しそうに、目に涙を溜めて呟いていた
『私はある目的の為に徐福に手を貸している。そしてそれは、私と共に行動している梁山泊の連中もだ。あいつらは梁山泊の頭領、宋江を人質に無理矢理活動を強要されている。だから、出来るだけ梁山泊には便宜を図ってやってくれ。罪は犯したが、あいつらの根本は悪じゃない』
甄姫「そんな事は知ってますわよ。しかし、それなら友紀は…」
甄姫が言った。
恐らく、友紀も何かしら脅され、強要されているのだろうと考えたのだろう
だけど、それは少し違った
『だが、私は完全に悪だ。徐福に自ら加担している。徐福の命令で麻薬を流通し、馬超を襲い、そして五胡の現代表、劉淵の誘拐に関与した。まぁ、最後は失敗してしまったがな。とにかく、私には徐福の力が必要なんだ。その為に進んで悪事を働いてきた』
皆、静まり返る。
友紀が自らの意思で悪事に手を染めていた事に、ショックを受けているのだろう
『同封したのは麻薬製造の地図と、徐福に関与している人間の名簿と組織名、そいつらの隠れ家、そして今までの悪事をまとめた書類だ。せめてもの罪滅ぼしではないが、是非役立ててくれ。徐福は確かに化け物だが、完全な不老不死ではない。何度も殺せば必ず殺せる。だから、私の目的が達成したその時は、私が必ず徐福を殺す。そして、私自身も罰を受ける覚悟でいる。それを、この手紙で残しておく』
……あいつは、まさか
『出来れば、この手紙は士希に読んでほしい。お前には本当に世話になった。お前が居たから、私はこれまで生きてこられた。本当に感謝している。ありがとう。願わくは、お前の幸せがいつまでも続くことを祈っている。 友紀 』
最後に、俺宛てにメッセージを残し、手紙は終わった。
間違いない。あいつは、死ぬ気だ
霰「士希」
霰が俺の名を呼ぶ。
その目には、強い意志が込められていた
霰「友紀を…あの馬鹿を助けてやって欲しい。頼む」
そう言って頭を下げた。
見ると、他の奴らも同様に頭を下げている
璃々「私からもお願い。友紀ちゃんを救えるのは、きっと士希君だけだよ」
甄姫「貴方に頼むのはシャクですが、この際は致し方ありません。隊長、あの子を救ってあげてください」
全員が頭を下げる。
この場の誰もが、友紀を強く想っていた
俺は、そんな彼らの期待に応えようと
士希「あぁ、もちろんだ。任せ…」
「また、誤ちを繰り返すの?」
その声に、俺の心臓は早鐘を打ち、全身から汗が吹き出て、俺の体を硬直させた
璃々「ッ!?いつの間に!」
俺の背後に感じる威圧感。
その存在にいち早く気付いた璃々さんが、そいつに弓を構えていた
霰「ッ!?お前、漢女か!」
霰も戟を構える。
他の奴らも同様に武器を構えていた
俺はゆっくり振り返り、背後にいた巨漢に目をやる
そいつは金髪のオールバックで、サングラスをかけた筋骨隆々の巨漢。似ている人を挙げるとすれば、シュワルツネッガー。
ただ、シュワルツネッガーに例えるには余りにも無礼な見た目をしている。
何故なら、こいつは女性用のスクール水着を着ているのだから
士希「王元姫…」
王元姫…俺がこの世界を離れる原因を作った管理者の一人
王元姫「久しぶりだね、我が君☆」
士希「誰が我が君だ!死ね!」
史実では、確かに司馬昭と王元姫は夫婦という仲になるが、外史では不倶戴天の仲だ。
気色悪い見た目だ。死ね。本当に死ね!
霰「士希!こいつ何モンやねん!」
霰が警戒しながら言った。そのまま殺して欲しいと思った
士希「こいつは、俺が、俺達が解散する理由を作った張本人だ!」
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こんにちは! Second Generations司馬昭伝其一 |
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王元姫wwいやまさかの王元姫ww存在しないと思っていたよ!(ohatiyo) | ||
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