こんな、横島忠夫はどうでショー!9 「横島くんとポセイドン」
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「痛つつ…。あ〜、死ぬかと思った」

 

横島はとある場所で目を覚ました。

六道女学園の生徒達が合宿に参加する美神の荷物の中にこっそりと隠れたつもりだったのだが、あっさりと見破られて鞄ごと鎖で雁字搦めに縛られて海へと投棄された。

そして横島はそのまま海の底へと沈み、海王ポセイドンの海底神殿に辿り着いてしまったのだ。

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「くそ〜〜、美神さんも無茶するな〜。所で此処は何処だ?」

 

そう言って横島は空を見上げる。

否、其処には空は無く、海がまるで空の様に浮かんでいる。

横島の足元には砕け散った鞄の破片が散らばっていて、落下の衝撃の凄まじさを物語っていた。

 

「しっかし、なんちゅーか図鑑で見たギリシャ神殿みたいな場所だな」

 

まあ、当然であろう。

何しろ此処は海神ポセイドンの聖域、海底神殿なのだから。

誰か居ないか探す為に歩き回る横島だが、ポセイドンは未だアテナの壷の中に封印されており、((海闘士|マリーナ))達もまた復活はしておらず、海底神殿には誰も居ない。

 

暫く歩き続けた横島の眼前に一際盛観な神殿が現れ、神殿の向こう側には天である海を支える様に巨大な柱もあった。

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「此処なら誰か居るかな?」

 

カツーン、カツーン、カツーン

 

横島はポセイドン神殿へと入り足音を響かせながら暫く進んで行くと広間に出て、其処にはポセイドンと七つの((海将軍|ジェネラル))の((鱗衣|スケイル))が安置されていた。

ポセイドン鱗衣の下に置かれた黄金の壷こそアテナの壷であり、その中に封印されたポセイドンの魂が眠りに付いているのであった。

 

「…何か高そうな壷。もって帰っちゃ駄目かな?厄珍なら高く買ってくれそうなんだが」

 

金欠な横島の頭の中では既にアテナの壷を売り払った際の金勘定が始まっている様だ。

 

「誰も居ないようだし…バレないよな」

 

そう言いながらそ〜〜と、アテナの壷に触れると既に効力を失っていた封印の札は粉々になって砕け散り、閉じ込められていたポセイドンの魂は解き放たれてポセイドン鱗衣へと宿る。

 

《誰だ、余の眠りを妨げる者は?》

 

「うおっ!? 何処からとも無く声が!」

 

《誰だと聞いておる》

 

「お、俺は横島忠夫だ。お前こそ誰や?」

 

《ふふふ、余を前にしてその不遜な態度、良い度胸だと誉めておこう。まあ良い、余は海王ポセイドンである》

 

「ポセイドン?」

 

ポセイドンと聞き、横島は辺りを窺いながら何かを探し回る。

 

《何を探しておる?》

 

「ロデムは?ロプロスは?巨大コンピューターは?」

 

《そのポセイドンでは無いっ!第一、此処は海の底で砂漠では無かろう!》

 

そう叫びながらポセイドン鱗衣は裏拳でツッコミを入れる。

ちなみに何故、バ○ル二世を知っていたのは永遠の謎である。

 

「おお、そうか。ならあの……」

 

横島は何かを思い出したかのようにポンと手を叩く。

 

《そうだ、余はあの…》

 

そんなポセイドンの言葉を無視するかのように横島は小さな霊波刀を作るとそれを握り閉め、頭上に高々と上げて叫ぶ。

 

「お・り・は・る・こーーーーーんっ!」

 

《違うと言っておろうがっ!》

 

どんな原理なのか、ポセイドン鱗衣のマスクには#マークが浮かび、裏拳でのツッコミもさっきよりも激しい。

ちなみに何故、海の…以下略。

 

「兄弟のネプチューンと喧嘩して、巻き添えくった小魚が魔族化したり」

 

《しとらんっ!》

 

「待てよ、そう言えばたしか……」

 

《ふふふ、ようやく気付いたか。そうだ、余は…》

 

「妹のデメテルに手を出して妊娠させた」

 

《うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!》

 

「違うのか?ならばっ…え〜と、他には…と」

 

《無理やりネタを探さんでもよい!》

 

「何を言う!? ネタに走らんで何が関西人や!」

 

《余は関西人では無いっ!》

 

「細かい事を気にするな、血圧が上がるぞ」

 

《誰のせいだ!もう良い、帰れっ!》

 

「何や、つれないな。せっかく来たのに。そうだ、ポセイドンと言うからには海の王様なんだろ。此処は一つ、綺麗所の人魚のねーーちゃんでも呼んでぱーーっと大宴会を!」

 

《帰れと言っている!!》

 

「のわわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

 

ポセイドンの怒りの波動を受け、横島は海上へと強制送還される。

 

《はぁ、はぁ、はぁ。こ、これで漸く静かに眠れる》

 

そしてポセイドンの魂はアテナの壷に戻り、再び眠りに付いた。

その後、横島は海辺に流れ着いた所をシロとタマモに発見されるのだがこの海底神殿での出来事の記憶は消されたらしく覚えてはいなかった。

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しかし、それから数時間後……

 

 

カツーン、カツーン、カツーン。

 

 

誰も居なくなった筈の海底神殿に足音が響く。

黄金の三又の鉾を持つ男がポセイドン神殿に足を踏み入れる。

 

「こ、これは!噂に聞くポセイドンと海将軍の鱗衣か」

 

この男こそ、兄である((黄金聖闘士|ゴールドセイント))、((双子座|ジェミニ))のサガにスニオン岬の岩牢に閉じ込められていたはずのカノンであった。

 

「ふふふふふ、全ての運に見放されたと思ったがどうやらそうでもなかったらしい。この状況を利用し、海界のみならず地上界すらこの手に治め、このカノンが唯一絶対の神として君臨してくれる。サガよ、その時になって後悔するがいい。ウワーーッハハハハハハハハハ!」

 

そしてカノンはシードラゴンの鱗衣に目をやり、今後はシードラゴンを名乗る事に決め、アテナの壷を開きポセイドンの魂を開放……

してしまった。

 

 

《・・・・・・・・》

 

「ポセイドン様、お目覚めの時です。私はシードラゴンのカノ…」

 

《帰れっ!》

 

「のわわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

 

ポセイドンの怒りの波動を受け、カノンは岩牢へと強制送還される。

 

 

 

―◇◆◇―

 

こうして地上は何時の間にやら横島の功績によってカノンの野望から救われたのであった。

だが、人々はその事を知らない。

もっともこの様な救われ方をしたなどと、知りたくも無いだろうが。

 

そして今日もスニオン岬にはカノンの雄叫びが木霊するのであった。

 

 

「だぜーーーーーっ!」

 

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(・ω・)<ちゃんちゃん♪

 

(`・ω・)とまあ、そんな事があったんじゃないかとオイラの捏造です。

ちなみにポセイドン鱗衣のオブジェ形態はあのツッコミの形のまま固まってしまったらしく、未来永劫あのままです。(#マーク付きで)

ちなみにナレーションは田中秀幸さんで脳内変換をお願いいたします。

 

説明
海の聖域、海底神殿に迷い込んでしまった横島くんと迷い込まれてしまったポセイドンのお話。
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タグ
GS美神 聖闘士星矢 横島 ポセイドン 

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