第十五章 複雑な停戦
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前回のあらすじ

 

虎牢関の戦いの裏で暗躍していた謎の青年左慈、干吉が率いる白装束を着た謎の組織を退けたミノル達、月と詠を連れ燃え盛る屋敷を謎のオカマ貂蝉と共に脱出した。

一行は袁紹率いる反董卓連合軍に対し停戦を呼び掛けた。

 

そしてその一報が劉備・孫策・曹操軍の耳に入り、徐々に戦いが止まりつつあった。

 

とある大きく広いテントに左からコーウェン・ミノル・詠・月・アキラ・シーナの順番に座っていた。そして劉備軍からは劉備・関羽・諸葛亮が、曹操軍からは曹操・荀イク・一刀が、孫策軍からは孫策・周瑜・黄盖、総大将の袁紹と部下の顔良と文醜、袁紹の従姉妹である袁術とその世話係の張勲、そして公孫賛がテントに入ってやって来た。

 

「さてさて…お集まりいただいて感謝する」

 

「これより休戦および停戦協定の調停を開始します」

 

ミノルとアキラが席に立って一同に向けて一礼した。

 

「さて…まずは紹介しましょう。こちらが我等の総大将のゆ…董卓殿でございます」

 

アキラの紹介で席を立つ月に劉備軍の三人と華琳の隣にいる一刀は悪徳非道と呼ばれていた董卓がこのようなひ弱な少女であることに驚きを隠せなかった。

 

「調停の前に袁紹殿に聞きたい事がある」

 

すると手を上げてアキラが立ち上がって袁紹に目を向けた。

 

「なぜ反董卓連合を結成した理由を聞きたい」

 

「何ですの!理由は勿論…」

 

「自分達だけでは歯が立たないから劉備・曹操・孫策に董卓は洛陽で悪い事をしていて民が困っているから協力して董卓を倒しましょう…そういった内容の尺牘を送ったんじゃあないのかな?」

 

『!?』

 

ミノルの説明に連合軍の全員が驚きを隠せなかった。まるでその尺牘の全て把握しているかのように。

 

「その様子だと…図星らしいな」

 

不敵に笑うミノルに麗羽が立ち上がった。

 

「しかし!私達は洛陽の民を救う為にここに集って…」

 

 

ミノルは手を上げて麗羽の発言を止めて、アキラを見て顔を縦に小さく頷き、立ち上がった。

 

「話の腰を折って申し訳ないですが…入って下さい」

 

アキラに呼ばれてテントに入って来たのは貂蝉だった。

 

「よぉ〜ばぁれて来たわぁ〜」

 

『!?!?』

 

紐ビキニパンツ一枚の筋肉男、貂蝉がテントに入ってきた瞬間連合軍の全員が驚いた。

 

「…紹介します、洛陽にお住まいの貂蝉殿です」

 

「はぁ〜いわたし貂蝉よぉ〜」

 

連合軍の将達に向けて自己紹介した貂蝉がウインクをしたら一同顔を青ざめた。

 

「貂蝉殿、洛陽はどのような町でした?」

 

「活気が溢れて笑顔が絶えない町だったわァ〜」

 

「では…悪政を強いられている様子は?」

 

「悪政のあの字も無いわよ〜」

 

すると、劉備軍側がそわそわし始めた。曹操軍は覇道に進むため、孫策軍は名声を轟かすために連合軍に入った。だが劉備達は違った。悪政を強いられて苦しんでいる洛陽の民を助けるために連合軍に入った劉備達だったが、貂蝉の答えに劉備達は戸惑いを隠せなかった。

 

 

「貂蝉殿ありがとう…さて次の問いだ?劉備殿は戦の無い世を作るため、曹操殿は自らの野望のため、孫策殿は名を轟かすためにここに赴いた…それじゃあ袁紹殿は何の為にこの連合軍を作り、董卓殿を倒して何がしたいのか…それを聞きたい」

 

袁紹の前で立ち止まりミノルは問い詰める。

 

「何で敗者のあなた方にそんな事言わなくてはいけませんの?私が何を考えようと勝手ですわ!!」

 

 

「敗者?俺達二人だけでお宅の兵士の一部が敵前逃亡するくらいの軍の大将に言われても説得力は無いと思うが?」

 

「うぐっ!」

 

ミノルの問いに強く反発する袁紹だが、彼の言葉に痛い所を突かれ袁紹は言い返す事が出来なかった。

 

「まさか…最初から洛陽が平和であり、董卓殿が暴虐な行為をしていない事、あんたは知っていたんじゃないのか?」

 

『!?』

 

 

ミノルの突然の言葉に袁紹達を始め劉備軍も驚いたが、孫策軍と曹操軍はあまり驚いた様子はなかった。

 

「な!?何を根拠で?」

 

「根拠は…無い?」

 

『えっ!?』

 

連合軍の将達はミノルの断言に驚いた。

 

「根拠は無い、が…一つだけわかった事があると断言できる」

 

ミノルの言葉に空気が重くなり、袁紹が我慢出来ず口を開いた。

 

「何ですの!?早く言いなさい?」

 

「この戦全てが無駄で始まりに無駄に終わった事だ…」

 

ミノルの発言によって辺り皆静かになった。そしてミノルは畳み掛けるように口を動かした。

 

「だってそうだろ?あんたが最初から洛陽が平和だと知っていたのならこの戦も軍も兵士の犠牲もどうでもいいと俺はそう捉えているが?」

 

「しかし私は洛陽が悪政を強いられていると風の噂…」

 

『えっ!?』

 

「えっ?」

 

袁紹の発言に董卓側が驚いて声を揃えた。董卓側だけではなく劉備達も驚きを隠せなかった。するとアキラが勢いよく立ち上がって机を強く叩いた。

 

「風の噂でこんな戦を…噂だけで…」

 

いかにも直ぐに袁紹に襲い掛かろうとするアキラに董卓は震えだし始め、賈駆はそれを見て董卓の手を握った。そしてその光景を見たミノルはアキラの頭を軽く叩いた。

 

「落ち着けアキラ。怒る気持ちはわかるが、月ちゃんの前で血を見せる事をするな」

 

「んっ…わかった」

 

唇を噛み締めながら座るアキラにミノルはホッとした。

 

「さて…もうお分かり頂いたと思いますが、こんな無駄に終わった無意味な戦だ。当然董卓殿も罪は無いと思うが?」

 

「でも!!」

 

ミノルの言葉に劉備が突然立ち上がり、それを見たアキラは少し怒りの形相で劉備を見る。

 

「確かにそちらの董卓殿に非が無いのかもしれません。けど!!虎牢関で貴殿方天の遣い様が参る前に董卓軍と何度も交戦し、双方の兵も死んでしまいました。その犠牲も無駄というのですか?」

 

劉備の言葉にミノルも黙るが直ぐに劉備の方に向いた。

 

「確かに俺達が虎牢関の前にシ水関や他で戦いがあったのは知っている。俺達が早く董卓軍に入って犠牲を最小限に留めておきたかった」

 

少し悲しげな表情をして語るミノルだったが、厳しく強い眼差しで劉備を睨んだ。

 

「それじゃあ聞くが…反董卓連合軍に召集される時にあんた自身、疑問を感じなかったのか?」

 

「それは…」

 

ミノルの言葉に劉備は言葉を詰まらせる。自分自身もこの目で確かめるべく参加して、少なくないが自分達の兵が命を落としてたどり着いた真実が、董卓の暴虐な行為も…洛陽の実状も…全て考えていた事とは真逆だった。

 

「確かに疑問に思いました。軍師であるわたしや一部の将達も袁紹殿の尺牘の内容に反対しました。でもこの戦乱の世の真実をこの目で確かめる為に劉備殿が決断したんです?」

 

机を叩いて諸葛亮が立ち上がってミノルに反発の声を出すとミノルが少し納得の表情をして、アキラに視線を移した。

 

「だそうだ?アキラ、他にあるか」

 

「僕からは…もうない」

 

目を瞑りながら軽く首を縦に振るアキラを確認したミノルはパンっと両手を叩いた。

 

「さて、信憑性が無い馬鹿げた風の噂で始まったこの戦も終わらせたい。両軍の将達も…この調停に異議はある者は…」

 

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その後調停の協議の結果、董卓は今回の一件で追放処分にミノル達は異議を唱えるが、董卓はそれを承諾し、代わりに董卓軍全員無罪放免と唱え、それを受託。これにて虎牢関の戦いは終わりを迎えた。

 

 

 

 

ここは連合軍のとあるテント…そこにはミノル・アキラ・コーウェン・シーナ・月・詠が椅子に座って話をしていた。

 

「恋ちゃん、劉備軍の捕虜に…」

 

「大丈夫だよ月ちゃん、劉備軍(あいつら)がそんな不粋な事するように見えないから」

 

恋の心配をしている月にミノルがニッコリしながら語り、アキラ以外がそれに首を縦に振った。

 

「張遼殿は条件付きで魏軍に下り、華雄殿は行方知れず…」

 

「そう…か…」

 

コーウェンの言葉にアキラが小さな声で返事をして、アキラの様子がおかしい事にミノルがアキラの肩を軽く叩いた。

 

「アキラ、お前劉備軍に言った事気にしてんだろ?」

 

「はぁ?」

 

 

ミノルがそう言うとアキラが拍子抜けした表情でミノルを見る。

 

「僕が劉備軍を?一体何の理由があって…」

 

「そりゃあお前…」

 

「話の途中失礼する」

 

ミノルが言おうとした瞬間、関羽と孫権が彼等のテントに入ってきた。コーウェンとシーナが自身の武器を召喚しようとした時、ミノルが二人を止めた。

 

「止めろシーナ、コーウェン。この二人には敵意が無い」

 

ミノルの言葉に二人は召喚を止め、董卓の横に立った。

 

「んで?用件は何だ」

 

「紅き戦人は私の姉と…」

 

「蒼き戦人は劉備殿と大事な話がある」

 

孫権と関羽が名指しするとミノルはキョトンとした顔で、アキラは少し険しい顔つきになった。そんなアキラの顔つきを横でチラッと見てミノルが口を開いた。

 

「なあ?それって同時に…一つの場所で一緒に出来ないか?」

 

「なっ!!兄さん!?」

 

ミノルの言葉にアキラが驚きを隠せなかった。

 

「一応確認を取ってくるわ」

 

「では私も…」

 

そう言って孫権と関羽がテントから出て、アキラはミノルに更に険しい顔で睨む。

 

「そんな顔をするなアキラ。月ちゃんが怖がるだろ?」

 

「兄さん…何を考えてる?」

 

「別に…ただ劉備殿がお前に話があるから興味が湧いただけだ」

 

「はぁ…」

 

ミノルがそう言うとアキラは半ば諦めた様子で溜め息を溢した。するとテントに孫権と関羽が戻って来た。

 

「両者同意の返事が出たわ」

 

「我々の後に続いて頂きたい」

 

孫権と関羽の言葉に二人は立ち上がった。

 

「コーウェン・シーナ二人を頼むわ」

 

「「はい!」」

 

ミノルがコーウェンとシーナに二人の護衛を頼み、ミノルとアキラは孫権と関羽の後に続いてテントを出た。

 

「あの…お二方」

 

すると月がコーウェンとシーナを呼んで、二人は後ろを向いた。

 

「実は…お話があります」

 

月と詠が真剣な表情でコーウェンとシーナに語り始めた。

 

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後書き

 

更新が約1年も空けてしまい申し訳ございません。

就職活動しながらアルバイトの生活+家事などであまり執筆活動が出来ませんでした。

唯一出来るとしたらアルバイト先までの電車内約20分間のみです。

前回の学園物でお解かりだと思います。自宅のPCが完全停止してしまい、スマホで執筆してますがTINAMIではスマホでの投稿が出来ず

ネットカフェで更新しています。

おそらくまた更新が亀の様にノロノロな更新になるかもしれませんが、閲覧してくれる方や支援してくれる方がいるだけで自分はとても嬉しくてたまりません。

 

 

 

次回は劉備がアキラに何を伝えたいのか…そしてミノルが言う似ているところとは?

 

それではまた・・・

 

説明
何度も訂正したらかなり駄文になってしまいました。
設定もちょっと・・・

それではどうぞ〜
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