英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート |
同日、20:30――――
〜カレイジャス・会議室〜
「………………そうか。カイエン公はただでさえエレボニア帝国に対して怒りの炎が燃え上がっているメンフィルに更に油を注いだのか……そしてルーファス君は既に”処刑”された上、エリス君とリィン君を助けると同時に貴族連合――――エレボニア帝国に対しての”報復”としてヘイムダル襲撃、バリアハートとオルディス制圧を同時に行う事に加えてバルヘイム宮の爆撃とパンダグリュエルの制圧、貴族連合に加担している貴族の当主達の処刑か…………ハハ、敵に対して全く容赦しないメンフィルならではのとんでもない戦術だね……普通ならありえない話だろうが、”リベールの異変”でグロリアスを制圧する際”結社”の”猟兵”達を皆殺しにした事に加えて”執行者”―――”痩せ狼”を騙し討ちする形で殺害した件を考えるとメンフィルなら冗談抜きで実行するだろうね……」
事情を全て聞き終えたオリヴァルト皇子は疲れた表情で肩を落とし
「そ、そんな……確かにエレボニア帝国に全面的に非があるけど、幾ら何でもやり過ぎだよ……!」
「そこまでする程メンフィルはエレボニアに対して怒っているという証拠だね……」
トワは悲痛そうな表情をし、ジョルジュは重々しい様子を纏って呟いた。
「…………殿下。今からでも遅くありません。リウイ陛下達に接触して、今まで謝罪や説明ができなかった事やエレボニア帝国の非を陛下達に謝罪して何とか”報復”を思い留まってもらうように交渉するべきです。」
目を伏せて考え込んでいたアルゼイド子爵は真剣な表情でオリヴァルト皇子に提案した。
「そうしたいのは山々だけど、先程話に出た作戦の内容を変更させて二人を救出できる”代案”や”代償”をこちらは用意する事はできないから、絶対に聞き入れてくれないよ。」
「それは………………ですがまだ交渉の余地はあると思います。彼らの話によると二人の救出後にレン姫がエレボニアがメンフィルとの戦争を回避する条件を開示する為に殿下に接触する事を考えると、少なくてもまだ本格的なエレボニア侵攻はしないと考えられます。」
疲れた表情をしているオリヴァルト皇子の正論に反論できないアルゼイド子爵は辛そうな表情をしたがすぐに気を取り直して、提案した。
「フム…………―――リグレ侯爵、だったか。彼の話によるとメンフィルはリィン君の救出と同時に確保する予定であるアルフィンに直接危害を加えるつもりはないんだね?」
「は、はい。レン姫が殿下に接触した際にアルフィン殿下の”今後”をお伝えすると仰っていました。」
オリヴァルト皇子の質問にセレーネは真剣な表情で答えた。
「アルフィン殿下の”今後”を伝えるという言い方が気になるよね……その言い方から推測するとメンフィルはアルフィン殿下自身に今回の戦争の責任を取らせるような気がするよね……?」
「ああ……アルフィン殿下にとって辛い内容じゃないといいんだけど……」
トワとジョルジュはそれぞれ不安そうな表情で考え込み
「申し訳ございません、殿下!父の……アルバレア公爵家の暴走によって、エレボニアどころかアルフィン殿下までもが窮地の身に陥ってしまいました……!俺がもっと早くバリアハートに戻って、父の暴走を知った時にこの手で父を殺してでも止めていればこんな事には……!」
「ユーシスさん……」
頭を深く下げて謝罪するユーシスをエマは心配そうな表情で見つめていた。
「頭を上げてくれ、ユーシス君。君の責任ではないよ。責任があるとすれば、ユミル襲撃の件を知ってすぐにリウイ陛下達に謝罪しに行かなかった私だ。ルーファス君達の事は本当に残念だったが……せめて君だけはメンフィルに処罰されないようにリウイ陛下達に頼み込むつもりだよ。」
「殿下…………ッ……!」
「というか普通に疑問なんだけど、そっちは1度目のユミル襲撃をいつ知って、知った後に何でカレイジャスがあるのに今までメンフィルに謝罪しに行かなかったの〜?」
「ミ、ミリアムちゃん。」
「君な………いい加減オブラートに包む言い方を覚えるべきだぞ。」
オリヴァルト皇子に対するミリアムの質問にクレア大尉は冷や汗をかき、マキアスは呆れた表情で指摘した。
「……でも、ミリアムの言っている事も強ち間違っていないかも。エレボニアの皇族がユミル襲撃の件に関してもっと早くメンフィルに謝罪していれば、状況は変わっていたかもしれないし。」
「フィー、それは……」
「しかも昨日にユミルに到着していたら”英雄王”達と親しい間柄である”ブレイサーロード”達もユミルにいたから、彼女達に仲裁してもらって状況を少しでも変えられた可能性はそれなりにあったでしょうね。」
「セリーヌ……」
ミリアムに続くように指摘したフィーとセリーヌの正論にラウラとエマは複雑そうな表情をした。
「……情けない事に1度目のユミル襲撃の件を知ったのは1度目のユミル襲撃が起こって10日後あたりだ。本当ならすぐにでもロレントのメンフィル大使館に向かうべきだと思ったのだが、ちょうどその頃はトワ君達と合流する直前だったんでね……彼女達の為に合流地点を変える訳にはいかなかったんだよ。ユミルに君達がいる情報と貴族連合が君達の身柄の確保に向けて本格的に動き出している情報を知って、トワ君達や君達と合流してからすぐにでも向かうつもりだったのだが……」
「ごめんね、みんな……!わたし達がもっと早く殿下達と合流していたら、こんな事にはならなかったかもしれないし……!う、ううっ……」
「トワ会長……」
「会長達の責任ではありませんから、会長が責任に思う事はありませんよ……」
オリヴァルト皇子の話の後に辛そうな表情で語り、涙を流し始めたトワをエリオットとアリサは辛そうな表情で見つめていた。
「失礼ながら意見をさせて頂きますが今はそれぞれの不手際を嘆く事よりも、わたくし達が今の状況で”何をするべき”かを考えるべきですわ。」
「……そうだな。悔しいが俺達じゃあメンフィルの報復行動は止められねぇな。ルーファス卿をもう処刑した事を考えると恐らく明日にでもエレボニアに対する報復行動やリィンとエリス嬢ちゃんの救出作戦を実行するだろうな。」
シャロンの意見にトヴァルは複雑そうな表情で頷き
「オレ達が今の状況で”何をするべき”、か……できるとすれば、リィンの救出に向かう事しか思い浮かばないが……」
「アタシ達が勝手に動いたせいで綿密に計画してある救出作戦を台無しにされたら、メンフィルが更に怒るかもしれないから、それは止めたほうがいいと思うわよ。」
ガイウスの言葉を聞いたセリーヌは静かな表情で指摘した。
「……リィンとエリスが救出される事は確実なんだから、いっそメンフィルの作戦に便乗してユーゲント陛下達を救出できないかしら?」
「え……ユ、ユーゲント陛下達の救出、ですか?」
「……ユーゲント陛下達を救出できれば”貴族連合”の大義名分を失わせる事はでき、内戦の状況は大きく変わるでしょうし、貴族連合に加担している貴族達が貴族連合からの脱退をする可能性も出てきますね。」
サラ教官の提案を聞いたセレーネは戸惑い、クレア大尉は真剣な表情で考え込んだ。
「フム……確かに現状を考えるとそれしかないし、それが最善の方法だな。…………私は皇族として……アルフィンの兄として失格だな。多くの犠牲者が出る上アルフィンがメンフィルに拘束されると理解していながら、内戦の終結の為に彼らや妹を見捨てる事を決めたのだから……」
「殿下…………」
重々しい様子を纏ったオリヴァルト皇子の様子をアルゼイド子爵は辛そうな表情で見つめ、その場にいる全員も辛い思いを抱え込み、その場は重苦しい空気に包みこまれた。
「……さてと。そうと決まればメンフィルの皇族達に接触すべきだね。子爵閣下、ユミルに向かってくれ。ユミルの防衛部隊の指揮を取っているマーシルン家の方々に接触する。」
「御意。」
その後”カレイジャス”は再びユミルへと向かった。
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第3話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1606 | 1477 | 2 |
コメント | ||
本郷 刃様 強者側にはわからない事という事でしょうね(sorano) エステル達リベール側とトワ達エレボニア側、どちらも同じ世代なのに戦争の酷さを知る知らないで別れますね・・・まぁ安全圏にいた有無ということでしょうかね(本郷 刃) |
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