Dear My Friends! ルカの受難 第4話 ルカ救出計画 |
(ミクとルカのアパートの部屋)
クリプトン王国の魔法陣からやってきた4人が、ちゃぶ台の上に落ちてきて、ルカ姫が泣きまくって、ミクが唖然とした、阿鼻叫喚の部屋がなんとか落ち着いたのは、その瞬間から10分後でした。アペンドがなんとかルカ姫をなだめて泣きやませて、一番日本人に近い学歩が、とにかく話し合いたい事をミクに申し出たのでした。ミクも、やたらめったら追求することを諦めたのか、とにかくちゃぶ台の上を片付けて、お煎餅と熱い緑茶を入れてきたのでした。
学歩:ずずーーーーー、ごくん。美味いでござる! 我が祖国の茶にそっくりで、実に美味いでござる!
侍の姿にそっくりの学歩は、インタネ共和国に住んでいるが、祖国は違う国らしいのです。
リン:パキン、バリバリ・・・ごくん。この円盤菓子、おいしー!
レン:バリバリ、ごくん。うん、美味しい!
リンとレンは装備をとりあえず壁に立てかけて、お煎餅をバリバリ食べていたのでした。クリプトン王国には、米菓子はなかったようです。
ルカ姫はアペンドにぴったりくっついて離れようとしませんでした。どうやら今回の一件は、好奇心旺盛のルカ姫とはいえ、相当堪えたようです。
ミク:…あの〜、そろそろ本題に入って欲しいのですが…
アペンド:お茶おいし…、あ、すみません。何せこっちの世界に来るのは初めてなもので
ルカ姫:いーよ、アペンド〜、そんなことどうでも〜。同じ顔しているのに、こっちの世界のアペンド、すっごく怖いんだよ〜
ミク:私はミクです! それに、こんな超常的な事、当事者から説明受けないと、やってられません!
アペンド:そうですね。私の方からも大事な連絡がありますから。ルカ姫、ちょっと横でお煎餅でも食べながら、話を聞いていて下さいね
ルカ姫:ちぇ〜、りょーかーい
こうしてようやく、アペンドは、これまでの経緯とこれからの話を始めることが出来たのでした。
アペンド:まず、私たちはココとは違う世界、そちらの世界の世界観で“ファンタジー”と呼んでいるような所から、魔法陣を使ってやってきました。この姫は、私が仕える“クリプトン王国”の姫君、ルカ姫様です。そして私がその友人にして従者の魔導師アペンドです
ルカ姫:そうだぞ! 私は姫だったんだぞ!
ミク:姿はともかく、性格はとてもそう見えないけどね…
アペンド:まぁまぁ。そして、この双子の従者は、我が国の守衛を任されている、僧侶のリンと、勇者のレンです。それと、私の調査から獲た知識だと、あなた達の国の衣装に一番近いと思う風貌をしている、この異国剣士は、我が国と同盟を結んでいる“インタネ共和国”に住んでいるルカ姫の友人の“神威学歩”です
学歩:宜しく頼むでござる
ミク:ま、まぁ、『一昔前』なら、この国にいっぱいいた侍だけど、今じゃ、アキバでも捕まりそうなんだけど…
アペンド:自己紹介はこれくらいにします。さて、私たちは魔法陣でこっちにやってきたのですが、使った魔法陣が違います。ルカ姫が使ったのは“未完成品”で、私達4人は“完成品”です。違いは、前者は“こっちに来るためには、コッチの世界で対応する人物と交換する必要がある”、後者はそれがない、事です
ルカ姫:そ、そうだったの?
ミク:ちょ、ちょっと待って、『交換』って事は、顔と名前から考えて、このヤンチャ姫と『交換』で向こうに行っちゃったのは!
アペンド:はい。あなたのご友人の“巡音ルカ”さんです
ルカ姫:だから勘違いされていたんだ…
ミク:こ・・・・こ・・・・こんな、世間知らずでメチャクチャな姫と、あのルカが、“対応する人物”だってーの!?!?
アペンド:お気持ちは重々解りますが、事実です。私も本人に会って解りましたが、あんな落ち着いていて聡明な方が姫だったら、どれだけ我が国は安泰だったか…
ルカ姫:なんか…随分な言われようなんですが…
ルカ姫は後ろを向いて、口をとんがらせて、ブツブツ言ってました。
ミク:と、とにかくルカは、あんた方の世界に飛ばされちゃったのね!・・・・あれ? 確かアペンドさん達が使った魔法陣は“完成版”で、交換条件無しだったんでしょ? なんで、ルカも一緒に来なかったのよ? この姫の後に来たんだから、ルカもいたんでしょ?
アペンド:それが…大変申し上げにくいのですが…、我が国と敵対している“アフス帝国”の魔導師“テル”によって、誘拐されてしまったのです。取引の条件は、我々が使った“完成版魔法陣”。そしてこの魔法陣はコピー不可なんです
ミクはアペンドの胸ぐらを掴んで、顔の直前で睨み付けた。
ミク:つ・ま・り、ルカを盗られた、と? そして、取り引きしてしまうと、向こうのルカは帰って来られないし、そもそも命の危険すらある・・・と?
ギギギギギ
アペンド:く・・・・苦しい・・・・
学歩が止めに入り、ミクの手を引いて、アペンドから引き離しました。
学歩:ちょ、待つでござる! 話には続きがあるでござる!
ルカ姫:あわわわ…、アペンドも対応する人物の性格が逆です〜
アペンド:げほっ…げほっ…。そのルカさんを助けるために、私たちはここに来たんです。2つの想定されるプロセスを解決するために
ミクは涙目だった。
ミク:こっちに来たって、ルカは助けられないでしょ!
リン:とにかく聞いて下さい!
アペンド:…あいつらの掴んだ情報では、魔法陣を完成させるには時間がかかる、事になってます。私たちが使った魔法陣は、ルカさんが装着していた“姫の衣装の素材”を使って、目的地“アキバ”限定で、完成させました。このことはアフスの連中は知りません。だから、まず姫をこの世界から救出する事にしたんです
レン:あいつらは、アペンドが作った“未完成魔法陣のコピー”を持ってます。交換条件とかに躊躇しないで、間違いなく、こっちの世界に兵を送って、姫を抹殺に来ます。まずはソレを阻止します
学歩:そして、その兵を未完成魔法陣で送り返して、アフス帝国の出兵を止めるのでござる
アペンド:終わったら、私たちも元の世界に戻って、完成版魔法陣を交換せずに、ルカさんを救出するんです
リン:わかりました?
ミク:う…なんか、アニメみたいな展開だけど、とにかく“打てる手”はそれしかないのね・・・あれ? ここに出兵…って事は…
ポチッ
ミクはノートパソコンの電源を付けて、ネットに繋ぎました。
ミク:…どうやら、その兵ってヤツ、もうこっちに送られて来ちゃったみたいよ
−アキバネットニュース−
・午後○時頃、秋葉原界隈で、謎の失踪事件が発生してます。現在確認されている情報では、トニオさん、プリマさん、ミリアムさん、の3名が突然消えて、消息不明となっていることが、知人らの話で明らかになっております。
・午後○時頃より、秋葉原にて、“ルカ姫はどこだ!”、等と叫んで、大通りを練り歩いている集団がいます。確認出来ているだけで、3名。風貌は外国人の兵隊のようです。現在巡回警備をしている警官が対応に当たっており、今のところ被害は報告されてませんが、ご注意下さい。
ネットニュースには簡単なデジカメ写真が添付されており、その風貌はまさに外人の兵隊でした。
アペンド:これは『フォーリナー軍政国家』の隊員…。アフスめ、危険であることを隠して、フォーリナーの兵隊を使ったか!
ミク:つまり、この兵隊に対応するのが、トニオ、プリマ、ミリアムってわけだね?
学歩:そういう事になるでござる。この3人は我々の世界に飛ばされて…どうなっているかは解りかねるでござるが…
アペンド:…その魔導投影版の情報が正しいのなら、一刻の猶予もない…。ミクさんはこっちの世界での生活があるから、ここで、リンと一緒に、ルカ姫を守っていて欲しいです。戦闘参加メンバーは、私とレンと学歩の3人
ミク:確かに私が参加したら、こっちでの生活とか、色々ヤバイよね
ルカ姫:私、武術はとても…心配だけど、ここで待ってます
レン:了解! ひっさびさに暴れるよ!
学歩:刀の錆にしてくれるわ
アペンド:あ、いや、戦闘不能まで追い込んで、私の杖に仕込んだ“未完成魔法陣”でアフスに追い返します。こうすれば、失踪した3人も戻す事が出来ますからね
リン:あいつらに見つからないように、私はここで撹乱結界を張ってます
アペンド:では、行きます!
こうして、刺客の退治作戦は、スタートしたのでした。
(アキバ 大通り)
アキバのメインストリートである“大通り”の一角で、3人の兵隊達と巡回の警官達が話し合いをしていました。この3人、姿形はコスプレした一般人と考えてもいいのですが、“ルカ姫はどこだー!”などと叫んでいるのがまずかったようです。
警官:君たち! 節度を守ってパフォーマンスしなさい! それにそんなおもちゃの“ツメ”や“パチンコ”や“ラジコン”などを振り回して! 危ないではないか!
チャキ!
“アイアンネイル”を装備した高速移動の能力者である“トニオ兵長(以下、トニオ)”は、ツメを警官の頬の前に突きつけました。
トニオ:制服のおじさんよ〜、これ、“本物”だから。あんまりうるさいと、ヤっちゃうよ? へへへ〜
そこへ、ゴムパチンコを持った礫の能力者である女性の士官らしき人物が来て、トニオの腕を押さえた。
プリマ管理官(以下、プリマ):やめな。私らの目的はルカ姫の抹殺だ。余計なのに手を出すと、色々面倒だ
トニオ:けっ! おじさんよ、運が良かったなぁ。もうちょっとで、頭と体が離れるところだったぜ〜
警官:こ・・・こ・・・公務執行妨害だ! 全員、署まで来て貰う!
ジャキジャキジャキ!!!
警官:な! なんだ!?
その警官達の周りには、機械の能力者であるミリアム機動兵長(以下、ミリアム)がラジコンで操作した、小型の浮遊型のガトリングガンが取り囲んでいた。
チャキ!
警官は咄嗟にニューナンブの拳銃を、銃口をラジコン使いのミリアムに向けて構えました。
警官:ぶ、武器を捨てなさい! 撃つぞ!
ミリアム:撃ってもいいけど、当たらないよ
警官:う、うわぁ!!!!
ドン! カキン!
警官がミリアムに向けて撃った弾は、取り囲んでいたガトリングガンが瞬時に移動して防いでしまいました。
警官:うわ! な、なんだこれ!
プリマ:仕方ない。邪魔なんで、ちょっと眠っていて下さい
プリマはゴムパチンコのゴム中央部に魔導の力で礫(つぶて)を作り、警官全員の額に向かって連射したのでした。
ガチン!ガチン!ガチン!
警官達:うぉぁ・・・・・・・・
バタバタバタ!
額を撃たれた警官達は、ショックでその場に倒れて気絶してしまいました。
トニオ:なんだよ、ヤっちまうなら、俺にやらせてくれてもいいのによ〜
プリマ:気絶させただけだ。さて、向こうの増援は来てないようだから、さっさとルカ姫を探そう。ミリアム、魔導レーダーではどうなんだ?
ミリアム:それが、何故かジャミングが入って、見つからないのだ。こっちの世界にも魔導の力を妨害できる手段があるのは、驚きだ
プリマ:おかしいな…、そんなはずはないんだがな…
その時、ゲームショップのビルの曲がり角を曲がって、アペンド達3人が颯爽と登場したのでした。
客:なんだなんだ? 兵隊コスの連中に警官がやられたと思ったら、RPGのコスプレした連中も出てきて、これって、もしかして、全部“ヒーローショー”か何かか?
客:あの警官もエキストラか?
アキバの人たちが、こう言うのに慣れている事は、逆にツイていたことでした。
アペンド:フォーリナーの刺客達! こっちの世界に迷惑かけるな!
レン:おまえらと交換に、こっちのお前達3人が、俺達の世界に飛ばされたんだぞ!
学歩:我らが魔法陣を作るから、とっとと帰るでござる!
トニオ:あ〜? なんでお前らがこっちにいるんだ〜?
ガチャ!
トニオもアイアンネイルを3人へ向けて、ヘラヘラしてました。
ミリアム:インタネの学歩と…クリプトンの魔導師に従者か。プリマ、これはひょっとすると…
ギュン!
ミリアムも、無線のガトリングガンを自分の前に集めて、戦闘態勢をとりました。
プリマ:ああ、あいつらにルカ姫の居場所を吐かせるとしよう
カチャ!
最後にプリマがゴムパチンコに礫を装填し、3人の方へ放つ姿勢をとりました。
アペンド:なるほど…、話し合う気、全く無しというわけか
カチャ!
アペンドは使い慣れた“杖”を構えました。
ジャキ!
レンも、愛用のブロードソードをしっかり持って身構えました。
シュラ! シャキ!
学歩も愛用の日本刀“錬気刀”を抜刀して、刃先を3人に向け、戦闘態勢になりました。
アペンド:では、予定通り、アイツらを伸して、元の世界に返すことにしましょうか!
プリマ:返り討ちにして、ルカ姫の元に案内して貰う!
遂に、リアル世界のアキバで、魔導バトルが始まってしまったのでした。
(続く)
CAST
ルカ姫、巡音ルカ(ルカ):巡音ルカ
初音ミク(ミク):初音ミク
魔導師アペンド:初音ミクAppend
僧侶リン(リン):鏡音リン
勇者レン(レン):鏡音レン
インタネ共和国の神威学歩:神威がくぽ
アフス帝国の魔導師テル:氷山キヨテル
フォーリナー軍政国家のトニオ:Tonio
フォーリナー軍政国家のプリマ:Prima
フォーリナー軍政国家のミリアム:Miliam
客、警官、その他:エキストラの皆さん
説明 | ||
☆当方のピアプロユーザーネーム“enarin”名義で書いていました、ボーカロイド小説シリーズです。第15作目の第4話です。 ☆今回は1話分を短めにした、ファンタジーRPG風味の長編です。 ☆当時は2期を意識してなかったのですが、本作は最新シリーズ“Dear My Friends!第2期”の第1期という作品になり、第2期のシナリオやカラクリに、第1期となる“本作”の話も出てきますので、これから長い長いお話になりますが、長編“Dear My Friends!”として、お楽しみくださいませ。 ☆この作品はナンバリング的には“第1期”となります。 ☆主役はルカさんなんですが…。 ☆今回からリアル側です。ミクとの話し合いと、フォーリナー軍政国家の刺客vsアペンド達です! ☆リアル世界での魔導バトル。どうなってしまうのでしょうか? |
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