英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート
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同日、21:30―――――

 

 

〜メンフィル帝国軍・ユミル地方防衛部隊〜

 

「え?オリヴァルト皇子が私との面会を求めている、ですか?」

1時間後ユミル郊外に展開されてある陣の天幕の中でゼトからの報告を聞いたエイリークは不思議そうな表情で首を傾げた。

「ハッ。エリス嬢の救出作戦に自分達も関わらせて欲しく、ユミルに駐屯しているメンフィル皇族との面会を求めていると仰っています。いかがなさいますか?」

「エリスさんの?…………わかりました。ただし、同行者は二人までで面会する間は自分達の武装を私達に預けて頂く事を伝えてください。」

「御意。」

その後オリヴァルト皇子がアルゼイド子爵とセレーネを同行者にして、ゼトを始めとしたメンフィル兵達を背後に控えさせたエイリークとの面会を始めた。

 

「夜分遅くでありながら、急な面会に応じて頂き誠にありがとうございます、エイリーク皇女殿下。」

「―――こうして顔を合わせるのはリウイ祖父上とイリーナ様の結婚式以来ですね、オリヴァルト皇子。メンフィルとエレボニアの関係がここまでこじれてしまっての再会は個人的には非常に残念に思っています。」

「いえ……これも全て私達の不手際ですので、皇女殿下がお気になさる必要はありません。謝罪が遅くなりましたが、今この場を借りてエレボニア皇家を代表させて謝罪の言葉を申し上げさせて下さい。我々エレボニア皇家の不甲斐なさによって、貴国まで内戦に巻き込んでしまい、誠に申し訳ありませんでした…………」

エイリークの言葉に対し、オリヴァルト皇子は静かな表情で答えた後頭を深く下げ

「………………セレーネさんに関しましては一応”初めまして”になりますね。ユミルでは満足な挨拶ができずに去ってしまい、申し訳ありません。」

オリヴァルト皇子の謝罪を目を伏せて黙って聞いていたエイリークは重苦しい空気を変える為にセレーネに視線を向けた。

「い、いえ。エイリーク様達がご多忙の身である事は理解しておりますので、どうかお気になさらないで下さい。」

エイリークに視線を向けられたセレーネは緊張した様子で答えた。

 

「それで……私に何の御用でしょうか?何でもエリスさんの救出作戦に関わらせて欲しいとの事ですが……」

「はい。リグレ候の話によるとメンフィル軍は近日中にヘイムダル、バリアハート、オルディスに襲撃し、それらの襲撃によって貴族連合軍が混乱している間にカレル離宮にいるエリス嬢を救出するとの事。その際に私達を同行させて頂きたいのです。」

「……一体何の為でしょうか?」

「エリス嬢と共にカレル離宮に幽閉されている父上――――ユーゲント三世を始めとしたエレボニア皇家の者達とレーグニッツ知事を救出する為です。皇帝であるユーゲント三世を救出する事ができれば、貴族連合軍に”大義名分”を失わせる事ができ、内戦の終結を早める事ができると判断しました。」

「勿論同行させて頂くからには私達もリフィア殿下達と共にカレル離宮にいる近衛軍と剣を交え、彼らを無力化する所存であります。」

「フゥ……申し訳ありませんが”無力化”では話になりません。カレル離宮を襲撃する部隊―――――リフィア殿下が率いる部隊は離宮を守る近衛兵達を”皆殺し”――――つまり命を奪う予定になっています。殿下の部隊に同行するからには自国の兵達を殺す覚悟は持ってもらわないと困ります。当然同行する者達が皇族や貴族もそうですが、士官学院生達にも最低でも”その程度”の覚悟を持ってもらう必要があります。」

オリヴァルト皇子とアルゼイド子爵の話を聞いたエイリークは溜息を吐いた後真剣な表情で答えた。

 

「つまりリフィア殿下の部隊に同行する為にはわたくし達もカレル離宮にいる近衛兵達を殺さないとダメという事でしょうか……?」

「ええ。エレボニア帝国に対する”報復”の一部としてカレル離宮にいる近衛兵達を”皆殺し”にするという内容ですから。というかセレーネさんのその口ぶりからすると、ユーゲント三世達を救出するメンバーは”Z組”なのですか?」

辛そうな表情をしているセレーネの疑問に答えたエイリークは眉を顰めてオリヴァルト皇子を見つめて問いかけた。

「はい。お恥ずかしい話になりますが”カレイジャス”にいる乗員で戦える者は私と子爵閣下を除けば士官学院生達と彼らに協力する者達のみですので。」

「……ですが彼らは学生とは言え、内戦勃発前に各地で起こっていた”帝国解放戦線”や”貴族派”による事件を解決に導いた実績があります。ですので決して足手纏いにはならないので、どうか同行を許可して頂けないでしょうか?勿論その際は私や”鉄道憲兵隊”のクレア大尉も同行し、率先してリフィア殿下達と共に近衛兵達を討ち取る所存であります。」

「…………申し訳ありませんが私の権限では皆さんの同行の許可を出す事はできませんので、今からリウイ祖父上に相談し、指示を仰ぎます。」

「あ、ありがとうございます……!」

二人の話を黙って聞いていたエイリークは立ち上がり、天幕から退出し、そして数分後に戻って来た。

 

「――――お待たせしました。結論から申し上げますと同行の許可は出さないとの事です。」

「そ、そんな………っ!」

「………それはやはり、”敵国”と認定した私達の事が信用できず、私達がメンフィル帝国の救出作戦や報復行動の妨害をするとお思いなのでしょうか?」

エイリークの口から出た非情な答えにセレーネは悲痛そうな表情をし、オリヴァルト皇子は複雑そうな表情で問いかけた。

「それも理由の一つですが、トールズ士官学院の”常任理事”として極一部の生徒を除けば”人の命を奪い合う本物の戦場”を経験した事もない生徒達に自分達の命を賭けて大勢の近衛兵達の命を奪う戦いに参加させられないとの事です。」

「それは………………」

「………………彼らも”士官学院生”―――つまりは”兵の見習い”です。いつかは経験する事ゆえ、”社会勉強”として”経験”させて頂けないでしょうか?」

エイリークの正論にオリヴァルト皇子が反論できない中、アルゼイド子爵が真剣な表情で問いかけた。

 

「……例え人を殺す覚悟があったとしてもいざ実際に殺せば、ショックを受け、”足手纏い”になる可能性が十分に考えられます。参加する士官学院生全員が近衛兵達を殺しても平気でいられると保証できるのですか?」

「……それに関してはこちらが厳密に選び、その者達を同行させますし、学生達を参加させる事が不可能ならば私とオリヴァルト皇子、クレア大尉が同行してリフィア殿下達と協力して近衛兵達を討ち取る所存ですのでご心配には及びません。」

ゼトの問いかけに対し、アルゼイド子爵は静かな表情で答えたが

「幾ら言葉を並べた所でエレボニア帝国との戦争の総指揮官を務めているリウイ祖父上が判断した以上、同行の許可は出せません。」

「そ、そんな……」

エイリークは不許可の言葉を口にし、その言葉を聞いたセレーネは悲痛そうな表情をした。

 

「―――ですが、エリスさんを救出した後ならばそちらの好きにして構わないと仰っていました。」

「え…………それはどういう事でしょうか?」

しかしエイリークの口から出た意外な答えにセレーネは呆けた表情をして問いかけ

「……もしかしてエリス君を救出した後ならば、我々が独自にカレル離宮に突入して、父上達を救出しても構わないという事でしょうか?」

「あ……っ!」

オリヴァルト皇子の推測を聞いたセレーネは明るい表情をした。

「ええ。エリスさんの救出後、そちらにエリスさんの救出成功を伝えるとの事です。―――明日の12:00。その時刻が作戦開始の時刻です。作戦開始後帝都近郊を警備している貴族連合の飛行艇を全て撃墜しますので、その際にそちらに連絡を差し上げますのでそちらで何とか自力でカレル離宮の上空まで向かって下さい。エリスさんを救出した際、エリゼからそちらに連絡を差し上げるように手配するとの事です。」

「……了解しました。メンフィル帝国の寛大なお心に心から感謝いたします……それでは私達はこれで失礼させて頂きます。」

その後メンフィル兵に預けていた自分達の武装を返却してもらったオリヴァルト皇子達は”カレイジャス”に戻って事情を説明し、ユーゲント三世達を救出する明日に備えてそれぞれ休み始めた。

 

そして翌日。メンフィル帝国軍はエリスの救出とエレボニア帝国に対する”報復”をする為に帝都ヘイムダル、翡翠の公都バリアハート、海都オルディスを同時に襲撃していた……!

 

 

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と言う訳で既にお気づきと思いますがこのルートではユーゲント三世達も早期に救出する予定です。”アレ”が使えない上”起動者”まで奪われ、しかも兵士達を大量虐殺されるかつオルディスとバリアハートを奪われたカイエン公やクロチルダにとっては泣きっ面に蜂の状況でしょうねww

説明
第4話
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コメント
本郷 刃様 全くです。闇ルートと比べれば優しすぎですよ(sorano)
まぁ兵士が死ぬのは戦の常ですし、むしろ民には被害がいかないのなら十分に優しいですよね(本郷 刃)
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